魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~ 作:メガネ
暴走は正直やり過ぎた感がある……
JFC翠屋のキーパーが持っていたジェルシードを封印してから数日。色々あった………
今日もジュエルシードを封印して(貰って)、今はYシャツに着替え、ベットの上に座っている。
「ユーノ、今日でジュエルシードはどれぐらい集まった?」
俺は膝の上にいるユーノに聞いてみた。
「えっと、レイのを除外して5個かな?」
5個……あと15個か。
「だとしたらもうそろそろかな?」
「何が?」
「敵だよ、ジュエルシード集める敵」
いくら何でもスムーズ過ぎるしな、それにジュエルシードは危険な反面、願望をかなえる特性がある。これを利用する奴らなんていくらでもいる。
「でも、なのはとコダイなら何とか「何とかじゃダメだ」え?」
「確かに、俺は戦えるし誰にも負けるつもりは無い。だがジュエルシードを封印となると話が別、封印できないから敵に勝っても意味がない。なのはの場合は逆、実戦経験が全くといっていい程無い」
「でも、なのははジュエルシードの暴走体と何度も戦ってきたんだよ?」
「それでもたったの3回だ。それと暴走体と人間とはかなり違いがある、理性もある、作戦をたてる知能もある……それに、才能が秀でたものを持っても、技術や経験が浅ければ負ける」
「そ、そんな………だったらどうすれば」
「それを今考えているだろうが……」
むしろ来ないでくれ、面倒くさいから……面白かったら許す。
「悪党かどうかは同類だから目を見て判断できる」
「同類って……全く否定できないんだけど」
「後、来ても放って置くって言う手もある……」
「………その理由は?」
「敵が頑張って全部回収した物を横から奪い取る」
「最低だよ!!」
何を今更……
――PiPiPiPiPiPiPi♪
「誰だこんな時間に」
突然、携帯が鳴った、着信は………なのはか
「どうした?」
「あっコダイ君。明日暇?」
「ん?何かあるのか?」
「実は明日すずかちゃんの家でお茶会をするんだけど…どう?」
確か学校サボった時に忍に会って誘われた様な……
「暇だ」
「じゃあ一緒に行こう!」
「……ん、了解」
「おやすみなの~」
そう言ってなのはは電話を切った。
「だが、なのはしか封印出来ないし……なのはの意見を尊重するか。折角やる気になってるし」
「未だに魔法が使えない何てなのは以上に不思議な才能だよね……」
「それはこっちが聞きたい……」
≪すか~すぴゅ~≫
ユーノをベットの傍の寝床に入れて就寝。
次の日。なのはとの約束通りに翠屋で待っている。
ユーノは速攻で美由希に捕まった。
「それでねコダイ君、これはどう?」
「成程……ならここはこっちの方がいいな」
「それ採用♪」
今は桃子と近々実行しようとある計画を立てていた。
「おまたせなの、コダイ君」
ちょうど終わった頃になのはが来た。恭也も一緒だ。
「よし、行くとするか」
「あ、コダイ君♪」
店から出ようと、桃子に呼びとめられた。
「(今度よろしくね!)」
満面の笑みでサムズアップして来た……
「(勿論だ)」
俺も二人に見えない位置でサムズアップで返す。
「あ………聞くの忘れていたが、もしかして恭也もお茶会に参加するのか?」
すずかの家に行く途中に気になっていた事を聞いてみた。
「俺は別の用事だ」
別の用事?それを考えているとなのはが耳打ちして来た。
「お兄ちゃんは恋人さんに会いに行くの♪」
「恋人?すずかの家にいるのか?」
あっ……話が聞こえていたのか恭也の顔が赤い。
すずかはまずあり得ないとして………消去法でいくと…
「ファリンか?」
――ズガッ!!
