問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ?   作:ほにゃー

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時間的にペルセウス戦の後になります。


番外編 修也と耀がデートするそうですよ?

「じゃ、出かけてくる」

「行ってきます」

“ペルセウス”との戦いから数日後、俺は耀と共に出かけようとしている。

「はい、今日は休暇です。存分に箱庭を堪能してきてください」

見送りに来た黒ウサギがそう言う。

今日は耀への埋め合わせするべく二人で出かけることにした。

*『第6話ギフトネームが分かるそうですよ?』と『第10話ギフトゲームが終了するそうですよ?』参照

今回の埋め合わせはの費用は全て俺持ちで耀の言うことはなるべく従うようにする。

そう言う風になっている。

取りあえず、最初に“六本傷”のカフェにきた。

「さって、耀、今日はどうしたい?」

「全部、修也に任せる」

困ったな。

任せる、なんでもいい、こういうのが一番困る。

もし、本人の好みに合わなかったら文句を言われる。

「う~ん」

「あれ?どうかしましたか?お客さん」

いつもの猫耳店員さん。

本名はキャロロと言うそうだ。

「いや、今日一日の行動を決めるように言われてどうしようかと思ってたんだ」

「それでしたら、いいところがありますよ」

キャロロさんは店の奥に行き一枚のチラシを持ってきた。

「どうぞ」

「『“六本傷”主催 コミュニティ合同祭り』」

「はい、うちは商業コミュニティですから、定期的にこうやって複数の商業コミュニティと合同でイベントを行ってパイプを造ったりするんです。今回は祭りということでギフトゲーム以外にも出店などありますし、どうでしょう?」

