転生者についての考察   作:すぷりんがるど

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はじまり

■はいわゆる転生者、と呼ばれる人間だ。

 

この世界とは違う一つ前の世界の記憶を持って、この世界を生きている。

 

前の世界を旅だった原因は、良く二次創作で使われる転生トラックなるものによる。

 

子供を庇ってだとか、老人の身代わりになってだとか、そんな高尚な経験を経てではなく、単純に撥ねられて■はこの世界に生を受けた。

 

この世界に移る時、世界線と世界線の狭間で■は神と呼ばれる存在に出会った。

 

それは黄金比を体現するかのように整った容貌の男、あるいは女ではなく、また長い白髭を垂らした隠者のような老人でもなかった。

 

光だった。

 

荘厳さというか、神々しさというか、■の貧弱な語彙で表現するにはあまりにも難しいのだが、光は心の奥底から細胞の一つ一つまでに痺れるような感覚を与えるものだった。

 

信仰心などというものは持ち合わせておらず、慣習の通りに葬式を行い、そんなもんだとお盆を過ごし、一喜一憂しながらクリスマスを迎え、展望を胸に新年を迎える、どこにでもいる日本人の一人だ。

 

だがきっと、そんな人物に会ったことはないが、世界レベルの宗教の創始者は何かしら似たものを感じたのだろうかと思わせる光に、■は魅せられた。

 

光は意識の奥で―トラックに撥ねられて血に染まった視界の奥底から―感じ取れるすべての感覚を支配するように広がっていった。

 

そして光の意志が脳裏に意味を理解させた。

 

――これより転生の儀を行う

 

――魔法先生ネギまの世界に

 

――如何な力を望むか

 

光の意志に■は――


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