問題児たちと血を受け継ぐ者が異世界に来るそうですよ?   作:ほにゃー

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YES!ウサギが呼びました!
プロローグ


雪が降り、冷たさが身に染みる中、

 

俺はスーパーの袋を持ち歩いている。

 

「あ~、さみぃ~。地球温暖化ってのは嘘だな」

 

俺の名は、月三波・クルーエ・修也。

 

名前の通りハーフだ。

 

髪と瞳の色が銀髪で少し変わっている。

 

それも、その筈、俺は普通の人間と少し、いや、大分違う。

 

なぜなら……

 

「おい!月三波!今日こそ、借りを返させてもらうぞ!」

 

見るからに、俺、不良といったような奴が俺に声を掛ける。

 

確か、こいつは半年ぐらい前から俺に因縁吹っかけてきた不良じゃねーか。

 

「はぁ~~~~~~」

 

盛大に溜息を吐く。

 

「す……すみませんでした。…もう…このようなこと…二度と……しません」

 

全身をフルボッコにされ不良は謝罪の言葉を吐く。

 

「どうせ、また、喧嘩吹っかけて来るんだからそんなこと言うな」

 

取りあえず満身創痍の不良の脇腹に蹴りを入れ気絶させる。

 

「………つまんねぇーな」

 

お気に入りの黒いコートを整え、袋を拾い帰路に着く。

 

「あ………卵、割れてる」

 

 

 

 

 

「ただいま~」

 

返事が返ってこない部屋、買い物袋をテーブルに置こうとすると

 

あるものが目に入った。

 

袋を置き、ソレを取る。

 

『月三波・クルーエ・修也殿へ』

 

俺宛の手紙だ、だが、誰だ?

 

この部屋には鍵が掛かってるし、窓にもしっかりと鍵が掛かっている。

 

それなのに、俺宛の手紙が部屋の中にある。

 

怪盗気取りの泥棒が入ったのかと思い部屋を調べるが盗られた物は無い。

 

ちょっとしたミステリーだ。

 

人の家に侵入し、物を取らずに手紙を置く。

 

更には、侵入に気付かせない手口。

 

そこに1つの幸福感を感じた。

 

思わず笑みがこぼれる。

 

何処の誰か知らないが、感謝するぜ。

 

胸を躍らせるような思いは久々だ。

 

高鳴る鼓動を押さえながら封を解き、手紙を読む。

 

 

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。

 

その才能(ギフト)を試すことを望むのならば、

 

己の家族を、友人を、財産を世界の全てを捨て、

 

我らの“箱庭”に来られたし』

 

 

 

読み終えた瞬間、妙な浮遊感を感じた。

 

思わず下を見ると、巨大な天幕に覆われた都市が見えた。

 

そして、下に落ちてる感覚がきた瞬間、

 

全てを悟った、これは、怪盗気取りの泥棒からの置き手紙なんかじゃねー。

 

未知の存在からの、未知の世界への招待状だ。

 

「こりゃ、楽しめそうだな」

 

そう思い、上空4000mから、落下し、緩衝材のような幕を幾つか通り、

 

そして、湖が見えた。

 

「ちょっ、それは、マズッ」

 

「きゃ!」

 

「わっ!」

 

ばしゃん、と4つの音を立て俺は水の中に落ちる。


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