機動六課と燃える街   作:真澄 十

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 相変わらずの落書きですが、挿絵を投稿しました。

 テロリスト
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 ヴェルディ&アイーダ
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 もっと絵がうまくなりたいものです。


Ep.10 パーティ ※挿絵あり

 ある者達の話をしよう。世界を恨み、社会に憤り、人に絶望した者達の物語だ。

 その者達は、いろいろな苦難や困難に見舞われながらも普通に暮らしていた。小さな幸せを糧に日々を生き、命を謳歌していた。

 しかし、ある日を境にそれは打ち砕かれ、彼らの心は醜く変質してしまった。

 

 ある者は親を殺された。まだ幼かった頃のクリスマス。家でケーキを囲んで家族との団欒を楽しんでいた時、強盗に押し入られた。父親は射殺され、母親は強盗たちが飽きるまで犯されたのちに刺し殺された。子供たちは、両親が死ぬところを目の前で見せつけられた。強盗もさすがに子供を手にかける必要もなくその勇気もなかったのか、兄と妹は生き残った。しかし、その心には深い傷が刻まれた。

 いつしか兄は思った。死にたくない。自分はあの両親のように無残な死は嫌だ。

 残ったのは圧倒的な死の恐怖。いつしか彼は、生きるためには手段を選ばないようになった。

 

 ある者は名誉を蹂躙された。とある辺境世界の貴族であった彼女は、尊敬する父が土地を治める姿を誇りに思っていた。領地の住民からの信頼は篤く、完璧ではないにしろ良い統治であった筈だった。しかし、人々は蜂起した。一体誰に焚き付けられたのかは知らない。きっと他国の介入と工作があったのだろう。しかし、原因の根幹がどこにあるにしろ、人々の殺意は本物だった。権力を許すまじ、一部の人間による占有を許すまじと叫ぶ暴徒が城に大挙して押し寄せた。その末に父は暴徒の凶刃に倒れた。一人娘であった彼女は父の判断により、たった一人の従者を付けて城から逃がした。だから彼女が父の死を目の当りにすることはなかったが、火に焼け落ちる城の姿は見た。

 いつしか彼女は思った。この世は見えない殺意で溢れている。あれほど父に笑顔を向けていた民草が刃を握って襲い掛かるならば、この世界は悪意で満ちている。

 残ったのは圧倒的な憤怒。権力が悪いわけではない。父が悪いわけでは決してない。しかし、一度は心を許した民草をそう簡単に憎めるわけでもない。

 その憤怒の矛先は世界そのもの。悪意に満ちた世界ならば粛清せねばならない。一度、世界に徹底的な罰を与え、しかる後に再建しなければならない。

 

 ある者は信じていた者に裏切られた。ミッドチルダの首都クラナガンに住んでいた彼は、決して裕福な家庭ではなかった。父親は蒸発し、顔すらまともに覚えていない。母は女手ひとつで彼を育てた。貧しいながらも幸せな家庭だった。そして彼には唯一無二の友人がいた。裕福な家の子だった。彼とその友人は何をするにしても一緒だった。母と友人の存在があったからこそ、彼は幸せだった。しかし裏切られた。母は無実の罪で拘留された。罪状は殺人。殺されたのは彼が預かり知らぬ者で、凶器は彼の家にあった包丁であった。指紋も母親のものがべったりと付着していたという。当然だ。事件があった直前まで、母はそれを使って料理をしていたのだから。そして、食後も母は常に自分と一緒にいた。殺人などできる筈がなかった。彼の家から包丁を盗み出し、犯行が可能だった者が一人だけいた。その友人だった。彼はその日の夜、友人を問いただした。友人は嘲笑を浮かべながら言った。その通りだ。しかしそれが分かったところでどうする。お前と俺、どちらの証言が信用されるかな。所詮、お前たちのような弱者は強者に利用されるためにあるのだ。

 その友人が言ったように、裁判は母に不利なように運んだ。資産家であった友人は、その資金を活かして裁判官や弁護士を買収していた。弁護士は無実ではなく、罪の軽減だけを訴え続けた。母を守るために彼も証言台に立ったが、被告人の身内では発言力が低い。当然の帰着として、母は有罪となった。そして彼は、その日のうちに友人を絞殺した。彼にはその友人を許すことができなかった。なぜ友人がそのような犯行に及んだのかは知らないが、もはや興味もない。

 残ったのは強烈な殺意だった。奪われるだけの人生というなら、奪う側に立たねばならない。とにかく殺した。数えきれないほどの殺人を犯した。奪われる側から奪う側に立つというのは、何とも素晴らしい気分だった。

 

