魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~ 作:メガネ
忘れ物を取りに行ったらラブレターを見つけてそれを読んだ後。
まるで空気を読んだかのタイミングで手紙に送り主と出会った………
「あの……お、お隣………いいですか?」
「隣?……」
と言っても席には着いて無いぞ?
「別に構わないが……」
「ひゃい!そ、それでは…………わわっ!!」
「っと……」
こちらに向かおうとする途中で机に脚を引っ掛け前のめりに倒れ、寸での所で抱き留めた。
「何があったか知らないが慌て過ぎだ」
「ご、ごめんなさ―――」
抱き留めている状態なので女子が顔を上げると顔を間近に合わさる……
――ボン!!
「っ~!!!」
見つめ合う事数秒、女子が爆発した。
「わわわわ!!ごめんなさい!重いですよね!体育あったし!汗臭いですよね!!」
「いや、だから落ち着け。これでも腕力はある方だから軽い方だ。ほら……」
片方の腕を相手の膝に回して持ち上げる。俗にいう『お姫様抱っこ』だな。
「これ位には」
「~~~~~!!!」
女子の体が硬直した。と言うか顔を手で多いプルプルしている……隠れていない耳の部分が赤く染まる。
「おい、どうした」
「にゃ、にゃんでもにゃいでしゅ……」
「全然そうには見えないんだが……」
そう言えばあいつ等を待たせていたな。連絡入れとくか……『ラブレターの相手と話があるから遅れる』でいいか……
「あの……もう大丈夫です、ごめんなさい」
念話で連絡しようとした時、女子が落ち着きを取戻したのでゆっくり降ろした。
「もう大丈夫なのか?」
「はい、その……ごちそうさまです」
「は?」
「ハッ!あぅあぅ」
何か慌てだした……このままじゃ堂々巡りだな。
「確か手紙で話があるって書いてあったよな?」
話をそらす事にした。
「あ、そうです!トキガワさんに話があって呼んだんです!」
「それで?………話とは?」
「えっと……トキガワさんに受け取って欲しい物があるんです」
受け取って欲しい物?
「それなら手紙とかでは無くそれを送れば簡単じゃないか?」
「こ、こういうのは手渡しの方が喜ばれると思って……」
そう言う物なのか?
「あの……後ろ向いて貰って良いですか?用意するので」
「ん?分った」
言われた通りに後ろを向くと、ガサゴソと物音が聞こえる…………
「もう良いですよ―――」
「そうか」
そう言って振り向く―――
――ヒュッ
――ガチャ
と同時に体を半身のまま、懐に携帯しているサプレッサーを付けたはべレッタM92を相手の右目に狙いを定めた。
「確かに
半身にした事で体がズレ、顔のすぐ横にはナイフを握った女子の手が突き出されていた。
「殺した奴の顔が分からなければ誰を恨んでいいか分からないしな」
――タァン!
そのまま躊躇無く引き金を引き、右眼を撃ち抜き脳そして頭蓋を破壊し。少し宙に浮きそのまま後ろに倒れた。
「さて、凶器を回収して―――と」
女子が持っていたナイフが手から離れ、それを空中で掴みそのまま黒板方面に向かって投げた。
――ギィン!!
だがナイフは教卓の近くで何かに弾かれる。今度はそこに目掛けて銃を撃ち込む。
――タァン!タァン!タァン!タァン!
それもナイフ同様に教卓の近くで弾かれ逸らされてしまう………いいか。
「ガキ同士の乳繰り合いはどうだった?糖尿になっても責任は持たないからな。勝手に覗いた自業自得だ」
相手が誰だか把握出来たから。
「せっかくいい思いをさせて上げたのに……もしかして興味じゃなかったかしら」
教卓の上の空間が歪む、そこに居たのはブロンドの女優のような顔立ちと容姿、黒いレザーのキャミソールに同色のタイトスカートにロングブーツの上に白衣を着た『いかにも』科学者っぽい女が教壇に脚を組んで座っていた。
確かこの声はターエンだっけ?
