問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ?   作:ほにゃー

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第7話 魔王の登場だそうですよ?

『長らくお待たせいたしました!火龍誕生祭のメインギフトゲーム・“創造主の決闘”の決勝を始めたいと思います!進行及び審判は“サウザンドアイズ”の専属ジャッジでお馴染み、黒ウサギがお勤めさせていただきます♪』

「うおおおおおおおおおおお月の兎が本当にきたあああああああああああああ!!」

「黒ウサギいいいいいいいい!お前に会うために此処まで来たぞおおおおおお!!」

「今日こそスカートの中を見てみせるぞおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

うん、カオスだね。

なんかこんな光景を昔、テレビで見た気がする。

黒ウサギも笑顔でいるけど自慢のウサ耳はへにょらせてる。

「………………………………………随分と人気なのね」

飛鳥は生ごみを見るような目で観衆の男どもを見ている。

「ところで、十六夜。昨日の夜何があった?お前の顔面に風呂桶を当てられてからの記憶がすっぽりと抜けているんだ。おまけに耀には汚物を見るような目で見られるし、三毛猫からは「デリカシーが無いわ!」と怒られる始末だ。俺、耀に何かしたか?」

「ああ、一言で言いや、修也は女にとって触れてはいけないことに触れた。それだけだ」

……………後で謝っとこ。

「それよりも白夜叉、黒ウサギのミニスカートを見えそうで見えないスカートにしたのはどういう了見だ。チラリズムなんて古すぎるだろ。昨夜語り合ったお前の芸術に対する探究心はその程度のものなのか?」

お前ら、何語ってんだよ?

飛鳥も馬鹿じゃないの・といった感じで十六夜と白夜叉を見ている。

「フン。おんしも所詮その程度か。それではあそこの有象無象と変わらん。おんしは真意芸術を理解する漢だと思っていたのだがの」

「へぇ、言ってくれるじゃねえか。つまりお前には、スカートの中を見えなくすることに芸術的理由があるというのか?」

「考えてみよ。おんしら人類の最も大きな動力源はなんだ? エロか? なるほど、それもある。だがときにそれを上回るのが想像力! 未知への期待! 知らぬことから知る渇望!! 小僧よ、貴様ほどの漢ならばさぞかし数々の芸術品を見てきたことだろう! その中にも未知という名の神秘があったはず! 例えばそう! モナリザの美女の謎に宿る神秘性! ミロのヴィーナスに宿る神秘性! 星々の海の果てに垣間見えるその神秘性! そして乙女のスカートに宿る神秘性!! それらの神秘に宿る圧倒的な探究心は、同時に至ることの出来ない苦汁! その苦渋はやがて己の裡においてより昇華されるッ!! かつて、このことについて我が旧友・クルーエとも語り合った。熱くなり過ぎて三日三晩戦ったこともある。そして、私たちは気づいた!何者にも勝る芸術とは即ち――――己が宇宙の中にあるッ!!」

白夜叉…………何を大真面目に語ってやがる。

てか、親父何を語っているんだよ。

くだらないことで白夜叉と争うなよorz

「なッ……己が宇宙の中に、だと……!?」

十六夜もなに自分の知らない世界の真理を知ったような表情してんだよ。

「クルーエの押す旧スク水の水抜きの時に見えるへそでも無く、私が押すブルマから見える下着でも無い!真の芸術とは内的宇宙に存在する!乙女のスカートの中身も同じなのだ!見えてしまえば下品な下着も―――――――見えなければ芸術だ!」

もう……やめて……これ以上親父の恥ずかしい過去何て知りたくないorz

「この双眼鏡で、今こそ世界の真実を確かめるがいい。若き勇者よ。私はお前がロマンに到達できる者だと信じておる。そして、ともに信じよう。奇跡が起きる瞬間を」

「白夜叉…」

そして、十六夜と白夜叉の二人は双眼鏡で黒ウサギのスカート追い始めた。

「白夜叉様……?何か悪い物でも食べたのですか……?」

「見るな、サンドラ。馬鹿がうつる」

確か、マンドラさんだっけ?

