緋弾に迫りしは緋色のメス   作:青二蒼

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20:毒の一撃(プワゾン)

 はてさて、順調に私はこの東京武偵高に馴染みつつある。

 味方もそれなりに作ってもいる。

 要は、武偵高での自分の地位を確立してるってこと。

 話は変わって、あれから……武藤とキンジの決闘から1ヶ月近く経った。

 一般中学から来たって言う人もそろそろ学校の雰囲気に慣れたって所だろうね。

 などと、自分の席でM500のシリンダーを回しながら考える。

 あ~、刃物が使いたいな……でも手の内をあんまり晒したくないからあくまで銃がメインになってしまう訳だけど。

 だからこうして、暇な時には軽い整備をしてる。

 誰かさん曰く「銃は女の子と一緒で繊細」って言ってたしね。

「随分とマメだね」

「まあね」

 と、話しかけて来た不知火(しらぬい)にそう返す。

 遅れてキンジも不知火の隣に並ぶ。

 もはや強襲科(アサルト)では、お馴染みって感じの面子(めんつ)

「そいで、どうかしたのかな?」

「ああ、実はね――」

「ちょっと待って、当てて上げるよ」

 不知火が言おうとした所を私は制止する。

「……『4対4戦(カルテット)』の事について話に来た。そうでしょ?」

「さすがは白野さんだ」

 と、不知火は相変わらず優しそうな顔で微笑む。

 さっきの「実はね――」の言動からしてただ単にお話に来たって訳ではなさそうだったし。

 『4対4戦(カルテット)』が始まる時期がもうすぐだったはずだったからね。

 それで、記憶が確かならキンジと不知火はまだ誰と組むかは決めてなかった筈だし。

「まあ、早い話がまだ誰とも組んでないなら組まないかって話だ」

「なるほどね~。別に大丈夫だよ」

 そうキンジに笑顔で返す。

 Sランクと組んでるAランク武偵だからか、エリートだと思って周りの人は遠慮しがちで、なかなかに話し掛けてこないんだよね。

「てっきりお前の事だからすぐに誘いが来てると思ったんだが、そうじゃないのか……」

「多分、実力的な意味で周りの人が遠慮してるだけだよ」

「遠山君と白野さんのプラチナコンビじゃ仕方ないよ」

「不知火、頼むからそのコンビ名はやめてくれ」

 キンジの頼みに「分かったよ」と笑顔で返してるけど、どっかで蒸し返すだろうね。

 あと、そのコンビ名も大分浸透(しんとう)してきてるよね~。

 今じゃすっかりキンジのパートナー=私って言う風潮が出来てるよ。

 だけど、私に頼りっきりだとなかなかに成長しないだろうし。

 まあ、近い内に一時的にお別れするだろう。

 少しばかり個人的にやりたい事もあるからね。

「それはそうとして、あと一人か……」 

「おー! キーちゃん発見!」

 キンジが呟いた後に、タイミングがいいのか理子がちょうど来た。

「ちょうどいいのが来たね」

「およ? りこりんのウワサですかな?」

「ウワサじゃ無くて、4対4戦(カルテット)のメンバーでちょっとね」

「奇遇だね。りこりんもちょうど探してたのですよ」

 これで4人目は決まった。

強襲科(アサルト)が4人……随分と攻撃的なチームだね。だけど、急造で出来た割に連携は取りやすいかな?」

 不知火は簡単にチームの総評をする。

 攻撃的ねえ……私は、本当はどちらかと言うと諜報科(レザド)よりなんだけど。

 理子もどちらかと言うと諜報科(レザド)だし。

 まあ、取りあえず……どんなイベントが起こるか楽しみにさせて貰おうかな?

 

 

 数日後――

 校舎の外の学生掲示板に対戦者と競技内容が貼り出された。

 対戦相手は、『霧隠(きりがくれ)班』ね。

 そして、競技内容は『毒の一撃(プワゾン)』。

 イベントとは言え負けるつもりはないし……楽しめるように張り切っちゃおうかな?

「なんだ、ここにいたのか……」

 どうやらキンジも対戦相手をチェックしに来たみたい。

 その隣には不知火もいる。

「僕たちの相手は霧隠班みたいだね」

「競技内容は毒の一撃(プワゾン)か……」

 と、不知火に続いてキンジが呟く。

 チェックは終わったので、3人で教室へと向かう

「どんな連中なんだろうな、霧隠班って」

「――教えてしんぜよう」

 キンジが何気なく吐いた言葉に続いて、どこからともなく声が聞こえてくる。

 その事にお互いに顔を見合わせて、周りを見ていると。

 次の瞬間――

 

 ボフン!