「正直狙いすぎて引いた。罠なのバレバレ」
「あら、残念」
そういうターエンは全然そうには見えなかった。
「流石『殺人姫』ねぇ……あんな子にしかもこの学校の女子を躊躇いも無く打ち殺すなんて」
「は?何言ってるんだ、こんなの唯の女子の制服着せた唯の肉塊だろ」
俺は小石を退かす様に死体の頭を蹴る。
「顔と名前が分かればどんな情報も引き出せる俺が周囲の、それもほぼ毎日通う所の全員の人間の顔と名前を知らない筈は無いだろ?たとえ今日来た転入生だとしても嫌でも耳に入る」
「ふーん………じゃあさ、この子に見覚えは無いの?」
「無いな」
再びターエンに向けて銃を撃つ。
――タァン!タァン!タァン!タァン!
「フフフフフ……そんな玩具効かないわよ」
弾はターエンの展開した、瞳と同じ深緑の魔力光のドームに弾かれた。バリアタイプの障壁……なら。
俺はベレッタM92を懐に戻し、新たにFN P90を取り出した。この弾の貫通力なら。
一点集中は防がれる……点がダメなら面だ。
――ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!!
ターエンの障壁に万遍なく弾幕を張る……弾は障壁にあたって、そのまま地面へと落ちる。
強度の脆いバリアタイプなのに伊達にSランク以上と言われているな。そう考えると質量兵器って本当に玩具だな。
「いつまでもそんな事して良いのかしら?」
「貴様がそれを解いたら考えてやる」
――ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!!
「……それに策が無い訳では無い。たった1つだけ策はある」
「へぇ……私には何も無い様にしか見えないのだけど?」
「あぁ、とっておきのやつだ…………それは」
――ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!!
タイミングを見計らって――――ここで。
「逃げる」
教室の出入り口に向かって走る。
「……………え?………へっ!?」
間抜けな声を出しているターエンを無視して教室を出て、廊下を走る。
「相手が頭が良くて良かった、変に勘ぐりしてくれて」
走りながらFN P90とベレッタM92の弾を補充する。
そう言えばアイツ『いつまでもそんな事して良いのかしら?』とか言っていたな……
「あの口ぶりから予想できるけど……一応屋上に行ってみるか」
何かあるかも知れないし……
屋上までは妨害なく進んでいく。これはもしかして………
「ほらやっぱりー」
屋上に着いた状況に棒読みで呟く。
そこには誰もいなかった、レイ達が待っている筈の転送ポートの場所なのに……
「認識阻害の結界にAMF………随分手先の器用な事で。さすが転生者」
あ、俺もそうだった……これじゃリンディに通信も無理か………
「レイ達の居場所を探らないと……確かレイに渡した端末に発信器を付けた筈」
早速場所を探す…………え?後ろすぐ近く?………まさか。
俺はレイの持っていたバックの中を探る………原因はすぐ分かった。
「いつも肌身離さず持っていろって言ったのに……」
バックに入ってた。
「残念、ここにはいないわよ?」
背後から、ターエンの声と共に屋上を敷き詰めるように現れた魔法陣から、何故かここの制服を着た人間が男女問わず現れた。
「成程……あの無人世界の局員のアレは貴様か」
「えぇ……でも今回は違うわよ?ここにいる人、それにさっきアナタが殺した子も皆『前の世界でアナタが殺した』人たちよ。ここに転生した時に望む力とアナタに殺された人の肉体を回収して治してアナタを殺す武器になったのよ。それにはアナタへの恨みが込められてるの」
そう聞けば見た事ある顔がゾロゾロと……
「つまり、これ等は貴様が操っているんだな」
「正解よ。私達の魔力を使ってね」
「つまりここで貴様を殺せばこれはただの肉塊になると言う事だな」
「フフフフフ………いつまでそんな余裕でいられるかしら?何か居ない事に気づかない?」
「あ?なのは達の事だろ?どうせここの貴様らが拉致してどこかに監禁して、俺にゲーム感覚で『制限時間内に見つけないと命は無い』とかいう魂胆だろ?」
悪人の考える事は同類だから分かる。でもさすがにそのままという事は無いだろう―――
「――――――」
あ、ターエンの顔が固まった……え?ちょっともしかしてそのまま?図星?うわ、どうしよう………でもいいか、面白そうだし。でも一応謝っておくか。
「えっと……何かごめん」
そんな事は余所にターエン無言で指を鳴らして、死体をけしかけた……
「あ、やっぱり怒った」
謝ったのに……
ターエンが指を鳴らす事により、死体が飛び掛かる。前回と違うのは操縦者が居る事……精度は比べるまでも無いが。
背後から来た死体の腕を極め後頭部を掴み地面に押さえ付けると、当然首の後ろに円形の金属パーツが埋め込まれていた……
「あんまり乱暴にしない方が良いわよ?それにはロストロギアを使っているのよ、もし壊しでもすれば………分かっているわよね?」
「身に染みてる」
ターエンの言葉を一言で切り捨て。掴んでいた後頭部を踏みつけて、自由になった片腕でデザートイーグルを取り出して近くの死体数人の足を狙う。
――ガゥン!! ガゥン!! ガゥン!! ガゥン!!
