緋弾に迫りしは緋色のメス   作:青二蒼

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21:マタアイマショウ

 7月の下旬。

 既に夏と言った感じに蒸し暑い。

 私の武偵高の制服も夏服へと変わっている。

 ちょうど今、終業式があってこれからは夏休み。

 私にとって、夏休みを経験するのは人生で2度目。

 いやー、それにしても面倒だったよ。

 半年で進級分の単位を(そろ)えるのは……

 別に苦労はしなかったけど、それほど楽しいと思えるほどの任務(クエスト)はあまり無かった。

 お父さんから言い渡される任務じゃないと、あまり満たされない。

 

 ピリリリリ……

 

 仕事用じゃない方の電話か。

 と言う事は、キンジか白雪さんかな?

 携帯を開けて見ると、画面に表示されてるのは『遠山 キンジ』の名前。

 通話を可能にして出る。

「ん、霧だけどどうかした?」 

『あー、どうかしたって言うほどでもないんだが……今日、時間空いてるか?』

「空いてるけど、どうして?」

『さっき連絡があって、俺の兄さんが今日帰ってくるらしいんだ。それで、霧と話がしたいってさ』

 お話ね。さすがに私の正体がバレたって言うのは……無いか。

 だとしたら何だろう。

 医療関係の話とか、単純に話をしたいだけかな?

 どっちにしてもちょうどいいね。

「分かった。私もキンジに話があるからちょうどよかったよ」

『何だよ、俺に話って?』

「まあ、それはキンジの家でゆっくり話すよ」

『……ああ、分かった』

「それじゃあ、またね」

 プツンと、私は電話を切る。

 さてと、最後に色々と準備をしておかないと。

 

 ◆       ◆       ◆ 

 

 蒸し暑い夕方の空の下、俺は歩いていた。

 全く、上の連中も色々と難題を吹っ掛けてくる。

 おかげで仕事を片づけるのに時間が掛かってしまった。

 まあ、何とか休暇を取り付ける事に()ぎ着けられたがな……

 どうやらキンジによると、彼女――白野は予定が空いてるらしい。

 俺としては、それを聞いて安心した。

 今日でなければ、次はいつ休みを取れるか分からないからな。

「ただいま……」

 玄関を開けて、久しぶりの我が家へと帰って来た。

 靴を見る限り、どうやら白野はいるらしい。

 祖父母はいないのか……

「あ、お邪魔して――」

 ちょうど白野が通りかかり、俺に挨拶しようとするが……なんだ?

 なぜ言葉を止める?

「えっと、金一さんだよね?」

「あ、ああ。そうだが」

「なんで、女装してるの?」

 ………………。

 ――しまった……

 客をあまり待たせてはいけないと思って、女装を解くのをすっかり忘れていた。

 道中でやたらに男性の視線を感じたのはその所為(せい)だったか……

「ああ、うん。趣味は人それぞれだしね……私は気にしないよ」

「待ってくれ、誤解だ!」

「大丈夫だよ。金一さんなら女性でも充分やっていけるって、性転換したいのなら確か良い国があった筈だから」

「頼むから話を飛躍させないでくれ!」

 心なしか、彼女の目が何かを見守るような温かい眼差しになっている。

 このままでは、変な色眼鏡で見られかねない。

「兄さん、お帰り。って言うか、何を玄関で騒いでるんだよ」

「キンジ、すまんが……誤解を解くのを手伝ってくれ」

 ちょうどよく来たキンジに、そう助け船を求める。

 こんな事で弟の助けを借りるとは思わなかったぞ。

 俺の姿を見て察したのかキンジは、霧に声を掛ける。

「……あー、霧。兄さんが女装してるのは訳があってだな」

「え? キンジが言ってた、金一さんの変わった趣味ってそう言う事じゃないの?」

 ――なに?

