問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ?   作:ほにゃー

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この話のおまけのところで黒ウサギが酷い目にあいます。
それでも、よろしければどうぞ。


第6話 箱庭の貴族(笑)だそうですよ?

「ちょ、ちょっと待ってください!黒ウサギはあちらの…“ノーネーム”の一員なのですよ!?」

目に涙を溜め黒ウサギが抗議する。

「そうは言うてもなぁ、今日に限りウチでバイトするてそう契約したはずどすえ?」

団長の言い分に黒ウサギは何も言えなくなる。

そして、俺達はと言うと

「うむ、良いのではないか?面白そうだし」

「面白そうだな」

「面白そうね」

「面白そう」

「面白そうだ」

ほのぼのとしてた。

「お気楽クインテットは黙っててください!!」

そんな俺達に切れる黒ウサギだった。

「安心せい。この私が一瞬でカタを付けてやろうて」

「はいはい、貴女は大人しく見てましょうね!」

「どうせセクハラしたいだけなんでしょ…」

「なんでじゃー!」

「元魔王の威厳はどこへやらです」

耀と飛鳥の二人により連行される白夜叉。

「十六夜、やってこい」

「なんだ?俺がやるのか?」

「待って下さい!黒ウサギは嫌です!十六夜さんなんかと戦ったらバターにされてしまいます!」

バター?

ああ、シェイクされるってことね。

「お前は俺を何だと思ってんだよ?」

最強人外問題児じゃね?

「あっ、でも黒ウサギがわざと負けちゃえばいいんですよね!?そうすれば誰も傷付かないし“ノーネーム”の一勝にもなって一石二ですね!」

そう言って黒ウサギは剣を手に持ち十六夜の首に当てる。

「……………へ?あ、あれれ?何で?どうして?体が勝手に!?」

慌てる黒ウサギ。

それに対して十六夜は

「まぁ、落ち着けよ。駄ウサギ…日頃の憂さ晴らしがしたいんだよな?」

いつになく爽やかな笑顔を浮かべ握り拳を作ってた。

「ち、違うんですーーーッ!」

泣き叫びながら十六夜に剣を振り下ろす黒ウサギだった。

「さぁ、一戦目は黒ウサギさんと“ノーネーム”の坊や!ルールは簡単、リングアウトもしくは戦闘不能にさせた側の勝利!その為ならどんな手を使ってもOKどす!」

 

「おい、お前らどっちに賭ける!?」

「そりゃもちろん“箱庭の貴族”だろ!」

「でも、あの小僧もなかなかできそうだぞ!」

 

客席は賭博をやっているらしく大盛り上がりだった。

なんというか、気分が悪い。

「おい、耀じゃねーか!何だってお前らがこんなところにいるんだよ!?」

「ヤホホ!皆様こんばんは!」

聞き覚えのある声だったので振り向くとジャックとアーシャがいた。

「そういうお前たちもどうしてここに?」

「商売の一環さ。得意先に誘われたから付き合いで来てみただけ」

「しかしながら我々は賭け事に興味が無いので早々に御暇しようと思ってたところでして」

「そしてら、お前らが出てくるもんだがら驚いだっつの」

まぁ、ジャックが賭け事をするとは思えないしな。

誰かの付き添いに来たってのは考えなくても分かるよな。

「ここにいるってことは夜のサーカスの事知ってるの?」

「ん?まぁ、少しなら…しっかしまぁ、見事にカモられたみてーだな。このギフトゲームに撒けたコミュニティはサーカスに吸収されちまうってのによ!」

その言葉に俺達は驚いた。

「まさかと思うが、昼の公演の団員は……」

「ええ、元は他のコミュニティの方々です」

「連中は昼に観客の中から気にいった奴を攫い、助けに来た仲間同士で殺し合わせる胸糞悪いシステムを作り上げてんだ。勿論、ゲームに勝てば解放されるが負ければ一生操り人形。未だゲームに勝てた奴はいないらしい」

