問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ?   作:ほにゃー

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なんかタイトルが雑になってる気がする。
タイトルって考えるの難しい


第5話 飛鳥がネズミに襲われているそうですよ?

現在俺は“創造主達の決闘”が行われている会場に来ている。

今行われているのは最後の決勝枠を巡る戦いだ。

耀が相手にしてるのは“ロックイーター”というコミュニティに属する自動人形、石垣の巨人だ。

勝負は耀が優勢になっている。

俺は、レティシアたちに付いてきた三毛猫と共に客席にいる。

白夜叉は今、宮殿にあるバルコニーから勝負を見ている。

「これで終わり」

旋風のギフトを操り巨人の背後に回り後頭部を蹴り倒す。

その時に、自分の体重を象に変化させて落下の力を加えて巨人を押しつぶす。

巨人が倒れると観客席から割れるような歓声が響いた。

『お嬢おおおおおお!うおおおおおおお!お嬢おおおおおおお!』

三毛猫は溢れんばかりに大声を上げる。

傍目にはニャーニャーとしか聞こえないが。

耀は三毛猫の声が聞こえたらしくこちらを向いて片手を上げて微笑を浮かべる。

その様子に俺は思わず笑ってしまった。

すると耀は慌てたようにそっぽを向く。

どうしたんだ?

「最後の勝者は“ノーネーム”の春日部耀に決まった。決勝のゲームは明日以降の日取りとなっておる。明日以降のゲームルールに関してはもう一人の“主催者”にして今回の祭典の主賓から説明願おう」

バルコニーにいた白夜叉がそう言って現れたのはジンとそんなに変わらない背の少女だった。

あれが“サラマンドラ”の新しい頭首サンドラか。

「ご紹介に与りました。北のマスター・サンドラ=ドルトレイクです。東と北の共同祭典・火龍誕生祭の日程も、今日で中日を迎えることが出来ました。然したる事故もなく、進行に協力してくださった東のコミュニティと北のコミュニティの皆様にはこの場を持って御礼の言葉を申し上げます。以降のゲームにつきましては御手持ちの招待状をご覧ください」

招待状を取り出し見ると書き記された文字が直線と曲線に分解され、別の文章になった。

『ギフトゲーム名:“創造主達の決闘”

・決勝参加コミュニティ

 ・ゲームマスター・“サラマンドラ”

 ・プレイヤー・“ウィル・オ・ウィスプ”

 ・プレイヤー・“ラッテンフェンガー”

 ・プレイヤー・“ノーネーム”

・決勝ルール

 ・お互いのコミュニティが創造したギフトを比べ合う

 ・ギフトを十全に扱うため、一人まで補佐が許される

 ・ゲームのクリアは登録されたギフト保持者の手で行う

 ・総当たり戦を行い勝ち星が多いコミュニティが優勝

 ・優勝者はゲームマスターと対峙

・授与される恩恵に関して

 ・“階層支配者”の火龍にプレイヤーが希望する恩恵を進言できる。

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、両コミュニティはギフトゲームに参加します

“サウザンドアイズ”印

“サラマンドラ”印』

ルールが書かれた紙をしまい俺は三毛猫と共に席を離れる。

そして、三毛猫と共に耀を迎えに行く。

「耀、お疲れ」

「し、修也」

『お嬢、決勝進出おめでとうや』

「うん、ありがと」

三毛猫を抱きかかえ耀は俺を見る。

「今日は疲れただろ。“サウザンドアイズ”に帰ろ」

「う、うん。白夜叉は?」

「あぁ、さっき、『小僧と黒ウサギが派手にやらかしてくれたらしくての、ちと、会ってくる』っていっていっちまった」

「そっか、じゃあ行こっか」

 

 

 

 

耀と歩きながら“サウザンドアイズ”の店に向かっているがさっきから会話一つしない。

なんか気まずい。

耀はというとこっちを横目で見てきたり、何かを言おうとしては躊躇ったりとしている。

本当になにか話をしないと。

すると

 

 

クゥ―――――――――――

 

 

まるで漫画のようなタイミングで誰かの腹がなった。

そっと隣の耀を見ると動きを止め、顔をこれでもかというぐらいに真っ赤にしてる。

「ハ・・・ハハハハハハ」

なんかおかしくなり思わず笑ってしまった。

笑うと耀は顔を真っ赤にしながら睨みつけてきた。

若干涙目だ。

「し、仕方がないじゃん。ゲームで動きすぎてお腹か・・・・・・」

「分かってるって。少し待ってろ」

耀を近くのベンチに座らせて少し来た道を戻った。

 

 

 

 

