??「……キリッ」
というわけで、どうも。ふぁもにかです。今回、ついにあのキャラが満を持して登場します。上記のセリフ(?)だけで誰なのかわかった人には素直に賞賛を送りたい所ですね。でもって前回、事後処理回にも関わらず問答無用で窮地に追いやられた哀れな主人公キンジくんの命運やいかに!?
武偵弾の一つ、
「「ッ!?」」
ふとキンジとレキの元にフワリと心地よい風が舞う。それと同時に、どこからともかく現れた人影がスッと二人の間に入ると、直後にガキン! と金属と金属とが派手に衝突した音が響いた。どうやら何者かが二人の戦いもといレキの一方的な攻撃に介入し、キンジを絶命へと導くであろうレキのドラグノフを止めたようだ。つまり。キンジは眼前の闖入者に命を助けられたことになる。尤も、その認識はレキが寸止めでキンジへの攻撃を止める気のないことが前提となるのだが。
長く伸ばした艶のある黒髪ポニーテールに長いマフラーみたいな赤布。籠手に武偵高の防弾制服。レキの繰り出すドラグノフの銃剣部分に宛がわれたクナイ。それらの特徴をあわせ持つ人物にキンジは心当たりがあった。
「危ない所でござったな、師匠」
レキの強烈な刺突をクナイ一本で食い止めてみせた少女は体をレキの方に向けたまま、視線だけをキンジに向けてニッと口角を吊り上げてくる。その際、陽菜の混じりけのない漆黒の瞳が一瞬だけキラーンと光ったようにキンジの目には映った。
風魔陽菜。キンジやレキと同じ東京武偵高に通い
キンジと陽菜との関係は先輩武偵と
尤も、今では大抵のことはどんなことでも平然とやり遂げてしまう万能男:武藤剛気の存在があるため、陽菜の利用頻度は半減しているのだが。
「――陽菜!」
キンジは颯爽と登場し己の窮地を救ってくれた陽菜に意図せず歓声を上げる。第三者の介入のおかげで自身の生き残りの可能性が大幅に上昇したのだから当然の反応といえよう。レキは基本的に一対一の戦闘を好み多数対一を避ける嫌いがある。おそらくレキの大好きな少年漫画にしっかりと毒されたからだろうが、第三者の介入が入った場合、大抵レキは興ざめしてその場を退いてくれるのだ。介入してきた第三者に対してブチ切れてしまったなら話は別だが。
それゆえ、陽菜の乱入でレキが戦意喪失してくれるのならキンジにとってこれほど幸運なことはない。実際、陽菜が乱入してからというもの、俺と陽菜から一定の距離をとってこちらの様子を伺っているレキには先までの圧倒的な殺気が見られない。この分なら、完全にブチ切れたレキがバトルジャンキーの血の騒ぐままに戦闘再開にもちこんでくることはなさそうだ。
「何やら師匠の身に危険が迫っていたようだったゆえ、助太刀に来たでござる」
「あぁ。正直言って凄く助かった。命拾いしたよ。ありがとな、陽菜。まっ、欲を言うならもうちょっとだけ早く来てほしかったけど」
「その辺はすまないでござる、師匠。ヒーローは遅れて登場するもの、仲間が窮地に追いやられているのならばなおよしとこの『初心者でもなれる! ヒーロー入門! ~これで君も人気者~』というマニュアル本に書かれてあったゆえ、敢えて師匠が窮地に陥るまでそこのファミレスでスタンバッていたでござる。むろん、事の成り行きは周囲一帯にあらかじめ仕掛けておいた盗聴器と監視カメラで把握済みゆえ、心配無用にござる」
「……は?」
キンジが若干本音を呟きつつ陽菜に感謝の言葉を述べると、陽菜は何とも晴れやかな笑みとともにどこからか取り出したマニュアル本をキンジに見せつつ近場のファミレスを指差して事情を説明する。その笑みは『守りたいこの笑顔』と無意識のうちに他人に思わせてしまいそうなほどに晴れ晴れとしている。一方、キンジは陽菜のまさかの返答に思わず思考停止に追いやられる。一瞬聞き間違いなのではないかと己の耳を疑ったキンジは陽菜の発言を脳裏に復元する作業に入り、そして己の耳が確かだったことを確認した。
