【完結】熱血キンジと冷静アリア   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。前回で綴先生(※性格改変処理済み)を登場させたことでようやくこの突発的番外編を投稿できるようになったので、本編を期待していた方々には非常に申し訳ないのですが、早速ねじ込みました。また、今回の突発的番外編は文字数があまりにも多いので、ひとまず前後編にわけることにしました。あと、今の私は無人島一歩手前の島に滞在中なので、感想返信は期待しないでください。尤も、チャンスがあれば、すかさず返信するつもりですが。

出場者:遠山キンジ、神崎・H・アリア、武藤剛気、不知火亮、星伽白雪、レキ、風魔陽菜、中空知美咲、峰理子リュパン四世、ジャンヌ・ダルク30世、綴梅子(計11名)

出場条件:熱血キンジと冷静アリアの本編で一言でもセリフがあること。あとは私ふぁもにかの気分の問題。

注意点:この番外編は台本形式です。また、地の文が全然存在しない(地の文=ナレーションと化している)ので、場面描写が皆無です。そのため文のクオリティが著しく低下しており、でもって全体的に薄っぺらい文章となり、さらに逃走中を知らない人にとってはあまり楽しめない内容となっています。その上、ここではただでさえキャラ崩壊を起こしている原作キャラ陣がさらにキャラ粉砕されている可能性があります。その辺をご了承してからご覧くださいませ。また、この『◇◇◇』が場面転換の印となりますので、目安にしてください。



35.突発的番外編:熱血キンジと逃走中 前編

 

 ゲーム前。エリア内にバラバラに散った総勢11人の逃走者。逃走劇の開始まで、あと10秒。

 

キンジ「10」

 

 ◇◇◇

 

レキ「9」

 

 ◇◇◇

 

武藤「8」

 

 ◇◇◇

 

白雪「7」

 

 ◇◇◇

 

中空知「6」

 

 ◇◇◇

 

不知火「5」

 

 ◇◇◇

 

理子「4」

 

 ◇◇◇

 

陽菜「3」

 

 ◇◇◇

 

アリア「2」

 

 ◇◇◇

 

綴「1」

 

 ◇◇◇

 

ジャンヌ「0。クククッ、ついに始まったか」

 

 4体のハンターが放出され、逃走中の幕が切って落とされた。

 

 ◇◇◇

 

アリア「本当にリアルタイムで賞金が上がっていくんですね……」

 

 ◇◇◇

 

理子「わわッ。もう2000円超えてる」

 

 ◇◇◇

 

武藤「……2600、2800、3000……」

 

 ◇◇◇

 

キンジ「このタイマーにつられてハンターに捕まりました、なんて捕まり方だけはさすがにゴメンだな。カッコ悪いし」

 

 ハンターから逃げた時間に応じて、賞金を手に入れることができる。

 それが、『RUN FOR MONEY:逃走中』。

 

 ◇◇◇

 

白雪「おー。誰もいないね~」

 

 ◇◇◇

 

レキ「誰もいませんね……」

 

 ◇◇◇

 

中空知「人がいないのがまた雰囲気出てるよねぇ」

 

 ◇◇◇

 

 今回の舞台はとある無人の仮想都市。大小様々なビルが立ち並ぶ場所だ。

 制限時間は70分。1秒200円ずつ上昇し、最後まで逃げ切れれば賞金84万円を手に入れることができる。ただし、ハンターに捕まれば、ゼロ。

 

 ◇◇◇

 

綴「うわー、ストレス半端ないなぁ。このゲーム」

 

 綴梅子。今回の逃走者の中で、唯一結婚している。二児の母だ。

 

綴「どこから来るかわからないって結構怖いんやなぁ」

 

 ハンターは神出鬼没。どこから現れるかわからない。

 

 ◇◇◇

 

理子「うぅ~。怖いよぉ」

 

 挙動不審に前後を確認するのは、峰理子リュパン四世。

 

スタッフ「峰さん峰さん」

理子「――ひッ!? な、ななな何ですかッ!?」

 

 スタッフの声掛けにも、怯えをみせる。

 

 ◇◇◇

 