 ある者は人の心に絶望した。彼は何の変哲もない一般家庭に育った。平凡ながらも幸せだった。多くの友人に恵まれ、彼には勿体ないくらいの恋人もできた。結婚すら考えていた。しかし、それらは腐って落ちた。彼が就寝中、周囲の異変に気づいて起きてみれば、そこは既に火の海だった。放火ではなく事故による火事だった。彼は必至に逃げようとしたが、既に退路は悉く塞がれてしまっていた。燃え盛る火の海に彼は取り残された。助かったのは奇跡に等しかったが、その全身は焼け爛れてしまっていた。特に、顔は表情を変える事が不可能なほどに焼けてしまっていた。時間が経てばそれらも元に戻すことはできる。幸いにして火災保険などの各種保険により、治療に必要な金はあった。しかし、彼の顔が戻るよりも彼の絶望のほうが早かった。退院し、自宅で治療を始めた頃はまだ顔の包帯は取ることができず、取ったとしてもそこにあるのは醜く焼け爛れた顔だ。世間は彼に好奇の目を向けた。ある者は何かおぞましいモノを見たかのような反応すら見せた。それは、彼の友人と恋人も一緒であった。友人たちは、どこに行っても視線を集めてしまう彼と連れ添ってどこかに行くことを恐れた。飲みに誘っても断られ続けた。傷に触るだろうと、体の良い言い訳を振りかざした。恋人もまた彼を突き放した。あなたは変わってしまった、もう一緒に居られないと。実際のところ彼は何も変わってはいなかった。変わったのは女のほうだった。彼が入院している間に新しい男を作ったに過ぎない。

 残ったのは圧倒的な絶望だった。誰も手を差し伸べようとしない世の中に絶望した。自分のような者が救われるにはどうしたら良いか。もはや世界を変えるしかない。弱者に強者が手を差し伸べる、そんな世界をこの手で作るのだと決意した。そのためには、既存の価値観や社会を一度まっさらに破壊する必要があると考えた。

 

 彼らは救いようもない。誰も彼らを救おうとしなかった。彼らももはや救いの手など必要としておらず、それを認めるつもりもない。

 故に。既に血を流さねば彼らは止まることができないのだ。

 

◇◆◇◆◇

 

【はーるーかー空響いてるゥー、火薬の爆ぜる音がァー!】

「何歌っているんだ、うるさいぞ」

【ノリ悪いなー。こんなクソ面白くない単純作業を明るくしてやろうっていう俺の気遣いだろ】

「……好きにしろ、あともう少し声を落とせ。敵に気づかれるぞ」

【安心しな相棒ゥ、スーツ内部のみへの音声出力だ。外部には声が漏れてねェから気づかれようがねェよ。それよか、今のデレなのか? ようやくデレが来たのかィ?】

「お前の言っている事の意味がわからん」

 

 アルフレッドは自身が隠れ潜んでいたビルから外に出ていた。既に他のメンバーはバリケード周辺への潜入を試みている頃合いだろう。潜入任務に不向きなアルフレッドは単身で行動していた。安全面などの複数の事情からインセイン・スーツは着用したままだった。

 ビル周辺の廃車を解体し、いくつか部品を抜き取る。さらにトランクをその怪力で抉じ開け、何か役に立つものはないかと物色した。窃盗といえばそうなのだろうが、今は緊急事態である。法的に言えば緊急避難にあたるものであろう。罪にはならない筈だ。

 そうやっていくつかの車を物色すると、そのうちの一台の荷台から大量の工具が見つかった。車には安っぽい塗装で「臨海第7空港」と書かれてあった。命令を単純化するために、口頭では空港と一貫して伝えられているが、事件が起こった場所の正式名称であった。ちなみに第8空港は数年前の火災が元で閉鎖されている。おそらく、第7空港もしばらくは閉鎖されることになるだろう。

 その第7空港の車両がここにあるということは、避難しようとした職員がここまで運んだのだろうか。しかし空港からさほど離れていない地域に停車していることを見ると、おそらく逃げ切れなかったのだろう。あくまで推測だが、この車で逃げてきた職員は周囲の死体のいずれかのはずだ。

 

 いや、感傷に浸るのは後だ。工具が手に入った事は幸運だったのだから、今は作業に専念しよう。

 アルフレッドは自身をそのように鼓舞した。工具の有無で作業効率は段違いだ。見れば溶接用だろうか、バーナーまで備えられている。整備班の車両であることは容易に想像できた。アルフレッドには溶接危惧を空港でどう使うのかは分からないが、きっと折れたタラップ等を修理するのだろう。用途は想像するしかないが、少なくとも今のアルフレッドには必要なものだった。

 バーナーとその他必要と思われる工具をまとめてダンボールの中に放り込む。ダンボール箱もその車の中に残っていたものだ。

 

