問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ? 作:ほにゃー
「駄目だ。全然わかんない」
私は今自分にあてられた部屋にいる。
黒ウサギにお願いしハーメルンに関する書物を持ってきて貰ったけどどれも十六夜に教えてもらったことと同じことしか書いてなくあまり意味が無かった。
もう明日の夕方にはゲームは再開される。
十六夜に聞いたところ十六夜の方は大まかには分かっているが核心にはいたってないと言っていた。
「此処までは分かっているのに…………」
一枚の紙を手に取り内容を見る。
ラッテン=ドイツ語でネズミの意。ネズミと人心を操る悪魔の具現。
ヴェーザー=地災や河の氾濫、地盤の陥没などから生まれた悪魔の具現。
シュトルム=ドイツ語で嵐の意。暴風雨などによる悪魔の具現。
ペスト=斑模様の道化が黒死病の伝染元であったネズミを操ったことから推測。黒死病による具現。
・偽りの伝承・真実の伝承が指す物とは、一二八四年六月二十六日のハーメルンで起きた事実を右記の悪魔から選択するものと考察される
本当に此処まで分かっていながら結局どうすればいいのか分からない。
「はぁ~、どうしたらいいんだろ……」
椅子にもたれかかり天井を見る。
黒死病を発症した人も次々と増え、士気も下がり気味。
これじゃあ、勝てない。
…………諦めたらだめだ。
もう一度見落としが無いか本を手に取る。
「あれ?」
その時ハーメルンに関する書物の中に一冊だけ別の本が混じっていた。
「『黒死病について』?」
黒ウサギが間違えて持ってきたのかな?
折角だし読んでみよう。
取りあえず黒死病の歴史の部分のページを開く。
「へ~、黒死病の歴史ってこんなに長いんだ」
ペストって十四世紀の寒冷期にヨーロッパで大流行した人類史上最悪の疫病なんだ。
ペストが人類史上最悪の疫病だと言うことは知ってたけど十四世紀の寒冷期に大流行したのは知らなかったな。
………………ん?十四世紀?
確かハーメルンの碑文が一二八四年、黒死病の最盛期は十四世紀。
「時代が合わない………」
てことはペストは偽りの伝承……
あっ、黒死病が大流行した寒冷の原因は…………太陽が氷河期に入って世界そのものが寒冷に見舞われたと推測したら。
「もしかして、これが白夜叉を封印したルールの正体?」
太陽の氷河期―――――すなわち太陽の力が弱まっていたとされる年代記にそったルールだとしたら白夜叉の封印に納得がいく。
そのことに気付くと私は十六夜の部屋に向かった。
「十六夜!」
「おい、春日部。他人の部屋に入るときはノックしろ。後、声がでかい」
十六夜はハーメルンに関する本を椅子に座りながら読んでいた。
「十六夜。白夜叉の封印のルールの正体が分かったかもしれない」
「!?………それは本当か?」
「あくまで推測だけど可能性としては一番高い」
「聞かせろ」
私は十六夜に自分の推測を話した。
黒死病の流行の年とハーメルンの碑文に掛かれた年が合わないこと。
流行の原因が世界が寒冷期に入ったということ。
そして、その寒冷の原因が太陽が氷河期に入ったということ。
その話をすると十六夜は何かに気付いた顔をした。
「その推測が正しいとすると……………」
十六夜は私以上に高く積み上げた本の中から数冊本を抜き取り何かを調べた。
「そうか、そう言うことか!」
獰猛な笑みを浮かべて十六夜は叫ぶ。
「なら、連中は一二八四年のハーメルンじゃなく……ああクソッ!完全に騙されたぜ“黒死斑の魔王”!お前たちは童話上の“ハーメルンの笛吹き”ではあっても本物の“ハーメルンの笛吹き”じゃなかったってことか………!?」
勢いよく立ち上がり私の方に十六夜は顔を向く。
「ナイスだ春日部!お陰で謎が全て解けた!」
「本当!?」
「ああ、これならいけるぜ!」
そう言って十六夜は部屋を飛び出した。
恐らくジン君か黒ウサギの所だろう。
そう考えながら、行方が分からない二人のことを気にかけた。
飛鳥…………無事だといいんだけど
次に、右手のブレスレットを見つめる。
修也…………
父さんから貰ったペンダントを握りしめ部屋を出る。
この前は修也と飛鳥に守られた。
ガルドの時も私は二人に助けられた。
だがら、今度は私が二人を助けるんだ。
そう固く誓った。
耀は黒死病に感染していません。
理由もあります。
それは最後の方で明かそうかと考えています。
もしかしたら明かさないかもしれません。
耀が謎解きを普通にしました。
少しやりすぎましたかね?