 

 白い煙幕(スモーク)が突然に目の前に広がる。

「な、なんだ?」

 そうキンジは驚いてるけど、私は何となく人がいるのは分かってた。

 だから驚きはしない。

 不知火も少し驚いてるけど、すぐに平常心になった。

「ふふふ、伊賀忍者――霧隠 泰蔵(たいぞう)!!」 

「同じく、伊賀忍者――百地(ももち) 桃子(ももこ)!!」

 ビシッ、と決めポーズを決めながら、男女の二人組が目の前に現れた。

 名乗りからしてジャパニーズニンジャだよね。

 ニンジャって確か漢字で忍ぶ者って書く筈だけど、目の前の二人組は全然そんな忍ぶ気配が無い。

「お主たちが、(それがし)達の対戦相手である遠山班だな?」

「あ、ああ……」

 霧隠に質問されて答えてるけど……キンジ、呆然としてて生返事になってるよ。

 あと、内心で呆れてもいるだろうね。

 心の中で「また、濃い人が現れた」みたいな感じで。

「名乗ったのだから、そなたらの名前を聞かせてもらえませんか?」

 百地に催促されて、私達はそれぞれに名乗る。

「そうだね。僕の名前は不知火 亮。学科は強襲科(アサルト)だよ」

「白野 霧。同じく強襲科。よろしくね」

「……遠山 キンジ。俺も強襲科だ」

 と言った所で霧隠は、笑みを深める。

「まさかとは思っていたが、お主らが神奈川で有名になった白金(しろがね)コンビか」

「なんだよ白金(しろがね)コンビって……」

「そのままだろう。プラチナは漢字で書くと白い(かね)だからな」

 そして、霧隠の言葉にキンジは頭を抱え出す。

 もう諦めなよキンジ。

 1年でSランクなんて取った時点で目立つ事は避けられないんだから。

「ともかく、対戦相手となったからには挨拶はこれっきりだ。Sランクの実力、楽しみにしている」

「それでは失礼いたします」

 百地がそう言ってボフンと再び煙幕を出し、風によって煙が流されて行くと、当然にそこには誰もいない。

 その様子を見てキンジは一言。

「なんだったんだ……」

「宣戦布告だろうね~。あとは私達の顔と名前を知る必要があったとか」

 相手は忍者って言ってたから、色々と(から)め手を使ってきそうだ。

 私が言った言葉の意味をキンジは分かったのか、疲れたように息を吐く。

「俺達の事を調べるため、か」

「もしそうだとしたら、色々と外堀(そとぼり)を埋めてくるだろうね。忍者ってそう言う者達だし」

 不知火の言う通りだとすると、既に戦いは始まってるんだろうね。

 まあ、これも学業の一環(いっかん)

 自分の評価に(つな)がることには違いないから、相手も相手なりのやり方でやってくるって事だね。

 いや~、楽しみだね。

 どうやって叩き潰してあげようか?

 

 

 そして、さらに数日経った放課後。

 私達は作戦会議を開く事にした。

 まあ、ルールの説明は基本だよね。

 あと、出来る限り対戦相手の情報を掴むと言うのも基本。

 ちなみに集合場所は学園島の沿岸部で、現在そこに向かって進行中。

 到着すると、既にキンジと不知火はいるっぽいね。

 ベンチで二人とも何か話してる。

「二人とも早いね」

「10分前に集合は基本だからな……」

 と、キンジは苦笑いをしながら返す。

 強襲科(アサルト)だと遅れたら、蘭豹の折檻(せっかん)だからね。

 既に犠牲者も何人か出てるし。

「理子と一緒じゃないのか?」

「一緒の方が情報をすぐに共有できるって言うのは、いいけど。相手は諜報科(レザド)だからね。監視する目は分散させた方がいいから、別れて調べることにしたよ」

「なるほどな」

 キンジはそう言って納得する。

「みなみなさん、集まってますな」

 ちょうどいいタイミングで理子が登場。

 いくつか荷物をぶら下げて来ている。

「さて、みんな揃ったから……僕から早速だけどまずは競技のルール説明をさせて貰うよ。確か、峰さんも調べたんだっけ?」

「うん。持って来たノートパソコンにデータが入ってるよ」

「あとでコピーして、みんなに配って貰っていいかな? 取りあえず最初は、僕の方で説明させて貰うよ」

「あいあいさー」

 理子が返事した後、不知火はファイルからプリントを取り出して、みんなに配る。

 随分とアナログだね。

「僕達がやる競技『毒の一撃(プワゾン)』についてだけど、お互いの班は紙資料(ペーパー)に書いてある通り、『目』が描かれている棒のついた旗、『防衛フラッグ』を持ってる。

 次にハチ・クモが描かれた旗、これが『攻撃フラッグ』。お互いにこの攻撃フラッグで相手の防衛フラッグを先にタッチした方が勝ちだよ。それから、防衛フラッグは持っててもいいし、どこかに隠してもいい。ちなみに攻撃フラッグは味方での受け渡しは可能。敵から強奪するのもアリで、そのまま折っちゃってもいいみたいだよ。

 競技場所は武偵高第9区の沿岸部……つまりは僕たちのいる場所だね。範囲は大体、100メートル四方だよ。それで、この範囲にある物は何でも使っていいみたい。勿論、常識の範囲でね」