なるほど、事が明るみに出ないのはそのためか。

「ありえないわ!いくら箱庭でもそんな非人道的な事許されるはずが!」

「いや、箱庭だがらこそ許されてるんだ」

飛鳥の訴えを止め言葉を放つ。

「例え、どれだけ非人道的な事でもそれがギフトゲームである以上正当な行為で正当なルールだ」

俺の言葉に飛鳥も耀も黙ることしかできなかった。

「ジャック、ここにいる観客はどうやって集まってるんだ?」

「場を盛り上げてくれそうな連中には向うから招待状が届くそうですヨ。紳士の風上にも置けない方達の吹き溜まりですね。ここは」

「まぁ、精々ヘマすんじゃねーぞ!」

「ヤホホホ!ご機嫌よう!」

「……行っちゃった」

「考えたくはないけど、今の話が本当ならフェルナのコミュニティの人達はもう…………」

「キャアアアアアアア!」

黒ウサギの悲鳴に振り向くそこには腕を切られ血を流す十六夜がいた。

「十六夜さん!何で避けてくれないんですか!?」

「あのなぁ、いくら俺でも“月の兎”の瞬発力をあいらい続けるのは至難なんだよ!」

あの十六夜が切られるなんてな。

“月の兎”って結構凄いんだな。

いつも、あんなアホ面してんのに………

「ごめんなさ!黒ウサギが有能なばっかりに、容姿端麗、鉄心石腸、完全無欠なばっかりにぃぃー」

「やっぱり憂さ晴らししたいだけだろお前」

いや、完全無欠はどうかと思うぞ?

てか、なんかぶん殴りたくなる言い方だな。

やっぱり、憂さ晴らししたいだけなんじゃ………

「違います!本当に体が勝手に動くのですよ!まるで糸で操られてるかの様に!」

「糸?…………まぁいい、黒ウサギ!多分殺されはしねぇから本気で来てみろよ!後で怒ったりもしない!」

そう言う十六夜の背後にバーベーキューされてる黒ウサギが見えるんだが気のせいか?

「怒る気満々じゃないですか!とにくそんなことできません!黒ウサギが本気を出したら十六夜さんなんか一溜りも」

 

ズッドォォォォォォォォン!!

 

「へ?」

十六夜は足元にあった石を拾いソレを黒ウサギの顔スレスレに投げつけた。

客席が吹っ飛ぶ威力で………

 

 

 

 

力比べなら負けん!!

 

 

 

本気で行かないと死ぬ!!

 

 

 

 

今の二人の表情から考え着く言葉はこんな所か………

「わかりました。では、どうなっても恨みっこ無しということで」

髪を桜色にした黒ウサギは一瞬で十六夜の背後に回り

「“月の兎”が持つ脚力の真骨頂見せて差し上げます!!!」

回し蹴りを十六夜に放った。

そして、黒ウサギの蹴りにより十六夜は吹っ飛んだ。

「十六夜君が吹っ飛んだ!?」

「黒ウサギってあんなに強かったの!?」

確かにあの蹴りの威力は凄いな。

「おい、白夜叉!どういうことだ!?直に蹴られてもスカートの中見えねーぞ!」

こんな時でも十六夜は変なことばっか考えるよな。

「それに関しては再三言うておろう。そういう風に作られた衣装なのだ。よいか…見えてしまえば下品な下着達も見えなければ芸術だ!!!!!!」

「もう黙っててください!この駄神様!」

なんか、白夜叉も何言ってんだか…………

「それより、今の一撃いかがでしたか十六夜さん」

「中々効いたぜ…良い眠気覚ましだ」

「YES!黒ウサギも久々に全力を出せて気分爽快です。でも、次の一撃でもう決めちゃいますけどね!」

あれ?アイツ、俺らが三勝しないといけないってこと忘れてんじゃね?