頭を撃ち抜いても死体で操られているのだから意味がない、なら抉り飛ばして損失させればいい。
撃った弾は死体の肉と骨を抉り飛ばし脚を飛ばす。支えを失った死体は周りを巻き込み崩れる様に倒れた。
「攻略法は分かっているけど」
銃を戻し、押さえつけていた死体を引き起こしてハンドグレネードを口の中にスモークグレネードを服の中にそれぞれピンを抜いた状態で突っ込み、倒れている集団に向かって蹴り飛ばす。
――ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!
凄まじい爆音と共に煙が周囲に広がる。
「さて……どう楽しませてくれるかな―――っと」
煙の中から正面から突っ込んできた死体が俺に掴み掛ろうと振るわれた腕を屈んでんでかわし、袖から大型のナイフを取り出して振り上げて顔を縦に切った。
さらにその死体を蹴り、その反動で後ろに飛び、死体を利用した三角蹴りを繰り出す。
――メキャッ!!!
そこに読んだようなタイミングで後ろから突っ込んできた死体の顔面に脚がめり込んだ。
「なるほど、視覚――それに聴覚かもしれないが情報は共有しているのか……あの時の局員の動きはその恩恵が大きいな。情報を共有してターエンが統率……手足の様に動く以上理想の集団戦法だな」
ナイフを戻して今度は仰け反ると目の前に左右から死体の腕が通り過ぎた。
のけ反った体勢を戻してデザートイーグルで順番に頭を撃ち抜いた。
――――ガゥン!! ガゥン!!
煙が徐々に薄くなっていき……視界が晴れる、周りには動かなくなった大量の死体、その周りを圧倒的な数で囲う健在な?という言葉を使って良いのどうか分らない動く方の死体がいた。
「何人殺しても無駄よ。ここにいるのは全体の1%にも満たないわよ?どれだけの人を殺したのかしら?」
「殺した奴の数を数えるほど暇じゃなかったからな。ただ殺せればそれで良かったからな」
ターエンにデザートイーグルを向ける。
「それならもしかしたら私に効くかもしれないわね……でもいいのかしら?その銃の弾数は残り1発、もし外れでもしたら………どうなるかを」
ターエンが指を鳴らす準備にすると死体が次々と腰を落とし飛び掛かる体勢になっている。
「別にこの1発で決めるつもりは無いし決まると面白くも無い………だが今回は『ゲーム』だ、俺がネタバレして機嫌損ねた貴様のゲームだ」
俺はゆっくりと狙いをターエンから降ろしていく―――
「ゲームは嫌いなんだ。誰が付き合うか」
――ガゥン!!
デザートイーグルに残っていた最後の弾を撃つと『バシュッ!』と言う破裂音の後に……
――ブシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
全ての視界が乳白に染まった。
「しまった!!!………コイツ消火器を!!」
俺が狙ったのはターエンが言う通り消火器、中身の消火剤を撒き散らし視界を遮るために撃った。
その所為で自分も見えなくなったが。建物の構造は全部理解しているので何も問題は無い、そのまま屋上を後にし。そのまま目的地に向かい廊下を走る。
さて、相手をあそこまでコケにしたんだ……形振り構わずの人海戦術で挑んでくる。
「ただ見つけるのは難しくなって来たな……」
ターエンの様な頭のキレるタイプは隠し場所が難しいと言うだけじゃない。ターエン見たいな性悪女が隠しそうな条件に合う場所はあそこしかないか………
「だが、前の世界から出張とはご苦労様だな」
俺を恨んでいない人間なんていないだろうし、あれだけでもまだほんの少しって言うし…………
「それに――――私に二度も殺されるなんて」
だからもっと楽しませてよ。私が面白いのが好きなの……転生したのなら前より強くなってそうだし……
「今から楽しみね」
自然と口調が素に戻っていた……
「けど今はのんびりと行くか」
口調を普段のものに直して向こう側に何体もの死体が行き場を塞いでるのを見た。
「全く、仕事速いな……前の世界から出張ご苦労様」
後ろを向くと同じく道を防ぐように死体が追って来た……要するに挟み撃ちだ。
今持っているデザートイーグルは弾数0、リロードしてもここの死体の数は対処しきれない……かと言ってハンドグレネードは視界を塞ぐから効いているか確認できない。
「出来ないなら……出来るようにするだけさ」
服の中からデザートイーグルのマガジンを取り出して。行き場を塞いでる群れに向かって思いっきり投げる。
マガジンは群れの頭上を超え、それに目を向ける死体の群れ。
「上目遣いと
――ズサアアアアアアアアアアァァァァァァァ!!!!