スタッフ「逃げきる自信はありますか?」

陽菜「もちろんにござる。拙者、足には結構自信があるでござるよ」

 

 忍者の末裔(?)は自信満々だ。

 

 ◇◇◇

 

――残り67分。

 

キンジ「お」

不知火「あ」

 

 他の逃走者と再会したようだ。

 

キンジ「そっちハンターいた?」

不知火「いや、いない。そっちはどうだ?」

キンジ「いや、こっちも大丈夫だ。……なぁ不知火?」

不知火「何だ?」

キンジ「しばらく一緒に行動しないか? 2人でいた方が色々とやりやすいだろうしさ?」

不知火「……言われてみればそうだな。じゃあ組む――ってハンター!?」

キンジ「え!? マジかよ!?」

 

 ハンターに見つかった二人。逃げ切れるか。

 

キンジ&不知火「「――ッ!」」

 

 二人は二手に分かれて逃げることにしたようだ。

 ハンターが狙いを定めたのは――キンジだ。逃げきれるか。

 

キンジ「こっちに来やがったか!?」

 

 キンジは巧みに建物を使い、ハンターの視界から上手く消えたようだ。

 

キンジ「ゼェ、ゼェ……。あいつ、足速いな。俺、一応強襲科(アサルト)Sランク武偵なのに……」

 

 上には上が、いたようだ。

 

 ◇◇◇

 

不知火「……フゥ。メールが来てないってことはキンジは逃げられたってことだよな?」

 

 キンジの安否を心配する、男。

 

 ◇◇◇

 

レキ「キンジさん。ハンターに追われていましたね。まぁキンジさんのことだから大丈夫でしょうが……それにしても、あのハンター、かなり速かったですね。上手く逃げ切れるでしょうか」

 

 少々不安になってきたようだ。

 

 ◇◇◇

 

スタッフ「84万円手に入れられたら、何に使いたいですか?」

中空知「そうだねぇ。う~ん……どうしよっか? アハハ」

 

 まだ賞金の使い道を決めていないようだ。

 

 ◇◇◇

 

アリア「んー」

スタッフ「どうしましたか?」

アリア「いえ。こうして動いた方がいいのか、それともどこかに身を潜めた方がいいのか、考え所だなぁと思いまして」

 

 動くも隠れるも、全ては逃走者次第だ。

 

 ◇◇◇

 

スタッフ「自首はするつもりですか?」

武藤「……しない。とりあえず、逃げきってみせる……」

 

 逃走者は指定の2か所の電話ボックスから自首をすることができる。

 自首をすればその時までの賞金額を手に入れることができるが、代わりにハンターが1体、エリアに追加される。自首は他の逃走者への裏切り行為だ。

 

 ◇◇◇

 

――残り65分。

 

陽菜「ん? メールにござる」

 

 ◇◇◇

 

白雪「みっしょん1。賞金単価アップのお知らせ」

 

 ◇◇◇

 

アリア「東沙ビルに賞金単価アップ装置を2つ設置した」

 

 ◇◇◇

 

武藤「……残り55分までに2か所の賞金単価アップ装置のレバーを押せば、賞金単価が400円となる……」

 

 ◇◇◇

 

ジャンヌ「その場合、逃げきれば賞金総額は――150万円!?」

 

 ◇◇◇

 

理子「え、えと……何か凄いことになっちゃってる?」

 

 ◇◇◇

 

 

【Mission1 賞金単価をアップせよ!】

 

 東沙ビルの2か所にそれぞれ賞金単価アップ装置が設置された。

 残り55分までに2か所の賞金単価アップ装置のレバーを押せば、賞金単価が1秒400円となり、賞金総額は150万円になる。

 ただし、動けばハンターに見つかる可能性が高まってしまう。

 ミッションに参加するかは逃走者次第だ。

 

 

 ◇◇◇

 

キンジ「……パスだな。ああもハンターの脅威を見せつけられたら、うかつに動けんだろ」

 

 ◇◇◇

 

綴「賞金の額よりも逃げきる方が大事な気ぃするし、このミッションは止めとこっか」

 

 ◇◇◇

 

