問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ? 作:ほにゃー
「いやはや、まだ二戦目が終わった所なのにこの会場の荒れようは凄まじいですね」
まぁ、どうみてみ二回戦終了の雰囲気じゃないな
そして、壊した張本人である二人はと言うと
[夜もすがら 壊してなんぼ 人の家 飛鳥・十六夜]
一句詠んでいる。
「お茶を濁したつもりですか当事者様!!」
そして、炸裂するハリセン。
「ここまでの戦況は一勝ゼロ敗一分けか。残り三試合で後二勝だから、負けていいのは一回までか」
「はい、ですが………次のプレイヤーの耀さんの様子がどうもおかしいですね」
そりゃ、おかしくもなるだろ。
だって相手が
「俺達の相手はお前だな小娘!」
「ヒョロヒョロだニャン負ける気がしないニャン」
「成敗いたす……」
「…」
犬と猫と鶏を可愛くアニメっぽくした動物とロバなんだもんな。
「やばい…超カワイイ…モフモフしてもいい?」
「なんだと!」
「小さいからってナメんじゃないニャ!」
「なんたる無礼!」
「俺達ブレーメン隊を甘く見てると痛い目みるぜ!ぶっ殺されたくなくば降参するがいい!」
犬が小さい体でありながらそう叫ぶ。
見た感じ、小さい子供が頑張って背伸びしてるそんな感じだ。
「うん、わかった」
「何言っちゃてるんですか!?耀さああ――――ん!戦ってくださいよ!ちょっとグーでぶつぐらいでいいですからぁ!」
「えー、皆カワイイんだもん。そんな事できない」
「一匹滅茶苦茶イカついの居ますけど!?」
そう言えばあのロバ滅茶苦茶イカつい顔してるな。あれもカワイイって思える耀の動物好きが凄いな。
「明らかに人選ミスじゃない?動物好きで動物の友達を沢山持つ春日部さんには相手が悪すぎるわよ」
「そう思いましたが耀さんが「モフりたい」と言って飛び出していかれたんですよ!」
あの時の耀、凄い輝いてたな。
そこまでモフりたかったんだな。
「連戦がダメとはルールにねえし、俺がもう一度出てもよかったのにな」
「俺でもよかったが」
「私も私も!」
「それもそうですが」
「私も私も!」
「白夜叉はそこでせんべいかじってろ」
取りあえず騒がしい白夜叉にせんべいを渡して二、三枚口に押し込む。
「まだ、団長や団員のギフトがはっきりしてない以上なるべく力を温存しておいた方がよい気がするのでです」
向うのギフトの正体が分からない以上こちらの手の内を明かす必要もないか。
「おい、あれ見ろよ!」
「うわぁー!」
観客が騒ぎだし一斉に闘技場を見ると
ロバにお手をしようとして手を丸ごとかじられてる耀がいた。
「ホラ……怖くない」
ナウ〇カか?
「耀さん!見てるこっちは怖いですよ!?」
噛まれてるの笑顔でいられると確かに怖い。
「よし!これで動きは封じた!」
「今だ!かかれ!」
「突撃―!」
『お嬢!来るで!もう手っ取り早くカウンターでキメたれ!』
「う、うん」
三毛猫に言われ耀は反撃の構えを取る。
そして、そのまま顔に三匹が突撃する。
飛ばされる時、耀は無理っとこっちを見ながら呟き親指を立てて吹っ飛ばされた。
幸せそうな笑顔だな…………
「このままではやられてしまいます!」
「大丈夫。何度だって立ち上がるよ…奴らをモフるまで!!」
キメるとこじゃないな。
その熱意はすごいけど。
「フン、脆弱な人間め!」
「このまま一気に畳みかけるぞ!」
「俺達の固いきずなと友情を見せてやる!」
「人間の小娘には分かるまい!」
「合わせるのは楽器の音色にあらず!」
「グルルルル」
最後の一匹喋れてないぞ。
『いくぞ!』
そして、現れたのは
『スーパー♪合体!これぞ、ブレーメンの音楽隊の最強形態だ!』
なんか、合体した。
「合体って……君たちは!」
『ハハハ驚いたか!?俺達は北側の技術により創られた機械式動物!このような変形も合体もギフト装着も自由自在!この姿を前にして生きて帰れたものはいない!』
そして、ブレーメンの音楽隊の攻撃が耀に向けられる。
攻撃が当たる瞬間、耀の蹴りが炸裂した。
蹴りはそのまま攻撃してきた羽を破壊した。
『な…!?』
「なんだ機械か……
なら遠慮なく殴れるよ」
なんてこった。
「大体「小娘には分かるまい」って何?それって私が友達少なそうだとでも言いたいの?」
あれ?なんか黒いオーラみたいなのが見えるんだが……
「友情の絆なら私達だって負けてないし」
耀は飛び上がり背後に回る。
「これはチーターさんに貰った力。獲物を仕留める速さと脚力」
踵落としを背中に落とす。
『くっ………この……』
右前足を出し攻撃しようとするが耀はソレを放電して止める。
「これは電気ウナギさんが教えてくれた威嚇と自衛」
電気ウナギまで友達なんだな。
俺も動物と話せるけど友達はオオカミや犬ばっかだな。
吸血鬼とオオカミや犬は相性いいし。
「そして、これは修也を殴って覚えた、相手を的確に倒す拳」
それ関係なくねぇ!!
グリフォンの旋風と象の体重を乗せた拳がクリティカルヒットする。
やべ、なんか体の震えが…………
「確かに私は病弱で人間の友達はあまり作れなかったけど、父さんの木彫りのおかげで動物と話せるようになって沢山の仲間を得た。そんな皆の力が全部私の中にあるんだ」
あのロボットは耀の踏み込んじゃいけないところに踏み込んだらしい。
「だから、
決して友達が少ないわけじゃないし!」
もう一度放電をし、ロボットを倒す。
『な…なにもそこまで…言ってな…』
可哀想に…………
「あ、圧勝…」
「というか」
((怒ると怖――――!))
(やっぱ怒るとこえーな……)
耀はVサインをして満足気だった。