魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~   作:メガネ

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あり得ない方法でリインフォースを生存させました………


拾い食いはいけないってまさにこの事だよね……byコダイ

「もう一度、死ぬかと思った……」

「イヤイヤ、死を数えないでよ…」

 

 向かいに居る、ユーノの呆れた感じの突っ込みが入った。あの後直ぐに転移され、何とか死なずに済んだけど。

 血を出し過ぎてちょっとクラクラする。

 

「けどコダイ、どうして大人になったの?」

「それは皆が集まってから言うから少し待ってね?」

 

 確かはやては医務室、ヴォルケンリッターその付き添い。

 クロノは用事があると言ってどこかに行った、今私達は食堂で待機している……

 なのは達は、さっきからソワソワしている………

 

≪はやて、大丈夫かな~≫

「ただの疲労でしょ?寝てれば治るわ」

≪そうだけどぉ~≫

 

 レイもソワソワしている………そんな時。

 

「待たせたね、提督に報告があったから遅れたけどはやての様子を見て来た」

 

 クロノが食堂に戻って来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クロノが言うには、もうはやてが呪いに浸食される事は無い…普通にリハビリをすれば、歩けるようになると。

 それを聞いたなのは達は大喜びではしゃいでいるけど………

 

「だが、良い話ばかりではない……」

 

 この一言で一気に静まり返った……

 

「彼女――リインフォースは防衛プログラムの分離の際に力の大半を失ってしまった。もって後、数カ月で消滅してしまうらしい」

「そんな……そしたらシグナム達も消えるんじゃ……!!」

 

 フェイトは思わず立ち上がる。

 

「ヴォルケンリッターは防衛プログラムと共に本体から解放したそうだ……消えるのはリインフォースだけらしい」

 

 シグナム達は守護騎士プログラムでリインフォースと別物だから管理者権限で分離も出来るのは当たり前ね。

 

「治したりは出来ないの?」

 

 なのはが恐る恐る手を上げる。

 

「夜天の魔導書の闇の書になる前のデータが無いから修復できない……それに、コレが一番の原因らしい」

「一番の原因?」

 

 アリシアが首を傾げた。

 

「防衛プログラムは………夜天の魔導書の本体がすぐにプログラムを再生させるそうだ。今後はやてが浸食される可能性が高い……夜天の魔導書が破壊されない限りその危険性が消えない―――だから」

 

 終始辛そうに話していたクロノは一呼吸おいてこう言った。

 

「夜天の書を破壊して欲しい……そう、リインフォースたっての願いだ」

 

 その言葉に誰もが黙った………

 

「そ、そうだ!コダイ、私を生き返らせたり、母様の病気を治したりした様にすれば「無理よ」えぇ!?」

 

 アリシアの案を一言で切り捨てた。

 

「あの時は『どうやって生き返らすか』と『どうしたら治るのか』が分っていたから出来たけど。今回は『どうやって治すのか』が分らないの、夜天の書の元のデータがあればすぐに治せるけど」

 

 私はあの子みたいに器用に使えないからね。

 

「失礼、ここにトキガワはいるか?」

 

 静寂を破って入って来たのは、件のリインフォースだった。

 

「私に何か用?」

「すまないが、ついて来て欲しい……話したい事がある」

「分ったわ、じゃあ皆言って来るね」

 

 皆にそう言って、リインフォースの後について行く。

 

「ここだ」

「え?……医務室?」

 

 着いた場所は医務室、入ると守護騎士達と目を覚ましたはやてがいた。

 

「はやてはもう大丈夫なの?」

「もう平気や、この通り!」

 

 力瘤を作ってアピールするはやて。

 

「本当に元気そうだね……そうだ、話があるって言ってたけど」

「実はさっき気になる事を見つけてな」

 

 リインフォースは私に夜天の書を差し出した。

 

「コレを持って見てくれ」

「え?……」

 

 良く分らないけど、言われた通り夜天の書に触れた……その時。

 

 

「「「「「っ!!」」」」」

 

 

「やはり………」

 

 リインフォースが納得した表情をしていて、ヴォルケンリッターは驚いた表情で固まっていた。

 

「なんやそれ?……夜天の書が光っとる」

 

 はやての言う通り……私が触れた途端、夜天の書は呼応するように光った。

 何が起きてるの?