白雪「他の誰かがやってくれるんじゃないかな?」

 

 ◇◇◇

 

レキ「ここからは遠いですし、今回のミッションは止めておきましょう」

 

 ◇◇◇

 

武藤「……1人ぐらいはやろうとする人がいるはず。俺がわざわざ動く必要はない……」

 

 キンジ、綴、白雪、レキ、武藤の5人はミッションには参加しないようだ。

 

 ◇◇◇

 

理子「150万……で、でもハンターに見つかるの怖いし……」

 

 ◇◇◇

 

アリア「ここからは少し遠いですね。どうしましょうか」

 

 理子、アリアの2人はミッション参加を迷っている。

 

 ◇◇◇

 

不知火「……よし、行くか」

 

 ◇◇◇

 

ジャンヌ「賞金アップ。これを逃す手はあるまい」

 

 ◇◇◇

 

中空知「行ってみようかな。面白そうだし」

 

 ◇◇◇

 

陽菜「お金の誘惑には勝てないでござるよ。フフフッ」

 

 不知火、ジャンヌ、中空知、陽菜の4人はミッションに参加するようだ。

 これで賞金単価アップを目指す逃走者は4人となった。

 

 ◇◇◇

 

陽菜「むむッ」

 

 陽菜の目線。その先に、ハンター。

 

陽菜「しばらくここに待機するしかないでござるな」

 

 ハンターが近くにいるため、思うように動けない。

 

 ◇◇◇

 

アリア「とりあえず見晴らしのいい場所に行きましょう」

 

 ミッション参加を止めたアリア。

 

アリア「どこかいい場所ないですかね……」

 

 ◇◇◇

 

ジャンヌ「ここか……」

 

 最初に東沙ビルにたどり着いたのは、ジャンヌだ。

 

ジャンヌ「さて。どこに置かれているのやら……」

 

 ◇◇◇

 

――残り60分。

 

不知火「俺以外にもこのミッションに参加してる人いんのかね?」

 

 不知火も東沙ビルに到着。賞金単価アップ装置を探す。

 

 ◇◇◇

 

白雪「おおぉ~。良さそうな場所発見」

白雪「ここならハンターに見つからずに済みそう。あー、やっとゴロゴロできる」

 

 一方。白雪は草むらに身を潜めることにしたようだ。

 

白雪「土がひんやりしてて気持ちいい」

 

 絶好の隠れ場所、ここにあり。

 

 ◇◇◇

 

キンジ「ん? あれって中空知か?」

 

 キンジが見つけたのは、中空知美咲。

 

キンジ「……ミッションに向かう感じなのか、あれ?」

 

 ◇◇◇

 

中空知「んー。思ったより時間ないなぁ。この分だと間に合わないかな?」

 

 東沙ビルへの道のりは、遠い。

 

 ◇◇◇

 

――残り57分。

 

ジャンヌ「あった! これか!」

 

 ついにジャンヌが賞金単価アップ装置を見つけた。

 

ジャンヌ「ッ!? ……なるほど。そう簡単にはいかないか。クククッ、スタッフも考えるじゃないか」

 

 しかし。レバーは2人一緒に下ろさなければならない仕様。協力者が必要だ。

 

不知火「ジャンヌ! それが例の装置か!?」

 

 と、そこに。同じく賞金単価アップを目指す不知火が到着した。

 

ジャンヌ「不知火か。ちょうどいい所にきたな。このレバー、どうやら2人いないと下ろせないみたいだからな」

不知火「そうなのか!?」

ジャンヌ「あぁ。では下ろすぞ。せーの!」

 

 賞金単価アップ装置のレバーが下ろされた。これであともう一か所の賞金単価アップ装置のレバーを下ろせば、賞金単価が1秒400円となる。

 

ジャンヌ「急ぐぞ、時間がない!」

不知火「あぁ!」

 

――残り56分。

 

 制限時間まであと1分。間に合うか。

 

不知火「どこだ? どこにある?」

 

 制限時間まであと30秒。

 

ジャンヌ「上の階に行くぞ! 不知火!」

不知火「わかった!」

 

 制限時間まであと15秒。

 

