問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ?   作:ほにゃー

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申し遅れましたが、この話はアニメ未放送の話です。
ネタバレな部分があるのでそれでもよいという方はどうぞ。
そして、既に見てしまいこの話を見ていなかったという方、まことに申し訳ありません。
深くお詫び申し上げます。
2013 9/5 


OVA ~温泉漫遊記~ 前編

「なぁ、十六夜。俺達がこれから向かうコミュニティってどんな名前だ?」

「そういや、その辺の事白夜叉から聞いてくるの忘れた」

いや、忘れるなよ。

現在、俺達は白夜叉の招待でとあるコミュニティの祭典に向かっている。

歩くのが正直だるい。

空飛んでいった方が早い気が……………

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

上から悲鳴が聞こえ、全員立ち止り空を見上げる。

すると、空から女の子が落ちてきた。

その女の子を十六夜が受け止める。

というより、偶然十六夜の真上に落ちてきてそれを偶然受け止めたって感じか。

「これはまた珍妙な場所で珍妙なものと遭遇したな」

十六夜はおもしろいものを見つけたと言わんばかりの笑みを浮かべる。

「えっと、こういう時はどういう顔をすればいいの?」

「昔読んだ古典では『親方!空から女の子が!』って返すそうだけど」

それラピ〇タだよ。

てか、耀の時代でジ〇リは古典なのかよ?

「それはきっと違うわ、春日部さん」

飛鳥もなんとなく違うと察したらしい。

「もしかして、この子が白夜叉の言ってたコミュニティの子?」

「白夜叉様のことをご存じなのですか?」

女の子はどうやら白夜叉と面識があるようだ。

てか、なんで上から落ちてきた?

その時背後から複数の足音が聞こえた。

「見つけたぞ!こっちだ!」

がらの悪そうな男十人が刀を手に現れた。

「なんだ?お前ら」

「ふん、名を聞くのであればまずは、己がなのるのが礼儀であろう?」

刀を抜きやらしそうな笑みを浮かべる。

まぁ、言ってることは正しいな。

「俺達は“ノーネーム”所属の者だ。で、お前たちは?」

「“ノーネーム”?」

俺達が“ノーネーム”だと分かると男だもは笑い出す。

名無しだがらって舐めやがって。

「名乗る名も無い身分だったか」

「にも関わらず、それを隠すこともしないとはな。誇りも恥もないらしい」

「アイツらに追われてるってことでいいのか?」

そんな男どもに目もくれず十六夜は女の子に事情を確認してる。

十六夜のセリフに女の子は首を振って答える。

「そう、なら大義名分はそろっているわね」

飛鳥が前に進み出て男どもを見据える。

「少女一人を大勢で追い回す者が恥を語るなど笑止千万。我々“ノーネーム”は義のために立ちます。行くわよ。ディーン!」

ギフトカードを取り出しディーンを召喚する。

「DEEEEeeeeEEEEN!」

「大型の自動人形だと!?」

「バカな!?名無し風情がどこでこんなギフトを!?」

「やりなさい!」

「DEEEEEEEEeeeeeeeeeeeeeEEEEEEEEN!!」

飛鳥の命令に従いディーンは拳を振り上げ男どもにぶつける。

「護衛を相手にするな!スクナビコナの眷属を奪って逃げるぞ!」

「スクナビコナだと?」

男どもは刀を振りかざし襲い掛かる。

しかし、間に耀が入りグリフォンのギフトで旋風をお越し吹き飛ばす。

吹き飛ばされた男どものリーダー格であろう男に耀と飛鳥はゆっくりと近づく。

男はさっきと変わり滅茶苦茶怯えまくってる。

「待てよ。春日部、お嬢様」

耀と飛鳥を制し、十六夜が近づく。

「悪かったな。名乗りを聞く前にうちのお嬢様が手を出しちまってな」

「え、あ、いや、その…………」

尻込みする男を余所に十六夜は地面から刀を抜き男の前に立つ。

「だが、お行儀よく名乗った俺達にあの態度はないだろ。危うく俺もあんた達をこうしちまうとこだったよ」

そう言って刀の柄を右手で持ち左手で刃の先を押さえそのまま押し込み刃をグニャグニャに押しつぶした。

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」

男は涙目で鼻水を垂らしながら悲鳴を上げる。

「なぁ、おっさん、大人しく捕まるか、こうなるかどっちがいい?」

十六夜は黒い笑みを浮かべながら男に聞く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助けていただきありがとうございました。私は八百万の大神の分家筋あたるコミュニティ“スクナビコナ”の同士一二三と申します。白夜叉様の命により皆様をお迎えに参りました」

