問題児たちが異世界から来るそうですよ?~箱庭に吹く風~《リメイク中》   作:ソヨカゼ

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書いてて思いましたね。
これがご都合主義!これが独自解釈!!
まぁ、簡単に言うと王道ものの覚醒シーンですかね。
原作知らないと読み辛いかもしれませんが
どうぞお楽しみ下さい。



十九話 正体不明(コード・アンノウン)

暗い。

 

暗い。

 

暗い。

 

右も左も、上も下も、前も後ろもわからない。

 

そんな闇のなかに、明は立っていた。

 

いや、立っているのかも怪しい。

 

横になっているのかもしれないし、逆さになっているのかもしれない。

 

(俺は、死んだのか?)

 

記憶が確かなら、ペストの死の風をモロに食らったはずだ。

 

死んでいてもおかしくない。

 

(レティシアは無事だろうか)

 

まるで場違いな事を考えている自分に、明は苦笑いする。

 

(ここは、何処だ)

 

ただ真っ暗な闇の中を、明は漂っていた。

 

「全く、何であんなに無茶をするのかしら?」

 

(っ!?その声は、ウェンディ?)

 

彼女がいるという事は、ここは俺の深層心理なのだろうか。

 

「ええ、そうなるわね」

 

でも、今までと何かが違う。

 

常闇の空間に何処からか響く声。

 

そこまでは変わらないのに、何かがずれている。

 

「それは、貴方の魂が肉体を離れる、つまり死ぬところだったのを無理やり引っ張ってきたからよ」

 

(それはつまり、俺はまだ生きている?)

 

「正確には仮死状態といったところよ」

 

(なるほど。でも、何で声が出ないんだ?)

 

さっきから口が動かない、というより身体中の感覚がまるで無いのだ。

 

「貴方は今、肉体と完全に離れているの。あと数刻のうちに戻らなければ、貴方は死ぬわ」

 

(.....なるほど。それで、どうやったら戻れるんだ?)

 

「そうね.....。貴方は、ギフトって何だと思う?」

 

あまりにも唐突な質問に、明は唖然としていた。

 

(えっと、才能の事だろ?箱庭内での力の総称.....。あれ?)

 

ここまできて明はそれしか知らない事に気づいた。

 

「そう、やっぱりね」

 

ウェンディため息をひとつもらした。

 

「いい。ギフトとは即ち、所有者の魂そのもの。神や星霊から授かったもの、生まれながら持っていたものは特に、その存在の起源とも言えるの」

 

(つまりギフトとは、所有者の本質そのものって事か?)

 

「えぇ、そうよ。そして生まれながら持っていたもの、神造のギフトは二つと存在しない。あっても、それはレプリカがいいところね」

 

(待て、それじゃあつまり俺のギフトは.....)

 

「そう。貴方の風霊王はレプリカ.....いえ、複製品よ」

 

(え?じゃあ、俺のギフトはいったい......)

 

「貴方の本当のギフトは風霊王じゃない。そして貴方がここから出る方法はただひとつ。貴方自身のギフトを持って、『死の呪い』を断ち切るのよ」

 

すると明の目の前に一つのギアスロールが現れる。

 

『ギフトゲーム名“風は止まない”

 

プレイヤー“竜堂 明”

 

勝利条件

・自分のギフトを見つける

 

敗北条件

・勝利条件が満たせなくなった場合

 

・制限時間はプレイヤーの肉体が死ぬまで』

 

読み終わると同時に世界は変わった。

 

 

 

 

 

そこにあったのは今までの闇ではなく、無限に続くと思われる荒野。

 

空は曇り、所々から竜巻が発生している。

 

草木がほとんどない、そんな荒野だ。

 

「ここは.....!?あれ、しゃべれる?」

 

さっきまでは指先ひとつ動かせなかったのに、今はそんな荒野に立っていた。

 

『さあ、貴方のギフトを見つけて』

 

何処からか響くウェンディの声。

 

「あぁ、そうだな。とっとと見つけて、レティシアのところまで行くぞ!」

 

 

 

 

 

「----------......止めた」

 

「え?」

 

戦いは進み、ウェーザーは十六夜に、ラッテンは飛鳥とディーンに敗れた。

 

それを知ったペストのつぶやきに、レティシアとサンドラは驚く。

 

「時間稼ぎは終わり。白夜叉だけを手に入れて-----皆殺しよ」

 

刹那、黒い風は天を衝いた。

 

「先ほどまでの余興とは違うわ。触れただけで、その命に死を運ぶ風よ」

 

そう、明を襲った物と同じ死の風だ。

 

「やはり、与える側のギフト!死の恩恵を与える神霊の業か!!」

 

その正体は死を与える恩恵の風。

 

触れるもの全てに死を与えるギフトだった。

 

そしてペストの風は無差別攻撃を始める。

 

「ま、まずい!」

 

さらに最悪な事に、それは逃げ遅れた少年をとらえる。

 

「くっ!させるか!!」

 

レティシアはその間に割り込み、影を盾に守ろうとする。

 

「うぅ!負けて......たまるか!!」

 

レティシアはある覚悟を胸に、このゲームに挑んでいる。

 

それは、誰も死なせない事だ。

 

自分の大切な人は守れなかった。

 

だからせめて、彼の分まで誰かを守ろうと誓ったのだ。

 

(でも、このままでは.......)

 

しかし無情にもその風は勢いを増し、命を刈り取りにくる。

 

「っ!明、私は......。必ず守って見せる!!」

 

次の瞬間、盾は呆気なく貫かれる。

 

(明.......)