「ほらよ」

耀に透明なパックに入ったものを渡した。

「これ・・・・焼きそば?」

「ああ、祭りには焼きそばが定番だろ?」

ちなみに耀が満足できるように一番デカいサイズのパック(麺4玉ぐらい)にしてもらった。

「ありがとう」

「ああ」

お礼をいうと耀は焼きそばを食べ始めた。

急いで食べてるわけではないのだが、徐々に焼きそばは量を減らしていきそして、

僅か3分で山盛りにあった焼きそばは消滅していた。

「ごちそうさま」

手を合わしてごちそうさまを言う耀を見ると口元にソースがついていた。

「耀」

「ん?な・・・!?」

取り出したハンカチで耀の口元を拭うと耀は再度固まりだした。

「よし、綺麗になった。・・・・どうした?顔が真っ赤だが・・・」

「わ」

「わ?」

「私・・・先に・・・帰る」

顔を真っ赤にしながら耀はグリフォンのギフトで空に飛びあがりふらふらと危なげな様子で店に戻った。

「一体どうしたんだ?」

耀の行動に疑問を持ちながら店に戻ろうとすると空にレティシアがいた。

不思議に思い、翼をだして空に上がりレティシアと合流した。

「レティシア、どうした?こんなところで?」

「修也!ちょうどいい、実は飛鳥がどこかに行ってしまってな。探すのを手伝ってもらえないか?」

飛鳥の奴とはぐれたらしい。

あのお嬢様のことだ。

なにか面白そうな展示物がある会場に居そうだな。

「もしかしたら、どこかの展示会場に居るんじゃないか?

飛鳥のヤツ、そう言うの好きだし」

「そうか、となるとあそこが怪しいな」

レティシアの後を付いて行くと洞穴の展示会場についた。

「ここには“ウィル・オ・ウィプス”の展示物がある。飛鳥はあそこのコミュニティの歩くキャンドルに興味があったからな。いるとすればここの可能性が」

「ぎゃあああああああああああああああ」

急に洞窟の中から劈くような悲鳴が聞こえ大勢の参加者達が飛び出してきた。

「おい!中で何があった!」

レティシアが近くの男を捕まえ問い詰めた。

「か、影が・・・真っ黒い影と紅い光の群れが・・・」

「影?」

「そうだ。その影が長い髪の女の子と小さい精霊を追いかけて」

そこまで聞くと俺とレティシアは翼を広げて突き進む。

「・・・・・・・・・っていなさい。落ちてはだめよ!」

飛鳥の声が聞こえ、さらに進むと飛鳥の姿が見えた。

そこにいた飛鳥は帽子を被った小さな精霊を守りながら白銀の剣で何万といるネズミと闘っていた。

「ネズミ風情が、我が同胞に牙を突き立てるとは何事だ!?分際を痴れこの畜生共!!」

頭のリボンを取るとレティシアの姿は急激に変わった。

幼い容姿から急に大人の姿に変わり着ていたメイド服も真紅のレザージャケットに代わり拘束具のような奇形なスカートを履いていた。

レティシアは影を操り大量に居るネズミを切り殺した。

「人の仲間に手を出してんじゃねーよ!」

俺も自分の手を斬り裂き、あたり一帯に血を撒き散らす。

「我が血よ、我が名のもとに従え。ネズミ共を殲滅しろ!」

俺が命ずると撒き散らした血は次々と動き出しネズミを殺し始めた。

「術者は何処にいる!?姿を見せろ!往来の場で強襲した以上、相応の覚悟はできてるのだろう!ならば、我らの御旗の威光、私の牙と爪で刻んでやる!コミュニティの名を晒し、姿を見せて口上を述べよ!」

レティシアの一喝が洞窟に響くが誰一人として返事を返すものはいなかった。

どうやら、逃げたらしい。

「貴女、レティシアなの?」

「ああ」

飛鳥の質問にレティシアは普通の口調で答える。

「こんなに凄かったのね」

「あ、あのな主殿。褒められるのは嬉しいがその反応は流石に失礼だぞ。神格を失ったとはいえ、私は元魔王で純血の吸血鬼で誇り高き“箱庭の騎士”。ネズミごときに遅れをとるはずがない」

拗ねたように言うレティシアはまるで子供のようだ。

「それより、飛鳥、怪我は大丈夫か?」

「ええ、服についてる防御の加護のお陰で大きな怪我は無いわ。流石に服で覆われてない所は噛まれちゃったけど」

「あすか!」

急に飛鳥の胸から先ほどの小さい精霊が飛び出し、飛鳥に抱き付いた。

「あすか!あすかぁ!」

「ちょ、ちょっと」

精霊は今にも泣き出しそうな顔で飛鳥に抱き付いている。

よくわからんが懐かれているな。

「やれやれ。日も暮れて危ないし、今日の所はその精霊も連れて帰ろう」

「そ、そうね」

「異議なし」

レティシアの提案に反論もなく、そのまま、精霊を連れて店に戻ることにした。

それにしても、どうして飛鳥はあんなにも手こずってたんだ。

飛鳥のギフトなら楽にネズミを操れると思うんだが・・・・

 


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