 ふむふむ、なるほどね。

 敵から強奪するのもアリって事は……自分たちの攻撃フラッグが折られて無くなっても、相手のを奪ってタッチすればOKって事だね。

「つまり、相手の攻撃フラッグを奪ってタッチするのもアリ、ってことか?」

 キンジが、私が思った事を先に言葉に出す。

「そう言う事だね。だから、自分たちの攻撃フラッグが無くなっても終わりじゃない。僕からの説明としては以上だよ」

 それに対して不知火は肯定する。

 これでルールの概要は大体いいとして――

「次は私かな?」

「白野さんは、対戦相手についてだったね」

 と言う事で、不知火と入れ替わる。

 短期間で4人も観察するのは骨が折れるからね。

 だから一応は武偵手帳に書いておいた。

「と言う訳で、対戦相手に付いて調べて来た訳だけど……身長とか体重とか、スリーサイズとかもいる?」

「……いや、(はぶ)いてくれ」

 キンジが間を空けて冷静に返す。

 最近は慣れて来たのか、随分と軽くあしらわれるようになったな~。

 そろそろ新しい反応が欲しくなる。

「じゃあ、まずは私達の目の前に現れた二人について説明しておくよ。バンダナを巻いた男性が本人も名乗ったように霧隠 泰蔵。学科は諜報科(レザド)で、ランクはB。私が見た性格としては……割と自己主張が激しい方かな? それで霧隠って言うのは割と有名な伊賀忍者の末裔(まつえい)みたいだね。それで、他の人の話によると実力はA相当あるんじゃないかって言われてるらしいけど……まあ、実力を隠す事は諜報科(レザド)でよくある事だよ。

 だから正直な話。ランクはあくまで目安で、当てにならない」

「なるほどね。戦い方とかは分かるかな?」

 不知火がおだやかな口調で、微笑んで聞いてくる。

「古武術って言うのかな? それが主体みたい。組み手とかも割と得意そうだったよ」

「古武術か……なかなかに厄介そうだね」

 その不知火の言葉に私以外の人が頷く。

「で、次に髪をお団子に纏めてる女性の百地 桃子だけど……霧隠 泰蔵と同じく学科は諜報科(レザド)で、ランクはB。こっちの性格としては霧隠 泰蔵とは逆に控えめな性格。割と慎重な感じで、二人だとちょうどバランスが取れてるね。考え方的にも、性格的にも。ただ、彼女は道具を使っての戦法や(トラップ)専門っぽいから……このBランクって言うのは妥当な評価である可能性が高いね」

「つまり、防衛フラッグの周りにはそいつの罠がある可能性があるってことか?」

「まあ、キンジの言う通りだね。だけど、逆に罠があり過ぎるとその周辺に防衛フラッグがある事を勘付かれるだろうから……数を減らして質の高い罠を置いてくるだろうけど。特に、一般市民が通らないような所は注意だね。

 向こうの班の残りの二人はまあ、正直な話として私達と同じ学科の人だからあんまり紹介する意味が無いと思う」

「俺達と同じ学科? 誰だ?」

「三上 良樹(よしき)東海林(しょうじ) 夏海(なつみ)

 私の答えに、問いかけたキンジは「あー……」と、納得したような声を上げる。

 三上は武藤の幇助者(カメラート)だった人。

 東海林については……よく私に訓練を申し込んでくる人なんだよね。

 割と強気な女の子で、組み手や模擬訓練で私に簡単に負けた事が悔しいみたい。

 私に勝負を挑んでくる人なんてあんまりいないから、そりゃあ目立つよね。

「同じ学科の『よしりん』と『なっちゃん』か~」

「あいつらにもニックネーム付けてたのかよ……」

「チッチッチ! 甘いねキーくん。りこりんに抜かりはない! ちなみにクラスの大半には付いてるよ」

「あ、じゃあ僕にも付いてたりするのかな?」

「うん! 不知火君にはね、『ぬいぬい』って付けてみました」

「なるほど、素敵だね。そんな風に呼ばれるのって何だか新鮮だよ」

「お~、良いノリしてますなー。ノリの悪いキーくんとは大違いだ」

「なんでそこで俺が出るんだよ」

 全く、皆して楽しそうにしちゃって。

 ま、楽しいのは良い事だよね。

 早いとこ作戦を決めて解散と行こうかな?

