【完結】熱血キンジと冷静アリア   作:ふぁもにか

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シャーロック「な、殴ったね? 親父にもぶたれたことないのにッ!(←迫真の表情)」
キンジ(キャ、キャラがとんでもなく崩壊してる!? ちょっと本気で殴りすぎたか!? ど、どうしよう? どうやって直せばいいんだ、これ!?)

 どうも、ふぁもにかです。今回は、キンジくんの華々しい勝利に終わったシャーロック戦の後の話です。前回、第五章の最大の山場を越えたせいか、ここ最近の文字数よりは割と少なめな本編となっております。……それにしても、ここの所はどうもサブタイトルがカッコつけすぎな感じがするのですが、皆さんはどう思いますかね?



126.熱血キンジと男の最期

 

「……」

 

 ボストーク号艦内のやたら広大なホールにて。目の前の光景をアリアは信じられなかった。全身ズタボロ状態のキンジが自身の敬愛するシャーロック・ホームズを思いっきり殴り飛ばしている様子を前に、思わず己の目を疑っていた。

 

 キンジの勝利を信じていなかったわけではない。あり得ないと切り捨てていたわけではない。しかし。たとえ信じていても、そう簡単には飲み込めない展開というものは得てして存在するものだ。ゆえに。目の前にて繰り広げられた、ただの優秀な武偵に過ぎない存在が、生きた伝説を打ち砕く瞬間を、そう易々と受け入れられるわけがないのだ。

 

 

「俺の勝ちだ、シャーロック・ホームズ」

 

 そんなアリアの視線の先で。シャーロックを全力の左拳で殴り飛ばしたばかりの、多重ヒステリアモード状態なキンジは、勝利宣言の後にゴフッと血の塊を吐く。キンジに顔を殴られ、頭から床へ落下し、仰向けに倒れたまま起き上がる気配のないシャーロック。その様子から戦闘終了の雰囲気を感じ取り、ホッと安堵したせいか、急激に襲いかかってくる脱力感のままにその場に倒れたくなる衝動をどうにか堪えつつ、キンジは左手で乱暴に血を拭う。と、ここで。キンジの深刻な怪我の状態が目に入り、ハッと我に返ったアリアがキンジの元へと慌てて駆け寄った。

 

 

「キンジ!? 大丈夫ですか、キンジ!?」

「心配しなくていい、俺は大丈夫だ」

「大丈夫なわけないでしょう!? 強がりを言ってる場合じゃ――」

「――アリア、俺のことはいい。今はそれより、あっちだ」

「え? あ……」

 

 キンジが目でシャーロックを指し示すと、アリアはキンジの意図をすぐさま理解する。そして。アリアはキンジの怪我を心配そうに見つめつつも、一旦キンジから離れてシャーロックの元へと速やかに移動した。

 

 

「ハハハッ。うむ、痛いなこれは。凄く痛い。あまりの痛さについ涙を流しそうになってしまうよ。僕がこうもまともにぶん殴られたのは、はたしていつ以来だったか……」

 

 殴られた右頬を労わるようにさすりながら朗らかな笑みを浮かべていたシャーロックを見下ろし、アリアは「ひいお爺さま」と声をかける。そして「何だい?」と柔らかな声色で問いかけるシャーロックの言葉には答えず、シャーロックの手を取り、ガシャンと超能力者用の手錠をかけた。

 

 

「ひいお爺さま。いえ、シャーロック・ホームズ。貴方を、未成年者略取の罪で逮捕します」

「……ふむ、捕まってしまったか。やれやれ、まさかこの僕が手錠をかけられる犯罪者の気分を味わえる日が来るなんてね。今まで僕が捕まえてきた犯罪者諸君も、こんな気持ちだったのかな? ……うーむ。それにしても、中々頬の痛みが引かないな。これはパトラ君に頼んで僕の怪我も治療してもらおうのもアリかもしれないね」

「……何か、捕まった割には随分と余裕だな、シャーロック」

「そうでもないさ。ただ、こうしておどけずにはいられないのだよ。予習の時点で倒しきれなかったキンジ君が相手である以上、ある程度の条理予知(コグニス)の乱れは想定していたつもりだった。だが、さすがにキンジ君に一撃入れることもできずに完全に敗北し、こうして手錠をかけられる衝撃的な展開なんて、さすがに条理予知(コグニス)では導け出せなかったからね」

 

