問題児たちが異世界から来るそうですよ?~箱庭に吹く風~《リメイク中》 作:ソヨカゼ
と言う勢いで書きました。
レティシアは後半少しデレます。
今後はこんな感じのベタなデレが多くなりますが、暖かい目でお願いします。
ではどうぞ
さて、レティシアと付き合って数日が経った。
あれからレティシアは、十六夜たちの発言を間に受け、ノーネームのメイドをやっている。
「本当は俺専用が良かったのに......」
「何か言いましたか?」
おっと、口にでていたか。
「何でもないです。それより、白夜叉遅いですね?やっぱり忙しんでしょうか?」
そう、今俺はサウザンドアイズにいる。
ちなみにさっきから話しているのは、俺たちを締め出そうとした店員さんだ。
「えぇ。でも、そろそろくるはずです」
俺は数日前、レティシアを取り戻した後、起きるまで時間があったのでサウザンドアイズで白夜叉にとある依頼をしたのだ。
すると、廊下の方から足音がした。
そろそろかな?と思っていると、ふすまが静かに開く。
「すまんな。店の仕事が思ったより多くてな」
白夜叉が申し訳なさそうに言った。
「いや、無理を言ったのはこっちだ。ごめんな、忙しい時に」
苦笑いしながら白夜叉は座布団に座った。
「それで、何かわかった?」
早速本題に入ろう。
「ふむ、おんしの依頼は『初代の風霊王の所持者について調べて欲しい』との事だったな」
そう、俺はある仮説を元に“両親”について調べ出したのだ。
そしてその中には、あのウェンディと名乗った女性が絡んでくる。
故に、風霊王のギフトごと調べる事にした。
「あぁ。間違いない」
「ふむ。まずわかった事は、初代の名前。『アイカ=シルフィード』と言うらしい」
アイカ。
まるで聞いた事の無い名前だ。
「そして彼女はある時を境に姓が変わっとった。つまり、結婚したのじゃろ。変わった姓は箱庭では珍しく、相手はすぐにわかった。.......ところでおんし、両親の形見は持って来ておるか?」
「あぁ、持ち出しやすいし、肌身離さず持っているよ」
「すこし、見せてもらってもいいか?」
断る理由も無いので、指輪と懐中時計を手渡した。
すると白夜叉は納得した様に頷いた。
「おんしは、『黒の細工師』と言う言葉に聞き覚えはないか?」
全く聞きなれない。
そもそも、箱庭に来て日が浅いので、わかるはずも無い。
俺は首を横に振る。
「そうか。それもそうじゃな。
これらを作った者は、黒の細工師と呼ばれる、今は亡き芸術家の、そして彼のコミュニティの名じゃ」
そう言って白夜叉は指輪の内側と懐中時計の裏を指す。
そこには風を表した様な模様を、一本の鎖で囲った様な模様があった。
それが彼のコミュニティの印と言う事らしい。
「そして彼の名は竜堂 渡(わたる)と言うらしい」
「それはつまり........」
白夜叉は頷く。
「また、アイカの姓も竜堂なのじゃ。他に該当する者は、調べた限りではおらん」
俺の仮説通りに、そして俺の予想以上の事がわかった。
はやくも俺の両親らしい人の名前がわかったのだ。
そして新たな疑問。
白夜叉は確かに、“今は亡き”芸術家と言った。
「そのコミュニティと俺の両親(仮)って.....」
すると白夜叉は話にくそうにする。
「うむ。さっき言った様に、今はもうおらんらしい。十数年前にコミュニティが魔王に襲われ、それがきっかけだそうだ。アイカもそのコミュニティの一員だったらしい」
「ありがとう、白夜叉。重ねて悪いんだが、また依頼していいか?」
「あぁ、もう、乗りかかった船だ。なんでも言ってくれ」
「二人の写真、または顔がわかるものを集めて欲しい。あと、二人の間に子供がいたのかも」
「うむ、またしばらくしたら顔を見せろ。その時までに集めておこう」
「あぁ、ありがとう」
そうして俺は店を出る.......はずだった。
店の入り口まで来て、白夜叉がおれの事をいじり出す。
「そういえばおんし、レティシア告ったそうじゃな。しかもあっちも満更じゃないとか」
ニヤリ
白夜叉が笑う。
「ちょっ!何処でそんな......十六夜しかいないか」
まあ、こんな事するのは奴以外にいないか。
「うわ、ロリコン。しかも犯罪じゃないですか?」
グサッ!