かなりの助走をつけて、群れの足の間に滑り込み群れを抜ける。
勢いが止まった所で起き上がり、目の前に落ちてくるマガジンを空中でリロードしてすぐ狙いを定める。
「もう少し………まだ早い……」
後から追いかけてくる死体が来るのを待って………
――ガゥン!!
こっから見て群れの一番奥の死体の首の後ろ金属パーツを目掛け撃った。
――ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!
撃たれた死体は群れの周りと後から来た群れを巻き込んで爆発。
あの爆発の威力は理解している、これはもう跡形も残って……
――ビュン!!
「危なっ」
――ガゥン!!
突如、目の前に飛来してきた物を咄嗟に撃ち落した。
「何だいったい………ん?腕?」
撃ち落したのは、黒く焦げていたが人間の腕に間違い無かった。
「巻き込み損ねたのが吹き飛んで来たのか、全く―――あ」
今凄く面白いことを思いついた。準備は出来るどうせ通り道だ、早く用意を済ませてレイ達の所に行くか。
その後も何度も混戦はあったが苦戦する事無くたどり着いた。今いるのは校庭の体育倉庫。周りには誰もいない……
俺は扉を両手をポケットに入れたまま『蹴破り』中に潜入する。
――ドガッ!!
中には予想通り、レイ達が縄で縛られている。確かに正解だな、たとえAMFの中でもなのは達はSランクだから下手なバインドだとすぐ壊される。と言うか……
「どんな抵抗の仕方すればそんな埃被るんだ?」
なのは達の制服には不自然な埃の付き方をしている。
「アンタが扉を蹴破ったからよ!!」
「ちゅーか私達が攫われたのに必死感0!?」
アリサとはやてが縛られてる状態でツッコミを入れた……そんだけツッコめば元気だろう。
「話は後だ、とにかく縄を切るからじっとしていろ」
そう言ってなのは達を縛る縄に手を……
「コダイ君後ろ!!」
――グシャッ!!
伸ばせなかった……
なのはに言われると同時に、深緑の魔力光が俺の左手を貫いて巻きつかれ腕が後ろに引っ張られる。その魔力の元を辿るとそこに居たのはターエンだった。
「さっきは散々コケにしてくれたわね」
「コケにしたというか、バレバレだったよう……ッ」
そう呟いているとターエンが、持っている魔力の糸を引いて俺の左腕を締め上げる。
――ミチミチ……メキャッ!グシャッ!!
左腕が嫌な音を立てて変形していく。
「貴方は普通には殺さないわ…………じっくりと痛みと恐怖を味合わせてその綺麗な顔をゆがませてあげる」
「褒めてくれてありがとう」
締め上げる力が強くなる……腕は肘から先が歪に変形している……このまま引き千切る気か?
「じゃあ………まずその左腕から!!」
ターエンが一層魔力の糸を引くと、腕も一層嫌な音を立てて………
――スポーン♪
と抜けた。それはまるで初めから取り外せるように簡単に…………
「腕が抜けた?…………ッ!!」
宙に上がる千切れた腕見ていたターエンの目が見開く。その腕の肘の先には小型のハンドグレネード……しかもピンが抜かれている。しかもその腕がどこに飛ぶのか引いたターエン自身がよく知っている。
これがどう意味するか――
それと同時に俺は蹴破った扉を蹴り起こし盾の様に立てかける。
――ドオオオオオオオオオン!!
「残念だったな、俺の腕は着脱式なんだ」
「うゆ!?そうだったの!?」
「レイちゃん、それ絶対嘘だから……」
「そうなの!?なのは!」
本当に嘘なんだけど……
アルクオン様、桜日紅葉雪様、零崎 式様、感想を有難う御座います。
~次回もお楽しみにしてください~