一二三を襲おうとしていた男どもを縄で繫ぎながらコミュニティまで一二三の案内で今は向かっている。

男どもは暴れたりしないように俺が死なないラインのギリギリまで血を吸っといた。

「スクナビコナねぇ。神道系の神様で海より来る皇国の神だな」

相変わらず豊富な知識だな。

「はい。他にも様々な加護を授かったお方で、私たちはその眷属として水源の開拓を主に活動しています」

「へぇ~、じゃあ今回も水源の開拓を?」

「はい。ですが、スクナビコナ様は悪童神としても有名なお方で水源を見つけるには定期的に奉納祭と称したゲームを開催する必要があるのです」

「なるほど、それで、奉納祭の盛り上げ役として私たちを呼んだのね」

一二三のセリフに飛鳥は納得したように言う。

「じゃあ、この人たちは?」

「おそらく」

「奴隷売買とかその辺のコミュニティだろう」

「は、はい。でもどうしてそれを?」

「水源の開拓ってことはそれ以外にも水源を見つける恩恵を持ってると推測できる。箱庭では水は貴重な資源だって聞いたしそうなれば水源を見つける恩恵ってのはどこでも欲しがるだろ。だがら、そうかなって思ったんだよ」

「す、すごいです。それだけの情報でこんなに分かるなんて」

一二三は俺を褒めながら見てくる。

そんなに大したことではないのだが…………

「あ、こちらです」

着いたいた場所は石で造られた道に昔の日本のような建物が並ぶ街だった。

一二三の案内で先に向かった黒ウサギとレティシア、リリと合流した。

「もう、皆さん!遅いのですよ!」

黒ウサギは既にお冠だった。

「悪い悪い。ちょっと寄り道をな」

「なんにせよ無事辿り着けてよかった」

今日のレティシアはメイド服ではなく私服だった。

今日はギフトゲームに参加するし流石にメイド服は動きづらいよな。

「一二三ちゃん!久しぶり!」

「リリ様!よくぞ来られました!」

リリは一二三に走りながら駆け寄り抱きしめた。

「二人は知り合いなの?」

「はい、お母様が神道系の神格者だったので奉納用に使うお水は神気を帯びていなければとこちらのコミュニティでお世話になっておりました」

へ~、リリの母親は神格を持っていたんだな。

それは、驚きだな。

元魔王に神格者、さらに倉庫の大量の武具に様々なギフト。

予想以上に“ノーネーム”は凄かったんだな。

「それでは、皆様。白夜叉様がお待ちです。ゲームの舞台に急ぐのですよ」

黒ウサギに言われゲームの舞台まで移動する。

街の中に入ると街の日とは浴衣で、逆さクラゲのマークがあっちこっちにある。

「もしかして、水源って温泉の事?」

「はい。もちろん生活用水としても可能ですしお神酒造りにも用いられております」

本当に凄いな。

生活用水にも使えるなんて。

「天然の温泉か~。もし、ゲームに勝ったら入らせてくれるかな?」

「もちろん。湯殿の用意はもちろんのことこちらの旅館で宴席を開く用意があります!」

「「わかった。ゲームをクリアする!」」

耀と飛鳥は高らかに答えた。

女は風呂が好きだよね。

「さぁ、皆さん。ゲーム会場はあちらです」

一二三に案内され着いた場所は中心にでっかい火柱と杭が大量に打ち込まれた広場だった。

近くには物見があり、その周りには他のコミュニティがいた。

「盛況だな」

「呼ばれたのは私達だけではなかったのね」

「うん」

「まぁ、なんとなくわかってたがな」

「お~い、お前」

急に声が聞こえ振り返ると、白い髪にツインテールでゴスロリをきた少女とカボチャがいた。

「ヤホホホホホ。お久しぶりです」

「ジャック、アーシャ」

確か、“アンダーウットの迷路”の時の耀の対戦相手だっけ?

てか、このカボチャ

「ジャックか?」

「はい。あの時のお祭り以来ですね」*番外編参照

「あんたのとこのブレスレット気にいってくれたぜ」

「それはよかったですね」

「十六夜君!あの時のジャック・オー・ランタンよ!ほらほら!」

「わかったわかった」

飛鳥はえらいはしゃぎようだな。

そんなにカボチャが好きか?

「皆、よく集まってくれた」

物見から白夜叉が集まったコミュニティに呼びかけた。

「それでは第二百二十三万四千四百六十四回ギフトゲーム“スクナビコナの渡し舟”の開催じゃ」

そう言って物見から契約書類をばらまいた。

「勝利条件 開封の杭を引き抜きスクナビコナの輝く運河の中心に炎を打ち付けよ」

「どういうこと?」

「つまり、水源を塞ぐ杭を抜けということではないでしょうか?」

「そんな簡単でいいの?」

確かに簡単すぎる。

しかし、このの輝く運河の中心に炎を打ち付けよってのはどういうことだ?

「謎解きもそうだが、もう一つ。杭を抜くにはある条件をクリアしてもらうことになっておる。これより、リトルゲーム温泉街の各地で開催する。一つクリアすることに一本杭を抜くことが許されるというわけじゃ」

「なるほど。つまり、それをクリアしなければ話にならないのですね」

「だったら、早い者勝ち!お先!」

アーシャはジャックに乗り温泉街を目指した。

他のコミュニティも我先にと温泉街を目指した。

「私達も」

「ええ」

「ああ」

俺達もすぐに温泉街を目指した。

「皆さん!頑張ってくださーい!」

「さて、誰が正解にたどり着くかの。スクナビコナよ」

 


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