恭也が近くの壁にめり込んだ。
「何でそうなる!?」
シスコンだし妹っぽいのがいいのかと。
年齢的にも1年待てばセーフだし。
「忍さんだよ、すずかちゃんのお姉さんの」
「あいつか」
「知っているのか?」
「初対面で無意識に握手をした」
それを聞いた恭也は遠い目をした。
「確かに………忍と気が合いそうだよ(弄る側として)」
「にゃははははは…………」
隣にいるなのはは苦笑していた。
すずかの家に着くと出迎えたノエルと軽く挨拶、案内された場所に行くと既に来ていたアリサとすずかと忍と一緒にお茶を飲んでいた。
忍は恭也と一緒にどこかに行ってしまった。今はいつものメンバーでお茶を飲んでいた。
「しっかし本当にラブラブね~忍さんと恭也さん」
恭也と忍が消えた先を見ているアリサ。
「だが会うたびに惚気話しを聞かされる気にもなって欲しいものだよな?……すずか」
「あははははっ……ごめん」
落ち込むすずか……全く忍と会う度にいつも惚気やら愚痴やらを言ってくるからな……
「でも、忍さんと会ってお兄ちゃん雰囲気が優しくなったの」
なのはが嬉しそうに言ってる。
「近い将来、なのはとすずかがおばちゃんになる可能性があるって事だな」
「「うっ……」」
俺の言葉に二人が引き攣る。
「言われてみればそうよね。忍さんと恭也さんに子供が出来ればなのは達はおばちゃんね」
「アリサちゃ~ん、コダイく~ん」
「他人事みたいな~」
「「他人事だし」」
アリサと声が揃った。
「キュ―――――!!!」
その悲鳴に全員が下を見ると。ユーノが猫集団に追いかけ回されている。
「皆ダメだよ!追いかけちゃダメ!」
すずかの言葉も届かず被害が拡大していく……
「お待たせしました!!――あっ!?うわぁぁああ~!?」
第一の被害者、ケーキと紅茶を持って来たファリン。
ユーノとネコがファリンの足元で回り、目を回した。
――ツルッ
「あ……」
――バシャアッ!!
「あわわわわわわ!?すみませ~ん!!」
第二の被害者、ファリンの持っていたトレーが落ちて乗ってあるものが全部降って来た俺。
「ベタベタする」
中身はイチゴミルクティーだった。
その後、ファリンの悲鳴で駆け付けたノエルによって被害は収まった。
俺は、シャワーを浴びる様に言われて忍に案内された……
案内が忍と言う時点で何が起きるのか分かってしまった。
「着替えを持って来たけどどれがいい♪」
シャワーから上がると、満面の笑みで忍が持って行きた『女性用』の大量の着替え。
「お任せで」
何度も言うが女装はオシャレだ。
「了解!」
忍に任せた結果………
「ただいまにゃ」
メイド服を着せられ………更に、髪の色と同じ猫耳に猫の尻尾と鈴の付いた首が隠れる位のブカブカの首輪付きだった。
「「「ブ――――ッ!!!」」」
なのは、アリサと忍を待っていた恭也が紅茶を噴き出していた。
「わぁ~!コダイ君可愛いです!!」
元の原因のファリンが目を輝かせてコッチを見ていた。
――ピコピコ♪フリフリ♪
「え?……アレ?」
付け耳と尻尾を動かす。
それを見たファリンが固まって、何度も自分の眼を擦っていた。
「……忍どうした?」
「恭也……私、あの子にとんでも無い兵器を渡してしまったわ……」
「言いたい事は分かったが、鼻血を止めろ」
恭也が一瞬消えたと思ったら、鼻を押さえながら写真を撮ってる忍の傍にいた。アレが『神速』か……
「コココココダイ!なななななっ!!」
アリサがコッチを指さして震えている。
「にゃに言ってるか分からにゃい」
「ソレはコッチのセリフよおおおおおおおおおおおおおおお!!」
その叫びを聞いた猫が一斉に散った、それでまたファリンがコケそうになるのは今はどうでも良いか。
――ペタン……
「アリサうるさいにゃ」
「猫耳を垂らすな!て言うかそれ付け耳よね!?どういう原理で動かしてんのよ!て言うか何で猫語になっているのよ!唯でさえツッコミ所満載な恰好をしてんのにツッコミ要素を増やさないでよ!」
「耳と尻尾については秘密にゃ。こんにゃ喋り方はにゃぜかこうにゃってしまったにゃ」
凄い、一息で言った。
「かわい――と言うか!何でその恰好!?可愛いけど……」
なのは少し慣れた反応だな……翠屋で色々着てるから耐性付いたか。今度はもっとレベルを上げるか。
「忍が選んだにゃ………変かにゃ?」
――ペタン……シュン……
「可愛いよ!後、耳と尻尾を垂らさないで!上目づかいもやめて!!首も傾げないで欲しいの!!可愛いから!」
なのはが腕を交差して顔を防いでる。
上目になるのは単純な身長差なのにな……と言うか会話の前後に可愛いが付いてる。
ユーノは……ダメだ石化している………あれ?
