魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~ 作:メガネ
アースラーに情報を渡したその日の夜、クロノがアルフの証言と共にクローンの事は伏せて、なのはに話した。それを聞いたなのはは『フェイトちゃんを助けたい!』と答えた。
その後クロノが『今回の事件はかなり難しい事になっていて、さっき君が話した作戦で勧める事になった』と俺だけに念話で伝えてくれた。
そして次の日の朝、ユーノはなのはに預け――と言うか取られて、アルフはなのは達と一緒にアースラに引き取られた。
……俺は絶対安静を言われていたが。またプレシア・クローンが何かをしてくるか分らない………
だから今早朝にこっそり脱走をしている。
「よし……バニングス家の警備も大した事無い「私が一時止めたんですよ」――いつからいた」
飛び降りた塀の近くにアリサの執事の鮫島が立っていた。
「で?何の様だ?」
「はい、実はこれを…………」
鮫島が渡したのは小さいバスケットと温かいポットだった。
「何だこれ?」
「空腹のままでは行けないだろうと思いまして前日の夜に用意しました、ポットの中身は紅茶です」
「何でこんな物まで「アタシが言ったのよ…………」アリサ?」
門の向こうにはパジャマで眠たそうなアリサがいた。
「アンタ、アタシ達が看病している時、時々上の空だったでしょ?」
いや、聞かれてもそんなモノ分らないし。
「それに。アタシはアンタみたいな、つらい事も苦しい事も迷惑を掛けない為に自分で全部背負い込むバカを知ってんのよ」
アリサは眠たそうな眼を擦りながら話し始めた。
「そのバカは今は吹っ切れたけど今度はアンタがその前のバカと同じ状況になっている………………正直聞き出したいけど、アンタはそのバカと違って性格上ハッキリこう言うわね『役立たずだ』って。けどコレもアタシ達を傷付けさせないアンタの優しさかもしれないけど――それでもアタシ達は友達が傷付いてるのに黙って見ているのが嫌なのよ……」
「アリサ……何が言いたい?さっきから自分の事ばかり話してこれとは全く関係ないぞ?」
「――っ!あ~もう!!それはアンタが勝手に出ていくと思って鮫島に頼んだのよ!悪い!?」
図星を突かれ、顔を赤くして逆切れ大声を出すアリサ………近所迷惑だろ。
「いや、ありがとう。アリサ」
「フン!礼を言うなら作った鮫島に言いなさいよ!さぁ早くそれ食べて、やる事全部解決しなさい!なのはも同じ時期に学校来無くなったから、なのはも同じなんでしょ!?さっさと終わらせて早く学校きなさいよ!アンタ達がいないと学校もつまんないだからっ!!」
そう言ってズカズカと家に戻っていくアリサ。
「では、お気を付けて」
鮫島は一礼して戻って行った…………
≪もしかして…………バレた?≫
「いや、アリサもすずかも気づいてる筈だ。いつかきっと話す時が来るだろうな」
こんな物そう簡単に隠し通せる訳無いからな。
――ガチャ……
再び玄関から音が聞こえ振り返ると。
今度はパジャマ姿のすずかが目を擦って扉から顔を除かせた……
「こだいくんおはよ~はやいね~」
「何時もこれ位だ、今日は用事があるからまだ寝てても良いぞ」
「う~……そ~する。こだいくん、いってらっしゃ~い」
そう言って、アリサの屋敷に戻って行ったすずか。
何か半分寝ぼけてた様だ。
≪いこう、みんなのところに……≫
「そうだな…………」
俺とレイは合流するために公園に向かった。
≪ねぇねぇ、はやくゴハンたべようよ!≫
公園につくといきなりレイがそう言いだした。
それよりもお前食べれないだろ……
≪なにかな、なにかな~≫
適当なベンチに座り、バスケットを開ける。
中身はハム、タマゴ、ツナ等のごく普通のサンドウィッチだ。
≪おいしそ~≫
「でも、鮫島にしては素朴だな………」
ハムサンドを手に取り齧る。
ハムの塩気とチーズのコクが合わさり―――――――更に舌を刺す辛さが口の中に広がった。
「これ絶対アリサだ」
素かもしくは仕返しか……
辛い以外は特に問題無かった………辛いだけで。
「ん………流石お嬢様、紅茶は一級品だな」
全て食べ終わり、ポットの紅茶で一息つく。
バスケットの中に『マスタード効き過ぎ。それ以外は問題無し』と評価を書いた紙を入れて。
≪ん!コダイ、まりょくはんのう…………なのはだよ≫
その様だな。なのはがこっちに歩いてくる。ユーノとアルフを連れて……
「……ふぇ?コ、コダイ君!?」
おい気づけよ………距離にして2、3メートルだぞ?