ジャンヌ「あったぞ! 早く来い!」

不知火「――ッ!? マジか!?」

ジャンヌ「せーの!」

 

 ミッションクリア。

 

不知火「よっしゃあ! ミッションクリア!」

ジャンヌ「ギリギリだったが、まぁよしとしよう」

 

 ◇◇◇

 

アリア「ミッション1結果」

 

 ◇◇◇

 

綴「ジャンヌ・ダルク30世、不知火亮の活躍により賞金単価が1秒400円に上昇した」

 

 ◇◇◇

 

レキ「これより賞金総額は150万円となる」

 

 ◇◇◇

 

キンジ「あの二人かぁ。何か意外な組み合わせだな」

 

 ◇◇◇

 

武藤「……計画通り……」

 

 ◇◇◇

 

ジャンヌ「それにしても、貴様がいて助かった。礼を言う」

不知火「それはこっちのセリフだ。助かったぜ、ジャンヌ」

ジャンヌ「ジャンヌじゃない、銀氷の魔女(ダイヤモンドダスト・ウィッチ)だ」

 

 ハイタッチをし、握手を交わす二人。仲が深まったか?

 

 ◇◇◇

 

陽菜「ジャンヌ殿に不知火殿、二人がミッションをやってくれて助かったでござる。恩に着るでござる」

 

 ◇◇◇

 

スタッフ「やりましたね、ジャンヌさん」

ジャンヌ「ジャンヌじゃない、銀氷の魔女(ダイヤモンドダスト・ウィッチ)だ。まぁ、この程度、我にかかれば当然の結果だな」

スタッフ「これで賞金総額が150万円になったわけですが、何に使いたいですか、ジャンヌさん?」

ジャンヌ「ジャンヌじゃない、銀氷の魔女(ダイヤモンドダスト・ウィッチ)だ」

 

 気難しいお年頃のようだ。

 

 ◇◇◇

 

綴「いやぁ、2人とも凄いわぁ」

 

 二人の功績を称える綴。その後ろに、ハンター。見つかった。

 

綴「2人のおかげで賞金上がったし、これは意地でも逃げきらへんと――って、ウソやろ!?」

 

 背後から迫るハンターに気づいた。逃げきれるか。

 

綴「ッ!?」

 

 綴梅子。確保。

 

綴「うわー、捕まった」

綴「ハァ、ハァ……ハンターってホンマ速いなぁ。あれだけ足速かったら、武偵としてでも十分いけるんやないか?」

 

 ◇◇◇

 

キンジ「ん? メール? ミッションじゃないよな?」

 

 ◇◇◇

 

中空知「綴梅子確保。残る逃走者は10人」

 

 ◇◇◇

 

理子「つ、綴先生……」

 

 ◇◇◇

 

アリア「ついに最初の犠牲者が出てしまいましたか」

 

 ◇◇◇

 

レキ「……」

 

 見晴らしのいい場所にたたずむ少女。

 

スタッフ「あんまりそこにいると見つかっちゃいますよ?」

レキ「心配ありません。見つかる前にこちらから見つけますから」

 

 視力6.0はダテではない。

 

 ◇◇◇

 

理子「……ハンター、いないよね?」

 

 建物の陰から様子を伺う、女。

 

理子「――ひッ!?(い、いた! 今、ハンターが! そこにぃ!!)」

 

 物陰に隠れ、ハンターを上手くやり過ごせたようだ。

 

理子「も、もうヤダぁ……」

 

 ◇◇◇

 

――残り52分。

 

白雪「お、メールだ」

 

 ◇◇◇

 

不知火「また誰か捕まったのか?」

 

 ◇◇◇

 

陽菜「ミッション2。アラーム装置を停止せよ」

 

 ◇◇◇

 

アリア「現在。諸君らの右腕にはアラーム装置が取りつけられている」

 

 ◇◇◇

 

キンジ「この装置は残り40分になると作動し、大きな音を鳴り響かせる」

 

 ◇◇◇

 

ジャンヌ「アラーム装置が作動すれば、ハンターから逃げ切るのは困難となる」

 

 ◇◇◇

 