「すずかは何処にゃ?」
「は?何処って……あれ?」
アリサが多分さっきまでいた辺りを見てもそこにはいなかった。
どこに行ったんだ?
――ギュ~!
「えへへ~♪」
突然、後ろから抱きしめられた。
振り返ると、物凄く頬が緩んでるすずかの顔が間近にあった。
「アリサちゃん!こにゃいくん可愛いよ!!」
あ、名前決まった。
「すずか、落ち着きなさい!」
「こにゃいくんは毛並がいいね~」
アリサのツッコミを聞いて無いのか頭を撫でてくるすずか、勿論耳が邪魔にならないに様に。
「こにゃいくん、肉球無いの?」
「にゃいにゃ」
「にゃんで!?」
「すずか、喋り方
「こにゃいくん、ケーキあるけど食べる?あーん♪」
「にゃーん」
「すずか、正気に戻りなさい、忍さんとノエルさんがカメラまわしているわよ!」
間に入るアリサのツッコミが面白い。
そんなのを気にせずすずかは俺にケーキを食べさせている。その時に忍がアイコンタクトで『食べる時は女の子座りで!』と見ていたので希望通りしたら、すずかのテンションが更に上がった。
「ごめんねコダイ君」
一頻りすずかが文字通りの猫可愛がりするとようやく落ち着いたすずか。謝っているが肌が物凄くツヤツヤで説得力が無い。
散々ツッコミを入れてたアリサとなのはも諦めたか慣れたのか、すずかに混じって参加していた。
石化したユーノも元に戻り、お茶会を再開する。
ノエルとファリンは仕事に戻り、忍に関しては『編集してくる!コピーして渡すね!』と良い笑顔で言うと三人娘が『是非お願いします!!』とか言ってた。
「ねぇねぇコダイ、ユーノ触らせて」
「いいにゃ、ユーノ」
「キュ!」
肩に乗ってたユーノがアリサの手の上に乗る。
「やっぱり毛並みがいいわ~」
「キュゥゥゥ!」
アリサに頬擦りされた。逃げ出そうとするがガッチリホールドされて脱出不可能、憐れユーノ。
「ニャッ!ニャッ!」
俺はと言うと膝に乗って来た猫2,3匹を膝に乗せて。尻尾を猫じゃらしの様に動かして遊ばしてる。
「すずかは猫が好きにゃの?」
「そうだよ~こにゃいくんもかわいいよ~♪」
また、緩みまくった顔で頭を撫でてくる。
どんだけ猫が好きなんだよ……今度犬耳でアリサに試すか。
「ニャ~」
ってまた膝の上に乗ってきた…………とりあえず撫でてみる。
「ニャ~ン」
≪わぁ~♪――うゆっ!?≫
猫を撫でまわしてると。
レイがいきなり鳴きだした。それ口癖なのか?レイが反応したと言う事は間違いない。
「≪なのは、コダイ!ジュエルシードだ!≫」
予想通り。
ユーノが突然走り出す……おそらく向かった先にあるのだろう。
「あっユーノ君!」
真っ先になのはが走り出した。
「なのはだけじゃ迷子ににゃりそうだから、いって来るにゃ」
「気を付けなさいよ」
「いってらっしゃ~い♪」
アリサとすずかに言って。なのは達の元へ向かった。
「えっ?……」
「ふぇ?……」
ユーノとなのはが呆然としている……理由は目の前にある。
――にゃああああああああああああああああ!?
