問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ? 作:ほにゃー
ええええええええええええええええ!?
逆廻飛鳥って何!?
え?もしかして、そうゆう関係なの?
俺が知らないうちにお前らデキてたの?
確かに、最近いい雰囲気だな~って思ってたけど、まさか、マジで!?
そんな事を考えている俺を放置し、十六夜と飛鳥は次々と獣人を薙ぎ倒し、気が付けば全員倒していた。
「で、あんた無事か?」
十六夜が俺に話しかけてきた。
声でばれるとまずいし、変えておくか。
「いや、助かった。ありがとう」
「あら?その旗印、“サウザンドアイズ”のものよね」
「あ、ああ、そうだけど」
「おかしいぜ」
「おかしいわね」
二人がそう言うので俺は内心驚く。
「な、何がおかしいんだ?」
「あの魔王とのゲーム以降“サウザンドアイズ”は自然崩壊になったが、一部の幹部たちで密かに活動している。そのため、時が来るまで“サウザンドアイズ”とわかるものは着用してないはずだ」
「仮に貴方が“サウザンドアイズ”の一員だったとしても。こんな所で、大っぴらに旗印を掲げるはずがないわ」
「怪しいぜ」
十六夜が拳を鳴らしながら近づいて来る。
「ま、待て十六夜!俺の話を」
「おい、なんで俺の名前を知ってやがる?」
し、しまった!?
思わず名前を言っちまった!
なんとかして切り抜けないと!
「いや、実は俺と修也は親友でさ。君たちの話をよく聞かせてもらってたんだよ!俺、異世界の“箱庭”で、君達と同様に召喚された人間でさ。随分前に、こっちの“箱庭”に来ちまって、そん時に知り合ったんだよ訳あって、“サウザンドアイズ”に所属してるんだよ。」
「何?修也と?」
俺自身の名前を出すと、十六夜は眉を寄せて、俺を上から下まで見る。
「そんな話、修也君から聞いたことないんだけど」
「てか、名前は?」
名前……………名前、どうしよう……………
「え、修也さんのご親友ですか?」
「南月八鍬(みなみつき やしゅう)だ。異世界の“箱庭”では訳あって“サウザンドアイズ”に所属している」
取り敢えず、本名を並び替えた偽名を使い、何故か、“ノーネーム”の本拠へと連れてこられた。
「そうでしたか。このコミュニティのリーダー、ジン=ラッセルと申します」
ジンの奴、立派に成長したな。
聞いたところ、この世界は俺の居た時代から十年経っているそうだ
「それにしても、大変な時に来てしまいましたね。御存じとは思いますが、今この“箱庭”は魔王のゲームにより、危機的状況に陥っています」
「そのことについては、様子を見たから知っている」
「そうでしたか。ではもう一つ教えましょう。このゲームの主催者、終焉の魔王についてです」
ジンの話をまとめると、終焉の魔王は、かつて“箱庭”を襲った災厄にして最強の魔王。
それを討伐したのは俺の親父。
だが八年前に、再び現れ、“箱庭”を破壊するつもりなのか、呪いの恩恵をばらまき、“箱庭”住まう者たちを呪い、そして殺し回った
そして、勝てば呪いを解くと言いう条件を付け、ギフトゲームを行った。
「…………なぁ、一つ聞いていいか?」
「はい、なんでしょう?」
「………修也は何故死んだ?」
こう言ってはなんだが、俺が簡単に死ぬとは思えない。
なら、なにかしらの理由があったはずだ。
「それなんですが、厳密に言うと生死は分からないんです」
「え?」
「八年前、突如修也さんは出かけると言って、そのまま帰って来なかったんです。最後に修也さんと会話した人の話だと、西に向かったそうです。それも、かつて終焉の魔王が討伐された地に」
それって……………
「おそらく修也は、終焉の魔王が復活することを予期していたんだろう」
すると、メイド服でレティシアがお茶を運んできた。
姿は十年前と変わらない。
「よく来たな、異世界の同志よ。まぁ、飲め」
「ああ、サンキュー」
お茶を一口飲むと、レティシアは語り出した。
「叔父上はあの時、確かに終焉の魔王の首を獲った。私もゲーム終了後、確認したから間違いない。だが、奴は一筋縄で逝く相手ではなかったらしい。こんなことなら、魂を冥府から引きずり出して封印しておくべきだった」
そう言うレティシアは、悔いるように歯ぎしりし、拳を強く握る。
「レティシアさん、そう自分を責めないでください。誰も、こうなるとは予測できなかったんですから」
「だが、その所為で修也は……………。これは私達“箱庭の騎士”たちが残してしまった負の遺産だ。本来なら、私が決着をつけるべきことだ。なのに、アイツは勝手にそれを背負い、揚句、耀まで……………」
「よ………こっちの耀がどうかしたのか?」
「…………耀は」
そっから先の言葉を聞きたくなかった。
だが、俺は聞いてしまった。
「耀は、魔王の呪いの恩恵により、後、半年の命も無い」