一方。当の本人は「いやはや、それにしてもあのアイスは美味だったでござるなぁ。ファミレスだからといって侮るなかれということにござるか」などと言って悦に浸っている。よほど陽菜の味覚とマッチする味わいだったのだろう。今の陽菜のご機嫌具合はそのことを如実に示しているものと思われる。
「……陽菜。ちなみに聞くけど、いつからスタンバッたんだ?」
「はて? 『ゲッ、レキ』と師匠が仰った時からにござるが?」
「最初からスタンバッてたのかよ!? だったらもっと早く助太刀に来いよ! 盗聴器に監視カメラを仕掛けてたんなら今の俺が丸腰でレキと戦う意思がないの知ってたろ!?」
「ハッハッハッ。ジョークでござるよ、師匠。拙者がピンチの師匠を放ってファミレスのアイスの美味しさ、まろやかさに身も心もとろけているような愚かな真似などしないのは師匠がよく知ってるでござろう? そんなに声を荒らげないでほしいでござる。実際は『……まぁ、結局逃げられたけどな。つーかお前、相変わらず俺をライバル認定してるんだな』の所からスタンバッていたでござるが」
「結局ほぼ最初からスタンバッてたんじゃねえか!? つーかアイス食べてたな!? 絶対俺のピンチ放っといてアイスにうつつ抜かしてたな!?」
キンジが感情のままに声を張り上げるも陽菜はどこ吹く風と言わんばかりに「はてさて。何のことやら」と言葉を返す。その際、口笛を吹きつつ視線をキンジから逸らしているので誤魔化しているのが丸わかりである。しかし。そのようなあざとい誤魔化し方を敢えて選択しているために、陽菜が実際にファミレスでアイスにうつつを抜かしていたか否かが判断できない辺りが陽菜の何とも厄介な所である。
「陽菜。そんなんで俺を本気で誤魔化せると思ってんのか?」
「ハッハッハッ。むろん、思っていないでござる。所詮、今のもジョークにござるよ。拙者はシリアスムードは嫌いにござるからな。定期的にジョークを挟まないとやっていけないのでござる。だからそんなにピリピリしないでほしいでござる、師匠。本当の所は拙者が受けた依頼の関係で二日前にここら一帯に盗聴器と監視カメラを仕掛けていたら、何やらヒーヒー仰っている師匠の声が聞こえてきたゆえ、こうして参上した次第にござるよ」
「……へぇー」
「師匠。その目、まさか拙者のことを信じてないでござるな?」
「当然だ」
「ぅくッ!? し、師匠に信頼されない戦姉妹というものがここまで精神的に深いダメージを与えるものとは……ヨヨヨ」
陽菜との短い会話の中で二度も冗談を挟まれたキンジが陽菜に疑念の眼差しを向けていると、陽菜は誰もが「こいつ絶対泣いてないだろ」と確信できるほどにわざとらしい泣き真似を見せてきた。ツッコム気にもなれなくなったキンジは陽菜にジト目を向けたまま頭を抱えて陰鬱なため息を吐いた。そのままキンジは陽菜に「信じてほしいんなら何かとウソつくの止めてくれ……」と呻くように頼むも、対する陽菜はキリッとした瞳で「すまないでござる、師匠。こればっかりはいくら師匠の頼みであってもやめられないとまらないでござる」と即座に却下してくる。「あと、ウソじゃなくてジョークにござる」と訂正を入れることも忘れない。どうやらこの辺の認識に陽菜はこだわりを見せているようだ。
(そうだ。陽菜ってこんな感じだったな、そういえば……)