武藤「……解除するには残り40分までに逃走者1人1人が持つカードキーをアラーム装置に通さなければならない……」

 

 ◇◇◇

 

中空知「ただし、自分の持っているカードキーは自身のアラーム装置には使えない」

 

 ◇◇◇

 

理子「また、カードキーは一度しか使えない」

 

 ◇◇◇

 

レキ「……なるほど。これは早めに行動した方がよさそうですね」

 

 ◇◇◇

 

 

【Mission2 アラーム装置を停止せよ】

 

 現在、逃走者の右腕にはアラーム装置が取り付けられている。

 制限時間までに解除しなければアラームが作動。大きな音を鳴らし、ハンターに位置を知らせてしまう。

 解除するには他の逃走者のカードキーが必要だ。

 

 

 ◇◇◇

 

キンジ「そういや、さっきあの辺に中空知がいたよな?」

 

 ◇◇◇

 

武藤「……誰かいるかな……?」

 

 ◇◇◇

 

白雪「動かないといけないのかぁ。面倒だな」

 

 ◇◇◇

 

不知火「あー。さっきジャンヌの奴と別れたのは失敗だったか……」

 

 ◇◇◇

 

アリア「相手を見つけてバーコードを認証しないとアラームが鳴り響くって、何て迷惑装置ですか……」

 

 動き出す逃走者たち。しかし、移動すればハンターに見つかるリスクが高まる。

 

 ◇◇◇

 

中空知「う~ん。ハンターがいるなぁ。早くどっか行ってくれたらいいのに」

 

 ハンターが近くにいるため、思うように動けない。

 

 ◇◇◇

 

理子「……ジャンヌちゃん、近くにいるかな?」

 

 理子はアラーム装置を解除するため、ジャンヌに電話をかける。

 

ジャンヌ『リコリーヌか。どうした?』

理子「あ、ジャ――銀氷の魔女(ダイヤモンドダスト・ウィッチ)ちゃん。今どこにいるの?」

ジャンヌ『今か? 東沙ビルの周辺だが――アラーム装置の件か?』

理子「うん。ボク、銀氷の魔女(ダイヤモンドダスト・ウィッチ)ちゃんの近くにいるみたいだから、ボクとアラーム装置解除しない?」

ジャンヌ『あぁ、構わない。で、どうする? 我が向かうか?』

理子「ううん。ボクが行くよ」

ジャンヌ『わかった。では、気長に待っている』

理子「うん。じゃあね」

ジャンヌ『あぁ』

理子「……よし、行こう。……怖いけど」

 

 ジャンヌの元へと動くようだ。

 

 ◇◇◇

 

武藤「……あ、いた……」

 

 アラーム装置を解除するため、他の逃走者を探す武藤。その先に、風魔陽菜。

 

武藤「……風魔……」

陽菜「おッ。武藤殿にござるか。ちょうどいい所にやって来たでござるな。アラーム装置を解除しようでござる」

武藤「……あぁ……」

 

 二人は互いのカードキーを相手のアラーム装置に差し込む。

 ミッションクリア。まだアラーム装置を解除していないのは、8人。

 

武藤「……これでよし……」

陽菜「では、武藤殿。さらば――ッ!? ハンターにござる!」

武藤「――ッ!?」

 

 ハンターに見つかった。

 二手に分かれた武藤と陽菜。ハンターが狙いを定めたのは――武藤だ。

 

武藤「……俺か……」

 

 武藤剛気。逃げきれるか。

 

武藤「……ハァ…ハァ……速い……」

 

 武藤剛気、確保。

 いくら万能男でも、足の速さでは敵わなかったようだ。

 

 ◇◇◇

 

陽菜「武藤殿は大丈夫でござろうか?」

 

ハンターから距離を取る陽菜。しかし。逃げた先に、別のハンター。

 

陽菜「なッ!?」

 

 風魔陽菜確保。

 

陽菜「……や、やられたでござる」

 

 ハンターは神出鬼没。どこから現れるか、わからない。

 これで残る逃走者は8人となった。

 

 ◇◇◇

 

