問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ? 作:ほにゃー
ギフトゲーム名:????????
プレイヤー名:クルーエ・ドラクレア
ゲームマスター:??????
クリア条件:ゲームマスターの殺害
敗北条件:プレイヤーの死亡
ゲーム詳細
*プレイヤー並びにゲームマスターは自身のコミュニティからプレイヤーを参加させても良い
*但し、ゲームマスターの殺害はプレイヤーのみ
クルーエ=ドラクレアは一本のロングソードを手に荒野を駆ける。
周りでは自分の仲間たちが敵と戦い、敵を殺し、敵に殺されている。
自身に襲い掛かってくる敵を斬りながら、このゲームの“主催者”である魔王のいる館へと入る。
数々のトラップを潜り抜け、最上階の部屋の扉を蹴破る。
大きな窓の前に椅子を置き、そこには顔を包帯で覆い、フードを深く被った者が居た。
包帯の隙間から、赤く光る眼がクルーエを見つめる。
「お前がこのゲームの主催者、いや、魔王か?」
「……イカニモ」
「なら話は早い、早速死ね」
「ソウ カンタン ニ コロサレル カ」
魔王と呼ばれた者は手に槍を持ち構える。
クルーエも剣を手に走り出す。
槍と剣がぶつかり合うたびに火花が散り、互いの身体に傷を負わせる。
魔王は袖の中から、数多の触手を出し、攻撃を繰り出す。
その触手を一本ずつ素早くクルーエは剣で薙ぎ払う。
その内の一本を斬り逃し、クルーエの脇腹に深く突き刺さる。
「くっ!」
触手は脇腹を抉るように貫き、徐々にクルーエの体内へと侵入する。
クルーエは触手を引き千切り、脇腹から引っこ抜く。
「うおおおおおおおおお!!」
襲い掛かる触手をすり抜け、男の懐へと潜り込む。
剣が一筋の光となって一閃される。
魔王の首はゆっくりと胴体から離れ、床に落ちる。
「これで、終わりだ。あの世で、自身の行いを反省するんだな。終焉の魔王よ」
血がにじむ脇腹を抑えながら、クルーエは剣を鞘に納め、館を後にする。
「クックック マダ オワラン ノロイ ハ スデ ニ ウエテ アル ソレ ガ メブク トキ シン ノ シュウエン ガ オトズレル ソシテ シュウエン ノ セカイ デ タッタ ヒトリ イキツヅケ ソシテ クルシメ。タトエ メブク トキ 二 オマエ ガ コノヨ 二 イナクトモ オマエ ノ コ マゴ ガ クルシム。キサマ ノ イチゾク 二 ミライ ハ モウ ナイ」
誰もいない部屋の中、首だけになった魔王は囁く。
包帯の隙間から見える赤い目は徐々に光を無くし、消える。
そして、これが後に“箱庭”に脅威を振るうとはこの時、誰一人として思わなかった。
「十六夜!」
「任せろ!」
晴れたある日、俺は十六夜と飛鳥、耀の三人と出かけ、飛び入り参加OKのギフトゲームに参加した。
簡単なバトルロワイヤル形式のゲーム。
流石に結構名前が知りわたられ過ぎていたので俺達には力を制限するギフトが付加された。
が、結局は圧勝だった。
最後のプレイヤーを俺が片手で空中に投げ飛ばし、十六夜が腹に蹴りを一発入れて、ゲームは、終了した。
「ナイス蹴り」
「ナイス投げ」
十六夜とハイタッチをし、互いに褒め称える。
「十六夜君と修也君も終わったのね」
そう言って飛鳥は、土下座している男に足を乗せている。
「こっちも終わった」
耀は相変わらずの無表情で男の関節を逆方向にねじっている。
「そう言えば、景品ってなんだ?」
そう言えば、バトルロワイヤル形式で面白うそうだったから参加したが、景品が何かは知らない。
「あ、景品はこちらです」
ゲームの主催者が現れ、俺達に何かを差し出す。
「我がコミュニティが作ったアクセサリー四点セットです」
差し出されたアクセサリーは髪留め、指輪、チョーカー、ペンダントで、どれにも十字架が装飾されていた。
「おっ、こりゃいいじゃねぇか。四人で分けようぜ」
十六夜の意見に全員が賛成し、それぞれアクセサリーを分け合う。
飛鳥は髪留め、十六夜はチョーカー、耀は指輪で、俺はペンダントになった。
「へぇ~、似合ってるじゃねぇか。お嬢様」
「ありがとう。十六夜君もそのチョーカー似合ってるわよ」
なんか十六夜と飛鳥はいい雰囲気を作ってやがる。
俺もペンダントを付けようとすると、耀が袖を引っ張て来た。
耀の方を振り向きながら、ペンダントをコートの懐に入れる。
「どうした?」
「付けて」
そう言って、俺に指輪を渡してくる。
やれやれ、うちのお姫様も随分積極的になったものだな。
そう思いながら、左手を手に取り、薬指にはめる。
「ちゃんとしたものは後二年後な」
「………うん」
耀はそう言いながら薬指にはめられた指輪を見つめる。
視線を感じ、後ろを振り返ると、十六夜と飛鳥がにやにやと俺を見ていた。
「………ちょっと飲み物買ってくる」
二人の視線が俺の恥ずかしさを増幅するので、その場を後にする。
「なにか飲んで、気分を落ち着かせるか」
「…………助け……」
飲み物を買える場所を探してると、何処からか人の声が聞こえた。
あっちか?
聞こえた方に検討を付けて、向かうと人が倒れていた。
「大丈夫ですか?」
近づき声を掛けると、倒れている人は弱々しく呟いた。
「……ありがとう……ございます」
女の声だ。
それにしても衰弱してるな。
「一体どうしたんですか?」
「人を………待ってたんです」
「人?」
「はい…………あなたです」
その瞬間、女性は手にした何かを俺に向けた。
その手を払い、その何かを弾く。
弾かれた物はその場に転がる。
あれは…………石?
「こっちですよ」
背後から声が聞こえ、振り返ると別の女性が立っており、手に持った何かを俺に向ける。
「しまっ!」
攻撃をしようと試みるが、間に合わず俺は光線をモロに食らった。
目を開けると、そこには何もなかった。
いや、正確に言うと墓石が一つだけあった。
そこに彫られた名前を見て俺は驚愕した。
[TSUKIMINAMI・C・SHUUYA]
「俺の…………墓?」
その時、背後から誰かの足音を聞こえ、俺は近くの木の上へ隠れる。
「修也さん、おはようございます。今日もいい天気ですね」
俺の墓に向け、声を掛けたのは一人の青年だった。
約170cmはあると思われる身長に、ローブを来た青年。
だが、その顔は見覚えのある顔だった。
「修也さんが亡くなってもう五年、月日は速いモノですね」
ジン=ラッセル。
俺のコミュニティのリーダーだ。
だが、俺の知ってるジンは十一歳。
あのジンは、見た感じ十八ぐらいだ。
「ジンく~ん!」
今度は割烹着に狐耳を生やした少女が来た。
こっちにも見覚えはある。
リリだ。
だが、こちらもジン同様成長してる。
「またここに来てたんだね」
「うん。ここに来たら、修也さんが居てくれるんじゃないかなって思ってね」
「…………会議始まるよ」
「分かった。すぐ行くよ」
そう言ってジンとリリはその場を去った。
これで確信が持てた。
ここは………………
ここは…………未来の“ノーネーム”いや、未来の“箱庭”だ。