風魔陽菜という人間はとにかく冗談好きで他人をからかうのが楽しくて楽しくてたまらないタイプの人間だ。そのため、自身の気に入った相手をとことんからかう習性を持っている。それは戦姉妹契約を結んだ関係性でも全く変わらない。陽菜は事あるごとに冗談を口にするため、どこまでが冗談でどこからが本当かを判別するのは至難の業だったりする。要するに、陽菜はレキとは別ベクトルで厄介極まりない少女なのだ。また、熱心なマニュアル本コレクターでもあるため、陽菜は常に何冊か将来全く役に立たなさそうなマニュアル本を携帯している。女子寮には陽菜の購入したマニュアル本が本棚を我が物顔で完全支配しているらしい。
暫く陽菜と会っていなかった影響で陽菜の性格を今の今まですっかり忘れていたキンジはため息さえも吐く気になれずにガクリとうなだれる。第三者がみれば今のキンジが遠い目になっていることが容易にわかったことだろう。こうも短時間で
ある程度師匠たるキンジの反応を楽しんだ当の陽菜は「まぁ、その辺の話はゴミ処理施設やゴミ屋敷にでも捨て置くでござる」とあっさり先までのコントに近い雑談を切り上げると、スッと前方に視線を移した。
「聞くところによると、師匠には大事な任務があるとのこと。ならば、師匠の戦姉妹たる拙者が全身全霊をもってこの者を足止めしておくでござるので、その隙に師匠は任務を完遂するでござる。師匠、立てるでござるか?」
「あ、あぁ。もう大丈夫だ」
陽菜は鋭い眼差しでレキを見据えつつキンジに提案の言葉を投げかける。声のトーンが今までとは明らかに変わったことで陽菜がシリアスモードに切り替えたことを察知したキンジは差し出された陽菜の手を借りて立ち上がる。先までの陽菜とのやり取りを経る中で、キンジは
性格が少々厄介なものの、現状において陽菜の登場はキンジにとって凄くありがたい。眼前でこちら側のやり取りをジッと見つめていたレキの戦意が陽菜の「足止め」の言葉を機に再燃し、再び殺気をその身に纏った以上、丸腰のキンジがレキから逃走するためには陽菜の協力が不可欠だ。無表情ながらブチ切れてしまったレキの存在を前に、キンジには陽菜の提案が大層魅力的に感じられた。
「貴女は私とキンジさんとの切磋琢磨を邪魔するつもりですか? いい度胸ですね。誰かは知りませんが、容赦はしませんよ?」
「はて。おかしいでござるな。拙者の目には貴女が徒手空拳の師匠を一方的に窮地に追いやっていたようにしか見えなかったでござるが?」
「貴女の目は節穴ですか? キンジさんは武器を出すまでもないと言わんばかりに余裕綽々で私の攻撃をかわしていたではありませんか。尤も、途中からは果物ナイフを駆使していましたが」
「やれやれ。話にならんでござるな。まさか
「……」
「……」
レキと陽菜。初対面の二人が互いに言葉を交わしていくうちに、二人の間に険悪な空気が流れ始める。最初こそ互いに言葉の応酬を繰り広げていた二人だったが、最後には無言で互いを睨みつけるのみとなっていた。陽菜とレキの武偵高生徒のレベルを軽く逸脱した鋭い視線が激しくぶつかり合い、バチバチといった火花を散らしているように感じられる。まさに一触即発といった具合だ。
レキと陽菜との完全な正面衝突。それだけは何としてでも避けたいとキンジは考えている。レキは紛れもなくSランク武偵の実力を有している。いくらレキが遠距離での狙撃が本分で陽菜が卓逸した忍者属性を持ち合わせているとはいえ、諜報科Aランクの陽菜とレキとをただぶつけてしまえば陽菜の分が悪いことは明白だった。下手すれば瞬殺される可能性も捨てきれない。そうなってしまえば俺が逃げ切るまでもなく、陽菜共々レキの餌食になってしまうのは想像に難くない。
「陽菜」
「ん? 何にござるか、師匠?」
「1分でいい。1分だけ時間稼ぎをしてくれ。それだけあれば十分逃げ切れるから」