あんたのその判断正しいよ。

 

 

 

 

 

 

とうとう、“創造主の決闘”の決勝が始まった。

ギフトゲームは“アンダーウッドの迷路”という奴で相手より先に迷路から抜け出せばクリアと単純なものだった。

最初の方は耀が風の流れを読み、出口まで進んでいたが“ウィル・オ・ウィスプ”所属のアーシャという娘の補佐についていたジャックが不死のギフトを持っており、そのジャックが耀の足止めとなった。

耀は勝てないと判断し、ゲームを降参した。

修也SIDE END

 

 

 

耀SIDE

 

『勝者、アーシャ=イグニファトゥス!』

負けちゃった。

ジンたちに大丈夫って言っておきながら負けちゃった。

情けないな。

「一つお聞きしても?」

先程戦っていたジャックがやって来て私に声を掛けてきた。

「………何?」

「今回のゲームは一人まで補佐が許されています。同士に手を借りようと思わなかったのですか?」

「……………………」

「余計な御節介かもしれませんが貴方の瞳は少々者寂しい。コミュニティで生活していくうえで誰かを頼るシチュエーションというものは多く発生するものです」

それはわかっている。

動物しか友達はいなかったけどそれでも集団で生活していくうえでそんなことがあるのは分かってはいる。

「でも、私にはどうやって頼っていいのか分からない。頼り方を知らないから………」

「簡単ですよ。貴方が信頼できる人の元に行き一言言うのです。『手伝ってください』と」

「信頼…できる人…」

飛鳥や十六夜、黒ウサギにレティシアとジン君私にとっては信頼できる人だ。

もちろん白夜叉もその一人だ。

でも、最初に思い浮べたのは修也だった。

気がつくと右手に着けてるブレスレットを撫でていた。

「おや?ちょっとそのブレスレット拝見してもよろしいですか?」

「?いいよ」

「では、失礼して」

ジャックはしげしげとブレスレットを眺め触りだす。

「これは、“ウィル・オ・ウィスプ”製のブレスレットですね。錆びないしちょっとやそっとの衝撃で壊れたり形を変えたりしない一級品。結構値が張るものですよ」

そうだったんだ。

修也がくれたものだけど値段を聞いてないから知らなかった。

今度、御礼言わないと。

「ここに刻まれたナンバーからすると買ったのはクルーエ・ドラクレア殿の御子息の修也殿ですね」

「!?どうしてそれを?」

「いえいえ、クルーエ殿とは少しばかし縁がありましてね。御子息のことも聞いているのですよ。そうですか、貴方の信頼できるお方は修也殿ですね」

「な!?ち、違う!」

「ヤホホホホ、顔を真っ赤にしていては説得力がありませんよ」

ジャックは軽快に笑いからかってくる。

う~、恥ずかしい。

「おい!オマエ!」

声に振り向くとさっき戦ったアーシャが話しかけてきた。

「名前はなんて言うの?出身外門は?」

「……最初の紹介にあった通りだけど」

「そうかい。なら、私の名前だけでも覚えとけ!六七八九〇〇外門出身アーシャ・イグニファトゥス!次はこそは私が勝つからな!」

そう言ってアーシャは去っていった。

あれ?負けたのは私なのに………

「あの子は同世代の子に負けたことが無い子でしたから。勝っても自分の力で勝ったとは思ってないのでしょう」

「そう……………覚えといて」

「はい?」

「もし、修也がいたら貴方たちが負けていたよ」

「ヤホホホホ!そうですか。肝に銘じましょう」

…………次からは頼ろう。

修也を。

 

耀SIDE END

 

 

 

修也SIDE

 

「負けてしまったわね、春日部さん」

「ま、そういうこともあるさ。気になるなら後で励ましてやれよ」

飛鳥は気落ちして、十六夜は軽快に笑っている。

「シンプルなゲーム盤なのにとても見応えのあるゲームでした。貴方達が恥じることは何も無い」

「うむ。シンプルなゲームはパワーゲームになりがちだが、中々堂に入ったゲームメイクだったぞ。あの娘は単独の戦いより、そちらの才能があるかもしれん」

サンドラと白夜叉は耀の戦い方を称賛している。

本当によくやったな。

後でご褒美になにか奢ってやるか。

そう思い空を仰ぐと何かが降って来た。

何だ?

不審に思い空へと飛びあがり一枚回収し、その場で読む。

 

『ギフトゲーム名:“The PIED PIPER of HAMELIN”

 

・プレイヤー一覧:現時点で三九九九九九九外門・四〇〇〇〇〇〇外門・境界壁の舞台画

         区画に存在する参加者・主催者の全コミュニティ。

・プレイヤー側・ホスト指定ゲームマスター:太陽の運行者・星霊 白夜叉。

・ホストマスター側勝利条件:全プレイヤーの服従・及び殺害。

・プレイヤー側勝利条件:一、ゲームマスターを打倒。

            二、偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ。

 

 宣誓、上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

                       

                        《グリムグリモワール・ハーメルン》印』

これってまさか…………

その時観客席から叫び声が上がった。

「魔王が…………魔王が現れたぞオオオォォォォ―――――!」

魔王の登場かよ………

 




二巻が終わったら番外編として耀と修也のデートの話でも書こうと思います。

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