 さらに周囲の車を物色し続ける。収穫としては、板金が数キロと工具類一式、それにガソリンである。

 ミッドチルダ、とりわけ首都クラナガンでは乗用車といえば電気自動車である。しかし、一部の車好きにはガソリン車の需要があった。電気自動車とガソリン車では排気音が全く違う。電気自動車にもそれらしい音を付与してはいるが、やはりガソリンが爆発することで発せられる音とは全く違う。サウンドにまで拘るタイプの人にはガソリンエンジンの音のほうが好ましいのだ。ただし、税金や維持費はその分かさむが。

 そのような背景から、ガソリン車は稀有ではあるが確かに存在している。空港付近ということだけあって、比較的裕福な人物が置いて行ったものだろうスポーツカーを運よく発見できた。ガソリンを抜き取らない理由はアルフレッドには無い。遠慮なく拝借し、これまた適当に見つけてきたポリタンク容器に移しておいた。

 

 すぐにアルフレッドは作業に取り掛かった。向かった先はバリケードに突入する寸前に通り過ぎた装甲車である。さすが装甲車だけあってエンジンも無事である。装甲はあちこちがへこんでしまっていたが、走行する分には問題なさそうだ。ただしキーが無かったため、アルフレッドはハンドル周りのダッシュボードを破壊して配線と基盤を露出させ、キーが無くてもエンジンの起動やハンドル操作ができるように改造した。昨今ではセキュリティのためにキーがなければあらゆる操作ができないものも多いが、逆に言えばキーがあると誤認識させてしまえば何でも操作できてしまうのだ。さすが技術屋、しかもハードウェアが専門なだけあってこの辺りの改造はお手の物だった。キーが刺さりっぱなしの車からキーとそれを認識する部品一式を抜き取り、それを装甲車のものと交換してしまう。あとは電圧等を調整してやれば何も問題はない。

ちなみに装甲車にもAIらしきものが搭載されていたが、それがあるとエラーを出しそうなのでキーを抜いた車のものを代わりに搭載した。おかげでコンソールパネルには何も表示されなくなってしまったが、ただ走るだけなら問題ない。その結果、エンジンや車体そのものは元の装甲車だが、配線や基盤は既に別の車から寄り合わせているというよく分からない物になってしまった。それでも一応は走る。

 

【こういうのもハイブリッド車って言うのかねェ】

「言わないだろう。こういうのはツギハギって言うんだ」

【違いねェ】

 

続いてアルフレッドはへこんだ装甲に、そこらの車からはぎ取った板金を溶接し始める。空気が漏れたりしないよう丁寧にかつ迅速に作業を進めた。バーナーがもし無ければ魔法で何とかするしかなかったが、慣れない魔法を使うよりもこちらの方が遥かに効率よく作業が進められる。

 

【きっちり溶接しろよ相棒ゥ。ここでミスったらただじゃ済まないかんな】

「そう思うならきっちりサポートしろ。首回りの装甲と胸甲のせいで手元が全く見えてないんだから。もっと下のほうの映像を映せ」

【へいへい】

 

 インセイン内部から見えるアルフレッドの視界には手元の映像が映し出されている。これは手元が見えないアルフレッドに代わり、インセインが映像を出力してやっている。アルフレッドの命令通り、映し出されていた映像が下にスライドした。決して映像の視野は広くないが、無いよりははるかにマシであった。

 アルフレッドは黙々と板金を溶接し続ける。小一時間も続けたら、装甲車はなんともチグハグな色合いになってしまった。多種多様な乗用車から板金を拝借し、それを手当り次第に装甲車に継ぎ合わせたため当然と言えば当然である。

 一通り車体を目視で確認し、問題がないことを確認する。次に装甲車の後部ドアを開けて内部からも確認する。装甲車は人員の輸送用であるらしく、小さくて固い座席が最低限のスペースのみ確保して整列してあった。やはりと言うべきか、相当に狭い。だが今は人を運ぶ予定はないため、仮に座席が狭かろうが空気の流れを完全に遮断してしまっていようが関係ない。

 狭い車内に苦労しいしい、簡単な作業を進める。こちらはそれほど時間を要しなかった。バッテリーから電線を伸ばし、車内まで伸ばす。その為に作った穴はガムテープでがっちりと塞いだ。そしてその電線の先端を、わずか数ミリの距離で固定した。ここでもガムテープが役に立った。電流を通せば、バチバチと火花が散るほどの電圧と端子の距離であった。

 

【オーケー、いい感じだぜ。後は予定時刻まで適当にヒマを潰しておきな】

「あと30分か。思ったより早くできたな」

【あたりが騒がしくなってねェ所を鑑みるに、あいつらもうまくやっているみたいだな】

「ティアナは幻術が使えるんだ。そう簡単には見つからんさ」

 