「1分だけでいいでござるか? 拙者、師匠のためなら2分でも3分でもいけるでござるよ? 何ならあの相手を倒すことも――」
「いや。そこまではしなくていい。それに、今の陽菜じゃレキには勝てないからな」
「御意」
ゆえにキンジは一旦陽菜の注意をレキから逸らすために声をかけ、陽菜の提案を受け入れる代わりに制限時間を設定する。時間無制限なら風魔陽菜デットエンドルートがほぼ確定してしまうだろうが、短めの時間制限があるのなら話は別だ。
それに。キンジが話しかけたことで陽菜はレキとの際限ない視線のぶつけ合いからの離脱に成功している。これなら陽菜がわざわざレキに正面から挑むような真似はしないだろう。陽菜のトリッキーな戦い方をもって、そうやすやすとレキの土俵に足を踏み入れることなく自分の土俵で戦ってくれるはずだ。
「陽菜。無茶だけはするなよ」
「心配無用にござる、師匠。拙者、ちょうど先日、『忍者でもできる! 効率的なバトルジャンキーのあしらい方:上級編(熊にも応用できるよ!)』を読み込んだばかりにござるからな。この知識をもってすれば大概のことはなんとかなるでござる。もちろん、暗唱も可能にござる」
「あぁ。そう」
キンジが念を押す意味で陽菜に声を掛けると、陽菜から自信に満ちあふれた、しかしピントのズレた返答が返ってくる。どうやら陽菜のシリアスモードはものの数分で終了したようだ。得意げに笑顔を見せる陽菜。その自信が油断に繋がらなければいいけどとキンジが内心で呟いていると、ふと陽菜が思い出したかのように口を開いた。
「師匠。今まで機会がなかったため伝えていなかったことがあるゆえ、この際話しておくでござる」
「? どうした、いきなり?」
「拙者にはかれこれ10年以上もの年月を共に歩んできた幼なじみの男の子がいるでござるが、つい5日前、その者に『結婚を前提に付き合ってほしい』と告白されたでござる。拙者としても長年一緒に過ごしてきた相手と恋仲になるのは喜ばしいことだったでござる。しかし。その場で即答するのは何とも恥ずかしく、つい返事を保留してしまったでござる。けれどいつまでも答えを保留にして相手を悶々とさせるわけにもいかないゆえ、この足止めを終えたらOKの返事をしようかとついさっき決めたでござる。いい機会にござるし。師匠、こんな拙者を応援してくれるでござるか?」
「おい!? ちょっ陽菜!? 幼なじみがいるとか初耳だぞ!? つーか何急ピッチで死亡フラグ建設してんだよ!? 洒落にならないぞ!? まぁ応援はするけどさ!」
「ハッハッハッ。ほんの軽いジョークにござるよ。確かに幼なじみはいるでござるが、あいにくそこまで深い関係にはいたってないでござる。それに、その辺の死亡フラグなど華麗に打ち破ってこそ真のSHINOBIにござる」
「いやいや、意味わかんないから!?」
うんうんとうなずきつつ言葉を紡ぐ陽菜にキンジは首をブンブンと振って声を張り上げる。陽菜のペースにすっかり呑み込まれたキンジは自身の精神ゲージが一気にレッドゾーンに突入したかのような疲労感を感じずにはいられなかった。
「あーもう! とにかく頼んだぞ、陽菜!」
「委細承知! 豪華客船タイタニック号に乗ったつもりで安心して逃げてほしいでござる! さァ! ここは拙者に任せて先へ行くでござる! なァに、心配無用にござる。すぐに合流するでござるからな。キリッ」
「安心できるか!? タイタニック号って沈没した奴じゃねぇか!? それにさっきから矢継ぎ早に死亡フラグ建設してんじゃねえよ!? つーか何だよ、キリッて!?」
「気分の問題にござる。キラーン」
キンジは相変わらずの陽菜の物言いにガシガシと雑に頭を掻くと、陽菜に時間稼ぎを任せてバトルジャンキー:レキから退却したのであった。その際、最後の最後まで死亡フラグを積み重ねる陽菜にキンジが全力でツッコんだのはご愛嬌である。