「なに呆けているんだ?」
「コダイ!?何でここにいるの!?」
「アンタは絶対安静だろ!?」
ユーノ、アルフとりあえず落ち着け………
「治った」
「「「嘘をつかない(の)!」」」
「息ピッタリだな――ん?丁度いいタイミングだ」
≪まりょくはんのう、フェイトだよ≫
なのはと丁度反対側からフェイトが降りてきた………
―――で?何でこうなる?
「フェイトちゃん、いい加減コダイ君から離れてほしいの……」
俺の前にはクロノが介入してきた時よりも迫力があるハイライトの無い目でレイジングハートをこっちに構えてるなのは………
「悪いけど……コダイは私が貰う、そしてこのジュエルシードも」
そして後ろには俺を抱きしめて右手にあるレイを右手ごと掴んでるフェイトが………あの時にプレシア・クローンに見られていたのか……またジェルシードはついでかよ?そう言えば決着付いて無かったっけ?
「フェイト、何であの女の言いなりに何てなっているんだよ!このままじゃフェイトはずっと不幸のままだよ!」
アルフ、俺の事は無視?
「それでも、私はあの人の娘だから……母さんから聞いたの、コダイの右手にジュエルシードがあるって…………」
≪えっと………レイです。よろしく!≫
流石レイ、ズレている。
噛むからフルネームで言うのやめたのか……
「コダイ……このジュエルシード、私に渡してくれない?」
≪ジュエルシードじゃないもん!≫
「悪いが、このジュエルシード………レイは俺のモノだ。誰も渡す訳にはいかない」
実際取れるか如何か知らないし……あれ?
≪っ―――!!!≫
「レイ?」
≪―――きゅ~≫
――ボシュ~!!
「ん?」
急にレイが熱を帯び煙を噴きだした……何があった?
「「コダイ(君)?」」
レイと逆になのはとフェイトから物凄い冷気が……寒い。
「コダイ君、レイちゃんがコダイ君のモノってどういうことかな?かな?(レイちゃん羨ましいの、私もコダイ君に『なのはは俺のモノだ』って言われたいの~)」
「どうしてレイがコダイのモノなのか理由を教えて……(いいなぁ………私も『フェイトは俺のモノ』って言われたい………)」
いや、レイは俺のだし……………
「フェイトちゃん…………」
「うん………………」
フェイトはなのはが何を言いたいのが分ったみたいだ………………念話なしに。
「「賭けよう………………コダイ(君)とジュエルシードを!」」
いや何で俺?
「≪ヒューヒュー
アルフ?……何か声に怒気籠って無いか?
「「行くよ!」」
二人は力強く飛び立った……
「ジュエルシードは!?」
ユーノのツッコミは今日も空に良く響いた……
「ディバインシューター!!」
「フォトンランサー!!ファイヤーッ!!」
――ズドドドドドドドドドドドド!!
「うわ~早朝の花火って、こんな感じかな…………」
「コダイ…………現実逃避しないで、ホントに逃避した方がいいよ」
ユーノ上手い、座布団一枚。
「けど、大丈夫なの?なのはちゃんとフェイトちゃんを戦わせて………」
俺のすぐ横に現れたモニターにはエイミィがいた……………何か寝癖がついてる。
「フェイトの事はなのはに任せようと言ったし、俺達の出る幕では無い。この勝負事態にどちらに転んでも関係ないしそれに――」
「それに?」
エイミィが首を傾げる。その後ろでクロノがエイミィの寝癖をヘアスプレーとブラシで整えていた。
「俺がアレに手を出したら死ぬ、確実に……」
「あぁ……コダイ君の『
『幻痛』と言うのは、俺の魔法及び異能の力を強制的に殺傷設定で受ける体質の名称だ。流石に名前が無いと面倒くさいだろうとリンディが命名したものだ。
「俺達は、誰かが横槍を入れさせないためにいる様なものだ。そっちはフェイトの帰還先の追跡の準備、頼むぞ」
エイミィの後ろのクロノは寝癖を直して何やら満足げだ。
「まっかせなさ~い!」
――ピョコ♪
「あれ?」
「ぁ………」
エイミィのガッツポーズの拍子に寝癖が元に戻り。クロノが小さい声を漏らした………『今度はもっと強力なのを………』と呟いていたが………この際無視だ。
「それでコダイ君、どっちが勝つと思う?」
エイミィの後ろから今度はリンディが覗き込んだ……
「なのはとフェイト。資質や才能を考えると5:5だが………技術と実力を考えると4:6かな?」
「フェイトさんが有利と」
「いや、お互いの精神状態を考えると。フェイトは恐怖や何やらで追い込まれているのに対しなのはは吹っ切れてる………そうなると。6:4になる可能性もある」
「つまり、どっちも勝つ事が出来る」
「そういう事だな………」
後は運のみ。けど、最後の6:4は……………
「やるね!フェイトちゃん!」
「なのはも!初めて会った時よりすごく強くなってる!」
戦ってる内にそんな事は頭の隅に消えたか。溜め込んでるモノを吐き出せばフェイトも少しは吹っ切れるんじゃないか?
