問題児たちが異世界から来るそうですよ?~箱庭に吹く風~《リメイク中》   作:ソヨカゼ

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お久しぶりです!
久々の投稿ですね!

今回投稿の話は、疾風の隼さんのコラボに出させていただいたその後日談的なものです。

そちらを見ていただいた後に読んでもらえると嬉しいですね。

それではどうぞ!


拝啓 『異世界の家族へ』

「よっと」

 

明は銀色のオーロラを越え元の世界―――本来明が居るべき箱庭へと帰ってきたのだった。

 

「……あれ、何か普通に使っちゃってたけど今のって某世界の破壊者が使ってたあれじゃね?」

 

背後で消えていく銀色のオーロラを眺めながらそんなことを呟いていると、何やら周りが騒がしいことに気がつく。

そう、まるで『祭り』でもしているかのようなそんな騒がしさが……

 

「いや待て『祭り』?」

 

どうにもその言葉(ワード)が引っ掛かる明は、頭の中で祭り祭りと繰り返しながらその音がする方へと歩き出す。

―――ふと、少しだけ歩を進めたところでもう一つの疑問が脳裏を過った。

そう、ここが何処かという疑問だ。

周りにあるのは樹齢数百年は優に越えているであろう大木の数々。

直に見えるわけではないが、風が運んでくる匂いから水も豊富にあるのだろう。

そして、この条件に該当する場所を明は一つしか知らない。

それは『アンダーウッド』だ。

 

『アンダーウッド』

 

『祭り』

 

この二つのキーワードが伝える事とは即ち……

 

「"アンダーウッドの収穫感謝祭"?ってあああああぁぁぁぁぁぁぁァァァ!!?!」

 

そこまで考えて、自分が異世界の家族に会うまで何をしていたのかを思い出す。

そう、明はアンダーウッドの収穫感謝祭をレティシアと歩いていたのだ。

気乗りしなかったレティシアを割りと無理矢理エスコートして。

瞬間、明は体を風に変えて空へと躍り出る。

 

「ヤバイヤバイ!何がヤバイって何もかもがヤバイぞコンチキショー!?」

 

こっちの世界でどれくらいの時間が過ぎたかはわからないが、幸いにもまだ収穫祭は終わっていない。

空から見下ろした屋台や出店は記憶にあるものにほとんど合致しているため、少なくとも前夜祭の途中であることは間違いないだろう。

というかそうでなければやってられない。

 

「レティシアは何処だ!?」

 

ノーネームの誰かと合流できていればいいのだが、もしそうじゃなかった場合はかなり不味い。

理由は今さら言うことでもないが、メチャクチャ不味い。

とにかく早く見つけ出したい明は、己の五感そのものでもある風を使い片っ端から探し出す。

 

「………ッ!いたッ!!」

 

すると、思ったよりもすぐに見つけ出すことが出来た。

屋台の裏側、目立たないように影の方に隠れていた。

見つけるや否や、明はすぐさま風になりレティシアの元まで直行したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

 

「レティシア!!」

 

「……ッ!?あ、明!!」

 

明はレティシアの元に着くなり彼女を強く抱き締める。

突然のことに混乱したレティシアだが、相手が明だとわかるとすぐに自分も腕を回し抱き締め返す。

傷や怪我は見受けられないが、一瞬だけ見えた顔がかなり険しかった。

おそらく明を探し回っていたのだろうが、周りの視線に耐えかねて裏の方に来ていたのだろう。

 

「ごめん、遅くなって」

 

「……全くだ馬鹿者。エスコートは任せたと言ったのに、目を離した隙に居なくなるなんて……」

 

どうやら思った通りらしい。

明は自分がついているからということでレティシアの顔を隠せるものを身に付けさせなかったが、どうやらそれが裏目にでたようだ。

そうとうストレスが溜まっただろう。

 

「本当にごめん……えっと、ところでレティシア」

 

「……?」

 

「あの……俺がいなくなってからどれくらい経った?」

 

「えっと……一時間くらいじゃないか?」

 