キンジ→陽菜にいいように遊ばれてる熱血キャラ。陽菜の前ではほぼツッコミ担当。
レキ→揺るぎない戦闘大好きっ子。ただいまブチ切れモード……の割にはキンジと陽菜との会話の最中に戦闘再開しないぐらいには空気を読んでいたりする。
風魔陽菜→何だか愉快なことになってる子。冗談好き。マニュアル本コレクター。キンジの前ではほぼボケ担当。原作より精神年齢が高め。時々『キリッ』などといった擬態語を敢えて口にする。
というわけで、満を持して登場したのは陽菜さんでした。中々愉快な性格に仕上がってますね。ボケの陽菜さんにツッコミキンジくん。二人のコントは書いてて中々に楽しかったです。ええ。
でもって、現時点で何気にアリアさんが行方不明。……うん。きっとそのうち登場してくれるはず。私は信じています。
~おまけ(その1 NGシーン)~
レキ「――ッ(←銃剣付きドラグノフでキンジの顔面を狙うレキ)」
キンジ「……(あ、俺、死んだかも――)」
――突如周囲一帯に大音量で流れる某仕事人BGMとよく似た曲調のBGM。
キンジ「え?(何これ? どういう状況!?)」
レキ「……何奴、ですか?(←油断なく周囲を見渡しつつ)」
陽菜「抹殺仕事人、プログラミングの陽菜、ただいま参上にござる(←赤布で顔の下半分を隠した陽菜颯爽登場。その左手には大音量を響かせるラジカセを持っている)」
キンジ「陽菜!?(助けに来てくれたのか? てか、抹殺仕事人ってあれか!? あれのパクリか!? つーか、ラジカセで大音量流すなよ!? これ完全に騒音レベルだぞ!?)」
レキ「曲者め……(←ドラグノフの標準を陽菜に定めつつ)」
キンジ「……え?(あれ? レキも何かノリノリ!?)」
~おまけ(その2 足止めの実際)~
陽菜「……行ったでござるな、師匠」
陽菜「それでは……拙者、風魔陽菜。師匠:遠山キンジ殿の戦姉妹(アミカ)として貴女の足止めに入らせてもらうでござる。いざ、推して参る!(←戦闘に移行しようとしつつ)」
レキ「ん? 風魔陽菜、ですか……?(←殺意を霧散させつつ)」
陽菜「むむッ? もしや拙者のことを知っているでござるか?(←コテンと首を傾げつつ)」
レキ「もしかして、忍者フーですか?」
陽菜「なッ!? な、ななななぜ拙者の裏の名を知っているでござるか!? これはまだ誰にも話してないトップシークレット情報だというのに――(←動揺しつつ)」
レキ「魔導士ヴァン。この名に聞き覚えはありますか?」
陽菜「も、勿論にござる。ヴァン殿は拙者と苦楽を共にしてきた同志の一人――ッ!? ま、まさか、貴女がヴァン殿にござるか!?」
レキ「はい。そのまさかです。こうしてリアルで会うことになるとは思いませんでした」
陽菜「全くでござる。いやはや、世界とは狭いものでござるなァ!(←嬉しそうに)」
レキ「どうです? そこのファミレスで休憩がてら話でもしませんか?(←指で指し示しつつ)」
陽菜「奢るでござるよ、ヴァン殿。いや、ここではレキ殿と言った方がいいでござるか?」
レキ「好きにしてください。どちらの呼び名も好みですから。しかし、ここは割り勘の方がいいのでは? 私は陽菜さんに奢られるほど困窮していませんよ?」
陽菜「そういう意味ではないでござる。実は拙者、こう見えてお金の使い道には少々困っているゆえ、こういう機会は逃したくないのでござる」
レキ「そういうことですか。それならここは陽菜さんに甘えることにしましょう」
陽菜「あそこのファミレスのアイスは絶品にござる。ぜひレキ殿も食べてほしいでござる。確実に虜になるでござるよ」
レキ「それは楽しみですね」