 そう言うとアルフレッドはインセイン・スーツを解除した。人事を尽くして天命を待つ。やれる事はすべてやったのだから、あとは待つだけだ。煙草に火をつけ、適当な場所に座り込んだ。もちろん、ガソリンの入ったポリタンクからは十分に距離を置いている。

 ガソリンは液体の状態で着火したとしても大した脅威ではない。灯油が少しばかり強くなった程度で、火が付いたとしても勢いよく燃え上がる程度だ。しかし、気化したガソリンは違う。気化したそれが空気と混ざり合い、そこに火を投げ込めばどうなるかは自明の理だ。数リットルも密室に撒けば建物ごと吹き飛ばすほどの威力となる。密室でなかったとしても火気厳禁だ。

 

 時刻はもうすぐ深夜0時を迎える。0時になった瞬間に作戦開始だ。

 次第にアルフレッドは不安を覚え始めた。自分のタスクに対してではない。四人がチームで動いているとはいえ、やはり彼女らは成年も迎えていない子供だ。敵地に放り込んでおいて不安に思わないほうがどうかしている。

 作戦はこうだ。

 アルフレッドが正面からバリケードを突破し、なるべく派手に暴れて注意をアルフレッドに集める。バリケード内部に敵が集まりだした頃合いに、周囲に潜入した四人が同時に攻撃。一応は挟撃の形を取り、一気に制圧する。穴の多い作戦だが、これが最良であると確信していた。

 この任務で最も危険なのは、言うまでもなくアルフレッドだ。一時的とはいえ、多数の敵を同時に相手にしないといけない。いくら単独行動が得意であると言っても、基本的に動きが緩慢なインセインでは危険に晒される可能性も高い。相手の命を鑑みないのであればフルアシストで切り抜けることもできるだろうが、魔導師でもない相手にフルアシストに乗せた拳やタックルを食らわせれば即死である。

 故に、アルフレッドは相手を殺さないように、かつ自分は死なないようにという微妙な加減を要求される。もちろん、相手は本気で殺しにくる。

 

 とは言っても、そう簡単に死にはしないのがインセイン・スーツの強みでもある。四方からの猛攻に耐える自信があるならば、それなりに有効な戦術と言えなくもない。そうでなければ他のフォワード陣が納得する筈もない。いや、納得しているかどうかはかなり微妙な線ではあるのだが。

 

 これ以上吸えなくなるまで煙草を吸いつくし、火を靴底でもみ消した。一つ深呼吸し立ち上がる。そろそろ時間だ。

 

「いくぞ、インセイン。気合い入れていけ」

【I copy! Let’s party, yeaaaaaaah!】

 

◇◆◇◆◇

 

 バリケードを遠巻きに臨むことが可能なとあるビルの屋上。ヴェルディはその縁に腰かけて地上を眺めていた。いつもそうしているように煙草と酒を楽しみながら、愉快そうな色を顔に浮かべている。その笑みは子供のように無邪気でありながら、明らかに狂気が混入している。

 狂人。彼のその表情を表すのに、これ以上適切な言葉はこの世に存在しないだろう。

 

「そろそろかねぇ。もうじき大きな花火が見られるかねぇ」

【花火を戦火と解釈するならば、町中至る所であがっておりますが】

「そうじゃねーよ。この場合、誰が花火を打ち上げるかが問題なワケ。あいつなら、綺麗な花火を上げてくれるって期待しているんだよ、俺は」

【前方の拠点を観察することにより得られる戦略的優位が、他の拠点を上回るという意味であると理解しました】

「……ちげーよ。いや、合っているのか?」

 

 勢いよく酒を煽り、煙草を深く吸う。彼は、常にと言って良いほど頻繁に酒を飲んでいる。もう立派なアルコール中毒者だ。アルコールを常に体に溜めておかないと手足の震えが止まらない。いや、彼ほど重度のアルコール中毒となれば、酒が切れた時に被害妄想に囚われてしまう。誰かが自分を狙っているに違いない、誰かが自分を陥れようとしているに違いないと。それは彼の境遇にも起因することだ。過去に友人に裏切られ、心を酷く傷つけられたからこそ、酒でそれらを振り払わないと精神を保てない。いや、結局のところは酒のせいで精神の安定を崩しているのだが、酒さえ飲んでいれば比較的安静にしていられる。

 それを周囲も理解しているからこそ、彼の飲酒を止める者はいなかった。そもそも人の病気を何とかしてやろうなどという殊勝な心がけの者が居ないという事情もあるが。

 

 そのとき、彼の背後から声がかけられた。彼にとっては聞き覚えのある、鈴を転がしたような女性の声だった。

 

「本作戦における最高司令官殿が、どっぷりと飲酒とは良い身分ですわね」

「……ほっとけよ、ティオファニア。どうせ指揮するような事は殆ど無いんだ。作戦は単純明快、司令官が必要かどうかすら怪しいものだぜ」

「まあ、良いですわ。現状を教えてくれません? 口頭でもデータ、どちらでも良いですよ」

「んじゃ、口頭は面倒なんでデータで渡すわ。リットゥを出してくれ」

 