祭りか、出店とかもあるなら耀も楽しめるだろうしいいか。

「ありがと。早速行ってみるわ」

「はい」

「耀、行こう」

「うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へ~、これはすごいな」

意外にも祭りの会場は規模がでかくとても楽しめそうなものが多かった。

「修也、早くいこ」

「わかったから引っ張るな」

最初に耀と訪れた出店は焼きそば屋台だ。

まぁ、なんとなく予想は出来てたけど。

「おい、兄ちゃん。俺とゲームをしようぜ」

「ゲーム?」

「ルールは簡単俺とじゃんけんをする。勝てば焼きそばは無料。負けたらもう一個買ってもらうぞ」

なんか、こういうの昔あったっけな。

「いいぜ。その勝負受けて立つ」

「ノリがいいな、兄ちゃん、そんじゃ、三回勝負な」

一回戦 俺 グー おっちゃん チョキ

二回戦 俺 パー おっちゃん チョキ

「いよいよ最後だぜ」

「これで終わりだ」

「「じゃんけん!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「焼きそばおいしい」

「気に入ってくれてよかったよ」

結果 俺の負け

恥ずかしい。

大見えきっときながら負けるとかない。

お陰で焼きそばを三つも買う破目になった。

「じゃ、次行こう」

焼きそば二パックを五分で食べるとかないだろ。

その後、たこ焼き、イカ焼き、綿あめ、りんご飴など祭りの定番メニューを順に制覇していき気がつくとすべての店の食べ物を制覇していた。

途中で凄い服装な女を見つけて耀に思いっきしぶん殴られたが…………

「おいしかった」

「それはよかった」

そろそろ帰った方がいいかもしれんな。

「耀、そろそろ帰ろう」

「修也、覚えてる」

「…………何を?」

「私に二回分埋め合わせしないといけないこと」

あ~、そういや、そんな話になってたっけ。

ていうか、アレは十六夜が勝手にやったことで俺が耀に何かしたわけじゃないんだが……

「わかった。ちょっと待ってろ」

耀を近くのベンチに座らせ埋め合わせになりそうなものを探しに行く。

露天商が立ち並ぶエリアまで来たがなにがいいやら………

ん?“ウィル・オ・ウィスプ”金銀装飾品店。

ここで、探すか。

「ヤホホホホホ!いらっしゃいませ!」

陽気なカボチャが店番をしていた。

「あ~、女の子へのプレゼントを選びたいんだが何かいいものはないか?」

「おや?彼女さんへのプレゼントですか?」

「残念なことに違うんだな」

これは失礼と自分の頭を叩きヤホホホと笑うカボチャさんだった。

「そーですね。女性なら指輪やネックレスがよろしいかと?」

ネックレスか。

木彫りのペンダントがあるし、首に付けると邪魔になりそうだな。

指輪も戦うときに拳を使ったりするだろうから指輪も無いな。

お、これとかいいんじゃないか?

「おお!御目が高い!それは我がコミュニティでも一押しの賞品でして錆びないし、ちょっとやそっとの衝撃では壊れたり形を変えたりしないブレスレットなんですよ。ですが、特殊な金属で作ってあるのでお値段がお高いのですが…………」

「いや、これでいい。こいつをくれ。いくらだ?」

「金貨五枚です」

「五!?」

財布の中を見ると金貨四枚と銀貨七枚、銅貨二枚しかなかった。

「金貨四枚にまけてくれないか?」

「そう言われましても、っこれでも結構値段を落とした方なのですが………」

コートの内側とかを探してみたりするが、金貨は出てこない。

コートを探っているうちに内ポケットに入れといたギフトカードが落ちてしまった。

「おっと、ギフトカードが落ちましたよ」

「ああ、すまない」

カボチャが俺のギフトカードを拾い、俺のギフトネームを見るなり一瞬体がビクッとなっていた。

「ところで、貴方のお名前は?」

「月三波・クルーエ・修也だが?」

「そうですか……………わかりました。金貨四枚に値下げしましょう」

「え?いいのか?」

「はい」

「でも、なんで?」

「いえいえ、単なる気まぐれですよ。御節介カボチャのね♪」

「ありがとな。そうだ。アンタの名前は?」

「私はジャック・オー・ランタン。ジャックと呼んでください♪」

「ああ、じゃあな。ジャック」

ジャックに手を振り俺は耀の所に戻っていった。

「……………そっくりだと思ったら貴方様の御子息でしたか。本当によく似ておられる」

 

 

 

 

 

 

 

 

耀のところまで戻ると耀は眠っていた。

はしゃぎ過ぎて寝ちまったのか。

「仕方がないな」

そう呟き俺は耀をおんぶしてコミュニティまで戻った。

 

修也SIDE END

 

 

 

 

耀SIDE

なんだろ?

とっても心地いい。

懐かしい感じがする。

これは、昔父さんにおんぶしてもらった時と同じ感じだ。

でも、父さんはいない。

一体誰が?

目をゆっくり開けると目の前が銀色で覆われていた。

何か分からなかったので噛みついてみた。

「耀、人の髪に噛みつくな」

「ふぇ?」

私が噛みついたものは髪で、その髪は修也のだった。

「ご、ごめん」

「いや、いいよ」

寝ぼけて何変なことしたんだろ…………

恥ずかしい………

あれ?よくよく考えたら私、今、修也におんぶされてる。

………………………!?

「耀どうした?」

「ベツニ、ナンデモナイヨ」

「思いっきし片言だぞ?」

しまった、あまりのことに頭がおかしくなってる。

「そうだ、耀。これ」

修也が紙袋に入った何かを渡してきた。

「これは?」

「開けてみな」

袋を開けてみると中身は銀色のブレスレットがあった。

「そんなものしか思いつかなくてな。…………気に入ったか?」

「うん。とても」

ブレスレットを右手に付け眺める。

うん、とてもいい。

「ありがと」

「いいよ、気にしなくて」

そう言って夕日の中私は修也におぶさりながらコミュニティに帰った。

その様子を十六夜と飛鳥に見られていたらしくしばらくの間ニヤニヤされたけど…………

 


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