魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~ 作:メガネ
今日はある人物と接触するために時空管理局地上本にやって来たは良いが―――
「どこ行ったんだアイツ――――」
レイが行方不明になった……と言うか突然消えた。
少し目を離した隙に消えた。アイツの迷子スキルは今に始まった事では無い……最初の頃は自宅で迷子になったぐらいだ。
自宅ががかなり広いと言うのもあるが、コレが週1で起きる……基本レイは俺達にくっ付いている……今回みたいに見た事のない場所を除けば……
と言う事で現在アインと捜索している所だ。
「≪主――!!≫」
お、アインが見つけた様だ。
「≪で、捕まえたのか?≫」
「≪いえ……実は―――≫」
アインからその状況を聞いた瞬間『使える』と思い。
そのまま尾行を頼み、アイツにもコッチに来るように連絡した。
「貴様……一体何のつもりだ」
1人の局員が俺を睨みつける。
「言いたい事を言っただけだ。それに自分で分っている筈だ―――レジアス・ゲイズ中将」
時空管理局地上本部総司令レジアス・ゲイズ中将。
先のゼスト隊壊滅とその跡地の研究施設、コレに1枚かんでいたのはコイツだった。
ゼストが信頼を寄せ、そして1個小隊に命令を下せる人間と言えばこの男しかいなかった……
クイントの話によるとあの日の前日にゼストが当時追っている事件を急遽突入することになったらしい。
…………恐らくゼストに何かを気付かれそうになって別命令を出したが、それでゼスト隊が突入する事になった。
直接は関わっていないものの焦った行動が招いた結果だな。
「地上の人不足に悩んでいた。そこで目を付けたのが戦闘機人だ、だがゼスト隊は戦闘機人の事件を追っていた―――その結果が『全滅』と言う結果だ」
「くっ――――」
「下手な事を考えるなよ?それに認識阻害の結界も配置済みだ。」
連絡を取ろうとしたレジアスの机にスローナイフを突き刺して阻止する。
「今後ろに居るこいつは陸戦AAだ………こいつに拘束させて絞めて吐かせるだけ吐かせた後に殺すことだって出来る」
後ろに居る俺と同じ黒いコートを着てフードを深く被って顔をかくしている奴を顎で指す……
「脅迫のつもりか――」
「脅迫?コレは『お願い』だ、脅迫するならもっと面白い方法を考える……例えば」
俺はモニターを展開してある映像を映す―――
「な……それは―――」
そこにいる人物はレジアスが誰よりも知っている人間だ……
「そうそう、確かこの女の名前はオーリス……オーリス・ゲイズ―――貴様の娘だったな」
「貴様ァ!!」
レジアスが机から立ち上がり此方の胸ぐらを掴んで怒り心頭と言った顔で睨んできた。
「お、流石中将も身内に手を掛けられれば我を忘れるか……でもいいのか?見張らせているのは俺のデバイスだ俺の命令1つで魔法を使う事も出来るぞ?」
それは偶然だった。アインが迷子のレイを探していると丁度オーリスがレイを保護していた。それを連絡で聞いた俺はこの手を逃す訳には行かないと急遽作戦を変更した――
この映像はアインが取っている物だ。
「―――噂通りの奴だな」
胸倉から手を放して此方を睨んでくるレジアス……流石歳の功だけあって殺気は凄いな。
「刃向かう者を容赦なく消す……質量兵器を大量所持している等黒い噂が絶えない奴だったがまさか本当だったとは――」
局員の物言いにイラっと来てついやっちゃうし、質量兵器に関しては公で使った事は初めて会った時にリンディを脅した1回だけ。
ただ知識は出しているだけだからそう尾ひれとか付いたのか?