 やっぱりと言うか、予想通り相手もこっちを監視してるみたいだし。

「さて、対戦相手の情報としては以上だよ。次にどう言った感じで攻めて行くかを決めよっか?」

 ま、相手が監視してるのならちょうどいいからね。

  

 ◆       ◆       ◆ 

 

 作戦会議があってからさらに数日。

 ついに俺達が『4対4戦(カルテット)』をする日となった。

「これより、遠山班と霧隠班による『毒の一撃(プワゾン)』を開始する。ルールの再確認だ。遠山班はクモ、霧隠班はハチのフラッグを相手の目のついたフラッグに当てれば勝ちだ。また、フラッグは仲間での受け渡し、隠匿(いんとく)も可能だ。エリア内の物は何を使用しても構わない。銃を使用する場合、使用するのはこの非殺傷弾(ゴムスタン)のみとする。正直生温いから私は実弾でも構わんのだが……」

 おい……ルールの再確認に私情を混ぜるなよ。

 と、俺は今回の試合を監督する、いかつい男性教師に心の中で突っ込みを入れる。

「ともかく、実弾を使った時点でその班を失格にした上に尋問科(ダギュラ)強襲科(アサルト)の連中達に引き渡す。一般市民に危害を加えてしまった場合も同様だ」

 それは最悪のパターンだな。

 どう考えても(つづり)と蘭豹が出てきて終わりじゃねえか。

「説明は以上だ。霧隠班は北端、遠山班は南端に移動しろ。10分後には試合を開始する」

 そう言って教師は去って行った。

 そのあと、なにやら霧隠は不気味な笑みを浮かべる。

「お主らとの対戦。楽しみにしていたぞ」

「俺としては忍者の相手は遠慮願いたいけどな……」

 中学の時の風魔で懲りてる。

「まあ、そう言うな。伊賀流のもてなしをしてやろう」

 そう言って、霧隠たちは去って行った。

 その背後を見ながら俺のパートナーが一言――

「随分とまあ、好戦的だね」

「……だな。俺達も行くぞ。相性は良くないかもしれないが、勝ちを譲るつもりはない」

「キーくんも、なんだかんだで燃えてますな」

「峰さんも割と燃えてるんじゃないかな?」

「くふっ、当たり前だよぬいぬい。忍者と戦うなんてゲーム以外に出来なかったからね、りこりん胸アツだよ」 

 なんだ?

 今、理子の雰囲気が少し違った気がするが……気のせいか。

 いつも通りのおバカキャラのまんまだが、ヤル気は充分だ。

 と言うか全体的に士気は高い。

 それに霧の作戦もある。

 あとは、俺達がどう動くかに掛かってるな。

 

 

 俺達は指定されたポジションである南端へと移動した。

 ここは以前に作戦会議で集合した、沿岸部の広場だ。

 周りに防衛フラッグを隠せるような場所は一応、あるが……

 すぐにバレるだろう。

 自然が少々あるだけだからな。

 公共ロッカーを使うと言う手も考えたが、一般市民に紛れて奇襲される恐れもある。

 だから、俺達の取った行動は防衛フラッグを常に持ち歩くと言った戦法だ。

 かなりリスキーな戦法だが、有効だろう。

 そして、ちょうど10分が経った。

 合図は無いが、試合は既に始まった。

「じゃあ、霧。あとは任せたぞ」

「分かってるよ」

 そう言って霧はインカムを着けて、俺の隣を通り抜けて去って行った。

「よーっし! りこりんも遊撃に行ってきまーす! キーン」

 両手を広げながらおバカキャラ(理子)も去って言った。

「僕たちも行こうか、遠山君」

「ああ、分かってるよ不知火。しかし、チーム全員で攻める『総攻撃(フルアタック)』を採用するとは……アイツも大概だな」

『聞こえてるよ』

 インカムから霧の声が聞こえてくる。

 そうだった、会話は筒抜けだったな……

 まあ、取りあえずさっきもチェックしたが、マイクの感度は良好だな。

「これから目立たない道を通って、取りあえず相手の試合開始の初期位置まで向かう」

『うん、分かったよ。二人とも罠とかには気をつけてね』

 霧の言葉に俺と不知火は互いに頷き、ハンドガンを持って移動する。

 罠を警戒しながら人通りの多い所は避けて移動する。

 いつもの学園島だって言うのに、不気味に感じるな。

 胡散臭いが、何にしても相手は忍者だ。

 通行人に成り済ましてって言うのは……充分にあり得る事だしな。

 今の所、罠らしい罠は無い。

 それどころか順調だ。

「……ここまで接触が無いと不気味だね」

 俺も同じことを思ってたよ。

 不知火の言う通り、俺の予想だと罠の一つや二つがあると思ったが……

 もうすぐ相手の初期位置だと言うのに、なんの接触(コンタクト)もない。

「ともかく攻めなきゃ始まらない以上、警戒しながら進むぞ」

「そうだね」

 不知火はそう言って、優男スマイルを振り()く。

 こんな時でも相変わらずブレないな、お前。

 そして、なんだかんだで結局相手の初期位置周辺まで来たが――

「ここまで何も無しか……」

「白野さんの方はどう?」

『こっちも未だに接触されてないね』

「りこりんの方も全然だよ。エンカウント低過ぎー」

 各自の報告を聞く限り、誰も襲われてない。

 おかしい……

『どうやら、待ち伏せっぽいね』

「なに? 霧、どう言う事だ?」

 霧が答えを言う前に理子から通信が入って来た。

『あー、こちらりこりん。よしりんとなっちゃんに挟まれた』

「マジかよ」

 挟撃されたって事は、こっちの動きは読まれてたってことか。

 すかさず霧から通信が入る。

『この様子だと、作戦は読まれてたか……漏れてたっぽい。動きも読まれてるって事は、誰かが見てる可能性も高いね』

『さすがは忍者、汚い』

 理子は挟まれてるって言うのに暢気(のんき)だな。

 ともかくだ。

「今から救援(セーブ)に向かう。場所はどこだ?」

『公園近くの路地だけど、相手が簡単に許してくれる訳が無いよJK(常識的に考えて)

「意味分からん事言ってないでさっさと教えろ。幸いにも俺達も公園だ。上手くいけば、逆に挟撃出来るかもしれない――」

 ボシュウウウウ、と突然に俺達の周りで煙が発生する。

 なんだ!?