 

「トキガワ、一つ質問していいか?」

「……うん」

「お前は闇の意志と戦ってる時……何かを手に入れたか?」

 

 何かを手に入れたって……………あ。

 

「え~と……これしか思い浮かばないけど。闇の意志との戦いで左腕吹き飛ばされたから、その仕返しに左腕を引き千切って自分にくっつけたけどまさか?」

「お前の思ってる事で合っている……」

 

 えぇ~……ジェルシードに続いて~?

 

「どゆうことや?リインフォース」

「はい、トキガワは闇の書の防御プログラムとの戦闘の際にプログラムの一部を自分の体に取り込んで、魔導書との間に特別なパスが繋がったんです」

「え―――っと、分り易く言うと?」

「簡単に言いますと……………トキガワが」

「コダイ君が?」

「新たな闇の書の主になったんです………」

 

 

 

――シ――――――――――――――――――ン………

 

 

 少しの沈黙………そして……

 

 

「「「「「ええええええええええええええええええええええええええええええ?!?!?」」」」」

 

 

 医務室の中と外から叫び声が………え?外?……

 

 

――ガラガラッ!!!

 

 後ろを振り向くと、なのは達がなだれ込んで来た。

 

「何やってるの?……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、ジェルシードの時といい君は」

 

 事情を簡単に説明するとクロノが思いっ切り呆れていた。

 私だってワザとじゃないんだよ?何かロストロギアが勝手にね?

 

「話には聞きましたけど此処まででしたとは―――」

「ちょっとリニス酷過ぎない?」

 

 フォロー無し?

 

「にゃ……にゃはははっ」

「ごめんコダイ……フォロー出来ない」

「ゴメ~ン」

 

 なのは、フェイト、アリシアから渇いた笑い声が………あの子の能力で口の中にワサビとレモン汁でも突っ込もうかしら?

 

「へ?どういう事なん?」

 

 私の散々な言われ様に付いていけないはやて達八神家。

 

「私達にもわかる様に説明してくれ」

「えっとですね、実は……」

 

 フェイトはシグナム達に話した。

 レイの事やジェルシードの事とか、私がロストロギアを取り込んだ事を―――

 

「ロストロギアを取り込んだのか……」

「テスタロッサの言うとおり……非常識過ぎる」

 

 真面目代表のザフィーラとシグナムにも同じ目で見られた。

 

「あ~だからシャマルの料理を喰っても平気だったんだ……」

「ヴィータちゃ~ん……それはどう言う意味?」

 

 コッチもコッチで散々な言われようだった。

 

「あ、コダイ君が主になったらプログラムがコダイ君を浸食しちゃうんじゃ!?」

「その筈だ………その筈なんだが………」

 

 なのはの疑問に歯切れが悪いリインフォース。

 

「実際の所まだ防衛プログラムは生きている……その筈なのに強まるどころか徐々に僅かながら弱って来ている……一体なぜ?」

「もしかして、私が防衛プログラムをコアごと取り込んだからかな?」

 

 そう言うと全員が固まった表情でこっちを一斉に見た……………コレ言ったらまた絶対総ツッコミが来るよね?

 

「あぁ~……まぁ、いっか」

 

 予想通り総ツッコミが来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと、コダイ君が防衛プログラムを消してくれるからもうリインフォースは消える心配はないんやね」

 

 総ツッコミの後、時間も時間らしくなのは達は地球に戻り、医務室に居るのは八神家と私だけ。

 

「はい……ですが主とのリンクは完全にトキガワに移ってしまいユニゾンは出来ません……元より今の状態で融合できるかどうか……」

 

 え?それって私がベルカ式とかミッド式の魔法が使えるか持って事?………もうちょっと夜天の書を読んで調べてみるかな?