 彼がそう言うと、ティオファニアと呼ばれた女性は自身のデバイスを差し出した。リットゥと呼ばれたそれは、まるで籠手の一指だけを抜き出したような指環に宝石を埋め込んだものだった。一般的にはアーマーリングと呼ばれる代物である。

 同じく指環型であるアイーダをリットゥに近づけてやると、アイーダだ機械音声をあげた。

 

【アイーダからリットゥへ、作戦状況を記したテキストとマップ情報を転送。――完了。エラーはなし】

【確かに受け取りました。ありがとうございます】

 

 ほらよ、と言いながらヴェルディはティオファニアにデバイスを返した。さっそくティオファニアは貰ったデータに目を通し始める。その表情は、戦況に喜ぶでもなく憂うでもなく、淡々としたものだった。

 戦況は実のところ芳しいとは表現できないものだ。いくつものバリケードが突破され、既に逮捕者まで出ている。本陣を構えている空港まで到達されるのは時間の問題だ。空港の戦力はバリケードなどとは比較にならないが、局員が大挙して押し寄せればあっと言う間に壊滅するだろう。そのために本陣よりも外側に防衛拠点を築いたわけだが、その防衛拠点があちこちで崩されている。こうなっては時間の問題だろう。

 しかしそれでも、ティオファニアは淡々とした口調で言ってのけた。

 

「順調ですわね」

「ああ。沢山殺して、俺たちも沢山死んだ。実に予定通りだ。だが、ちょっとばかし予想外に強いヤツが居るみたいでなあ。俺らとしては、もう少し粘りたいと思うワケよ」

「……ふむ。つまり、それを私に頼みたいのですね?」

「そうそう。頼める?」

「良いでしょう。……フィリップ?」

 

 ティオファニアがそう言うと、暗闇の奥で控えていた老人が姿を現した。黒い祭祀服のようなものを着ているティオファニアと違い、フィリップと呼ばれた老人は形の整った礼服に身を包んでいた。

 フィリップはティオファニアの前まで歩み寄り、胸に手を当てて頭を垂れた。その挙措だけでティオファニアとフィリップの上下関係は明らかである。

 

「お呼びでしょうか、お嬢様」

「話は聞いていたわね? 厄介な敵が居るらしいです。私たちで撃滅する」

「畏まりました。その者の生死は如何いたしましょう。また、数はいかほどでしょう?」

 

 ティオファニアはヴェルディを見る。名目上のみの肩書きとはいえ、最高司令官の指示を仰ぐべきだろうと判断した。

 ヴェルディは少し考えるような仕草をした後に答えた。

 

「生かしておいた方が良い……と思うぜ。もしこっちに引き込めそうならそうしてくれや。そうじゃなくても、なかなか面白そうだから即殺は勿体ないなあ」

「畏まりました。では、そのように。しかし……場合によっては殺める事もありますが、問題ありませんね?」

「問題ない。で、数の方だがざっくり見て三グループってところか。うち二つは単騎。両方とも女だ。茶髪と金髪、それぞれ別行動している。だが、そのうち合流しそうだな。その前に叩いておくべきか」

「残りの一つは?」

「こっちは複数だ。五人組で、うち四人はガキ。ガキとはいえ、なかなかのポテンシャルだな。一人は成人男性だが、これもまた中々厄介そうなヤツでなあ」

 

 ヴェルディはあえてアルフレッドの事を詳細には語らなかった。既にアルフレッドは自身の獲物と見定めている。それを横合いから攫われるような事があっては堪らないと思っての事だった。

 故に、ティオファニアとフィリップには単騎の二名を任せることとした。特に理由を語ることはしなかったが、二人は配役の意図について詮索する事はなかった。

 ただし、行動の指針についてはまだ聞きたいことがあったのか、ティオファニアはヴェルディに質問する。

 

「今すぐ行けば宜しいのですか?」

「もう少しだけ待てや。そうだな、夜明けくらいから行動を始めてくれていい」

「少しって、軽く六時間はあるではありませんか」

「仮眠でもとっておけ」

「……そうしましょうか。それで、こちらに引き込むと仰りましたが、生け捕りにすれば宜しいんですの?」

「いや、その必要はねえ。連れ去るのは割と簡単だが、自発的にこっちに来てもらう方がなにかと都合が良いしな」

「……ふうん? あなたの言うところの、良い酒は長く楽しむという奴ですか?」

「まあ、そんなところだ。良い獲物はじわじわと追いつめてこそ面白い。そうだろう?」

「同意しかねますわね。一息に殺さねば、足元を掬われますわ」

「それもまた一興というヤツだ」

「……まあ、良いでしょう。ひとまずは貴方の指示に従います」

「助かるねえ。そうしておいてくれや」

 