 仰向けに倒れたまま、シャーロックは手錠で繋がれた両手首を上へと持ち上げて感慨深そうに視線を注ぐ。と、ここで。シャーロックの顔に変化が起こっていることにキンジとアリアは気づいた。さっきまでは若々しさを前面に押し出した好青年風な容姿をしていたはずなのに、いつの間にか中年男性のように少々老けた容姿に移り変わっているからだ。それでもなお、整った容姿を保ち続けている辺りはさすがはシャーロックといった所なのだろう。

 

 

「ひ、ひいお爺さま!? これは一体――」

「――簡単な話さ。僕は君に緋弾を継承することで自ら緋弾を手放した。これにより緋弾の持つ延命作用の恩恵を失った。ゆえに。今更な老化が始まっているのだよ」

「「ッ!?」」

 

 アリアの問いの中身を推理したシャーロックは手短に自らの状況を口にする。その内容に、キンジとアリアはそろって目を見開く。当然だ。今や緋弾の延命効果を利用できないシャーロックの体は、緋弾により遅らされていた肉体的成長を一気に始めているのだ。おそらく20代辺りで止まっていたシャーロックの体の時間が動き出し、一気に150歳辺りまで成長しようとしているのだ。その成長の先にあるのは、老衰。そして――逃れようもない死。今まさに、シャーロック・ホームズという名の傑人が死のうとしているのだ。

 

 

「運命を変え、最良の世界へたどり着く。これが僕の使命だった。いや、条理予知(コグニス)で未来を見据えることのできる僕だけの使命だと位置づけていた。しかし、運命を変えるのは非常に労力が必要でね。軽く100年以上も取り組んできたせいか、さすがに一般人な僕はもう疲れてしまったよ。……だから、今日を以て、この役目は君たちに託させてもらうよ。キンジ君。先も言ったが、最良の世界のために――」

「――まだそれを言うか、シャーロック。最良の世界なんて願い下げだ。アリアを犠牲にしないと導けない理想の世界なんか、俺はいらない。つーか、そんな世界とっとと滅んでしまえ」

「……全く、今の君は本当に過激だね。今の君がどんなヒステリア・サヴァン・シンドロームを発動させているのかを知りたい欲求につい駆られてしまうよ」

 

 シャーロックの顔が少しずつ老衰していく様子が目に見えてわかる中。自身の元に歩み寄って来たキンジのすげない言葉にシャーロックは苦笑を零す。その後、今のキンジを形作る原因について、さらっと問いを投げかけるシャーロックだったが、その問いは「企業秘密だ」とのキンジの一言であっさりと切り捨てられることとなった。

 

 

「大体、お前、何様だよ? 運命を変えるとか、最良の世界を目指すとか、そんな大それたことはたった一人の人間がやっていいことじゃない。人間一人一人が行動で示して、結果的に世界が変わっていくってのが正常だ。それが最終的に最良の世界になろうが、破滅的な世界になろうが、それはあくまで人間の勝手だ。違うか?」

「ふむ、なるほど。そういう考え方もあるか。興味深いね」

「……シャーロック。俺は世界だとか運命だとか、そんなバカでかくて、見えなくて、抽象的なものを一々気にしてやるつもりはない。俺は武偵として、俺のやりたいようにやる。俺が守りたいって思った人を全力で守って、俺が正しいって思ったことをひたすら貫き通す。その際にどんな障害が立ち塞がろうとも、絶対に乗り越えてみせる。それだけだ」

「……それがどれだけ困難なことか、わかっているかい?」

「当たり前だ。だが、俺は世界最強の武偵になる男だ。それぐらいできなくてどうする?」

「そうか。ふふ、そうかい」

 

 シャーロックはキンジの答えに思わず微笑みを浮かべる。シャーロックの反応が気に食わなかったキンジが「何がおかしい」とジト目で睨みつけるも、当のシャーロックは「いや、何もおかしいことはないよ」とどこ吹く風だ。

 

 

「……ったく。ホント変な奴だよな、お前」

「酷いなぁ。僕ほどおかしい所が特に見受けられない普通な人間なんて早々いないだろうに。まぁそれはさておき。キンジ君、アリア君のことをどうかよろしく頼むよ」

「アリアを危険にさらしまくったお前に言われるまでもねぇよ。アリアは俺が全力で守る」

 

 キンジは決意に満ち満ちた、力強い声色で何の臆面もなく宣言する。一方、シャーロックは「そうか。差し出がましいことを言ってしまったね」とキンジから視線を外し、キンジの直球な言葉に少々顔を赤らめるアリアを見つめて、言葉を紡ぎ始める。

 

 

「アリア君。今まで僕のせいで、君には散々辛い目に遭わせてしまったね」

「……はい」

「この件について、間違ったことをしたとは微塵も思っていない。しかし、いかに大義名分を掲げようと君を執拗に苦しめた事実は変わらない。……敗者は勝者の意向に従うものだから、ここで言わせてもらうよ。アリア君、本当にすまなかった」