 

「よかったなぁ~リインフォース、これからもずっと一緒やな♪」

「ハイ……そうですね」

 

 そう答えたリインフォースはどこか暗い。

 

「我らは………今まで『闇の書』として多くの人間を苦しめて来た……完成させるまで主を蝕み、完成させたら主を取り込み破壊の限りを尽くす……そんな我らが幸せになっていいものか……」

 

 守護騎士達はその言葉に顔を伏せる……

 

「何を言うとるんや!誰かを傷付けたかて、自分が幸せになっちゃいけへん理由は無い!皆平等に幸せになれる権利を持っとるんや!リインフォースや皆はそれをようやく手に入れたんや!」

「しかし、現に我らは主はやてを今まで蝕んで来た――」

「でもそれは歴代の主が改変した所為やろ!?だったら皆も同じ位苦しんで来たんや!皆私にとって大事な家族や!『幸せになっちゃいけない』何て言うたら許さへんで!!」

 

 家族ね?この会話は入れそうにないわ。

 私には家族と言うものがどんなモノかが分らない――言葉と意味は知っている……だけどそれが何なのかが全然知らない、あの子も教えてくれなかった……

 

「…………ん?」

 

 そのままページをめくっているとあるデータを見つけた。そこには『Familie(かぞくへ)』と書かれていた。

 データを起動する、すると夜天の書が宙に浮き大きなモニターを出現した。

 

「な、何や!?」

 

 はやての言葉に皆がモニターを見た。

 

 

 

 

 

『あ~…映ってる?』

 

「コ、コダイ?!いや胸があるからコダイじゃない………」

 

 ヴィータが驚いてモニターに映っている人物を見上げた。

 そこに映っていたのは私に瓜二つな女性だった……声ははやてに似ている。

 

『え~……オホン、コレを見てるって事は、この夜天の書を完成させたって事だよね……有難うございます』

 

 

 ペコリと頭を下げる女性。

 

 

『私はこの夜天の書を創った者です』

 

 

 夜天の書を創った者……夜天の創設者。

 あ、もしかして守護騎士達が懐かしいって言ってたのって私がこの人と瓜二つだったから?

 

 

『守護騎士たちは元気にしていますか?』

 

 

 その言葉にヴォルケンリッターがピクリと反応した。

 

 

『シグナムは真面目で固いけど、常に主を守ろうとする子だから無茶はさせないでね?。ヴィータは人見知りが激しいけど、根は良い子だから優しく接してあげてください。シャマルは優しくて大人しく皆を癒してくれる子、だけどキッチンには立たせないでね、料理が私並みに下手だから。ザフィーラは無口だけど盾の守護獣として皆を守ってくれるしっかりとした子、もし主が男だったら相談相手になってくれるかもしれません』

 

 

 夜天の創設者は想い出話しの様に微笑みながら語った………

 

 

『あと、この夜天の書にはもう一人眠っています』

 

 

 夜天の創設者は夜天の書を優しく抱き締めた。

 

 

『その子の名前は貴方が付けてください。それで貴方の本当の夜天の書になります………もし良ければこの名前を使ってください。どんな悲しい涙も吹き飛ばし……幸福を運んでくる祝福の風………リインフォースと』

 

 

 リインフォースはじっとモニターを見ていた。

 

 

『では、最後に…シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、リインフォース………そして夜天の主よ………どうか、幸せになってください』

 

 

 夜天の創設者は手を組み祈るように言った………

 

 

 

 

 

 

 

『………ふぅ、も~何でこんなに固い言葉を使わなきゃだめなの?あの子たちは、言わば私の子供だよ!?何で敬語何か………え?まだ撮ってる?……何やってんの!早くけ―――』

 

 

 そこで映像が終わり夜天の書はポスリと地に落ちた……最後綺麗に締めたと思ったらオチたわね。

 夜天の書を拾い上げて、その場から出ることにした。

 医務室から出た直後、ヴィータ達の泣き声が聞こえた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪ねぇ……コダイ≫

 

 廊下を歩いているとレイが訪ねて来た。

 

≪家族って何?≫

「私にも分らないわ」

≪コダイにも分らない物があるんだね≫

「当たり前よ。持ってない物を分ろうとするのが無理なのよ」

≪私とコダイって家族?≫

「う~ん、もしそうだとして、私はレイの何になるの?」

≪う~………お嫁さん!!≫

「却下」

≪え~?!≫

「第一性別違うじゃない」

≪じゃあお母さん!!≫

「だから性別が違うって……」

 

 廊下を歩きながらこんなやり取りをしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~ A's編 完




A's編終了しました。次回はコダイとツキトの事や簡単な補足をしようと思います。

桜日紅葉雪様、アマデウス様、夜の魔王様、松影様、アキ様、liqueur様、感想を有難う御座います。

~次回もお楽しみにしてください~

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