「すみませんが、そうは問屋が(おろ)しませぬ」

 声は聞こえるが、周りが見えない。

 だが声からして、以前に会った百地だろう。

 クソ……こっちの方でも待ち伏せか。

「遠山君、多分これ催涙ガスだよ。あんまりここにいるのは好くない」

 しかも催涙ガス。

 どうやら、俺と不知火を完全に足止めするつもりらしい。

 これだから諜報科(レザド)の連中はやり難いんだよ。

「息を吸わないように出来るだけ早く煙の外に出るぞ!」

 俺の言葉に不知火は頷くと、煙の薄い場所に向かって走る。

 ――バッ!

 煙の中から人影が飛び出す。

 白野との訓練のおかげで間一髪、対応できた。

「しばらくの間は付き合って貰いまする」

 お互いに腕を掴んで、競り合う。

 どうやら百地は、催涙ガス防止のためにゴーグルと風魔がしていたようなマスクをしている。

 準備は万端ってことか。

 だが、俺が掴んでいる今がここで仕留めるチャンスだ。

 そんな好機を、Aランクである不知火が見逃すはずも無く――

「女性を撃つのは気が引けるけど……」

 そう言いながら、すかさず不知火が百地に向かってSOCOMを構える。

 そして、パンッ! と発砲。

 どうやら決まったらしく、彼女は悲痛そうな顔をした後に銃弾を受けた反動を利用して俺から離れて行った。

 仕留める事は出来なかったが、少なくともダメージは与えた。

「早く抜けるぞ……ゴホッ!」

 俺はそう言って引き続き催涙ガスの中を不知火と共に抜ける。

 ようやく、催涙ガスの中から出られた。

 少しだけ目が染みるぞ。

「吸っちまったか……目も痛い」

「ケホッ、まんまとしてやられたね」

 全くだ。

 相手はまだ近くにいるだろう。

 不知火も同じように思ってるのか、銃を持つ手は緩めていない。

 ――カランコロン。

 ……何だ?

 と、少し痛む目で音がする方を見れば――

「おいおい、冗談じゃないぞ!!」

 俺が叫ぶと同時に不知火と近くの木の影に隠れる。

 次の瞬間――

 

 ドーン!!

 

