問題児たちが異世界から来るそうですよ?~箱庭に吹く風~《リメイク中》   作:ソヨカゼ

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どうも!
いやー、エピローグにしようと思ったのですが、
そうすると後々ややこしいので止めました。
あと最後に人物設定も載せてます。
ではどうぞ!


二十一話 愛される事

さて、そんなこんなでレティシアとコミュニティ『黒の細工師』の跡地に来ているわけだが.....

 

「え?こんなとこにあったの?」

 

そう、それは件の火龍誕生祭があった北側の街から徒歩数十分。

 

およそ一時間もかからない位の場所にあった。

 

実は一旦ノーネームまで戻っていたりしたので正直二度手間でした。

 

「まぁ、いっか.....」

 

こればっかりは嘆いてもどうしようもないな。

 

「む?さっきからどうかしたか?」

 

おっと、俺の独り言にレティシアが反応してしまったな。

 

「あぁいや、何でもないよ。それより、あそこでいいんだよな?」

 

さて、さっきも説明したがここまで数十分。

 

件の街から一時間もかからない位の場所にある。

 

ほんの数キロくらいという事になる。

 

そのはずだが......

 

ここは既に、ただの荒野だった。

 

いや、ただのというのは誤りがある。

 

そこは、すべてが“死んで”いた。

 

「魔王による被害の爪痕.....。あぁ、ここで間違い無いだろう。もっというと、この周辺は居住区画か何かだろう」

 

そこにあったのはノーネームの時と同じ様な風化した建物、死んだ土。

 

まるで何百年も前に起こった出来事のように感じる。

 

「.....なら、もっと奥にいこう」

 

二人は歩を進める。

 

 

 

 

 

しばらく進み、二人が見た物は.....

 

一言に言い表すなら、異常。

 

「.....何かのギフトだろう」

 

レティシアに一票。

 

そこにあったのは、館だ。

 

この中で綺麗な建物はそれ自体が異常だが、さらに際立つ要因が他にある。

 

その建物の周りには、自然があった。

 

その半径数メートル程度が小さな森の様になっているのだ。

 

「ふぅ。ま、入ってみるしか無いか」

 

明はレティシアと頷きあい、森の中に足を踏み入れる。

 

 

 

 

 

森に足を踏み入れると、不思議な感覚がした。

 

なるほど、空間を遮断する類の結界かな?

 

とにかく、館の中にはいる。

 

なかはまるで定期的に掃除されてる様に綺麗だった。

 

「あれ?ここは....」

 

明は違和感に襲われる。

 

(俺は.....ここに来た事がある?)

 

刹那、明は酷い頭痛に襲われる。

 

それはあいまいな記憶を呼び覚ます。

 

 

 

 

 

『明、こっちに来なさい』

 

そこにいたのは黒目黒髪の、優しそうな男性。

 

(あれは....!?そうか。写真で見たんだ)

 

そう、その人は白夜叉からもらった写真に映っていた一人。

 

明の父親と思われる人だった。

 

『明、いいかい?もしも何か大変なことがあったら、僕の部屋に来るんだよ?』

 

そうか。

 

父さんの部屋。

 

それは確か......

 

 

 

 

 

「....きら。明!」

 

「っ!?あ、あぁ。」

 

レティシア声に、明は現実に戻る。

 

「大丈夫か?急に苦しみ出したが......」

 

「.....あぁ。それより、こっちだ」

 

あの記憶が本当なら、父さんの部屋はこっちにあるはず。

 

「お、おい。はぁ....」

 

レティシアの手を取り、思い出した事を忘れる前に先へと進む。

 

レティシアそんな明に飽きれながらもついて行く。

 

あれ?

 

ギャグじゃないよ?

 

そんな事より、何で父さんの記憶があったのだろうか?

 

謎は増えるばかりだ。

 

 

 

 

 

「ここか」

 

明が記憶を元にたどり着いたのは一つの扉の前だった。

 

「む?これは......」

 

レティシアの声にそちらを見ると、扉の鍵穴に当たる場所にはそれがなく、何か不思議なくぼみがあった。

 

「ん?これは.....。こうか?」

 

明は懐から父親の懐中時計を取り出し、くぼみにはめると、案の定スッポリはまった。

 

そしてそれを反時計回りに回すと、カチッと鍵の開く音が聞こえる。

 

「.....よくわかったな」

 

 

レティシアは何処か不貞腐れている。

 

まぁ、まだ何もして無いしね。

 

「何と無くな。さて、中に入るか」

 

 

 

 

 

扉を開くと、明はまた違和感に襲われる。

 

『明は、力が欲しいかい?』

 

机の上で何かをいじりながら、父さんはそう言った。

 

『あぁ。急に言ってもわからないか。ごめんね』

 

父さんはいじるのを止め、何かのケースを見せる。

 

『もしも、誰かのために力が必要になったら、これを使いなさい。これは、父さんと母さんから明へのギフト(贈り物)だよ』

 

 

 

 

 

「....あれか?」

 

二回目という事もあり、頭痛も耐える事が出来た。

 

そして扉を開けてまず目に入ったのは、まさにそのケースだった。

 

