問題児たちが異世界から来るそうですよ?~箱庭に吹く風~《リメイク中》   作:ソヨカゼ

29 / 42
投稿☆

最近インド人が開いているカレー屋のポークカレーを食べて感動してきた衛宮です。

まぁ、ようやく投稿できたわけですが、正直グダグダですね。
ハイ。

そんな二十五話ですが、どうぞ。



二十五話 一桁からの来訪者

 

 

「……ふぅ。こんなもんかな?」

 

早朝、ノーネームの住居区だった荒野に明の姿があった。

 

ジャージに半袖と動きやすい格好であるため、日課であるトレーニングをしていたと一目でわかるだろう。

 

「おうおう、毎朝結構なことだ」

 

「十六夜か。おはよう」

 

そんな彼の前に現れたのは、頭にカチューシャのようなものをのせた十六夜だった。

 

なぜいつものヘッドフォンではないのかというと、昨晩十六夜が風呂に入っている間に紛失したそうだ。

 

あの十六夜にそんなことができる強者がいるとは思い難いが。

 

「ははっ、なかなか似合ってるぞ?」

 

「ウッセ、ほっとけ。……それより、そろそろ見送りだぞ?」

 

「もうそんな時間か………わかった、今いくよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、ご馳走さま」

 

「ふふっ、お粗末様」

 

あの後、明とレティシア、十六夜はアンダーウッドに行く組を見送った後ようやく朝飯にありつけた。

 

というのも、皆が行くギリギリまで十六夜のヘッドフォンを探していたのだが、結局見つからなかったのだ。

 

そのため、十六夜も残ることとなった。

 

「しっかし、十六夜のヘッドフォンはどこに行ったんだろうな?ここまで見つからないと少し不安になるなぁ」

 

「ん?……あぁ、それはもういい。だいたい検討もついたしな」

 

「いつの間に………いや、まさか耀なのか?」

 

すると十六夜が目を細める。

 

「ほう。なぜそう思った?」

 

「あぁ。ここ最近、耀の様子がおかしかったからな。まるでなにか焦っているような……」

 

これは本当のことだ。

 

恐らく、自分や十六夜が活躍しているなか自分は何も出来ていないと思っているのだろうと明は予測している。

 

「……まぁ、半分正解だな。確かにヘッドフォンを持っているのは春日部だが、持っていった張本人はあいつじゃねぇ。あの三毛猫だ。……はぁ、この話はもういいよ。春日部が持ってるなら安全だろ」

 

「……そうか、お前がそう言うのならそうなんだろう」

 

「……二人とも、話が終わったならこっちを手伝ってくれ!」

 

二人が同時に腰をあげた瞬間、レティシアからの声。

 

二人は顔を見合わせ、同時に微笑む。

 

「あぁ、わかった」

 

「ったく、しゃーねーか」

 

今日もノーネームは平和である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side白夜叉

 

「あ"~………疲れたのぉ。こういうときこそ黒ウサギの体でふほほぉな事をしたいのじゃが、生憎奴らはアンダーウッドに行っておるし~………どうするかのぉ」

 

やぁ、皆のアイドル白夜叉じゃ!

 

……いや、すまん。

 

悪気はなかったのだが、なにぶん暇でなぁ~。

 

なにかないかのぉ~。

 

「……白夜叉様、お客様が来てますが」

 

「おぉっ!?ナイスタイミングじゃおんし!さっそく通せいっ!!」

 

おお、本当にナイスじゃ!

 

………しかし、誰かと会う約束などしておったかの?

 

「……白夜叉様、お連れしました」

 

「おお、いったい誰が………っ!?」

 

な、なぜこいつがここに……七桁の外門にいるのだ!!

 

「ふふっ……どうやら相変わらずのようね。私の事はわかるかしら?」

 

くっ!!