 そう言うとティオファニアとフィリップは夜の闇に消えた。

 ヴェルディは気味の悪いヤツだと毒づく。ティオファニアではなく、フィリップに対してである。

 フィリップはティオファニア付きの執事である。彼女が生まれた時から世話をしているというらしいから、その年季の入りようは伊達ではない。あらゆる挙措は洗練されており、慇懃無礼と捉えられる口調も彼の口から出たとあれば自然なものとして受け入れられる。かつ、かつてはティオファニアの魔術および剣術の指南役であったというから驚きだ。

 尊敬に値する人物であろうとは思う。しかしヴェルディはフィリップを苦手としていた。およそ自分の意志というものが無いからである。常にティオファニアに付き従い、彼女の命令とあらば何でも実行する。己の意見を主張することもなく、感情を表に出すこともない。

 これはヴェルディの持論だが、フィリップは使用人としては理想的なのだろう事は認める。しかし、一人の人間として対等に付き合うことは難しい。単純に年齢が二回りほど離れていることも付き合いが難しい原因ではあるが、それ以上に彼の人格が読めないという点に気味の悪さを覚えた。

 まるで人形である。れっきとした人間である事は疑う余地もないのだが、己の欲を他人に見せない人間というのは何とも捉えがたいものだ。

 

「相変わらず、フィリップの事が苦手らしいですね」

「……エンリコか。いつから居たんだよ」

 

 背後を振り返ると、線の細い男性がそこに立っていた。作りの良い眼鏡が印象的であり、長い髪も絹のような光沢を誇っていた。美男と呼ぶに相応しい相貌である。

 

「ついさっき来たばかりですよ。意味もなく盗み聞きをするほど趣味は悪くありません」

「どうだか」

 

 ヴェルディは笑いながら答えた。少なくとも、ヴェルディ達が所属する団体の中で趣味が良いものは一握りであると言って良い。特に、上層部に行けば行くほどどこか歪んだ人物ばかりだ。もちろん、ヴェルディは自分もまたその一部であることは自覚している。

 とりわけ、このエンリコと呼ばれた男の歪み具合は常軌を逸していると言っても過言ではない。お世辞にみ趣味が良いとはヴェルディであっても言えない男であった。

 

「で、どうしたんだよ」

「いえ、私も手持無沙汰になったので、何か指示を貰おうかなと」

「ふむ……じゃあ、俺の手伝いでもしてもらおうかな。ガキを痛めつけるのは好きだろう?」

「大好きですね。思春期あたりの子供による絶叫が一番昂ぶります」

「この変態め」

「あんまり褒めないで頂きたいですね、照れます」

【エンリコ様、マスターの言動には賞賛に類するワードは含まれておりません】

「……相変わらず、アイーダは辛辣というか融通が利かないというか、手ごわいですね」

「そこは俺も苦労している」

 

 ヴェルディは苦笑する。煙を大きく吸い込み、ゆっくりと吐き出した。

 

「五人組の管理局員を攻撃する。うち四人のガキはお前にやるよ。出来ればまだ殺さないほうが嬉しいが、別に殺しても文句は言わねえ」

「残りの一人は貴方が? 別に五人全員を相手にしても良いですが」

「これは俺のお楽しみだ。取るんじゃねえよ」

 

 ふむ、とエンリコは声を漏らす。何かを悟ったようだった。

 ヴェルディがこのような事を言い出すときは、何か特別な獲物を狙っていると相場が決まっている。無理に獲物を横取りすると、ヴェルディは激高し味方であっても容赦なく攻撃を加えるだろう。以前、ヴェルディの命令に背いて対象を殺してしまった下っ端が、次の日にはずたずたに引き裂かれた肉片となって打ち捨てられていた事がある。

 四人いるという子供は殺しても構わないと言っている以上、何をしても大丈夫であろう。しかし残りの一人に手を出したらただでは済まないことは想像に難くない。何があってもその一人に手を出すまいとエンリコは肝に銘じた。

 

「行動は夜明けからだ。それまで自由にしていいぞ」

「では仮眠でもとりましょうかね。少々、眠くて」

「そうしとけ」

 

 それだけ言うと、エンリコもまた闇夜に消えた。どこか適当な空き部屋でも見繕って仮眠をとるのだろう。

 ヴェルディはふと思った。よくよく考えたら、現在動かせる中で最高の戦力がここに集結したことになる。自分、ティオファニア、そしてエンリコの三人が集結すればどんな魔導師であっても敵う者など居ないと断言できる。それに加え、ティオファニアの執事であるフィリップまで動いている。