確かに!
ノリでやっちまったがよく考えると犯罪じゃないか?
どう考えても年下、小学生くらいじゃね!?
「やっちまった.....だが後悔はしない!」
そうだ!
ここまで来たら、レティシアといるためならあえてロリコンも受け入れよう!
「すいません、変態でしたか」
グサグサッ!!
あっ、だめだもう立てない。
完全にorz状態になる明。
「カカカッ、心配せんでも犯罪にはならんよ。なんせあいつも数百年行きてる身だ。本当の姿は今とは別の次元で美しいだろう」
思わぬところからの助け舟。
えっ?
白夜叉今なんて言った?
はい?数百年??
「あぁ、吸血鬼だからか」
忘れてたがそんだったな。
「まぁ、他にもあるがそんなところじゃ。レティシアも私も力を封じているからこの姿じゃが、本来の姿になればすごいぞ?」
なるほど。
よくわからんが、だいたいわかった。
「あぁ。それじゃあ、また今度な」
「あぁ、気をつけて。あと、末長くお幸せにな!」
「ははっ、ありがとう」
そうして俺はノーネームの本拠に向かった。
ノーネームに帰ると、早速レティシアを見つけた。
見つけたのは良いのだが........
「ブッ!!!」
やばっ、鼻血出るかと思った。
でも俺は悪くないだろう。
なぜなら、目の前には花の水やりをしている......
メイド服姿のレティシアがいたからだ。
俺はこんな事する奴を他に知らない。
そう......
「十六夜!!」
その叫びと共に回し蹴りを放つ。
「ヤハハハ、メイドと言ったやメイド服だろ?何か異論があるか!」
と言いながら明の蹴りを止める十六夜。
「その件に異論は無い!むしろグッチョブだ!!」
そう、思わず出血しそうになるくらい。
「む?明、帰っていたのか。何故そんな体制をしているのだ?」
こちらに気づいてレティシアがよってくる。
「なんかこいつがお前の服装に言いたい事があるってよ!」
そう言い残し、十六夜は目にも留まらぬ速度で逃げて行った。
「む、やはりこの服は変か?」
と言いながらしょんぼりするレティシア。
それも可愛いがなんか勘違いされている。
「いや!そうじゃなくて......。その......似合ってるよ。すごく可愛い」
恥ずかしいのか顔をそらしながら言う明。
「そ、そうか」
レティシアも恥ずかしかったのか下を向いているが、その顔は確かに笑っていた。
「あ、あぁ。そろそろ中に入ろう。黒ウサギが心配するから」
「そうだな。ちょうど仕事も終わったところだ」
そうして城に向かって行く。
すると明が自然な流れで手を繋ぐ。
「あっ」
「ごめん、嫌だったか?」
「そうではなくて......明の手、暖かいと思ってな」
そうか、彼女はしばらくどんな扱いを受けていたのか思い出す。
「あぁ、レティシアも、すごく優しい手だよ」
「ふふっ、そうか。ありがとう」
それは何にたいしてのありがとうなのか。
でも、そんな事はどうでも良かった。
「うん。さぁ、行こう」
そうして今度こそ城に向かって歩き出す。
これを見ていた十六夜たちにからかわれるのは、また別の話だろう。
さて、次回から二巻の内容に入って行きたいと思います!
よく考えると、ようやく通算UA5000、お気に入り50突破しましたね。
長かった。
これからも頑張って行こう!
ではまた次回\(^-^