それにしてもそんな噂が流れているのか………本当の事だけど。
「そんな事はどうでもいい………俺の言いたい事は分るな……吐いて貰うぞ」
「――儂は地上を守る為に全て捨てた」
レジアスは観念したのか話し始めた。
「自分の正義は全てを救える……その為なら殉しても構わない……そうゼストと語り合ったのは少なくは無い」
「―――――」
―――アレは語っているだけだ、私には言って無い、我慢するんだ………
「だが現状は違った!!人手不足!海との戦力差!増加する犯罪!衰退する地上本部!地上を守るには……正義示すには必要な犠牲だったんだ!!その為になら悪魔に魂を売ってでもだ!!!」
「それで?その犠牲は何かを得たのか?」
「それは―――」
「本気で守る気があるのか?人間ごときが地上を?是非ともその物語が載っている本屋を紹介して欲しいものだ」
人間ごときが世界を救うなんて―――どこの世界に行ったって争いが無い世界なんて無かったし。
「貴様の様な小僧に何が分る!!」
「大人は2言目にはソレだ……コレだから大人はワンパターンで困る。それに貴様より知っているつもりだ」
生きてる時間の全てと言って良い程、戦場に居た。その中で誰もが恐れる程の『力』を手に入れた―――
………そんな力あっても結局は誰も救えないと言う事も知っている
「まだまだ言ってやる。自らを犠牲にして守る英雄気取りもいい加減にしろ……それに、悪魔がまともな交渉する訳無いだろうが……貴様のやった事はただの自滅だ」
「それがどうしたと言うのだ!!リスクのないものなどおこがましい!!真の平和は正―――ッ!!」
――グシャッ!!!
次の瞬間、レジアス言葉を遮る様に自分の左手を握り潰した……
危なかった……これ以上聞いてたら。リーゼ姉妹で何とか未遂で終わったのを実行する所だった。
取り敢えず抑え込んだ、よくやった私。
「ガキみたいな空想を垂れ流して―――何がしたかったのか意味が分からない」
コレでも前の世界では世界滅ぼし掛けた事もある。たかが数十年生きた人間がふざけた事を―――
「本当にしたかった事は何だ?戦力増加か?悪を裁く事か?それとも何だ?また絵空事を吐くなら頭がこの左手と同じ運命をたどるぞ」
本当に何で人間は……と言うか局員はあの言葉好きなの?
条件反射で思わず―――ってなるし……まあそんな局員は殆どが裏で碌でも無い事してたけど。
「儂は………世界を守りたかった。だが人には限界がある………だから人以上の力を求めて道を踏み外した」
「どんなに力を手に入れても人1人でさえも救えない……結局それは奪うだけの力だ」
「そうだな……気付くのが遅すぎた………それでゼスト隊は「―――と思うだろ?」何?」
俺は後ろにいる奴に念話で伝えた。
「≪もう良いぞ≫」
頷くと、被っていたフードを取った。
「お………お前は!?」
「お久しぶりです………レジアス中将」
後ろに居たのはクイントだ。
本当は中継で無事を知らせるつもりがレイの迷子の件で直接会う事に変更した。
「重傷だったのを保護した。その時ゼストとメガーヌの姿だけの無かったそれに同時刻にメガーヌの娘が引き取られた……もしかしたらこの2人は死んでいない可能性はあるな」
「生きている……2人が?」
「その他はクイント以外全滅だけどな」
正直言ってゼストとメガーヌの居場所は未だに掴めない………流石に俺だけだと個人情報だけが限界だな。下手に踏み込むとバレる。
「人間と言うのは良く分らないな……力を欲すれば力を忌み嫌う、たった1人で出来る事は少ないのに欲張る………今まで沢山見て来たけど人間のここが1番分らない」
「そうだな……たかが1人出来る事は少ない………まさかこんな分り切った事を子供に説教されるとはな」
レジアスは申し訳なさそうに肩を落とす……
「分った―――闇には手を引く」
「は?」
え?……ちょっと待って?何言ってるの?
「そちらの条件に従う……だから娘を「待て待て待て、ちょっと話を進めないで」?」
何でそんな『何を言ってるんだ?』的な顔されなきゃならないの?