 

死の風に飲まれようとする中、レティシアは目を閉じ考えていた。

 

また、会いたかったと。

 

しかし、いつまでたっても風は襲ってこない。

 

それどころか、何かに抱えられている感覚がした。

 

(っ!?これは......まさか!)

 

そしてレティシアが目を開けるとそこには......

 

「よう、待たせたな?」

 

レティシアは明に抱えられていた。

 

「.....明、なのか?」

 

そこにいたのは、“真っ白”な明だった。

 

 

 

 

 

「.......俺のギフトか」

 

明は空を見上げながらつぶやく。

 

そこには、ゲーム開始時とは違い、見事な青空が広がっていた。

 

「えぇ.....、そうよ。正真正銘、貴方のギフトよ」

 

明が後ろからの声に振り返ると、一人の女性がたっていた。

 

「貴方が.......アイカさん」

 

そこにいたのは、つい先日見たばかりの人。

 

白夜叉からもらった、明の両親と思われる人の一人。

 

「.....えぇ。私の名前は、竜堂 アイカ。貴方の.....母親です」

 

苦しそうに、とても苦しそうに、目の前の女性、母さんはそう言った。

 

「かあ.....さん」

 

「ごめんなさい。聞きたい事はたくさんあるだろうけど、時間が無いの」

 

申し訳なさそうに言った。

 

でも明は聞きたかった。

 

いや、どうしても一言叫びたい事があった。

 

「母さん」

 

「え?」

 

そのあまりの気迫に、アイカはためらう。

 

スゥ、と明は息を吸う。

 

そして次に出た言葉は......

 

「若過ぎるだろぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」

 

「......え?」

 

予想外のセリフに間抜けな声をもらしたアイカは悪くないだろう。

 

そして、そんな事を言った明ももちろん悪くない。

 

なぜなら、目の前のアイカはどう見ても二十代前後なのだ。

 

写真より若く見える。

 

「あれか?俺の父さんは犯罪者なのか?そうなんだな!?どう考えてもおかしいよね!?何歳の時に俺を産んだんだよ!?」

 

まぁ、単純計算で四歳の時には産んでるよね?

 

「えっと.....ち、違うの!!」

 

ようやく我に帰ったアイカが明を止める。

 

「今の私はただの残留思念。それと、貴方を産んだのは十九歳の時よ。」

 

「な、なるほど。よかった、父さんが犯罪者じゃなくて」

 

まあ、十九でも充分若いんだが。

 

「ふふ、そっか。いい子に育ったのね。明」

 

漫才がひと段落してから、アイカは微笑んだ。

 

「ごめんね、もう時間なの。さっきも言ったけど、私はただの残留思念。長くは無いの.......。だから、私たちのコミュニティに行って。そこで待ってるから」

 

言い終わると同時に、世界は崩れ出す。

 

「っ!?母さん!!」

 

明は手を伸ばす。

 

それに対し、アイカはただ「まってる」とつぶやく。

 

(あぁ、絶対に行くから。待っててね)

 

そして、明の意識は途切れた。

 

 

 

 

 

「!?」

 

明が目を覚ますと、そこは何処かの病室だった。

 

「そうか、戻ったんだ」

 

ガタン。

 

明が鑑賞に浸っていると、何かが落ちる音がした。

 

「明.....様?」

 

振り返ると、そこにはリリがいた。

 

「あぁ、おはよう。黒ウサギを呼んでくれないかな?」

 

おそらくゲームは始まっているだろう。

 

なら、あと残っているのは黒ウサギくらいだろう。

 

「は、はい!!」

 

リリはそういって部屋を飛び出す。

 

「さて、準備しますか」

 

そして、明は着替え出す。

 

 

 

 

 

「明さん!無事なのですか!?」

 

しばらくして、黒ウサギが飛び込んできた。

 

「あぁ、そんな事より、二つ聞いてもいいか?」

 

「へ?い、Yesなのです!」

 

いきなり言われたせか、黒ウサギは戸惑う。

 

「まず一つ、このゲームに関する十六夜の考察を教えてくれ」

 

あいつの事だ、もう答えは出てるだろう。

 

そして思った通りだった。

 

内容をまとめると、本物のハーメルンの笛吹きはウェーザーである事。

 

他の奴等が殺し方を具現化させた悪魔であるのに対し、ペストは黒死病による被害者の怨念の塊である事。

 

そしてペストのギフトは神霊になり与える側になった事で強化された死を与える物である事。

 

この三つだ。

 

「なるほど。じゃあ二つ目な。黒ウサギはゲーム盤持ってる?」

 

「えっと、持ってる事には持っていまs「サンキュー」え?ちょっと明さん!」

 

律儀にギフトカードを出して説明しようとした黒ウサギからカードごと奪う。

 

「さて、準備は終わったし行くか」

 

そして明も自身のギフトカードを出す。

 

そしてそこに書かれていたのは.....

 

「なっ!?明さん!それはいったい!!」

 

黒ウサギが驚くのも無理は無いだろう。

 

何せ、明のカードに書かれたギフト名『重力支配(グラビティ・ルーラー)』と......

 

 

 

 

 

『正体不明(コード・アンノウン)』

 

そう、明が手に入れた力だ。




黒ウサギゲームに参加せず、その穴をレティシアが埋めてますね。
あとレティシアが活躍すると思った皆さん、すみません!
作者の拙い文才ではこれが限界です。



えーっと、一応次回終わったらエピローグを書くつもりなのですが
ここでひとつアンケートを取りたいと思います。
内容は、活動報告で!
それではお願いします!
あと通算UA五桁突入!
皆さんありがとう!



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