「おい、キンジ」

「いやいや、俺は言ってないぞ! 一言も!」

「そうだっけ? 色々と自慢話を聞かされたような気がするけど」

「確かにしたような気もするが、変わった趣味だとかは言ってねえよ!」

 そこでキンジは何かに気づいたのか、途端に冷静になる。

「霧、絶対に今のワザとだろ」

「さて、何の話だか」

 彼女はワザとらしく視線を逸らす。

 なんだ……ちょっとしたイタズラか。

「全く、危うく弟を粛清しないといけなかったぞ」

「お前のおかげで、俺の寿命が縮む所だったぞ」

 俺の言葉にキンジは、彼女を恨めしそうに見る。

 だが、彼女は気にせずにニコニコと笑顔だ。

「それで、女装してるのは趣味じゃないんだよね?」

「まあ、そう言う事になるな」

「元が良かったからビックリしたよ。そこらの女性よりも綺麗だよ」

 男としてそれは喜んでもいいものか……

 いや、同僚でも何度も言われている事だが。

 それでも何と言うか……面と向かって女性に言われると、応える物がある。

 思わず苦笑いが零れる。

「はは……ともかく、玄関で話すのもなんだ。居間の方へ行こう」

 と、俺達は移動する。

 畳()きの居間に着いて、お互いに一先ず座る。

 大ちゃぶ台に置かれている湯のみがある辺り、ちゃんともてなしはしてるみたいだな。

 そして、彼女は優雅に畳の上に座る。

 しかもきちんと正座だ。

 以前の印象からして、自由そうなイメージだったが……無遠慮と言う訳ではないらしい。

「すまないな。せっかくの夏休みに時間を取らせてしまって」

「別に気にしてないよ。ところで、女装についてだけど趣味じゃないなら、潜入捜査(スリップ)でもしてたの?」

 当然だが、女装は趣味と言う訳ではない。

 また、潜入捜査のための変装でもない。

 もちろん女装については、HSSになるためのトリガーだ。

 きっかけは両親を亡くした時だと言う皮肉なモノだが。

 ともかく白野が俺の恰好(かっこう)に疑問を持つのも至極、当然の事だ。

 しかし……彼女は、HSSもといヒステリアモードについて何も知らない筈だ。

 いや、キンジとパートナーを組んでいる以上はヒステリアモードについて知ってると見る方が無難だろう。

 だが、知っていてもその仕組みについては何も知らないだろう。

 正直な話、彼女になら話してもいいと思ってはいるが――

「あー、兄さん」

 俺がどう答えようか迷っていると、キンジが声を掛けてくる。

「なんだ?」

「霧は俺の体質の事なら知ってるぞ」

「どう言う事だ?」

「だから、ヒステリアモードについてはもうバレてる」

 やっぱりな……

「キンジ……お前はもう少し、忍耐力を鍛えた方が良いな」

「それってどうやって鍛えりゃいいんだよ……」

「まあ、キンジは簡単に色仕掛けで落ちちゃうからね。学校でも散々だし」

「……ほう?」

 それは、良い事を聞いたな。

「おい、霧。余計な事言うなよ!」

「いや、白野……続けてくれ。どうせなら今までにキンジがヒステリアモードになった時を教えて欲しい」

「いいよ? 私が最初にヒステリアモードって呼ばれる状態になったキンジを見たのはね――」

「やめてくれえええええええ!!」

 

 