俺達の目の前には巨大な猫がいる……
ユーノが結界を張っているから周囲にはバレない様だ。
≪なにたべたら、あんなにおっきくなるんだろう?≫
「そうだにゃ……さすが猫屋敷、こんにゃ猫飼っているにゃんて」
「どう考えてもジュエルシードなの!あんなにおっきなネコさんはいないの!」
レイと考えていたら、なのはにツッコまれた……
「た、多分あの猫の大きくなりたいって願いを正しく叶えたんだと思う」
ユーノが呆然と猫を見上げている。
「にしても限度があるにゃ………」
猫は特に暴れると来なくのんびりとアクビをしている。
「今回は私一人で封印できるね」
「それにゃら簡単にゃね」
軽く助走を付けて巨大猫に跳び乗る。
なのはもレイジングハートを取り出していた。
「お~高い高い……え?」
高い見晴らしに周りを見ると、なのはとユーノを挟んだ向こう側。
そこから突然、金色の光が迫って来た。
――ズガァン!!
咄嗟に左腕で防いだが、力が強すぎて腕がしびれる。
まるで腕に電流を流してるみたいに―――え?本当に電気流れてる?
「ユーノ。魔力にバッテリーでも仕込めるのかにゃ?」
「それは魔力変換資質の電気だよ!」
魔力変換資質って持ってる資質に変換プロセスを踏まずに発生させる事だっけ?
「コダイ君、大丈夫!?」
「にゃんとか、それよりも後ろにゃ」
「え?」
なのはが後ろを向く、そこにいたのは……
「魔導師……それに使い魔?」
なのはの次に俺を見て呟く。
金色の髪のツインテール、なのはとは対極の黒く軽装なバリアジャケットを纏い、黒い斧の様なデバイス持った…………魔導師の少女が樹の枝に立っていた。
「フォトンランサー……ファイア」
少女の魔導師が放つ、さっきと同じ金色の無数の魔力弾が向かってくる。
回避は不可能……なら。
「コレの出番にゃ」
スカートの下から取り出したのは。メイドには必需品のデッキブラシ。どっから出したと言うツッコミは無しで。
それを目の前で回転させて魔力弾を弾く。
――ドガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!!
大半は弾いたが、数が多すぎた。腕、体、脚に何度も当たる。
「コダイ君!ユーノ君!猫さんをお願い。私はあの子を!」
≪フライアーフィン≫
なのはが飛行魔法を使って飛び出した。
「魔導師?バルディッシュと同型のインテリジェントデバイス」
≪サイズフォーム、セットアップ≫
黒い魔導師がデバイス、バルディッシュを鎌の形状に変えた。
「ロストロギア、ジュエルシード。申し訳ないけど……頂いていきます」
「ロストロギア?ジュエルシードは危険なんだよ!?何でこんな事をするの?」
「……答えても…意味がない」
なのはの声に耳を傾けず、なのはに向かう魔導師。結構速い……主体は近距離か、遠距離オンリーのなのには相性悪いな。
……けど、あえてそっちの方が良かった。
魔導師の素早い斬撃をかわすなのは。
なのはがジュエルシードを真剣に集めると言った次の日にユーノの訓練に俺との組手、確か模擬戦と言う物が追加された。
以前に強盗を倒した事をアリサ達が話していたので、俺に接近戦の対策を頼んだ。
技術とか云々は置いといて、攻撃をひたすらかわす様にさせたので。近距離の攻撃に対してかわせる実力は付いた。
今の魔導師の攻撃もちゃんと見てるし…何とかなるかな?