 爆風と閃光が弾ける。

「手瑠弾とかアリかよ……」

「大丈夫です。火薬の量は調整しておりまする」

「そう言う問題じゃねえよ!」

 と、声はすれども姿が見えなくなった百地に向かって叫ぶ。

『二人とも、そこの茂みから出れる?』

「どうしたのかな? 白野さん」

 俺の代わりに不知火が応答に出る。

『今、ちょうど見えるからね。私がキンジ達のことが見えるってことは……あとは分かるでしょ?』

 そう言う事か……

 やる事は単純だが、果たして百地が姿を現すかどうか、だな。

 いや、姿を現さないのなら引き摺りだすしかない。

「行けるか? 不知火」

「勿論だよ」

 そう言って俺達は同時に公園の広場へ飛び出し、出口を目指す。

 理子と合流させないために、相手は俺達の足止めに専念する筈だ。

 当然に俺達が公園の外に出ようとすれば――

「そうはいきませぬ」

 百地の声が聞こえたと同時に俺達の目の前を再び白い煙が遮る。

 また催涙ガスだろう。

 だが、俺達はその中に突っ込む。

「強行突破もさせませぬ!」

 すぐさま俺達に百地が襲い掛かる。

 今度はクナイを持って肉薄してくるのが、ぼやけながらも見える。

 俺は、バタフライナイフを出してそのクナイを受け止める。

 おそらくだが……コイツがこの催涙ガスの中を出る事は無いだろう。

 このガスの中は百地にとって有利な条件だからな。

 それを捨ててまで、俺達を追撃しようとはして来ないだろう。

「不知火!」

「分かってるよ!」

 俺が呼ぶと、不知火は空いてる手にタクティカルナイフを持って百地に接近する。

 今度は撃つと俺に当たる可能性があるからな。

 さすが不知火だ。状況判断が早い。

「くっ!」

 反対側から挟むように来た不知火に対して、百地はクナイを投げつけた。

 それを不知火はナイフで弾いたが、少しだけ足が止まった。

「ガハッ」

 同時に俺の口から空気が漏れる。

 コイツ、今の一瞬で腹に一発入れてきやがった。

 俺が怯んだ瞬間に百地は俺から離れる。

 そして、不知火は同時に俺から離れた百地に向かって発砲する。

 だが、どうやら逃げられたっぽいな……

「大丈夫かい?」

「ああ、だけど……げほっ! 今のでかなり吸っちまった。目も染みる」

「僕も、結構痛くなってきたね」

 不知火も目が赤くなってきている。

 いやらしい戦い方だな。

 確実にこっちを無力化してくる。

 早いとこ決着をつけないとマズイぞ、これは。

 そう思ってると――

「不知火、後ろだ!」

 不知火の背後から百地が襲い掛かる。

 アイツ、あの目は確実に仕留める気だ。

 ――間に合うかッ?!

 俺は全力で駆けて、百地に向かってタックルを仕掛ける。

「うおおおお!」

「なっ……?! おのれ!」

 そのまま、白い煙の中へと俺達は飛び込んだ。

 なんとか間に合ったか……

 だが、このままだと俺が仕留められる。

 早いとこ無力化する必要がある。

 そう思って素早く立ち上がろうとするが、

 ――むにゅん。

 そんな手応えを感じた。

 地面しては軟らかいぞ……

 と思って下を見るが、催涙ガスの所為(せい)でぼやけてよく見えん。

 ダメだ、かなり時間を掛け過ぎたな。

 百地がどこに行ったかも分からなくなってやがる。

「そ、そなた……と言う奴は……!!」

 声が聞こえるが、それは俺の下から聞こえてくる。

「敵に胸を鷲掴(わしづか)みにされるなんて……屈辱(くつじょく)

 胸を鷲掴み……まさか?!

 俺の下にいるのは、物かと思っていたがそうじゃない!

 早く離れないと、別の意味でマズイ事になるぞ!

「す、すまん。よく見えなくて、まさか下敷きになってるとは思わなかった」

「う、動くなと言うに! ……んっ!?」

 俺が離れようと手に力を入れると、下にいるであろう彼女から色っぽい声が漏れる。

 そして同時に感じる、ヒステリアモードの血流。

 チクショウ、催涙ガスのおかげで見えないから余計に今の状況を想像しちまう。

 また、霧の奴にからかわれる。

 ――ドクン!

 まあ、それも悪くないね。

 だけど、今は試験中。

 今、俺の下にいるであろう彼女を愛でたい所だけど……そうも行かない。

「すまないね。対戦相手であるのに、君の美しさに目が眩んでしまったよ」

「いきなり何を言うておりまするかッ?!」

 俺の言葉に、かなり動揺してるのが分かるよ。

 催涙ガスで彼女の顔が見えない事が、残念で仕方なく思えてくるよ。

「出来れば、このまま大人しく捕まっていて欲しいけど……ダメかな?」

 そして、俺は彼女に優しく微笑みかける。

「そ、そんな顔で言っても(ほだ)されませぬぞ!」

 そう言うや否や、彼女は俺の腹に両足を潜り込ませて、そのまま蹴り上げた。

 このまま距離を取るつもりだろうけど、そうはさせない。

 彼女を見失う前に俺はすぐさま距離を詰める。

「これでも食らいなされ!」

 そんな俺に向かって、彼女は両手の指の間に挟んだクナイを一斉に投げる。

 だけど、今の俺はヒステリアモード。

 銃弾ですら指で掴めるくらいスローに見えるのだから、人が投げる速度では止まっているも同然。

 だが、俺の視界は(かす)んでいる。

 でも、問題は無い。

 目があまり見えなくても、想像力で見ればいい。

 走るスピードを緩めず、大きく右手を振り、全てのクナイを"(つか)んだ"。

「そんな……!?」

 彼女が驚いてる顔が頭の中に浮かぶ。

 そして、そのまま彼女の服を掴んで煙の外に近い場所に向かって投げる。

 もちろん、彼女が受け身を取れるように。

「すまないね」

 最後に謝罪も忘れない。

 その刹那――

 

 ……タン、タァァン!!

 

 遠い所で銃声が聞こえる。

 次に聞こえたのは、ドサリと誰かが倒れる音。

 取りあえず、早いとここのガスの中から抜けた方が良いな。

 そう考えて俺がガスの中を抜け出して見たものは、倒れている百地の姿。

「遠山君、無事だったんだね」

 不知火もガスの中から出て来た。

「ああ、何とかな」

「何か雰囲気が違うけど、気のせいかな?」

「気のせいさ。そう言う事にしておいてくれ」

 俺がそう言った所で、不知火は静かに俺にインカムを渡してくる。

 どうやら、彼女にタックルした時に外れてしまったみたいだな。

 インカムを着け直し、俺はお礼を言うべき人に感謝の言葉を伝える。

「助かったよ、霧」

 

 ◆       ◆       ◆

 