 無敵だ。誰も自分たちを止めることなど出来はしない。そして自分たちには止まる気など微塵もない。

 

「ククク……一方的なリンチってのは、やっぱ気持ちが良いもんだねえ」

 

◇◆◇◆◇

 

 とあるオフィスビルの一角、バリケードを上空から見下ろすことが可能な部屋に、機械音声の無機質な声が静かに響いた。

 

【予定時刻まであと5分】

「ありがと、クロスミラージュ」

 

 ティアナはスバルに目配せする。スバルは軽く頷いた。

 二人は自身のデバイスに装填されているカートッリジを確認し、異常がないことを確かめる。鉄火場に身を投じる直前とあらば、いくら注意してもし過ぎるという事はない。

 きっとキャロとエリオの二人も同様に準備をしている事だろう。現在、スターズ小隊とライトニング小隊は分かれて行動していた。

 理由は単純である。より少人数のほうが発見されにくいからだ。ティアナならば幻術を駆使すれば敵地への潜入もそこまで難しい話ではないし、子供たちは背丈が低いぶん物陰に隠れやすい。小隊単位で分ける意図があった訳ではなく、結果としてそうなったのだった。

 

 ここまで敵地の奥まで潜入するのは決して楽とは言えなかった。何人もの哨戒をやり過ごす必要があり、気が抜けない状況が続いた。スバルは言うまでもなく、ティアナですら疲労の色を隠しきれていない。まだ幼いキャロとスバルの疲労は推して知るべきだ。だからティアナとスバルは、自分たちが陣取る部屋よりも手前の部屋に二人を置いてきた。早めに待機させておけば、少しだけとはいえ休めるだろう。そもそもこのような長期に渡って激戦を続けるような作戦に幼い二人を投入すること自体に無茶がある。今、管理局は猫の手も借りたいほど人手不足であることは否定できない問題であるが、借りてきたのが生まれて間もない子猫ではむしろ不安の種だ。

 

「ねえ、ティアナ。アルフレッドさんは本当に大丈夫なのかな……」

「私たちにはどうしようもないでしょ。スターズ小隊の中では私たちと同じヒラでも、階級は私たちの方が下。……ロングアーチとの連絡は現状では難しい。管理局員が戦闘行動時に孤立した場合、その場に居る最高階級者に判断が委ねられるんだから」

「そうだけど……やっぱり、止めた方がいいと思う」

「一回はこの作戦を了承しちゃったし、もう作戦は始まっているのよ? 今更、作戦は中止できないでしょ」

「……そうかも知れないけど」

 

 スバルはこの作戦に納得がいかない。いや、正確には納得して作戦に乗り出したものは、当のアルフレッド本人だけである。

 確かに現状の戦力を踏まえればこの作戦が最も成功率が高いだろう。クロスミラージュを初めとしたデバイスたちもその点では同意している。全員で正面から突っ込めば、あのオートタレットに鴨撃ちにされる。オートタレットの攻撃力は凄まじく、一度でも攻撃を許せば死に直結するほど危険だ。小型とはいえ、殺傷に特化している分あなどる事ができない。

ティアナの幻覚を用いて攪乱したとしても、正面を切って臨む以上は常に相手の攻撃にさらされると想定するべきだ。どう楽観的に見積もっても、幻覚魔法を主軸に作戦を立てた場合は失敗率が高い。テロリスト達が根を上げるよりも先にティアナの魔力が尽きるだろう。ティアナの幻術は相当に魔力を消費するのだ。

 

 これらの現状を踏まえれば、正面から戦いを挑むのは無謀であると判断できる。正面よりも側面からの攻撃、それも奇襲による電撃的侵攻が有効であることは間違いない。

 それは誰しも認める。だが、それを鑑みてもアルフレッドが危険な立ち位置に晒されることは許容し難い事だった。語弊を恐れずに言ってしまえば、とんだ死に急ぎである。命知らずよりもレベルが一つ高い無謀だ。

 

 その時、視界の隅に何かが光ったのをスバルは見た。目を凝らしてみてみれば、それは放棄されてあった装甲車のヘッドライトのようだった。

 

「始まった!」

 

 スバルとティアナは思考を戦闘時のそれへと切り替える。時刻を確認すれば零時ジャスト。作戦の開始時刻だった。

 装甲車はバリケードを正面から睨んでいた。ヘッドライトは煌々とガラクタを積んで作ったバリケードを睨む。それに気づいたテロリスト達が慌てはじめたのが、バリケードを眼下に望むスバル達にはよく分かった。パニックとまでは行かないが、唐突に敵が大胆な行動に出たことに軽く驚いているようだった。

 

 その驚きに追い打ちをかけるように、夜の静寂を引き裂くインセインの声が響いた。拡声器でも接続しているのだろうか、耳鳴りがするほどの大声であった。

 