「ねぇねぇ、コダイ君♪」
リンディの声がやや弾んでる。
「コダイ君はどっちが勝つと思う?」
「ん?それはわからな「今は不参加除いて私やエイミィも含めて27人中26人がフェイトさんよ」は?」
こいつらまさか………トトカルチョしているのか………………………
「貴様ら………………………」
「コ、コダイ君…………」
俺を見て、顔が引きつってるリンディ…………
「……………何で俺のいない所で面白い事始めている」
「「「「そっち!?」」」」
モニター先の全員が見事にハモった。それ以外に何がある?
「――で、そのなのはに賭けた一人は?」
「………僕だ」
「クロノ?何で?」
「同じのだけだと面白くないと言われて……」
つまり強制参加か……
「なのはに10万。ユーノもなのはに賭けるか?」
「僕?う~ん………うん!なのはに賭けるよ!」
「じゃあ、ユーノの分も俺が払う」
「アンタ達何やってるのさ!二人が真面目に戦ってるのに」
「「トトカルチョ」」
リンディとハモった。
「アルフも賭けるか?」
「賭けるわけないよ!」
アルフの毛が逆立つ……………………なら。
「主が勝つのが信じられないとは不忠な使い魔だな………………」
「何だって!?いいだろう!フェイトに賭けてやろうじゃないかっ!!」
よし。乗って来た。
「じゃあいくらだ?」
「金なんて無い。だからもし賭けに負けたら、アンタの言う事一つだけ何でも聞いてやるよ!」
「その心意気乗った」
「レッツ・トトカルチョ♪」
リンディが開始の宣言をした。
「今の所、拮抗しているけど、そうなるかな………ん?」
デバイスで鍔迫り合いしていたフェイトが離れた。近接戦闘重視のフェイトが何故?
「アルカス・クルタス・エイギアス。疾風なりし天神、今導きのもと撃ちかかれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル――」
フェイトの詠唱と共に周囲に大量のスフィアが出現した……あれはまさか。
「あれはプレシアが俺達を殺そうとした時に使った魔法だ、じゃあなのはは……やはりバインドで拘束されてる」
まぁ元を正せば親子だし使えるのも当然か………なのはもアレでは動けないか………
「あれはライトニングバインド!マズイよフェイトの本気のアレはマズイんだよ!!」
説明ありがとう、アルフ。つまりアレはフェイトの最大の攻撃力を持つ切り札…………
「もし、これが決まればフェイトの勝ち。それを凌げればなのはの勝ち…………」
一応、教えた身として何処まで強くなったか、それに宿題の答えをここで見せて貰うか……なのは。
「フォトンランサー・ファランクスシフト。撃ち砕け、ファイアー!!!!」
多量の金色の雨がなのはに降り注いだ……………………って。
「流れ弾がこっちに来るぞ」
「コダイ下がって!」
「アタシ達が防ぐよ!」
ユーノとアルフが俺の前で障壁を張り流れ弾を防いだ。
煙と爆音が周りを包み、周囲を確認出来なくなった。
「トトカルチョで罰があたったか?………エイミィそっちはどうだ」
「えっと。さっきの魔法がほとんどなのはちゃんに命中!なのはちゃんは煙で隠れていてよく見えない!」
「いったぁ~い!」
突然、煙の外からなのはの声が響いた…………元気そうだな。
煙が晴れるとそこにいたのは。
「撃ち終わると、バインド、ってのも解けちゃうんだね」
比較的に無事ななのはの姿だ………
「フェイトの切り札を凌いだ。フェイトにはもう魔力もあまり残って無い………この勝負なのはの勝ちだ!」
よし、儲けた。
「今度はコッチの番だね!」
なのはは砲撃を放つ。フェイトは魔力弾一発で応戦するがそれも砲撃に飲み込まれ、フェイトは障壁で防ぎ何とか凌いだがもう満身創痍これは止めに入るか……