『助かったよ、霧』

 私はキンジからの言葉を聞きつつも、スコープから目を離す。

 この口調からして……さてはHSSになってるね。

 あの煙の中で、どうなってなった事やら。

 ま、想像するのは簡単だけど。

 取りあえず――

「どういたしまして」

 と、返事をしておく。

 うーん、やっぱり狙撃銃は味気ない。

 私が今持ってるのは、H&K PSG-1と言うセミオート式のスナイパーライフルで装備科(アムド)からレンタルして来た物。

 久々だなー……狙撃銃を使うなんて。

『それにしても、驚いたよ。まさか、スナイパーライフルまで使えるなんてね』

 不知火がインカム越しにそう感想を言ってくる。

「使えるって言っても、器用貧乏みたいなものだよ」

 何より、私の肌には合わない。

『それより霧。不甲斐ない所を救って貰ってすまないね。この埋め合わせは――』 

『ちょっと! りこりんは放置プレイですか!?』

 息を切らせながら、キンジの通信に割り込んでくる。

 大分消耗してるね。

 ま、能力を使わずに2対1だろうし。

 本気を見せる訳にも行かないだろうから、当たり前か。

「と言う訳だから、早いとこ理子の救援(セーブ)をお願いね」

『分かったよ、お姫様』

 最後にそんな言葉をキンジは残して通信を終了した。

 それにしてもビルの上から見張りながら、相手を探すのは骨が折れるよ。

 しかも、相手はガスで自分の姿を隠したり、路地に入って狙撃されないようにしたり。

 まあ、確実にこっちの戦法は漏れてると。

 わざと漏らしたんだけどね。

 作戦会議の時に監視されてる事を気付いた上で、そのままの戦法で来た。

 その方がきっと、私を襲いに来ると簡単に予想できるからね。

 ――ギン!

 素早く振り向きサバイバルナイフを振るうと、ダーツのような矢を弾いた。

「む……よく気づいたな」

 貯水タンクの下にいる霧隠は驚きながらも、私を見下ろす形で立っていた。

「目立つ所に立っておいてよく言うよ」

「ハッハッハッ! 性分だ。これでも、気配は殺していたのだがな」

 確かによく気配は消してたけど、私が気付かない筈がない。

 せめてお父さんぐらいのレベルじゃないと話にならないよ。

「どちらにせよ、お主が防衛フラッグを持っている事は分かっている。狙撃という役割ならば、安全に攻撃に参加できるからな」

「アー、ヤッパリ情報ハ漏レテタノカー」

「ハハハハハハ! 助けを呼ぼうとも、もう遅い。伊賀流のもてなし、受けて貰うぞ!」

 クナイを構えて屋上に降り立ち、私に向かって駆ける霧隠。

 秘密兵器を使おうかな?

 と言う訳で、私は素早くスイッチを取り出し、押す。

 次の瞬間には爆発音が響く。

「む、なん――ぐほあ!!」

 一旦警戒して立ち止まった霧隠に屋上のドアが背後から襲い掛かる。

 そのまま彼はドアの下敷きとなった。

「………………」

 そして、何の反応も無くなった。

 あれ? 死んじゃった?

 そう思いつつも、ドアをどかして霧隠を見ると、どうやら気絶してるだけみたい。

「んー……随分とあっさりだね」

 何ともいい難い結果だよ。

 取りあえずは彼の(ふところ)を探り、目的の物を見つける。

 それは相手側の『防衛フラッグ』。

 まあ、彼の性格からして……恐らく単独で来るだろうと予想できてたし。

 自信家っぽいからね。

 それに、あえて前線で攻める人が防衛フラッグを持つと言う普通だったら考えられない事だけど、ある意味型破りな彼の事だから持ってると思ったよ。

 あと、彼に取っては残念な事に、私は防衛フラッグを持ってない。

 持ってるのはキンジ。

 もちろん、本人は防衛フラッグを持ってる事に気付いてない。

 最初にキンジの隣を通り抜けた時にすり替えておいた。

 敵を騙すならまずは味方から、って言う奴だね。

 それに、キンジは不知火と一緒に行動するんだからそう簡単に取られたりはしないだろうし。

「まさか、こんなにあっさりと終わるとは思わなかったけど……まあ、いっか」

 ここまで綺麗に思い通りに行くとやっぱり楽しいね。

 そう考えながらも私のクモの攻撃フラッグが相手の目のフラッグに触れる。

 こうして試合はあっさりと終了した。

 

 