 

 シャーロックからの誠意ある謝罪。キンジがシャーロックと戦う前に「アリアに謝れッ!」と主張したことを踏まえて謝意を示してきたシャーロックを前に、アリアは肩をピクリと震わせる。そして。逡巡の後、アリアは複雑そうにシャーロックを見下ろしながら、静かに口を開いた。

 

 

「……ひいお爺さま。正直、貴方に対して思う所はいっぱいあります。責めたい気持ちもあります。本当に、寂しかったんですよ? 私はもっとお母さんと一緒にいたかったです。子供の頃からたくさん友達を作って、いっぱい友達と話して、遊びたかったです」

「……」

「言いたいことはたくさんあります。ですが、今はこれだけ言わせてください。……ありがとうございます、ひいお爺さま」

「……え?」

「確かに、ひいお爺さまのせいで失ったものはあります。ですが、ひいお爺さまのおかげで手に入れられたものもあるんです。ひいお爺さまが筋書きを作ってくれたからこそ、私の人生にレールを敷いてくれたからこそ、私はキンジと、大切なパートナーと出会えました。こう言っては何ですが、お母さんに濡れ衣を着せられることがなければ、私とキンジが出会うようなことは、おそらくなかったでしょう」

「……」

「それだけではありません。ユッキーさんも、理子さんも、その他にもたくさん、私は友達だと、仲間だと思える人たちと出会うことができました。これまでお母さんを助けようと躍起になってばかりであまり目を向けていなかった所だけど、私が東京武偵高で得たものは、何物にも代えがたい宝物です。……だから、ありがとうございます。私に、大切な人との出会いをくれて。私にはもったいないぐらいの人たちとの出会いをくれて。本当に、本当にありがとうございます」

 

 アリアはシャーロックへと深々と頭を下げる。そして、おもむろに頭を上げたアリアはまるで花が咲いたような心からの笑顔を浮かべた。これに対し、ついに白髪交じりの髪となったシャーロックは無言のまま、呆然とアリアの笑顔を見上げるのみだった。

 

 

「え、と。ひいお爺さま?」

「……あ、あぁ。すまない、アリア君。まさか感謝されるとは思わなかったから、つい固まってしまったよ。やれやれ。僕の推理では、多少なりとも非難されるはずだったのだがね。……アリア君もまた、僕の推理以上に成長してくれていたってことだろうね」

「へぇぇ。ってことは、俺だけじゃなくてアリアもお前の推理を越えたってわけだ。何だよ、条理予知(コグニス)も大したことないじゃねぇか」

「僕の条理予知(コグニス)が大したことないというよりは、君たちが規格外なだけだと思うけどね。だけど、君たちなら本当に全てを任せられる。僕の条理予知(コグニス)を超越できる君たちが今の心情を大切にしてくれている限り、きっと世界はより最良へと近づいていくことだろう。それもより犠牲の少ない、誰も苦しまなくていい形でね」

 

 ニヤニヤとした笑みを貼りつけて皮肉をぶつけてくるキンジに対し、シャーロックは何食わぬ顔で返答する。その自身の想定した反応と全然違うことにキンジがムッとするのをよそに、シャーロックはどこか安心しきった口調で独言する。

 

 

「さて、アリア君は僕の所業に対し感謝の言葉を送ってくれたが、それでは僕の気が収まらないのでね。お詫びといっては何だが、アリア君。最後に2つ、君にプレゼントをしよう」

「プレゼント、ですか?」

「うん。まず1つ目は、かなえ君の件だ。僕は元々、アリア君が僕の後継者にならない道を選ぼうと、かなえ君を解放するつもりだった。無事に緋弾の継承を終えた以上、もうかなえ君を不当に拘束させ続ける意味はなくなったからね。ゆえに、かなえ君を解放する手回しは既にほぼ終えている。やり残してしまった手回しもほんの少しだけ残っているが……そのことについては全てカナ君に尋ねるといい。彼女には、他者に特定の記憶を植えつける、僕がオリジナルで開発した武偵弾――手紙弾――をあらかじめ撃ち込んであるから、かなえ君解放のためにやるべきことは全てカナ君が把握済みだ。後はカナ君が知る手順通りに行動すれば、かなえ君は必ず釈放される」

「ほ、本当ですか!?」

「あぁ、約束するよ」

 