 数分後――

 キンジは、魂が抜けたように床に倒れている。

 白野の言葉を阻止しようとしたが、俺がその前に取り押さえた。

 抵抗して来た際に、なかなか動きが良くなっている事に驚いたが……踏んで来た場数が違う。

「………………」 

「いつまでそうしてるつもりだ」

「ぐほっ!」

 軽く蹴りを入れてキンジを叩き起こす。

「最悪だ……恨むからな、霧」

「へえ、黒歴史を掘り起こしたぐらいじゃダメかな? なんなら、今ここでお兄さんにヒステリアモードになる様を見せつけてもいいんだよ?」

「勘弁してくれ……」

 白野が迫るとキンジは顔を少し赤くして逸らす。

 完全に尻に敷かれてるな、キンジ。

 この様子を見るとコイツの将来が不安になる。

 一度、女難(じょなん)の相があるかどうか見て貰った方が良い気がしてくる。

「取りあえず、夕食にするぞ。白野も、以前と同じように食べていくといい」

「ご馳走になります」

 初めて会った時のように食事に誘う。

 そして、料理が並んだ所で食べながら雑談をする。

 相変わらずキンジは色々と弄られていたが、本人は口では色々言いながらも悪くは思っていないようだ。

 この様子を見る限り、関係としては良好なのだろう。

 ――本当に良い奴を見つけたな。

 口には出さないが、心の中でそう思う。

 食事が終わり、縁側で霧は俺の隣に座る。

 初めて会った、あの時のように――

「どうも、ご馳走様になりました。二度も食事に誘ってくれてありがとね」

「いや、気にする事は無い。それに、今日は俺の方から誘ったのだしな」

 彼女は幼さの残る顔で、小さく微笑む。

「そう言えば、私に話があるって言う話だったけど」

「まあな……」

 単純にこれと言うほど言っておきたいことがあった訳ではない。

 ただ単に他愛もない話をしたり、キンジの事について色々と聞きたかったのだが。

 ……ちょうどいい機会かもしれない。

「真剣な話になるんだが……いいか?」

「真剣な話ね……キンジの体質のこと?」

「まあ、そうだな」

「割と当てずっぽうだったんだけどね」

 そう彼女は言うが、いい洞察力と勘をしている。

「キンジもそうだが、俺も同じ体質を持っている……いや、遠山家にいる男性が代々受け継いできた特異体質だ」

「そうなんだ。もしかして、金一さんが女装してるのもその体質に関係があったりするのかな? 関係無かったらただの変態だけど」

「………………」

 女の子にストレートに言われると、かなり来るな……

「……話を続けさせて貰うと、俺とキンジはβ(ベータ)エンドルフィンを分泌することで、電気信号による神経伝達の速度が亢進(こうしん)して身体能力および思考速度も向上すると言う体質だ。まあ、キンジのを見ていたのなら分かっていると思うが」

「要は、性的興奮をする事で脳内麻薬によりドーピングされた状態になるってことかな? まあ、詳しく説明しようと思ったら色々と違うんだろうけど」

 さすがは医療関係に詳しいだけはあるな。

 彼女は瞬時に話を理解している。

「そう言う事だ。それが、俺とキンジの体質だ。俺はこの体質の事をヒステリア(Histeria)サヴァン(Savant)シンドローム(Syndrome)――HSSと呼んでいる。キンジはヒステリアモードと呼んでるみたいだがな」