「そ、そっか」

 

レティシアの言葉に心の中でホッと息を吐く明。

どうやらあっちとこっちでは時間の流れが違ったらしい。

……まぁ、時間のズレが逆だったら間違いなく大惨事だった。

それこそ明が泣き崩れるくらいに。

 

「まったく……それで、いったいどこまで行ってたんだ?」

 

「ん?あー、まぁ何て言うか」

 

少しだけ、ほんの少しの間だけ考える素振りを見せた明は、次の瞬間にはニヤリと微笑んだ。

 

「異世界の家族に会いに行ってたんだよ」

 

「え?」

 

「まぁ、後で話してあげるよ。愉快で素敵な、異世界の家族の話を」

 

明の話を終始首をかしげて聞いていたレティシアだが、後で話すと言うことで妥協したようだ。

 

「さて、それじゃあ気を取り直して行こっか、レティシア」

 

レティシアの手を握り明がそのまま歩いて行こうとすると、何故かレティシアは明の手を引き戻す。

何事かと明が顔を向けると、レティシアはそっぽを向いてこう呟いた。

 

「……『レティ』」

 

「え?」

 

「こんなことをしてゴメンで許すわけがないだろ。だから……その、私の事はこれからそう呼んでくれ」

 

「……えっと、それで許してくれるの?」

 

「……あぁ」

 

ぶっちゃけ平手の一発や二発は覚悟していた明だが、あまりにも寛大なレティシアの心に若干泣きそうになっていた。

それと同時に、自分達が恋人っぽいことを全然してないことにも気がつく。

 

「わかった。じゃあ行こうかレティ」

 

「……あぁ。今度は離さないでくれよ」

 

「わかった。それじゃあとりあえず……レティを変な目で見た奴等を虐殺しに行こうかな?」

 

「え!?」

 

異世界の家族の口癖と共に明は刀を抜く。

そう、彼は紛れもなく箱庭の問題児の一人なのだから。

 

「ま、冗談だけどねー」

 

こうして明とレティシアは二人だけのデートを再開した。

この後も色々あったのだが今は語らないでおこう。

いずれまた、話す機会があるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆

 

 

 

 

 

しばらくして、明の元に一通の手紙が届いた。

何時かのようにフワフワと舞い落ちる封筒は明の手にしっかりと収まる。

その手紙の送り名を見た明が急いで開封すると、中からは一枚の手紙と皆で撮った家族写真、そして空色のスカーフが入っていた。

手紙を読み終えた明は静かに微笑むと自室に戻り、早速飾った写真を見ながら筆を走らせる。

 

 

 

 

 

《拝啓 『異世界の家族へ』

まぁ、今さら語ることもないだろうからとりあえずあの時は楽しかったなとだけ言っておく。

異世界の家族は皆暖かい奴ばかりだったな。

 

とりあえずあれだな。

また何かあったら呼んでくれ。

その時はお前の家族としてすぐに飛んでくから。

 

また会える時を楽しみにしてるよ。

風はお前が望めばいつでも吹くから、な。

それじゃ、元気でな五月雨。

 

竜童 明より》

 

 

 

 

 

「……今日もいい風が吹いてるな」

 

明は首に巻いた空色のスカーフをはためかせながら、大切な家族宛に書いた手紙を風に乗せて飛ばす。

必ず彼の元に届くと信じて。

明は一瞬だけ見えた銀色のオーロラに目を細めると、大切なもう一つの家族がいる方へと歩き出すのだった。




疾風の隼さん、本当にありがとうございました!
ちなみに首に巻いたスカーフは仮面ライダーWのサイクロンのあれをイメージしました。
仮面ライダーかっこいいですよねッ!!

それではまた次回お会いしましょう!!




















あ、本作のリメイク来月辺りからちょくちょく出すことに決めました。
前回とは違いほとんど少しの加執修正だけで行こうかと思います。
そのあとは……アンダーウッドまで直したら過去編とそれ以降の内容を書こうと思ってます。

それでは改めて、また次回思お会いしましょう!!

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