 シャーロックの口から神崎かなえの解放に関する明るい展望を聞いたことで、アリアの顔は見る見るうちに喜色に染まっていく。一方。キンジは別のことに思いを巡らせていた。焦点のまるで定まらない眼を存分に見開き『な、に……!? あ、たま、が、割れ……!?』と苦しそうに呻いていたカナの姿を自身の脳裏に浮上させていた。

 

 

(……あの時。カナ姉が心臓を撃たれたのに頭を抱えていたのは、シャーロックの一部の記憶を無理やり押しつけられてたからってことか。なるほど、道理で)

「そしてもう1つ。これはプレゼントというほど大層なものではないが、名前をあげようと思う」

「名前、ですか?」

「あぁ。僕には『緋弾』を英訳した二つ名を持っている。『緋弾のシャーロック(SherLock The Scarlet Ammo)』といった具合にね。その名を君にプレゼントすると、君は『緋弾のアリア(Aria The Scarlet Ammo)』となるのだが、どうだろうか?」

「緋弾の、アリア……」

「中々悪くない反応のようで安心したよ。今のアリア君はもう僕の条理予知(コグニス)では完全に推理できない境地にいるから、嫌がられてしまったらと不安だったんだ。まぁ、この二つ名は強制じゃない。もし気に入らなくなってしまったら、その時は改めて捨てるといい」

「捨てるなんて、とんでもありません! 一生、大事にしますッ!」

 

 アリアは両手をギュッと握りしめて声を張り上げる。そんな微笑ましいアリアの様子を見上げるシャーロックの体はもう随分と老衰しきっている。見た目だけで判断するならば、もう90代辺りまで体の老化が進んでいるようで、すっかりよぼよぼのお爺ちゃんのようで、もはやシャーロックの最期が秒読み段階にまで迫っているのは誰の目からも明らかだった。

 

 

「さて、そろそろ時間か。息をするのも、苦しくなって、きたよ」

「ひい、お爺さま……」

「激動の一生、だった。凡人な僕には、手に負えないような、事ばかり起こって、奔走して、がむしゃらに、生きてきた、そんな、人生だった。正直、ロクな、最期でないと、推理していたが、君たちの、おかげで、幾分か、素晴らしい、最期を、迎えられそうだ。こんな風に、終われる僕は、きっと、幸せ者だ」

「……」

「もしも、来世、というものが、あるのなら、そこでまた、会おう。今度は、全く別の、立場で、会えると、いいね。……さらば、だ。ア……リア君。キン……ジ君……」

 

 途切れ途切れながらもどうにか自身の言いたいことを言い終えたシャーロックはスゥと目を瞑る。全身から力を抜き、ゆったりと息を吐き出し、動かなくなった。

 

 

「……ひい、お爺さま?」

 

 アリアの呼びかけに、しかしシャーロックは反応を示さない。

 アリアが丁重に揺すっても、そっと声をかけても、シャーロックはまるで反応しない。

 まるで人間を高度すぎるほどに再現した人形のように、シャーロックはピクリとも動かない。

 ただ、安らかな寝顔を見せるだけだ。

 

 

「ひいお爺さま? ひいお爺さま?」

「アリア、もう……」

「そんな、ひいお爺さま……ッ」

 

 理屈ではわかっているはずなのに、現実を受け入れたくなくて。拒絶したくて。ご都合主義な展開を期待して。すがりつきたくて。アリアはシャーロックの名を呼び続ける。そのようなアリアの姿が痛ましいあまりに、キンジがつい声をかけると、都合の悪い現実から逃げられないと認識してしまったアリアが、ガクリと両膝をついた。

 

 

「……うぅぅ」

 

 アリアの両眼からツゥと涙が零れたのを契機に、アリアは自身の中にて爆発的に高まる感情を感知した。どうにかそれを押しとどめようとするも、感情はアリアの中でどんどん膨れ上がり。とうとう抑えきれなくなり。アリアは泣いた。

 

 

「ぅぅあぁぁあああああああああああああああああああ――ッ!!」

 

 アリアは泣く。止めどなく流れ出る涙のことなど一切気にせず、泣いて、泣いて、泣き続ける。アリアは上げる。言葉にならない悲鳴を、慟哭を上げる。その慟哭に込められているのは、ただただ深い哀しみである。もう二度と話せない。一緒に同じ時を過ごせない。その事実がアリアを哀しみの境地へと駆り立てているのだ。

 

 

(シャーロック。お前はホント最低な奴だよ。アリアを、こんなにも泣かせやがって……)

 

 小さな体を抱きしめて。いやいやと何度も首を左右に振りながら。哀しみの奔流のど真ん中で泣き続けるアリア。多重ヒステリアモードが解けかけているがゆえに、その小さくか弱い背中を見つめることしかできないキンジは、空気を読んで沈黙を貫くことしかできないキンジは、現状を作り出したシャーロックに対してやるせない思いを抱くのみだ。