「サヴァン・シンドロームなら聞いた事があるんだけどね……」

「まあ、それとは似て非なるモノだ。そもそも遺伝性の特異体質だから、遠山家以外にあるとは思えないが」

「そんな重要な事、私に話して良かったのかな?」

「遅かれ早かれ……と言っても、既にバレているしな。キンジの変わりようを見ればすぐに何かあると言うのは分かり切った事だ。パートナーである君なら、なおさらだ」

 それでも、HSSのメカニズムについて辿り着くのは難しい事だろう。

 医療に詳しくでもない限りはな……

 だが、当然ながらイ・ウーの連中にはこの事は最早知れ渡っている。

 この体質――いや、技術を秘する事はもう難しいかもしれないな。

「だけど、キンジはあんまり好きじゃないみたいだけどね。その体質と言うか、能力と言うか」

「全く、アイツもいい加減に向き合えればいいんだがな」

「中学の時に利用されて、散々な目に()ってるから……仕方ないんじゃないかな? 軽く女性恐怖症みたいな感じだし」

「理由にならない。いずれにしろ、この体質とは文字通り一生付き合って行かないといけないからな」

 それに、あまり考えたくないが、もしかしたらアイツは災厄の渦中に放り込まれるかもしれない。

 もし、そうなら……最低限キンジにはHSSを使いこなして貰わなくてはならない。

 話が逸れたが、今話してる事とはあまり関係無いな。

「君にこの事を話したのは、兄として頼みたい。これからも、アイツの良いパートナーでいて欲しい」

「随分と突然な話だね。それに、さっきの話と組み合わせると、まるでキンジを貰ってくれって言ってるみたいだよ」

「急な話ですまないな……それと、あんな弟でよければ貰って欲しい。もっとも、アイツは無自覚に他の女性を魅了してるだろうがな。そのおかげでライバルは多そうだが」

 彼女はクスリと、少女らしく笑う。

 その表情は頭脳明晰でありながらも、理知的ではなく、むしろ実年齢よりも幼く見える。

 彼女の無邪気なところもあるだろう。

「全く、人に片付けさせておいて二人でなに談笑してんだよ」

 皿洗いを終えたキンジが近づき、霧の隣に座る。

「お前が普段、どんな風に過ごしてるのか聞いてたよ」 

「そうだね。特に、キンジの女性関係について」

「頼むからそんな話を掘り返さないでくれ」

 打ち合わせもしていないが、彼女は俺の言葉に合わせる。

 キンジが不機嫌そうに言う辺り、女性に対してあまりいい印象を抱いていないのは、すぐに分かるな。

 なのに白野をパートナーにしてるあたり、矛盾しているが。

 彼女の事はあまり意識してないのだろう。

 どっちにしろ、俺は邪魔そうだな。

「さて、俺は話す事は話したしな。あとは、ゆっくりしていくと良い」

 俺は立ち上がって、女装を解くために部屋の中へと入って行く。

 

 ◆       ◆       ◆

 

「さて、俺は話す事は話したしな。あとは、ゆっくりしていくと良い」

 俺の兄さんは、そう言って部屋の中へ入って行った。

 おそらくは女装を解くためだろう。

 声が若干低いために、あの姿で兄さんの声を聞くと……なんとも微妙な感じだな。

 って、何を俺は思ってるんだ。

「それで? 結局、何を話してたんだよ」

 無意識のうちに霧にそう尋ねた。

 会話の内容が気になる訳じゃない。

 また、変な事を俺の兄さんに吹き込んでないかを確認するためだ。

「そうだね……キンジの体質について詳しくかな?」

 兄さん、話したのか。

 自分でも厳重に、他言はしないって言ってた事を。

 つまり、兄さんは霧を信頼してるんだろう。

「ま、そんなの無くてもキンジは充分に面白いかもしれないけどね」

「………………」

 思わず、その言葉に無言になる。

 コイツは無意識で、何の意味も無く言ったかもしれない。

 だが、ヒステリアモード以外の俺を認めてくれたような……そんな気がした。

 そう思うと、嬉しいんだろう。

 自分でも分からないが――

「どうしたの?」

 相変わらずの幼さの残る顔で俺に、言いながら微笑みかけてくる。

 やめろよ、その顔すんの。

 今では、慣れたが……割と危ないんだからなお前の笑顔。

「いいや、それよりも俺に話って何なんだよ」

 視線を逸らしつつも、本題に入る。

「ああ、その事ね」

 霧はいつもの調子で、何でもないように言った――

 

「私、しばらく日本を離れることになったんだ」

 