近づいて行くとその上に一つの封筒が置いてあった。

 

「明、これは....」

 

「あぁ」

 

明はそれを手に取る。

 

そこには、『我が愛しの息子へ』

 

そう書いてあった。

 

明は無言でで中身をだす。

 

『我が愛しの息子 明

 

うん、君がこれを読んでいるという事は、何らかの理由で箱庭に来たのだろう。

 

さて、いろいろ書きたいがそうも言ってられないので本題にはいろう。

 

明のことだ。

 

きっと何かの、誰かのために戦い傷つくだろう。

 

しかし、親としてはそれはあまり認められない。

 

なので、これを託す事にした。

 

これは僕の最高傑作だ。

 

だから、この力を使って君の大切な物を守りなさい。

 

そして、自分自身も。

 

これは僕たちが君の親としてできる最初で最後のギフト(贈り物)だと思う。

 

あともう一つ話さなければいけない事があったね。

 

明の、僕たちの記憶は故意的に封じた。

 

正体不明と一緒に明の深層心理の中に。

 

魔王から守るために。

 

そして、これからも幸せであるようにと願って。

 

でもおそらくそれは僕たちの自己満足でしかない。

 

許して欲しい。

 

そしてそのまま君を異世界に飛ばしたんだ。

 

でも、これだけは信じて欲しい。

 

僕たちは、明の事を愛していた。

 

だから、僕たちの分まで幸せになってくれ。

 

話が長くなってしまったね。

 

力の事は、触れれば自ずとわかるだろう。

 

記憶のほうも、正体不明を発現させていればいずれ思い出せる。

 

最後に、明。

 

君の幸せを、天国で祈ってるよ』

 

読み終わった後、明は手紙をそっと置く。

 

「レティシア。俺は、愛されていたんだな」

 

明は上を向き、レティシア尋ねる。

 

恐らく、涙を堪えて。

 

「当たり前だ。そして、これからも.....。私は明の両親以上に愛すると誓おう」

 

レティシアはそんな明に微笑みながら言う。

 

全く、かなわないな。

 

ありがとうと言い、明はケースに手をかける。

 

ロックを外し、蓋を開けるとそこにあったのは.....

 

「刀?」

 

そう、刀だった。

 

明はそっと刃に触れる。

 

すると、また違和感。

 

レティシアが不思議そうに首をかしげる。

 

なるほど、これは....。

 

「風刀影絶」

 

「それがそのギフトか?」

 

レティシアの問いに頷く。

 

「......さぁ、帰ろう」

 

「もういいのか?」

 

「あぁ。もう十分だ」

 

十分すぎるくらい、明は自分が愛されている事を知ったから。

 

そして明は改めて決めた。

 

仲間のために、愛する人のために戦おうと。

 

 

 

 

 

余談であるが、屋敷は二人が出ると崩れて消えた。

 

まるで役目を終えたかのように。

 

「父さん、母さん。ありがとう。俺は、前に進むよ」

 

明はそう言い残し、歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人物設定

 

竜堂 渡(父)

黒髪黒目

 

ギフト

『創造する鎖(クリエイト・カース)』

その名の通り、ギフトを作るギ

フト。

ただし、彼が作れるのは封印の

類だけで、その形は物に限る。

例えば、指輪や時計だ。

故に彼は箱庭で「黒の細工師」

と呼ばれ(髪が黒いから)意外と有

名だ。

ちなみに、彼の立ち上げたコミ

ュニティのなまえにもなってい

る。

主にアクセサリー等の生産が目

的のコミュニティだった。

 

 

竜堂 アイカ〈アイカ=シルフィード〉(母)

赤茶色の髪と瞳

 

ギフト

『風霊王《絶空》』

風霊王のオリジナル。

能力は風、大気、天候、さらに

真空を操れる。

渡の力で作った指輪にこれの複

製版を封印する事で子供(明)に託

した。

 

 

竜堂 明

黒髪に赤茶色の瞳

 

ギフト

『正体不明(コード・アンノウン)』

十六夜のと違い、ギフトの力は

理解しているため、完全に使い

こなせる。

能力は恩恵を絶つ風。

簡単に言うとギフトの無効化能

力を付加させた風だ。

 

『風刀影絶(ふうとうかげたち)』

あらゆる恩恵を収納できる刀。

ギフトカードの刀版の様な物。

名前の由来は書いて字のごとく

影(悪)を絶つ風の刀だ。

また、収納したギフトは刀のま

まで使う事ができる。

ちなみに、渡が明のために作っ

た最高傑作。まさに唯一無二の

逸品。




疑問等がありましたら何でも言ってください。
あと、今月中はこの投稿が最後だと思います。
理由は三つありまして、一つ目は誤字脱字が思ったよりも多く、
直したいと思ったからです。
少しでもそんなところがあったら教えてくれると嬉しいです。
二つ目は宿題ですね。
面倒くさいですけど早めに片付けたいです。
そして三つ目、これが一番重要です。
この度、明の子供の話も書くことにしました!
ぜひ見てください!
あとこの間に原作手に入れないといけませんし......
それでは皆さん、また次回!!

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