 

よくも抜け抜けと……忘れるはずもないだろう。

 

今、私の前にいるのは………本来なら一桁の外門にいるはずの女。

 

「何の用じゃ………"天照大御神"(アマテラスオオミカミ)

 

「ふふふっ、少しお願いがあるのよ………白夜叉ちゃんにね?」

 

まったく、なんと運がないことか………。

 

疫病神とはまさにこいつの事をいうのじゃろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ~、疲れた」

 

明は部屋にはいるなり、速攻でベットに倒れこむ。

 

「ふふっ、お疲れさま」

 

明に続くように部屋に入ってきたのはレティシアだった。

 

というのも、レティシアを救出してすぐに十六夜の嫌がらせにより同じ部屋にされたからだ。

 

無論、ベットは一つしかないのだが。

 

「はぁ………レティシアはいつもあんな量の仕事を一人でやってるのか?」

 

今日、これといってやることのなかった明と十六夜は、日頃レティシアがやってくれている雑用を手伝っていた。

 

レティシアがいつもやる量の半分を十六夜と分け合ったのにも関わらず、明はヘロヘロになりながら部屋までたどり着いたのだ。

 

……まぁ、十六夜がちゃんと手伝ったかと言われれば否だろうが。

 

「いや、いつもは子供たちに手伝っていたもらっているよ。イアも頑張っている」

 

「そっか………でも、ありがとな?いつも俺たちのために」

 

「む、あらためて言うことでもないと思うが……どういたしまして」

 

ノーネームのバカップルは今日も健在のようだ。

 

余談だが、扉の前では……

 

「い、十六夜さま!?」

 

「グファっ!?い、イア……コーヒーをくれ!とびきり苦いやつをっ!!」

 

ということになっていたとか何とか。

 

「おやすみ、レティシア」

 

「あぁ、おやすみ。明」

 

こうして、今日も一日平和に終わったのだった。

 

しかし、平和とは儚いもの。

 

なんの前触れもなく崩れだす。

 

明たちは、まだ知らなかった。

 

運命とは、時として最も残酷な結果を要求するのだと………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の朝、明がトレーニングを終えてノーネームに戻ると、十六夜とレティシアが難しい顔をして待っていた。

 

なんでも、空から手紙が降ってきたとか。

 

「それで、誰からなんだ?」

 

「あぁ、恐らく白夜叉からだ。サウザンドアイズの紋章が刻まれてるからな」

 

十六夜の言った通り、手紙にはサウザンドアイズの紋章が刻まれていた。

 

「で、中身は確認したのか?」

 

「いいや、これからだ」

 

まぁ、差出人が白夜叉なだけに、悪戯という可能性も捨てがたいのだろう。

 

とりあえず、明たちは開けてみることにした。

 

「どれどれ………っ!?おいおい、なんだって!」

 

十六夜の予想外の反応に、明とレティシアが身構える。

 

「なんて……書いてるんだ?」

 

「……よろしくない知らせだな。どうやら昨日、アンダーウッドが何者かに襲撃されたらしい」

 

明とレティシア驚愕に顔を歪める。

 

「なんだって!?黒ウサギたちが向かったんだろ!!」

 

「……それで、白夜叉はなんと?」

 

明が興奮しているのに対し、レティシアは落ち着いて続きを促す。

 

それを見て、明も少し落ち着きを取り戻す。

 

「あぁ。今すぐサウザンドアイズ支店まで来いだとよ」

 

「皆が心配だ……行くぞ!」

 

三人は速攻で準備し、サウザンドアイズへと急ぐ。

 

それが、絶望の始まりとも気づかずに……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「白夜叉!!」

 

明はサウザンドアイズに着くなり白夜叉の元へと直行する。

 

途中でいつもの店員が「あっ、ちょっと!?」と言っていた気がしたが気にしない。

 

「……あぁ、来たか明。十六夜とレティシアもご苦労だったな」

 

「それで、皆は!!」

 

「落ち着け明!黒ウサギたちは無事じゃ。安心せい」

 

それを聞いた明は、一息つく。

 

「だから落ち着けと言っているだろう?もっと仲間を信じろ」

 

その後ろから二人が着いてくる。

 

