さて、緋弾のアリア――原作では孫悟空が出てしまったようですね~。まさか、如意棒=レーザーという発想はありませんでした。
購読していません方はネタバレ失礼。色々な子孫や魑魅魍魎の類が原作でも出ている訳ですが、原作では出ていない人物の子孫を題材にした結果――ジャック・ザ・リッパーをモチーフに書きました。
基本、勢いと思いつきで書いていますので不定期更新になると思います。
他にもオリキャラは出ますので注意してください。
とまあ……前書きはこの辺で。どうぞ、目を通して行った上で楽しんでいただければと思います。
プロローグ:Jill the Ripper
人生は楽しいことで溢れてる。
私にとってはそう。
だって、こんなにもたくさんの人がいるのに楽しくない訳がない。
色んな人がいて、個性が違うのだから反応も違う。
さらに状況が違えばその人の違う反応が見れる。
だから――
「アナタの個性を見たいな~ってね」
「
「ごめんね~。今の私、日本じ~ん。だから、英語ワカリマセ~ン」
悲しいね~。
言語が通じないが故の弊害、つまりは意思疎通が図れないって言うのはホント悲しいことだよ。
お父さんに言われて、緋緋色金だとか特別な金属を研究してる機関の職員の抹殺と施設の破壊を頼まれてやってきたはいいけど、呆気ないもんだね。
警備はまあ、厳重だったけど……職員と警備員の何人かを揺さぶればそれはないも同然だし。
そして、お役目ご苦労さんってことで揺さぶった人たちも他の職員と一緒に、永眠していただきました。
証拠は残さない意向なので、私をチラッとでも見たら死にます。
「さてと、大分満足したので、いつもなら楽しむところですがあっさり死んでもらいま~す」
私の身長の半分はありそうな大きな鋏を片手で振り上げ、床にへたり込みながら壁にもたれている男性に向けて振り下ろす。
それは心臓を貫き、壁に鋏が当たるのを感じる。
貫いても少しは意識があったみたいだけど、少し呻いた後、血を吐きながら動かなくなった。
試しに左右に鋏を捻ってみるけど、肋骨と胸の肉の感触だけで反応はない。
そりゃ当然だよね、死んでるんだから。
「お仕事終了っと。ジルちゃん満足……してないな……」
ダメだ。
やっぱり、どれだけ殺しても完全には満足はしない。
すごく楽しくて、すごく興奮したけど……ダメ。
う~ん、何がいけないんだろ。
ま……いっか。
楽しかったし、今日のところはいいかな?
ちらりと後ろを見れば、ストロボのように点滅しながら点灯する蛍光灯が私が来た部屋の惨状を映し出す。
ある者は壁にキリストのように貼り付けられ、ある者はアルカナのハングドマンのように天井から逆さに釣るされている。
壁の白と人の赤、そして黒のコントラスト。
我ながら実に素晴らしい出来だね。
それから私は陽気に鼻歌を歌いながら研究所の外を目指す。
途中、暗闇の中ハザードランプが点いているだけの両側がガラス張りの廊下に差し掛かり、横を見てみると別の部屋の様相が映る。
すると目に飛び込むのはガラスにべっとりと付いた赤。そして、頭部のない研究員たちが転がっている。
まるでホラー映画かサイコ映画だね~。
自分でしといてなんだけど。
できればこの惨状を誰かにすごく見せたいけど、生憎と録画機器やカメラとか持ってきてないんだよね~。
理子なんかは喜んでくれそうだけど、ホント見せられなくて残念。
そんなことを思いながらも研究所の外に出る。
しかしなんで、海辺になんかに研究所を立てるんだろうね~。
夜だから、潮風に当たると寒いな~なんて、崖っぷちに立ちながら思う。
世界に私一人しかいないみたいな錯覚を受けそうだ。
なんて、センチメンタル臭いことを心の中で呟いてみる。
「さてと……帰りますか」
そして、私は崖から飛び降りる。
15メートルか20メートルはあるけど関係ない。
持ってたデカイ鋏を崖に突き立てて、勢いを少し殺したあと下の岩場に着地。そしてすぐに跳躍。
魚雷を改造した乗り物『オルクス』の近くまで飛んだ。
それから荷物をパッと入れる。
荷物と言っても鋏だけしかないから、それを入れて私も乗り込む。
あ~、潜水するのは少し後でいいや。
ハッチを開けたまま操縦し、岸から結構な距離を取る。
波に揺られながらも立ち上がり、研究所のある方へと振り返る。
そして、懐からスイッチを取りだして、ONっと。
その刹那、爆発。
夜の海辺に赤い火柱が立ち上り海面を照らす。そのあと、轟音が遅れてやってくる。
「
絶景だね。
これにて任務完了と……
ハッチを閉じ、すぐさま潜水モードに移行。
こうして私は帰路に就くのであった。
潜水すること数時間――
ガコンと、何かと接触する音がしたので目覚めてみれば、どうやら着いたみたいだね。
ハッチを開けるとオルクスがいくつも立ち並ぶ格納庫。
「よっと、
床に降り立って帰宅を知らせるけど、反応なし。
理子あたり待ってくれてるかと思ったけど……まあ、いいや。お父さんに報告して寝よう。
そして、移動すること数分。
誰とも接触せずにある扉の前で、立ち止まりノックしようとすると――
「入りたまえ」
ノックする前に扉の向こうから許可が出た。
別に驚くこともなくそのまま静かに入る。
「ただいま戻ったぞ親父」
と私は帰った時の女性の声とは違い、男性の声で答える。
外見は10代後半のラテン系アメリカ人の少年に似せてある。
「お帰り、ジャック君。そろそろ帰ってくるころだと推理していたよ。それと、しばらくは誰も来ないから変装は解いて貰っても構わない」
「分かったよ、お父さん」
そう言ったあと、私は金髪のカツラを取り、結わえていた髪をほどくと、ピンクとブラウンのグラデーションをした長い髪が垂れ下がる。
カラーコンタクトは取らなくてもいいや。
どうせ部屋に戻るときに変装しないといけないし。
喉を数回たたいて、変声術をやめてボイスチェンジャーも取る。
「こんな感じでいいかな?」
「ああ、それでいいとも。では、改めてお帰りジル君」
「うん、ただいま。お父さん」
私はお父さんに笑顔で言う。
英国紳士と言う印象がある、爽やかな顔をした青年。
武偵とか呼ばれる機関にとって理想の人物とされ、その起源となった人。
それが私のお父さん――シャーロック・ホームズその人である。
プロローグと言う事で、そんなに多く書いてはいません。
少し、英語のところに不安がありますが文法的には問題ない筈……授業でやる英語と実際に話す英語とでは意味合いが異なる場合があるので不安と言えば不安ですが。
取りあえず感想、誤字・脱字の指摘など受け付けております。