勝ちは決まったモノだし。
「コダイ君!」
突然なのはに呼ばれて、そのほうを見ると…………なのはが魔法陣を展開して何やらチャージしている。
「なんだアレ…………」
「恐らく…集束砲撃だと思う」
「待てユーノ、それはなのはの様な高い魔力の持ち主が苦手としているって自分で言っただろ」
「うん……だからなのはは、あらかじめ意図的に集めやすい様にばら撒いたんだ。そして使い終わって拡散した魔力を集めている――」
「ハァッ!?そんなのSランク以上の技術だよ!?」
ユーノの言葉にアルフが驚いてる、そんなに凄いのか?………よく見ればフェイトをバインドで拘束している、防御の隙に拘束したのか。
「見てて!これが答えだよ。ディバインバスターのバリエーション!」
成程、コレがなのはの出した答え――は?おい待てこれ以上はオバー「スターライトォォォォォォ!!」って――
「「ちょっと待った!!」」
「ダメだ、もう遅い――」
「ブレイカァァァァァァァァァ!!!」
俺達の制止は轟音によってかき消された………
「なんつーバカ魔力!」
「フェイトちゃん生きてるかな!?」
モニターで驚いてるクロノの言う通りだ。
それとエイミィ………もう生きてるかとかそのレベル?
「コレ………フェイトさんトラウマにならないといいけど」
リンディ…これはトラウマ確実だろう……………
「この馬鹿が」
――バゴンッ!
「にゃあ!」
あの後、海に落ちたフェイトを俺が泳いで助けて、今アルフ(人間形態)が膝枕をして、ユーノの魔法で治療中。
そして今はなのはに説教中だ。O☆SHI☆O☆KIはしない、戦闘中に起きた事だから少し大目に見る。
「友達になりたいと言った奴に即死級の砲撃を撃つか普通?その前の砲撃で勝負は決まっただろう」
「ご、ごめんなさ~い!!」
「――まぁ、宿題に関しては合格点だな」
相手を拘束して至近距離の集束砲撃……なのはらしいと言えばなのはらしいな。
唯一の欠点はチャージに時間がかかるという事だな…そこはユーノに任せるか。
「んっ…………」
治療がすんだのか、フェイトが目を覚ます………確認しておくか。
「フェイト、大丈夫か?ここはどこだか分るか?自分の名前は?今、膝枕をしている人は誰だか分るか?」
「コダイ君、何か酷過ぎない!?」
いや……後遺症が無いか確かめないと。
「え?…………コダイ!?」
「他に誰がいる?………ホラ、立てるか?」
「う、うん」
フェイトの手を引いて立たせる。
「私………………負けちゃったね」
フェイトのバルディッシュからジュエルシードが6つ出てきた………
「えっと…………」
なのはが困った様子でこっちを見て来た。
「反則スレスレだけど勝ちは勝ちだ、貰ってやれ」
そう促すと、なのはがゆっくりとジュエルシードに………
「コダイ君!おとといと同じ魔力反応!」
モニターのエイミィが叫ぶと同時に空から紫の雷が降ってきた………
鬱陶しい……
「―――消えろ」
雷は俺に触れる直前に四散した。
「……エイミィ、場所は掴めた?」
「え?うん……けどジュエルシードが………」
さっきのはおそらく囮………けどこれで居場所が掴めた。
「アースラに戻ろう………なのは、フェイトとアルフを頼む………」
さて、これからだ………
「何なんださっきの能力は!」
「だから言っても理解できないから分らないって」
「答えになって無い!」
「理解できないって答えが出てるだろうが」
アースラに戻った直後クロノと口論がリンディが止めるまで続いたと追記しておく………
『名称不明』
まだ詳しくは書けませんが、ハッキリ言ってチートです。
~次回もお楽しみにしてください!~