問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ?   作:ほにゃー

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第11話 メイドだそうですよ?

「「「「じゃあこれからよろしく、メイドさん」」」」

「「「え?」」」

“ペルセウス”とのギフトゲームが終わり、レティシアを助けて目を覚まして俺達の開口一番はこれだった。

「え?じゃないわよ今回のゲームで活躍したの私たちだけじゃない?あなた達はくっ付いてきただけだもの」

「うん、私なんて力一杯殴られたし、石になったし」

「あ、それ私も」

「つーか挑戦権持ってきたのおれだろ?」

「最後にアルゴールとルイオスを倒したのは俺だ」

「というわけで所有権は3:3:2:2で話は付いた」

ちなみに俺と十六夜が3、耀と飛鳥が2だ。

「何を言っちゃってんでございますかこの人達!?」

黒ウサギとジンは混乱している。

そんな中、当事者であるレティシアは冷静だった

「んっ………ふ、む。そうだな。今回の件で、私は皆に恩義を感じている。コミュニティに帰れたことに、この上なく感動している。だが、親しき仲にも礼儀あり、コミュニティの同士にもそれを忘れてはならない。君達が家政婦をしろというのなら、喜んでやろうじゃないか」

「レ、レティシア様!?」

意外にもノリがいいな。

「私、ずっと金髪の使用人に憧れていたのよ。私の家の使用人ったらみんな華も無い可愛げの無い人達ばかりだったんだもの。これからよろしく、レティシア」

「よろしく・・・・・・いや、主従なのだから『よろしくお願いします』の方がいいかな?」

「使い勝手がいいのを使えばいいよ」

「そ、そうか。・・・・・・いや、そうですか? んん、そうでございますか?」

「黒ウサギの真似はやめとけ」

「ん?君は・・・・どこかであったかな?」

「ああ、月三波・クルーエ・修也だ。クルーエ=ドラクレアの息子だよ。レティシア姉さん」

「そうか。クルーエ叔父上の子だったか。どうりで似てるわけだ。だが、私はもうメイドだ。

姉さんは止してくれ」

「ああ、分かった」

そんな風に楽しそうに会話する俺達をみて黒ウサギは肩を落としていた。

 

 

それから三日後

俺達は黒ウサギ主催の歓迎会に参加させらた。

子供達を含めた“ノーネーム”総勢一二七人+一匹は水樹の貯水池付近に集まり、ささやかながら料理が並んだ長机を囲んでいた。

「だけどどうして屋外の歓迎会なのかしら?」

「うん。私も思った」

「黒ウサギなりに精一杯のサプライズってところじゃねえか?」

「こりゃ、明日からのギフトゲーム頑張らないとな」

ジンに聞いた話によるとコミュニティの財政はかなりヤバイらしい。

後数日で底が付くとのことだ。

俺達4人でフル活動すれば何とかなるかもしれないが100人を超える子供たちを養うのはかなりきつい。

こんな風に飲み食いするのも贅沢になるだろう。

「無理しなくていいって言ったのに・・・・・・馬鹿な娘ね」

「そうだね」

飛鳥の苦笑に耀も苦笑で返す。

「それでは本日の大イベントが始まります!みなさん、箱庭の天幕に注目してください!」

黒ウサギに言われて天幕を見ると大量の流れ星が流れていた。

「この流星群を起こしたのは他でもありません。我々の新たな同士、異世界からの四人がこの流星群の切っ掛けを作ったのです」

「「「「え?」」」」

十六夜までもが驚く。

てか、どういう意味だ?

「箱庭の世界は天動説のように、全てのルールが此処、箱庭の都市を中心に回っております。先日、同士が倒した“ペルセウス”のコミュニティは、敗北の為に“サウザンドアイズ”を追放されたのです。そして彼らは、あの星々からも旗を降ろすことになりました」

そ、それって、まさか

「---・・・・・・なっ・・・・・・まさか、あの星空から星座を無くすというの!?」

「今夜の流星群は“サウザンドアイズ”から“ノーネーム”への、コミュニティ再出発に対する祝福も兼ねております。星に願いをかけるもよし、皆で鑑賞するもよし、今日は一杯騒ぎましょう♪」

飛鳥の驚きに黒ウサギは笑みを浮かべて返す。

はは、コイツはビックリだ。

箱庭に来てまだ、数日だが驚きの連続だな。

「こいつはいい目標ができたな」

「お、十六夜も思ったか」

「お?修也も思いついたか?」

「当たり前だぜ」

俺と十六夜は顔を合わせニヤリと笑う。

「目標?なんでございますか?」

俺と十六夜はペルセウス座があった場所を指さし言う。

「「あそこに俺達の旗を飾る」」

その言葉に黒ウサギは絶句するが、すぐに笑みを浮かべる。

「それは・・・とてもロマンが御座います」

「だろ?」

「はい!」

お、なにやらいい雰囲気。

お邪魔虫は退散しますか。

笑い合ってる十六夜と黒ウサギに背を向けて耀と飛鳥のとこに戻る。

 

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その才能(ギフト)を試すことを望むのならば、

己の家族を、友人を、財産を世界の全てを捨て、我らの“箱庭”に来られたし』

 

まさに捨てても来る価値があるな。

いや、それ以上か

 




原作1巻終了
次回から原作第2巻に入ります
ご期待下さい

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