問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ?   作:ほにゃー

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第5話 火力が重要だそうですよ?

「アハハそれしても驚いタな。コンなに早く僕の居場所を突き止メテ来タノは君達がはじめてさ」

「御託は良い。招待状を探してる。何か知ってるな?」

「もちロンだとも!それナラ僕が持っテルからね」

そう言ってチケットのような紙をヒラヒラさせる。

「但しコレを渡すノは僕を倒セタらの話ダよ!」

「その前にお前、耀に何をした?」

「ん?アー、コの子かい?真っ先にココへ来タから少し驚かセテあげたダけだよ。だってホラ、お客様を退屈サセないのが道化師のお仕事だカラ」

 

ズドォンッ!

 

「それだけで十分だ。お前を潰す理由がな」

ギフトカードからハープーンガンを取り出しそのままピエロの顔面に向け撃つ。

打ち出された銛はそのままピエロの顔を半分拭き飛ばし、ピエロはその場に倒れる。

「喋ってる最中に撃ち抜くとは外道だな」

「うるさい。それより、飛鳥、耀の様子は?」

「大丈夫よ。外傷も少ないし気絶してるだけみたい」

「よし、じゃあ、離れた所にでも運んどいてくれ」

「どうして?もうアイツは倒したでしょ?」

「いや流石にそう簡単には行かないみたいだ、お嬢様。アレ見てみろよ」

十六夜が持っていた招待状と思われる髪はドロッという音をだして溶けた。

そして、顔面が半分吹っ飛ばされたピエロは平然と立ち上がっていた。

「なんてマナーの悪いお客サンだ。顔が半分スッ飛んでしまっタよ。アレ?でもこの方が笑いを取レて良いノカな?」

吹っ飛んだ顔の半分はドロドロとした液体のようなもので再生していった。

「い、いやああああ、何なのあれ!?気味が悪いわ!!」

「ふむ、何とも品の無い物体だの」

飛鳥は白夜叉の後ろに隠れ、白夜叉は気味の悪い物を見るかのように見てる。

「おそらく自らの体を違う原子に変質させる類のギフトであろう。液状である限り物理攻撃が効かぬのはやっかいであるが私の力を以てすればあの様な三下如何様にでもなる。

見るがいい、これが太陽と白夜の精霊の力「はいそこまで」

白夜叉が喋っている最中に十六夜が割り込み、拳を白夜叉の頭に叩き込む。

「ちょ、せっかくキメておったのに何をすんじゃあこの小童めがあああ!」

「お前みたいなチートが出たら一瞬で決着付いてつまんねえーだろうが!」

いや、お前も十分にチートだぞ。

「煎餅でもかじって大人しく見てろよ!」

「煎餅も良いが私は大福が好きだぞ!」

「こしあんか!?」

「つぶあんだ!!」

「「論点ズレてるズレてる」」

飛鳥とツッコミが被った。

「とにかくあんな面白生物ほっとけるかよ!ここは俺達に楽しませろ!つーわけでもっと面白い芸を期待するぜ、ピエロさんよ!」

「ウワー責任重大!ガンバッちゃウよー」

「ちなみにそのドロドロしたものは何?血だったりしたらスプラッタどころじゃないのだけれど……」

「やだなぁ、そんな汚イものじゃなヨ。こレは世界をバラ色に染めルモノ。真っ赤なバラ色にネ!」

ピエロは体を一気に液体にし襲い掛かってくる。

液体じゃハープーンガンの効果は薄いか。

ハープーンガンをギフトカードにしまい、対策を考える。

背後から先端をとがらせた液体が襲いかかてくる。

手を横に振り液体を払いのける。

「ちっ、どうする、このままじゃ埒があかない」

「おまけに広範囲に広がるから攻撃が四方八方から来る」

「やはり私の出番…か?」

こちらをちらっちらっと見てくる白夜叉。

「参加したくてたまらないのね…」

白夜叉はほっといてなにか解決策を考えないとな。

口に手を当て考える。

ん?なんだこの匂い?

それに手がべたべたする。

あれ、この匂いどっかで…………あ!

「十六夜!」

「ああ、分かってる!お前はアレを探してこい」

「任せろ!」

十六夜言われてあるモノを探し行く。

探し物はすぐに見つかり一本拝借する。

でも、これだけで足りるか?