「まず先に言っておく。そっちのやる事を止めるつもりも無いし第一娘が人質は嘘だ」
「な………ならあの映像は?!」
「あれは本物、実はコッチの馬鹿が迷子になってた所をそちらの娘に保護して貰ってたのを見つけて―――こうした方が面白いな~と思って実践を……ほら、交渉は弱みを握った方が有利だし」
「コダイ君性格悪すぎ!?と言うか私を呼んだ時そんなこと考えてたの?!」
「当然、クイントもしっかりしておけよ?今後この性格と付き合わされるのだから……」
クイントが頭を押さえている……仕方ない、もうこの性格は治せない。
さて、取り敢えずレジアスの話を進めるか。
「そっちの話に合わせると……今、俺達が作っている部隊の地上側の裏方になってくれないか?」
「裏方だと?」
「要するに多重スパイって奴、俺達がそっちに有利な情報を伝える代わりにそっちも此方側が有利になる情報を送って欲しいんだ」
「ん?どういう事だ?さっきの口振りから管理局を変えるつもりかと……」
「実際そうだけど…………1から説明した方が良いかな」
レジアスに部隊設立の話をした。
要は『管理局がやってる事をやり返す』と言う感じに伝えた。
「かの3提督がそんな事を――――」
「あ、発案したのこっちね?『今まで放って置いたから見て見ぬ振りは出来るだろ?』って言ったら笑いながら了承したよ」
「……何も言い返せないな。加担しているだけあって」
あ、レジアスも呆れている。
「と言う事で今度は複数人でやってみるか?」
「クイント以外にもいるのか?」
「一応後4人、けど顔が割れているから上手く動けないけどそこら辺は表の顔を作って誤魔化すつもり。それに―――」
「………それに?」
「その方が面白そうだからだ」
「面白いだと?……………それだけでか?」
「当然」
それが俺が動く理由、全部自分の為、他人がどうなろうが関係ないし………
「―――ハハハハハハハハハハッ!!これまた凄い理由だ!!」
突然、レジアスが豪快に笑い飛ばした………何事?
「あ、あの………キャラ違いませんか?」
クイントも若干引いてる……
「アレは演技だ」
「ひどくぶっちゃけましたね」
「娘には『凄いのは顔だけだ』と言われてな……正直四六時中は肩が凝る」
あ、眉間の皺が無くなっている………確かにコレが素なら信頼も厚いな。
「レジアスは何事もなかったようにそのままやってくれ。ただし、条件を2つ追加する……1つはさっき言った様に『俺がそっち側に有益な情報を渡すからそっちも情報を俺達側に渡してくる事』と2つ目は『俺のタイミングで全面的にコッチの味方になる事』だ」
「それを聞くにそっちはかなり不利じゃないか?」
「元々犯罪組織だし目的は管理局がやってた事を明るみにすると言う事。あ、誰と手を組んでいるかは言わなくていい。多分、あっちから顔を出しそうだし」
俺達が派手に騒いでいればな。
さて、こっちも終わりにするかな?アインと通信をして監視を終わらせる様に言った―――
「≪えっと……主、その……≫」
返って来たアインの歯切れが悪い。
「≪如何した?≫」
「≪先ずはコレを見てください……≫」
アインがモニターを展開すると。
「それでね。コダイのご飯はとっても美味しいの~♪」
「そうなの?ならいっぱい食べて大きなるのよ~?」
「うん!」
レイとオーリスが何とも和む雰囲気の映像が映った。
「何だこの状況……アイン説明」
「30分前からレイを膝に乗せたきり離す気配がありません。その前にもケーキ食べさせたり、汚れた口元を拭いてあげたりと―――」
「え?………アレ本当にオーリス?何か普段と全然違うんだけど………」
付き合いが長そうなクイントも驚いている………
「娘は昔から世話を焼くのが好きでな。家に帰ると家内が2人になった感じに―――」
「愚痴になってるぞ」
思わず止めた。
「主コダイ!急いでください!オーリス・ゲイズが私にレイを渡してそちらに向かってます!」
「「あ………」」
クイントと声が揃った……この後、結界をすぐ解いてレジアスの部屋を出る。
クイントは脱兎の如く転移。俺もアインの所に向かい、オーリスとはすれ違う形になってアイン達に合流した……
その時に潰した左手を見つかってレイとアインが思いっきり慌てふためいてた。と言うかすっかり忘れてた……
頭翅様、ミラ ランドラス様、桜日紅葉雪様、感想を有難うございます
~次回もお楽しみにしてください!!~