「ハハハハハ! なるほど。情報を握っている事を逆手に取られたか」

 試合が終わり、私はネタばらしをした。

 敗因について知った霧隠は悔しがる事は無く、むしろ清々しいって言った感じだね。

 キンジの方は微妙な顔をしてるけど。

「いやいやいや、まさか……(それがし)達の監視に気づいていたとはな」

「まあ、偶然の産物だったけどね」

 私は朗らかに笑って謙遜(けんそん)する。

「ケッ、相変わらずニコニコと余裕そうな顔しやがって」

「なっちゃんお顔真っ赤だ」

「よし、理子。今から一発撃つから死んでくれ」

「お断りします」

 そして、東海林(しょうじ)と理子の鬼ごっこが始まった。

 お互いにボロボロだって言うのに、随分とまあ元気が有り余ってるね。

 それから百地と言う少女に関しては、さっきからキンジと視線を合わせない。

 これはもう完全にキンジを(いじ)るしかないね。

「遠山ばかり足止めする事を考えていたせいで、どうやらその相方を(おろそ)かにしてしまったようだ」

「一撃でやられた奴のセリフじゃないな」

 三上の言葉に怯むことなく、霧隠は反省し、納得している。

 神経が図太いね。

「今回は負けたが、次こそは伊賀流のもてなしを見せてやろう。さらばだ!」

 そして、忍者二人組は煙に紛れて再び姿を消した。

 続いて三上と東海林も疲れたような顔をして、去って行った。

 東海林に関しては、私に挑発的な視線を送って来たけど。

 そこで私達の班も解散。

 今はキンジと一緒に二人きりで帰ってる。

「……いつの間に俺のフラッグをすり替えたんだよ」

 唐突にキンジがそんな事を尋ねて来た。

「ん? 試合が始まって分かれる時に、キンジの横を通った時だけど?」

 試合が終わった今、隠す事でもないから正直に言う。

「全く、そう言う事なら早めに言えよ」 

「怒ってる?」

「怒ってねえよ……」

 相変わらず分かりやすいね。

 態度にも出てるし、口調にも出てる。

 もしかして――

「頼って欲しかった?」

「………………」

 キンジは無言になる。

 なるほどね。

 ある意味では自分勝手な行動だったし、気付いてたのに話さなかったのも、ちょっとマズかったかもね。

 信用されてないじゃないか? って言う風に感じるだろうし。

「ゴメンね」 

「なんで謝るんだよ。別に俺は気にしてない」

「私の目を見ても、同じ事が言えるかな?」

 キンジなら、図星だとすぐに視線を逸らすだろうしね。

「素直に言った方が良いよ」

 私のその言葉にキンジは観念したのか、「はあー」と疲れたような息を吐く。

「……ああ、怒ってるよ。なんで、自分が狙われると知ってて話さなかったかも含めてな」

「話したらキンジは攻めなかったでしょ? 防衛フラッグを持ってた事も含めて」

「当たり前だろ。チームがやられそうになってるのに、それを無視して攻められるか? 武偵憲章第1条にあるだろ……『仲間を信じ、仲間を助けよ』ってな」

「時には犠牲も必要だよ」

「バカ言うな。パートナーを犠牲に出来るか」

 キンジは、面白くなさそうにそう言う。

 口調も若干荒い。

 やっぱりと言うか、金一に憧れてるだけあって犠牲を強いるのは拒否してるね。

 うーん、何ともまあ真っ直ぐだね。

 その代わり簡単に折れそうだけど。

「ま、そう簡単に私は負けないって。心配し過ぎだよ」

「あのなあ……」

「でも、心配してくれてありがとう」

 私が笑顔でそう言うと、キンジは再び視線を逸らす。

「なに? 照れてるの?」

「照れてねえ」

「じゃあ、そう言う事にしておいてあげるよ」

「うぜえ……」

 なんて、キンジをからかいながら私達は再び歩き出す。

 あ、そうだ。

 一つ聞きたい事があるの忘れてた。

「ところで、話は変わるんだけどね」

「……何だよ」

「今日、ヒステリアモードになった原因について詳しく聞きたいなー」

「やめろ。いや、やめてくださいお願いします」

 それからも、キンジをからかいながら私は帰った。

 

 でもね、キンジ……君のお兄さんは踏み込んではいけない所に来ちゃってるんだよ。

 親しい人が犠牲になった時、キンジはどんな顔をしてくれるのかな?

 ――私は楽しみにしてるよ。

 




大分開きましたね、日数が。
あと何話か挟めば原作に入れそうです。
それにしても会話だけみてると、ただのカップルですね。
キンジは爆発しろ。

用語解説

シリンダー……回転式拳銃(リボルバー)の弾倉部分。エンジンのシリンダーではない。

H&K Mark 23(SOCOM)……不知火の愛銃。色々と注文が付けられてUSPと言う銃をベースに色々と改良した末に完成した銃である。特徴としては、特に改造なしでサプレッサーが装着可能。しかし、消音機能としては微妙な所らしい。赤外線レーザーなどのアタッチメントなども装着できるレールが付いている。デザートイーグルに匹敵する程に割とデカイらしい。

H&K PSG1……セミオート式のスナイパーライフル。かなりの性能を誇り、命中精度も悪くないらしい。日本の海上保安庁特殊警備隊にも試験目的で採用もされている。だが重量がおよそ7.39kgと割と重く、長時間の携行には向かない。しかも、コストも割と高めである。1挺の価格が約7,000ドルほどするとか、しないとか。

PS:夏海に関してもキンジが強襲科に戻ってきた際に、名前だけチラリと出ています。

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