「望むところだ!」

十六夜の拳と黒ウサギの渾身の蹴りがぶつかり闘技場の中心では小規模の爆発が起きた。

「初っ端から凄過ぎるでしょう!」

「もはや、最終戦並の戦いだな」

「それより、どうなったの?」

煙が晴れて見てみると十六夜と黒ウサギの二人はリングアウトしていた。

「両者、リングアウト…この勝負引き分けどす!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「みなざま本当に申し訳ありまぜんでじた」

黒ウサギは涙を流しながら謝って来た。

耀と飛鳥は気にしてないみたいだが十六夜と白夜叉は隅で何かを話している。

「やっぱりあのお二人は怒ってるんでしょうか?」

「何着せてやるか考えてるだけだと思うけど」

耀が何処か遠くを見るように言う。

「よう、黒ウサギ。たんと暴れてストレス発散は出来たか?」

「え?あっ………YES!本気を出してからなんだかとても楽しかったのですよ!………………あれ?もしかして黒ウサギは後半自分の意志で動いてました!?」

「今頃気付いたか」

十六夜がうわ!コイツマジ無いわーっと言った顔をする。

「でも、確かに最初は体の自由が効かなくなっていてですね!?」

「いや、黒ウサギよ。おそらくおんしは操られたりなどされてはおらんよ。あの団長とやら戦闘前、黒ウサギに『こちらのトップバッター』『戦ってもらう』『契約した』と言っておった。その三つの言葉を聞いたおんしは『もしかしたら操られてしまうのではないか』という不安を少なからず抱いたはずじゃ」

「確かに、可能性の一つとして予想はしてましたけど」

「その僅かな思考が『自分は敵に操られて戦わされてる』と言う自己暗示をかけてしもうたのだ」

「つまり、単なる黒ウサギの思い込みってことか?」

「あくまで仮説だ。だが、そんな馬鹿げた話を可能にさせる何らかのギフトが働いたとみて間違いない」

「深層心理をつくギフトか。少し厄介だな」

白夜叉の仮説に俺達は納得する。

「なるほど…じゃあ、十六夜さんは黒ウサギの思い込みを紛らわせる為にあんな危険な挑発をして」

「いや単に面白そうだったから…」

流石、十六夜。

黒ウサギの期待をいつも悪い意味で裏切る。

憧れるぜ………

「……………また、ストレス溜めさせないでください。このおバカ様ぁぁぁ!」

こんな感じで騒いでいると闘技場に一本の剣が突き刺さる。

「いつまで、話してる」

今度は猫耳少女が相手か………

「ふむ、早く次の相手を決めろと言いたいのか………よかろう。今度こそ私の出番だな!」

白夜叉は決め顔でそう言い張った。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~おまけ~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「ところで黒ウサギあれって、お前の本気なんだよな?」

「はい!どうですか、修也さん!?黒ウサギは凄いでしょう!?」

黒ウサギはドヤっとした顔で言ってくる。

まじ、殴りたい。

「いや、この前十六夜と模擬戦したんだけどさ」

「え!?いつの間にそんな勝手を!?」

「結果は俺の勝ちだったんだけど、あの時の十六夜、全体の3割しか出してないんだとさ」

「そうなんですか」

「そして、今回の黒ウサギとの勝負。俺の時の半分の半分だってさ」

「へ!?」

黒ウサギは驚きの顔をする。

「それってどういうことかなぁ~?(ニヤニヤとした顔)」

「う、う……」

「黒ウサギが本気を出したら十六夜さんなんか一溜りも………で、その後は何なの?」

「う、ううう……」

「てか、お前が勝ってたら俺達が一敗になってたんだけど、そのこと忘れてたよな?」

「うわ~~~~ん!ごめんなさい!黒ウサギが悪かったですぅぅぅぅぅ!」

泣きながら土下座で謝りだした。

「お嬢様、春日部、今の黒ウサギの姿を一言で言えば何だ?」

「「“箱庭の貴族(笑)”」」

「じゃあ、修也は?」

「「外道」」

「だな」

 




この話のおまけ部分での文句は勘弁してください。
それ以外のこと主に誤字脱字などは感想に書いてくれても構いません。

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