 

 

 

 

 かくして。稀代の名探偵であり、武偵の元祖としてその名を馳せたシャーロック・ホームズは、彼のひ孫とそのパートナーが見守る中で、幸せそうに息を引き取った。そして、この瞬間。パトラによるアリアの誘拐から始まった一連の出来事が、ようやく終息の時を迎えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 第五章 熱血キンジと教授 完

 

 

 

 




キンジ→シャーロックにアリアを守る誓いを立てた熱血キャラ。今回は意図的にあんまり描写してこなかったけど、実は失血死まであまり時間が残されてなかったりする。
アリア→自らが敬愛してやまない人物の死を目の前でまざまざと見せつけられた系メインヒロイン。今は悲しみの最中にいるが、この悲しみを精神的に乗り越えた時、彼女はインフレな熱血キンジと冷静アリアの世界で今後も上手くやっていけるようになっている……はず。
シャーロック→ひ孫とそのパートナーに看取られる形で安らかに眠るように死んでいった逸般人。手紙弾の元ネタについては、わかる人はわかるはず。

アリア「うぅぅ、ひいお爺さまぁ……(←ボロボロ涙を零しながら)」
キンジ「アリア……」
シャーロック「やぁ、僕だよ(´・ω・`)」
キンジ「ッ!?」
シャーロック「というわけで、長きにわたるシリアス話は今回で終わりだ。次回からは事後処理回という名の日常回だ。どの程度ギャグに走れるかはわからないが、まぁとにかく読者の皆さんは安心して閲覧するといい」
キンジ「ちょっ、おい!? 死んだ奴が早々に再登場してんじゃねぇよ!? せっかくの余韻が台無しじゃねぇか! 死体は死体らしく無言でその辺に転がってろ! アリアに見つかる前に!!(←シャーロックの脛をゲシゲシ蹴る人)」
シャーロック「そんなー(´・ω・`)」

 というわけで、126話は終了です。原作では『老兵は死なず。ただ、消え去るのみ』云々と言い残して文字通り昇天しちゃうシャーロックさんですが、私的にはアリアさんにシャーロックさんの最期をしっかりと目に焼きつけてほしかったので、こんな感じの展開にしちゃいました。いやぁ、やらかしちゃったぜ、アッハッハッハッ。

 ちなみに。今回の話は『Libera』って名前のボーイソプラノグループが歌う『You Were There』って曲を聞きながら読んでみると、もしかしたら感極まるかもしれません。私はこの曲をBGMにこの126話を執筆したせいで思わず泣きました。音楽の力怖い、超怖い。


 ~ちょっとしたおまけ(シャーロック・ホームズの裏設定)~

※ここから先は、『シャーロック逸般人説』や『シャーロック最強伝説』を信じてやまない方々にとっては絶対に読まない方がいい内容となっておりますので、ブラウザバック推奨です。






●本編で明かされることのなかったシャーロック・ホームズの裏設定
・シャーロック・ホームズは元々は本当に一般人だった。
・運動神経も頭の回転速度も人並み程度。精々機械いじりが好きなだけ。
・対して、シャーロックの妻が人外染みた強さを誇っていた。
・条理予知や超高性能な直感を自力で開発したのも彼女。若くしてずば抜けた頭脳を持っていた。
・その他、彼女は他人の技をあっという間に吸収できるほどの並外れた戦闘技術を保持していた。
・その妻が条理予知した未来が絶望的だったため、最良の世界を目指して運命を変えることを決意。しかし志半ばで自身が死を迎えることも既に条理予知していたため、死の直前に夫たるシャーロックに己の力の全てを託して早死にする。
・その後、妻から力を託され、努力なしにチートとなってしまったシャーロックは凡人の感性を持ちながらも妻が目指した最良の世界のためにただひたすらに奔走する。
・そして。シャーロックは何だかんだで伝説級の活躍をしてのける。
・結局。最期まで自身の力が他者からの借り物であると誰にも悟られることなく、後の世界のことをキンジたちに託して安らかに死亡する。

 ……って感じです。要するに。ここのシャーロックさんは『体はチート、心は一般人』だったということです。そんなわけで、若干ながらここのシャーロックさんは一応原作よりは弱体化してたんですよね、実は。キンジくんがシャーロックさんに勝てた一因もシャーロックさんが原作よりちょいと弱いってのが関係しています。といっても、原作時点でテラチートだった奴を少しばかり弱体化させた所で、所詮はチートでしかなかったわけなんですがね、ええ。

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