「よっと」
猫の背から降りて、足元に居たユーノを肩に乗せる。
「コダイ!怪我は!?」
「にゃんともない」
「良かった………まだその恰好なんだ」
女装はオシャレだ、ユーノ。
「にゃんか昨日の予想的中だにゃ」
「でも何でなのはと同い年位の子がジュエルシードを……」
「ソレは本人にきかにゃいと………え?」
何だ?突然周囲が暗く………
――ジ―――――――――――――――――――ッ
………猫が後ろ脚を伸ばして尻尾を振ってる。
――フリフリ♪
試しに尻尾を左右に振ると視線で追う猫……あ、コレ飛び掛かる寸前だ。
――ニャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
「餌じゃにゃいにゃよ」
「早く逃げないと!」
≪うわわわわわわっ!まて!おすわり!≫
それって猫に通じるのか?って今は回避優先。
――ドッシャアアアアアアアアアアアアアアアッ!!
跳びかかった猫はそのまま壁に激突して気絶した。
「とにかく回収っと」
気絶中の猫を探り、ジュエルシード取ると、猫は元の大きさに戻りそのままどっかに行ってしまった。
「後はこれを封印して貰う―――」
~絶賛戦闘中……~(魔力弾で地面やらが大変なことになっています)
「…………」
………………ヤるか?
「コ、コダイ!?」
「チョットアノフタリニO☆SHI☆O☆KIシテクル」
ジュエルシード無視してガチ戦闘か?あんな危険物の近くでやる事じゃないよな?
「ヒィッ!!」
ユーノ…安心しろ…貴様には被害は無いから……………
「危険物の周りで暴れるにゃ、二次災害が起こる事を想定出来にゃかったの?本来の目的はジュエルシード、それを分ってやったのかにゃ?」」
「「ゴメンナサイ、ワタシタチガジュエルシードノコトヲワスレテイマシタ」」
「説教もその喋り方?!説得力ないよ!?」
ユーノ、それは自分でも分かってる。
現在、仁王立ちの俺の目の前には、なのはとあの魔導師がタンコブを作ってガタガタ震えて正座している。
あの後、なのはと魔導師の順に頭をデッキブラシで殴ってO☆SHI☆O☆KIをした。
「戦うのは別にいいにゃ、それは本来の目的を終えたから。そのおかげであの猫の餌ににゃりかけたし………分ったかにゃ?」
「「ハイ、ワカリマシタモウシマセン」」
「…………もういいにゃ」
「「はっ!今まで何を!?」」
凄い息ぴったりだな、何かあったのか?
もう、戦闘とか言ってる空気じゃ無くなりどうしようかと考えてると、なのはの提案でお互いに自己紹介することになった。
「高町なのはだよ」
「ユーノ・スクライア」
「コダイ」
「フェイト………フェイト・テスタロッサ」
「フェイトちゃん?」
「フェイトにゃね」
「うん…………えっと………」
フェイトが困った感じでこっちを見てくる……あ、ジュエルシード。
「これをどちらか封印にゃ、早い者勝ち」
俺は二人の間にジュエルシードを放り投げた。
「「あっ!ふ、封印!」」
二人同時に封印したが吸い込まれたのはバルデッシュの方だった。
「お疲れ様」
――ピコピコ♪
「じー」
「ん?如何したにゃ?」
「な、何でも無いよ!?」
こっちをジッと見てくるフェイトに聞いてみると。慌てて首を左右に振る。
「えっと、ただ知ってる人に似てたから……コダイとユーノってなのはの使い魔?」
「違うよ?2人とも私の友達なの」
「でも、耳が……」
「これ付け耳」
付けていた猫耳を一旦外して付け直す。
「え?……でも動いていたよね?後、私の魔法をそのブラシで弾いてたし……それも魔法?」
「喋り方はにゃぜかこうにゃるにゃ。デッキブラシは普通にゃ、弾を弾く位メイド常識では当たり前にゃ」
「凄いねコダイは」
――ナデナデ
「にゃ?」
え?何かいきなりフェイトに撫でられた……そんな要素あったのか?
と言うかメイド常識に関してはスルー?
