問題児たちが異世界から来るそうですよ?~箱庭に吹く風~《リメイク中》 作:ソヨカゼ
タイトルは『問題児たちが異世界から来るそうですよ?~無色の疾風~』です。
基本的な設定や主人公のギフトはほとんど同じですが、回収できなかった伏線や無理矢理すぎる設定等を改善しました。
物語は結構変わっているので、読んでいただけると作者はとても嬉しいです。
また、この話をもって~箱庭に吹く風~は完結とします。
後日談としてやろうとしたネタはあちらで引き継ぎます。
これだけで終わることができないので何か話を書こうとしたのですが………ネタが思い浮かばなかったため明の昔の話にしました。
それではどうぞ。
「ねぇ母さん」
「どうしたのアキラ?」
「何で俺の名前は"明"って書いてアキラなんだ?」
自分の名前の意味について考えたことはあるだろうか?
名前とはいわば、人が親からもらう初めての"
そんな名前に興味を持つのは、人として当然のことだ。
さて、そんな興味を明も持ったことがある。
といっても、これはアキラが明になる前の物語。
故に"零"。
「……それはね、アキラ」
そう、これは物語が始まる前の話だ。
☆☆
「クッソ~母さんめ。これのどこがギフトゲームなんだよ!」
あれから数刻後、アキラはコミュニティの領土にある工房に来ていた。
というのもアキラの母、アイカがこんなことを言い出したからだ。
『……それはね、アキラ。このギフトゲームをクリアできたら教えてあ・げ・る♪』
「迂闊だった。二つ返事でOKしちゃったけど、まさかこんな内容のゲームだったなんて………」
アキラがアイカから受けたゲームを一言で表すなら、"初めてのお使い"というやつだ。
父である
「全く、母さんも母さんだ。こんなの頼んでくれれば普通にやるのに」
「あ!アキ兄だ!!」
「本当だ!」
「アキ兄こんにちわ!」
「おーう、皆元気だな!」
さて、アキラが所属するコミュニティ『黒の細工師』だが、装飾品等の生産を主な生業としている。
その手のブランドとしてはかなり有名らしい。
「あれ、アキラ?どうしてこんなところに?」
歩いている途中に何人かの子供と挨拶を交わしていると、いつの間にか目的地に着いていたらしい。
「どうしてって……父さんが弁当を忘れたから届けに着たんだよ」
アキラは弁当の入った篭を掲げて言う。
すると、ようやく気がついたのか渡は意外な顔をした。
「あっ、あはは……そっか、ありがとね。アイカにはごめんねって伝えてくれるかい?」
「それはいいけどさ。はいこれ」
アキラが渡に手渡したのは、一枚のギアスロールだった。
それに目を通した渡はなるほどと呟く。
「ふむ……ねえアキラ。"アキラ"って字はどう書くか知ってるかい?」
「明るいって字でしょ?さすがに知ってるよ」
「そう。"明"という字には光が明るいとか夜が明けるって意味があるんだ。だからね、僕たちは『どんな暗闇でも照らす明るい希望になって欲しい』という思いを込めて明という名前を着けたんだよ」
「暗闇?」
「ははっ。今はまだ解らなくてもいいさ。でも、これだけは覚えておいて欲しい。アキラは僕たちの"明るい希望"なんだよ」
人は自分の名前の意味を知ったとき、何を感じるのだろうか。
変だとかカッコ悪いだとか思っていた名前も、その裏に隠された親の愛を知れば見方が変わるかもしれない。
「へぇ。じゃあさ、父さん母さんの名前はどんな意味なの?」
「うーん、そうだね………」
動き出した時は止まらない。
しかし、それでも守りたいものはある。
いずれ崩れてしまう日常でも、思い続けることに意味があるのだろう。
アキラ=リンドウ
本作の主人公。
まだコミュニティが魔王に襲われていないため幸せに暮らしている。
夢はコミュニティのリーダーになること。
アイカ=リンドウ
アキラの母。
『黒の細工師』の中では数少ない武道派。
夫と息子、そしてコミュニティを愛している。
ワタル=リンドウ
アキラの父。
『黒の細工師』の設立者にして現リーダー。
本編では黒の道化として活動していた。
妻と息子とコミュニティを愛している。