ジャンヌ「……リコリーヌの奴、遅いな。何かあったのか? ――と、メールか」

 

 ◇◇◇

 

レキ「武藤剛気、および風魔陽菜確保。残る逃走者は8人」

 

 ◇◇◇

 

理子「うぅ、一気に二人も捕まっちゃったよ……ハンター怖い、ハンター怖い」

 

 ◇◇◇

 

――残り47分。

 

キンジ「……」

 

 他の逃走者を探すキンジ。その先に、地に横たわる人間。

 

キンジ「……何やってんだ、ユッキー?」

白雪「あ、キンちゃん。これはね、う~んと、死んだフリ?」

キンジ「……そうか(まぁユッキーのことだからどこかに隠れてるだろうとは思っていたが)」

白雪「キンちゃんキンちゃん。キンちゃんはさ、アラーム装置の奴もうやった?」

キンジ「いや、まだだけど。……やるか?」

白雪「うん!」

 

 二人は互いのカードキーを相手のアラーム装置に差し込む。

 ミッションクリア。まだアラーム装置を解除していないのは、6人。

 

白雪「じゃあね、キンちゃん。気をつけてね」

キンジ「ユッキーもな。隠れるのもいいが、偶には場所変えろよ? その内見つかるぞ」

白雪「りょーかい」

 

 ◇◇◇

 

レキ「いました」

 

 レキが見つけたのは――

 

アリア「あ、レキさんです」

 

 ――神崎・H・アリア。

 

アリア「レキさん。ミッションもうやりました?」

レキ「いいえ、まだです。やりましょうか」

 

 二人は互いのカードキーを相手のアラーム装置に差し込む。

 ミッションクリア。まだアラーム装置を解除していないのは、4人。

 

 ◇◇◇

 

――残り44分。

 

理子「ジャンヌちゃん!」

 

 理子は無事にジャンヌの元へとたどり着いたようだ。

 

ジャンヌ「リコリーヌ。無事だったか。遅かったからもう他の人とミッションをやったのではないかと思ったぞ」

理子「うぅ。遅くなってゴメンね、ジャンヌちゃん」

ジャンヌ「ジャンヌじゃない。銀氷の魔女(ダイヤモンドダスト・ウィッチ)だ。とにかく装置の解除を済ませるぞ」

 

 二人は互いのカードキーを相手のアラーム装置に差し込む。

 ミッションクリア。まだアラーム装置を解除していないのは、2人。

 不知火亮と中空知美咲。

 

 ◇◇◇

 

中空知「ダメだ。他の逃走者の人が見当たらない……」

 

 アラーム発動まで時間がなくなり、焦っている。

 

 ◇◇◇

 

不知火「神崎さん!」

 

 未だアラーム装置を解除していない不知火。アリアを見つけたようだ。

 

アリア「あ、不知火さん」

不知火「ミッションのことなんだけど――」

アリア「えーと。すみません、不知火さん。私、もうレキさんとやってしまいましたので、他を当たってください」

不知火「そ、そうですか……」

 

 逃走者が各々持つカードキーは一度しか使えない。アラーム装置を解除したければ、未だミッションをクリアしていない逃走者を探すしかない。

 

 ◇◇◇

 

――残り42分。

 

中空知「うん。そっか。わかった」

理子『ご、ごめんね。中空知さん』

中空知「ううん、気にしないで」

 

 電話でミッションをクリアしていない逃走者を探す中空知。

 

中空知「これで峰さんにダルクさんもダメ。遠山くんに星伽さんもダメで神崎さんにレキさんもダメだったから、あとは――誰だっけ?」

 

 名前が、思い浮かばない。

 

 ◇◇◇

 

不知火「やっべーな、これ。マジでヤバい」

 

 ミッションをクリアしていない逃走者を探す不知火。その近くに――

 

中空知「あー、うーんと……誰だったかなぁ。あともう少しで思い出せそうな気がするんだけど」

 

 ――中空知。

 

不知火「中空知さん! ミッションやりました!?」

中空知「――あ! そうだ! 不知火くん!」

不知火「え? な、中空知さん?」

中空知「そうそう、不知火くん! ちょうどいい所に来てくれたね、不知火くん。まだミッションやってないでしょ? 私とやろうよ」

不知火「ホントですか!?」

 