「ゴメンね急に撫でて……嫌だった?」
「嫌じゃにゃい」
「そっか」
――ナデナデ
今度はさっきより強めに撫でてる……あ、コレ動物飼っている撫で方だ。
――ナデナデ……
「にゃんでなのはも?」
「にゃははっゴメンね、ちょっとフェイトちゃんが羨ましくて……」
何かなのはも撫で始めた……別に嫌じゃないから振り払うつもりは無いが。
「≪如何しようユーノ≫」
何度もこんな経験をしているユーノに聞いてみた。
「≪取り敢えず終わるまで耐えればいいよ≫」
何ともリアルな答えが返ってきた。
≪そろそろ時間です≫
暫く撫でられると、フェイトの所から低い男性の声。多分デバイスのバルディッシュだろう。
「え?……もうこんな時間!?早く帰らないと心配しちゃう!!」
慌てた様子でフェイトは飛び去った。誰かを待たせてる見たいだったな……
「まって!まだお話聞いてないのに!何でジュエルシード集めてるか教え……っていなくなっちゃた」
いや、100%なのはが悪いから。
ずっと俺の頭を撫でてたから……
「気を落とさにゃい。互いに目的は同じにゃから次に会う機会に聞けばいいにゃ」
「そうだね……でもジュエルシード取られちゃった。ゴメンね」
「気にしにゃい、実力はアッチの方がずっと上。あのまま戦ってもなのはは絶対負けてたにゃ」
「それは……身を以て知りました………」
「と言う事で明日から対フェイト戦の訓練を追加にゃ」
「ふぇ!?アレに更に追加なの!?」
一気に顔が青ざめるなのは。
「なのはが強くにゃら無いと意味がにゃいにゃ」
「ぅ~……頑張らせていただきます」
「良い返事にゃ」
「コダイ、無茶な特訓はダメだよ?」
「………それはフリかにゃ?ユーノ」
「フリでも何でもないよ!!」
最近、ユーノのツッコミに磨きが掛かってるな………
「そろそろ戻るにゃよ、アリサがキレる頃にゃ」
用事も済んだのでここを後にした。
戻る途中に偶然ファリンを見つけた。何故か膝を抱えてる…
「あの~どうしたんですか?」
恐る恐るなのはが聞いてみた。
「ま、迷子になっちゃいましたぁ~」
泣きながら俺にしがみ付いてきた………
「…………仕えてる屋敷で迷子ににゃる?」
「にゃははははは…………」
なのはは苦笑いするしかなかった。
タイミングよくすずかの所に戻ると言ったら一気に笑顔になって後に付いて行った。良いのかそれで。
「おかえり~ってコダイ!?アンタその怪我!?」
「怪我?…………あ」
――ポタ……
アリサに言われてと、腕に伝う違和感でようやく気付いた。
メイド服にいたる所が血で赤く染まっている。考えられるのはフェイトの弾きそこなった魔力弾……
この服気に入っていたのに……
それからはまさに修羅場だった、なのはとすずかは気絶するわ、ファリンは泣き叫ぶわ、アリサは首を絞めに掛かるし………ノエルが来なかったらどうなってたのやら。
怪我の理由はユーノが落ちる所を庇ってヤバい所から落ちたとなのはと念話で口裏を合わせて。
出血は派手だけど傷自体は浅いらしいが、一応すずかの家で一日様子を見る事になった。
ユーノから念話で聞いた所、有り得ないらしい。
魔法には『非殺傷設定』と言う物が付けられて、文字通りダメージはあるが損傷は伴わない。
フェイトの魔法もそう設定されているらしい、出ないと猫も怪我をしていたと。だけど現に俺は傷を負っている。それについてはユーノも分からないらしい………
因みに傷はユーノの回復魔法でゆっくりとコッソリ治して貰った。
『O☆SHI☆O☆KI』とは
コダイの持つ特技の中で一番凶悪な技。その内容は喰らった本人しか分からなく、しかもその人の人格を一時変貌させる程のトラウマを植え付ける。さらに二回目以降の場合は前回までのトラウマが再発し威力倍増。
シエスタ410様、感想を有難う御座います。
~次回もお楽しみにしてください~