【ハーイ、Fuckin’ テロリスト共ォ! 夜遅くまでお勤めご苦労。シコシコ何をやっているのか知らんけれど、そろそろパーティーの時間ですよォー!】

 

 それを聞いたスバルとティアナは顔を引きつらせた。何と下品なと言うべきか、口が悪いと表現するべきか。

 いや、もはや何も言うまい。インセインがこういう性格であることは既に知っている。作戦の最中だからと言って口調が変わる訳ではあるまい。スバルは自分にそう言い聞かせた。

 

【んで、パーティなんだけどさァ。やっぱ開始の合図くらいは派手な方が良いと思うんだよ、俺は。つー訳で今からバリを爆破しまーす。付近に居るクソテロリストの皆様は十秒以内に退避してくださーい。

この装甲車の後部にはガソリンがアホみたいに積まれていまーす。アクセルを踏み込んで三秒後には――『BANG!』だからな。これは最後通告でーす。ぶっちゃけ、テメーらの生死なんて俺には興味ありませーん。繰り返すぜ、十秒以内にさっさと尻尾巻いて逃げやがれ、クソ野郎共ォォォォ! はい、十……九……八……】

 

 スバル達から見て、テロリスト達の慌てふためきようは圧巻とも言えた。一部の者は我先にと逃げ惑う。またある者は勇敢にも装甲車に向けて銃撃を浴びせる。しかしさすがは装甲車と言うべきか、小銃の銃撃を浴びせた程度ではフロントウィンドウに僅かな傷をつける事しかできない。タイヤを狙おうにも、薄暗がりに慣れてしまっていた目ではヘッドライトで眩んでしまい、まともに狙いをつけることができない。オートタレットも慌てて動き始めたが、どう考えても残り数秒でどうにかできるとは思えない。事故を避けるために臨戦態勢でないと砲身やコンデンサには通電しない仕様となっている。電撃的攻撃には少しばかり脆弱であった。

 

 そしてインセインによるカウントが三を数えるのと同時に、装甲車が猛スピードで発進し始める。中にはインセイン・スーツを着たアルフレッドの姿が確認できた。

 装甲車は一直線にバリケードに向けて突進する。銃弾を弾きながら猛進するそれは、もはや今からエンジンを撃ち抜こうがタイヤを破裂させようが止まることは無い。スバル達は安全な位置に陣取っているとはいえ、あまりの迫力に気圧される。

 そして、インセインのカウントが一を数えるのと同時にアルフレッドが運転席から飛び出した。どうやらあらかじめ運転席の側面部分装甲を剥ぎ取っていたらしく、あの巨体であってもすんなりと路面に身を投げることができた。

 アルフレッドはごろごろと地面を転がる。生身の人間ならば無事では済まないが、インセイン・スーツの装甲ならばとりあえず大丈夫だろう。

 

 そして刹那の後、装甲車は正面からバリケードに吶喊した。かなりの重量がある装甲車の突撃により、バリケードの一部が倒壊する。しかし、その程度では終わらなかった。

 バッテリーから後部座席まで伸ばしていた電線に、タイマー制御によって電流が流れる。電線は途中で断線しているものの、導体が至近距離にあるため火花を散らして電気が通る。その火花が、後部座席に充満させていたガソリンに着火した。

 

 次の瞬間にスバルが感じたのは、まず凄まじい閃光と爆音だった。遅れて炎の熱と爆風が伝わる。窓ガラスがあまりの衝撃にビリビリと震え、爆心地に近いものでは衝撃波で粉砕されるものもあった。

あまりの光に思わず目を閉じてしまったが、やや遅れて目を開いた先に見た光景はまるで地獄絵図のようだった。幸いにして、ギリギリのタイミングでテロリストはバリケードの傍から全員退避したために死者は居ない。ただし飛び散った破片で負傷を負ったものは多い。また、燃え盛る炎がバリケードに延焼し、炎の壁を作り出していた。

 そしてその炎の壁を乗り越えて進む影が一つだけあった。アルフレッドだった。手には今日――正確には昨日だが――至急されたばかりのサブマシンガン。それを二丁、両手に構える。排熱処理に問題があるパッケージシステムを守るため、比較的延焼の少ない地点を歩みながら、インセインが叫んだ。

 

【クソテロリスト共ォ! これだけの事をしでかしてくれたんだ、楽に死ねるなんて思っちゃいねえだろうなァァァ!? さあ、俺と踊ろうぜ! Let’s Rock and Roll!】




 思った以上に時間が取れず、前回で言っていたよりもさらに遅くなってしまって申し訳ありません。
 今後も忙しいタイミングがちらほらあるので、投稿が遅くなったら「ああ、忙しいんだな」って思って貰えたら幸いです。
 次回は一週間を目標に執筆します。

 twitter:mugennkai

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