「あぁ、すまん。落ち着いた」

 

「ふむ………それで、おんしたちにはすぐにアンダーウッドへと向かってほしい。ただし、明は残ってくれ」

 

「……え?」

 

白夜叉の予想外の言葉に、明だけでなくその場の全員が固まる。

 

「……どういうことだ白夜叉」

 

「おんしに、どうしても会いたいというやつがいてな」

 

「白夜叉、悪いがそれどころじゃない。今すぐアンダーウッドに向かうぞ」

 

明は、まだ顔も知らない相手よりもノーネームの皆のほうが大事だ。

 

ゆえに、今はそんなものに構わずに皆のもとに行きたいのだ。

 

レティシアは明の意見に賛成らしいが、意外にも十六夜が反対した。

 

「いや、明はここに残ってろ」

 

「十六夜!?」

 

「アンダーウッドの件は俺だけで十分だろ。それに、これ以上お前にいいとこ取りされるのは面白くないんだよ」

 

ヤハハと笑いながら、十六夜はきびすを返す。

 

「それに、白夜叉がこんな状況でも会えって言ってるんだ。きっと、悪い話じゃ無いんだろうぜ?」

 

十六夜は頭だけを白夜叉へと向けて問う。

 

「……あぁ。悪い話にはならんだろ。それに、話が終わったらちゃんと送り届ける。安心せい」

 

浮かない顔の白夜叉であったが、明はとりあえず信じることにした。

 

レティシアを十六夜に任せるのもあれだが、実力は確かなのだ。

 

「……わかったよ。レティシア、先に行っててくれ。十六夜、レティシアの事を任せた」

 

「明……わかったよ。待っているぞ!」

 

「ヤハハ!任されたっ!!」

 

そういって二人は境界門(アストラルゲート)へと急ぐ。

 

このままいけば半日も経たずに着けるだろう。

 

「白夜叉。とっとと終わらせて俺も行きたい」

 

「わかっておる。……こっちじゃ」

 

そういって、二人は奥の間へと向かう。

 

そこにいる人物が誰かも知らずに。

 

()()が、明の運命を変えるとも知らずに。

 

無知な少年は、確実に歩を進める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明と白夜叉が奥に行くと、そこには二人の人物がいた。

 

一人は青空を思わせる蒼の長髪に、太陽の神々しさを宿した金の瞳を持つ女。

 

もう一人は、拘束具の様な装飾を施した黒のコートに、道化を思わせる仮面で顔を隠した人物。

 

体つきからして男だろうか?

 

「……こいつらが?」

 

「あぁ。こやつらがおんしに会いたいと言っていた者たちだ」

 

明が二人から感じたのは、圧倒的強者の風格。

 

文字通り、天と地ほどの差だった。

 

「初めまして。あなたが竜堂明さんですね?私の名は"天照大御神"(アマテラスオオミカミ)()()の外門に存在するコミュニティ"日出ヅル国"(ヒノモト)のリーダーをやっています」

 

「なっ!?一桁だと!!」

 

なぜ一桁のコミュニティのリーダーが七桁の外門にいるのか。

 

そんな疑問が脳裏に過る。

 

しかし、その疑問は次の言葉で文字通り消し飛んだ。

 

「私たちは、貴方に会うためにここに参りました」

 

明は戦慄する。

 

「……なぜ?俺なんかに会いに来た?」

 

「それは……貴方が竜堂渡様の息子だからよ?」

 

ここに来て何度目かの驚愕。

 

聞き間違えでなければ、今彼女は竜堂渡と……明の父の名前を呼んだのだ。

 

「父さんを……知ってるのか?」

 

「えぇ、知っていますとも。渡様も、アイカさんも。なぜなら……私たちは同志だったのですから」

 

 




オリキャラ『天照大御神』(アマテラスオオミカミ)さんの登場です。

そして謎の男の正体や如何に(笑)

次回もなるべく早くに投稿したいと思います。
それではまた次回(;・∀・)ノシ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。