 あまりに突然の告白。

 俺が声を上げて尋ねる前に霧は、俺の口を手で封じる。

「おっと、言いたい事は分かるよ。だけど、私の事情は知ってるでしょ」

 そうだ……

 コイツには寿命が近い父親と、病弱の姉を抱えてるんだった。

 それを考えれば、何かあったのかもしれない。

 その答えに辿り着くと、自分でも思ったよりすぐに冷静になって行く。

 霧も俺の落ち着いた様子が分かっているのか、手を離す。

「悪い……」

「まあ、突然に言われたら動揺するよね」

 霧はそう言って笑顔でいながらも、俺が聞く前に事情を話し始める。

「簡単な話、お父さんの仕事を手伝う事になってね。ちょっと日本を離れることになったよ」

「……そうか」

「だけど、武偵高を離れる訳じゃない」

 日本を離れるが、武偵高を離れる訳じゃない。

 矛盾している言葉に俺は尋ねる。

「つまり、どう言う事だ?」

「簡単に言うと、退学する訳じゃないって事だね。一時的に休学するみたいなものだよ」

 そう言う事か……

「お前、単位は大丈夫なのか?」

「大丈夫だよ。キンジじゃあるまいし」

 何気に酷いな。

 つまり俺の見えない所でコイツは、既に進級分の単位を取得してるらしい。

 さては、いつかは分からないが……日本から離れることを随分と前から知っていたんだろうな。

「だからまあ、武偵高を離れる訳じゃないけど、一時的にパートナーは解消しなくちゃいけないんだよね」

 そりゃそうだろうな。

 しばらくとは言え、武偵高にいない人物を誰かのパートナーにしてはおけないだろう。

「そう言う事か……」

「安心した?」

 俺に差し迫るように霧は、近くに来る。

 ニコニコと笑顔でいる辺り、俺をからかうつもりだろう。

 もうその手には引っ掛からないぞ。

「――さて、どうだろうな」

 俺が皮肉っぽく返してやると、霧は悲しそうな顔をする。

「酷いよ、キンジ」

 ……いいや、騙されないぞ。

「………………」

 おい、何だよその(わず)かに潤ませた目は。

 大体、正直に言うと恥ずかしいんだよ。

 ………………。

「安心したよ」

 気恥ずかしいが、言わなければいけないような気がして、正直にそう言う。

 本当に何でかは知らないが。

「ぷっ……何だ、やっぱりそうなんだ」

 途端に霧は吹き出し、笑顔になる。

 コイツ――

 思わず、俺は頬を引きつらせる。

 が、しかし……霧とこう言ったやりとりもしばらくは出来なくなる。

 そう考えると、何か感慨深いものがあるな。

 まあ、仮にも1年と半年くらいパートナーやってる訳だから、な。

 そう思うのも自然なことかもしれない。

「そろそろ行くとするよ。半年くらいしたら、多分戻ってくるよ」

 そう言って、霧は立ちあがる。

「そうか。精々死なないようにな」

「その前にキンジが死なないようにね」

 強襲科(アサルト)的なやりとりをしながら、霧は去って行った。

 

 ◆       ◆       ◆

 

 キンジと一時的にお別れした私は、イ・ウーへと帰って来た。

 タキシードを着て、黒い外套(がいとう)を纏い、黒いシルクハットを頭に載せて――ある人に会いに行く。

 ノックも無しに扉を開けて、目的の部屋へと入る。

 そこには、アンティークの机に座りながら私を待っていたかのように笑顔で出迎えてくれる。

「お帰り、ジャック君。武偵生活はどうだったい?」

 お父さんは、私にそう尋ねる。

 きっと、私の答えなんて推理できてるんだろうけど、それでも言葉にしておきたかったんだろうね。

「存外、悪くありませんでしたよ」

 私は男性の声で、そう答える。

 今の私はイギリス人男性。

 印象としてはまさしく、英国紳士と言った感じ。

「そうか……それは良かった。だけど、残念ながらそろそろ本格的に歩み出さなくてはならない」

「なるほど。時間が無いと言う訳ですね」

「そうだね。ちょうど1年……それが僕の寿命だ」

 お父さんはパイプを(くわ)えなおしながらそう告げる。

「早速だが、ジャック君。僕としても心苦しいが……金一君の信条を折らねばならない。僕の曾孫を導き、最善の答えのために」

「分かっていますよ。私は貴方の家族なんですから、気軽に頼ってくれても構いませんよ」

「助かるよ……では、早速だが金一君と共に行って欲しい場所がある」

 その任務の場所を言われ、目的と概要を説明された後に、私は静かに部屋を出る。

 

 ああ、楽しみだね……

 




次回予告

「アナタは神様ではないのですよ。お分かりですか?」

「止めたければ、私を殺しても構いませんよ。もっとも……アナタの信条に反する事になるでしょうが」

「何を犠牲にしますか? 信条か、少数の命か、大勢の命か」


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