「修也」

声に振り返るとそこには耀がいた。

「耀!無事だったのか!」

「うん。それより、それって」

「ああ、折角だ。もう一本頼む」

「うん」

耀と共に例のものを抱え十六夜の元に戻る。

戻るとちょうど十六夜が地面に大穴を開けて液体となったピエロを溜めたところだった。

液体だがらあれだけの深い穴は逃げにくいはずだ。

「やはりこの独特な匂い…お前の正体、絵具だろ。それも直射日光なんかの条件が揃えば自然発火する油絵具だ」

「そ…そレがわかっタカラってどうするっテんだ!?」

「燃やす」

「お前、火なんテ持ってナ」

「あるよ」

「ここにな」

俺と耀が持っているのはそこら辺の道にあった街頭ランプ。

そして、それを構えそのまま叩き付ける。

「さ…させルかぁああ!」

ピエロは力を振り絞り襲い掛かってくる。

『動くな!!』

しかし、飛鳥のギフトでその体は動かなくなりそのまま二本の街頭ランプはピエロ(液状)に突き刺さって燃える。

「ギャあああああああああっ!!」

一本でも十分な火力なのにそれが二本もあるお陰で盛大に燃える。

やっぱ火力は重要だよな。

「やっつけた?」

「てか、春日部さん!貴女気絶してたんじゃなかったの!?」

「ううん。死んだふりだよ。外敵から身を守る為にやる擬死ってやつ。二ホンアナグマさんに教わった」

「いろんなお友達がいるのね」

二ホンアナグマから擬死教わるって何を教えてもらってんだ。

「助かったぜ二人とも。春日部もアイツの正体に気付いてたんだな」

「うん、でも一人じゃどうしようもなかったからずっと機を待ってたの」

「まったく絵具でできた人間だなんて…箱庭はなんでもありね。もうあんなグロテスクなのごめんだわ」

「ホラー映画みたいだったねぇ」

耀と飛鳥が話してる中十六夜は何かを考えていた。

「十六夜、何を考えてる?」

「ん?ああ、絵具とサーカスで何が関係あるのかって思ってよ」

そんなの偶然あのピエロがそういうギフトを持ってたってだけじゃないのか?

「はっ、大変!」

「どうしたの!?」

急に耀が声を上げる。

「招待状まだ貰ってないのに道化師さん燃えちゃったよ」

あ、そう言えば。

もしかして、これまずい?

「その心配には及ばぬ。奴は絵具としての役割もきちんと果たしておる。おそらくこれこそが本物の招待状なのだろう」

地面には絵具で書かれた魔法陣があった。

これが招待状か。

「この魔法陣に乗れば奴等の本拠に飛ぶと見て良いだろうな」

「だったらモタついてねーでさっさと行こうぜ!」

「そうね…きっとこの先に黒ウサギがいる。早く行ってあげましょう!」

そして、全員で魔法陣の上に乗る。

すると光に包まれ目を開けるとそこはサーカスの天幕の中だった。

会場はもの凄い熱気に包まれていた。

「なんなのここ…本当にあの天幕の中!?」

「昼間と雰囲気が違うね」

「ええ…でも、契約書類には確か『闘技場』って」

疑問を感じていると後ろから声がした。

「おやおや皆さん。お揃いでどうされたのですか!?もしかして!黒ウサギの玉乗り芸を見に来てくださったのですね!」

そこには滅茶苦茶良い笑顔の黒ウサギがいた。

そんな黒ウサギを見て白夜叉はうーむといった顔で目を細めていた。

俺はと言うと頭の中で一つのことを浮かべていた。

多分、後の三人も同じだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            ((((この笑顔…殴りたい))))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まぁ、取りあえずだ。………揉みたかったぞ!黒ウサギ!」

「ひゃあああああ!?」

「もう貴女は引っ込んでなさい!」

黒ウサギに突っ込み胸を堪能する白夜叉に飛鳥は怒鳴る。

「まったく、私達に心配掛けといて一体何をしていたのかしら!順を追って説明してくださる!?」

飛鳥はご立腹のようで腕を組みながら黒ウサギを睨む。

「す、すみません…アルバイトをしておりました」

「アルバイト?」

黒ウサギが言うにはあのサーカスの後、団長から玉乗りショーに出てみないかと言われたそうだ。

黒ウサギも興味がありどうしてもというから引き受けたとのことだ。

団員がそのことを俺達に伝えるとのことだったそうだが、何も聞いていない。

むしろ、シラを切られた。

「まぁ、無事だったんだしひとまず良しとするわ」

「早く帰ろ」

「何だかお騒がせして申し訳ありませんでした」

帰ろうとしたその時、

「おい!お前ら下がれ!」

十六夜が叫ぶので振り向くと黒ウサギ達を目掛け数本の剣が飛んできた。

「チッ!」

すぐさま間に入り、槍をカードから取り出して剣を弾き飛ばす。

「あきまへんなあ、お客様」

現れたのは団長だった。

「まだ、ギフトゲームは終わっとらんどす。このゲームは円形闘技場で五回試合での三勝以上…クリア条件にもそうあったはず」

「え!?いつの間にそんなことになってたのですか!?」

「みすみす返す訳にもいきまへんなあ。もう一遍サーカス仕込みの剣撃を食らいたいなら話は別ですけども…」

確かにそう書いてあったな。

てことは三回勝たないといけないのか。

面倒くさいな。

「他のお客様もそろそろ退屈してはるやろし、はよそちらのトップバッター決めてくれますか?ちなみにこっちのトップバッターは…」

少しの間をあけ団長は黒ウサギに手を向ける。

「この黒ウサギさんどす!」

「え?」

うん、これはおもしろい展開になったな。


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