 二人は互いのカードキーを相手のアラーム装置に差し込む。

 ミッションクリア。これですべての逃走者がアラーム装置の解除に成功した。

 

 ◇◇◇

 

キンジ「ミッション2結果」

 

 ◇◇◇

 

白雪「逃走者全員がアラーム装置の解除に成功した」

 

 ◇◇◇

 

レキ「皆さん、上手くいったようですね」

 

 ◇◇◇

 

アリア「あそこにハンターいますね」

 

 アリアが指さす先に、ハンター。

 

アリア「……今思いついたんですが、何気にハンターの後ろって安全領域ではないでしょうか? 少し試してみましょうかね」

 

 ハンターを追跡する、逃走者。

 

 ◇◇◇

 

キンジ「そういや、あれっきりハンターの姿見ないな」

 

 一度ハンターを振りきっている、男。

 

キンジ「まぁ、また見たいなんて思わないけど――って、何やってんだ、アリア?」

 

 キンジの視線が捉えたのは、ハンターを尾行するアリア。

 

 ◇◇◇

 

アリア「これって中々いいアイディア――ッ!?」

 

 振り向くハンター。

 

アリア「い、今のは危機一髪でしたね。危うく見つかる所でした。……止めましょうか、ハンターの尾行」

 

 賢明な判断だ。

 

 ◇◇◇

 

――残り38分。

 

理子「――ッ!? な、何だ、メールかぁ。脅かさないでよ」

 

 ◇◇◇

 

レキ「通達。裏切り者への誘い」

 

 ◇◇◇

 

ジャンヌ「これより諸君らの中から裏切り者を募集する」

 

 ◇◇◇

 

キンジ「裏切り者は他の逃走者の位置情報をハンターに密告することで自分の賞金総額を増やすことができる」

 

 ◇◇◇

 

不知火「裏切り者になりたい者は残り35分までに以下の電話番号に連絡を入れなければならない」

 

 ◇◇◇

 

中空知「ただし裏切り者になれるのは1名のみ。早い者勝ちだ」

 

 ◇◇◇

 

白雪「……何か面倒なことになってきたね」

 

 ◇◇◇

 

 

【通達 裏切り者への誘い】

 

 これより逃走者の中から裏切り者が募集される。

 裏切り者は他の逃走者の位置情報をハンターに密告することができ、その直後に逃走者が確保されれば、通常の賞金に加え、1人につき30万円が追加で支払われる。

 ただし、裏切り者もこれまで通りハンターに追われ、捕まれば失格。賞金はゼロとなる。慎重な判断が必要だ。

 

 

 ◇◇◇

 

アリア「何て悪趣味な勧誘ですか。誰だか知りませんが、スタッフの悪意を感じますね」

 

 ◇◇◇

 

理子「で、でも誰も裏切り者にならなきゃいいんだよね?」

 

 ◇◇◇

 

中空知「何だか面白そうなことになってきたなぁ」

 

 ◇◇◇

 

キンジ「……何だかんだで生まれそうだよな、裏切り者」

 

 ◇◇◇

 

不知火「これ、裏切り者が5人密告したら150万円稼げる計算になるじゃねぇか。そしたらその裏切り者、賞金総額倍になるぞ」

 

 ◇◇◇

 

――そして。残り36分。

 

??「……」

 

 1人の逃走者が裏切り者に名乗りを上げた。

 

 

 後編へ続く。

 




残る逃走者:遠山キンジ、神崎・H・アリア、不知火亮、星伽白雪、レキ、中空知美咲、峰理子リュパン四世、ジャンヌ・ダルク30世(計8名)
捕まった逃走者:綴梅子、武藤剛気、風魔陽菜(計3名)

 果たして裏切り者は誰なのか? ってなわけで、緋弾のアリア×逃走中の前編はこれにて終了です。……いつかまた、逃走中の方でも裏切り者の企画やってほしいなぁ。裏切り者のいる逃走中は緊迫感が全然違って、見ごたえが凄かったですからね。

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