問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ?   作:ほにゃー

104 / 106
第3話 呪いの恩恵だそうですよ?

ええええええええええええええええ!?

 

逆廻飛鳥って何!?

 

え?もしかして、そうゆう関係なの?

 

俺が知らないうちにお前らデキてたの?

 

確かに、最近いい雰囲気だな~って思ってたけど、まさか、マジで!?

 

そんな事を考えている俺を放置し、十六夜と飛鳥は次々と獣人を薙ぎ倒し、気が付けば全員倒していた。

 

「で、あんた無事か?」

 

十六夜が俺に話しかけてきた。

 

声でばれるとまずいし、変えておくか。

 

「いや、助かった。ありがとう」

 

「あら?その旗印、“サウザンドアイズ”のものよね」

 

「あ、ああ、そうだけど」

 

「おかしいぜ」

 

「おかしいわね」

 

二人がそう言うので俺は内心驚く。

 

「な、何がおかしいんだ?」

 

「あの魔王とのゲーム以降“サウザンドアイズ”は自然崩壊になったが、一部の幹部たちで密かに活動している。そのため、時が来るまで“サウザンドアイズ”とわかるものは着用してないはずだ」

 

「仮に貴方が“サウザンドアイズ”の一員だったとしても。こんな所で、大っぴらに旗印を掲げるはずがないわ」

 

「怪しいぜ」

 

十六夜が拳を鳴らしながら近づいて来る。

 

「ま、待て十六夜!俺の話を」

 

「おい、なんで俺の名前を知ってやがる?」

 

し、しまった!?

 

思わず名前を言っちまった!

 

なんとかして切り抜けないと!

 

「いや、実は俺と修也は親友でさ。君たちの話をよく聞かせてもらってたんだよ!俺、異世界の“箱庭”で、君達と同様に召喚された人間でさ。随分前に、こっちの“箱庭”に来ちまって、そん時に知り合ったんだよ訳あって、“サウザンドアイズ”に所属してるんだよ。」

 

「何?修也と?」

 

俺自身の名前を出すと、十六夜は眉を寄せて、俺を上から下まで見る。

 

「そんな話、修也君から聞いたことないんだけど」

 

「てか、名前は?」

 

名前……………名前、どうしよう……………

 

 

 

 

 

 

 

「え、修也さんのご親友ですか?」

 

「南月八鍬(みなみつき やしゅう)だ。異世界の“箱庭”では訳あって“サウザンドアイズ”に所属している」

 

取り敢えず、本名を並び替えた偽名を使い、何故か、“ノーネーム”の本拠へと連れてこられた。

 

「そうでしたか。このコミュニティのリーダー、ジン=ラッセルと申します」

 

ジンの奴、立派に成長したな。

 

聞いたところ、この世界は俺の居た時代から十年経っているそうだ

 

「それにしても、大変な時に来てしまいましたね。御存じとは思いますが、今この“箱庭”は魔王のゲームにより、危機的状況に陥っています」

 

「そのことについては、様子を見たから知っている」

 

「そうでしたか。ではもう一つ教えましょう。このゲームの主催者、終焉の魔王についてです」

 

ジンの話をまとめると、終焉の魔王は、かつて“箱庭”を襲った災厄にして最強の魔王。

 

それを討伐したのは俺の親父。

 

だが八年前に、再び現れ、“箱庭”を破壊するつもりなのか、呪いの恩恵をばらまき、“箱庭”住まう者たちを呪い、そして殺し回った

 

そして、勝てば呪いを解くと言いう条件を付け、ギフトゲームを行った。

 

「…………なぁ、一つ聞いていいか?」

 

「はい、なんでしょう?」

 

「………修也は何故死んだ?」

 

こう言ってはなんだが、俺が簡単に死ぬとは思えない。

 

なら、なにかしらの理由があったはずだ。

 

「それなんですが、厳密に言うと生死は分からないんです」

 

「え?」

 

「八年前、突如修也さんは出かけると言って、そのまま帰って来なかったんです。最後に修也さんと会話した人の話だと、西に向かったそうです。それも、かつて終焉の魔王が討伐された地に」

 

それって……………

 

「おそらく修也は、終焉の魔王が復活することを予期していたんだろう」

 

すると、メイド服でレティシアがお茶を運んできた。

 

姿は十年前と変わらない。

 

「よく来たな、異世界の同志よ。まぁ、飲め」

 

「ああ、サンキュー」

 

お茶を一口飲むと、レティシアは語り出した。

 

「叔父上はあの時、確かに終焉の魔王の首を獲った。私もゲーム終了後、確認したから間違いない。だが、奴は一筋縄で逝く相手ではなかったらしい。こんなことなら、魂を冥府から引きずり出して封印しておくべきだった」

 

そう言うレティシアは、悔いるように歯ぎしりし、拳を強く握る。

 

「レティシアさん、そう自分を責めないでください。誰も、こうなるとは予測できなかったんですから」

 

「だが、その所為で修也は……………。これは私達“箱庭の騎士”たちが残してしまった負の遺産だ。本来なら、私が決着をつけるべきことだ。なのに、アイツは勝手にそれを背負い、揚句、耀まで……………」

 

「よ………こっちの耀がどうかしたのか?」

 

「…………耀は」

 

そっから先の言葉を聞きたくなかった。

 

だが、俺は聞いてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「耀は、魔王の呪いの恩恵により、後、半年の命も無い」

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。