転生した彼は考えることをやめた   作:オリオリ

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お待たせしました……うん、ほんとにお待たせしました。
そして、話も短いと言う……
真に申し訳ない……スランプみたい文章がうまくいきません……。
いつもより読みづらかったらすいません。


第十九話 響VS冬獅郎

 響と冬獅郎は互いに解放された斬魄刀を手に向かい合っていた。

 空は黒雲に覆われて、雪が降り注いでいる。

 冬獅郎にとってこの上なく有利な状態だ。

 だが、冬獅郎の頬にはわずかな汗が流れている。

 

 向かい合っているだけでも、響が発する威圧感に恐れることはせずとも、冷や汗の一つや二つは流れる。

 それがただの鍛錬であったとしてもだ。

 

 冬獅郎は一つ息をつくと、響を睨みつけた。

「行くぜ」

「こい」

「っ!!」

 響の言葉が言い終わる前に、冬獅郎は体に龍を象った氷の鎧を纏う。

 近づくだけで鎧が発する冷気に体温を奪われ、触れれば瞬く間にその身を凍結させる絶対零度の攻防一体の鎧。

 

 氷の鎧を纏った冬獅郎は、瞬歩を使用し、その速度を乗せて響に斬り掛かる。

「…………」

 響はその動きを完全に見て取りながら、氷輪丸の刀の腹に一突き入れて軌道を逸らす。

 冬獅郎の斬撃はそれだけで響に当たらない。

 だが、今までの鍛錬でも何度も同じことを経験してきた冬獅郎はそれだけでは終わらない。

 氷輪丸の柄から伸びる鎖に霊圧を流し込んで、氷の刃を5枚ほど形成し、射出する。

 五枚の氷の刃はそれぞれが、頭、胴、両足、槍を狙っている。

 

 響はそれを見ると、信じられない速度で体勢を立て直し、氷の刃を槍の薙ぎ払いで全て砕いた。

 冬獅郎はほんの一瞬だけの時間を使い、地面に氷輪丸を突き立て、あたり一面を氷結させ、氷柱を作り出した。

 

 相手が速く動くなら、動きづらい状況を作り出せばいい。

『あの速度で動くなら、滑る地面、障害物を作り出せば同じ速度で動くことはできないはずだ』

 冬獅郎はそう考え、地面を凍らせ、いくつもの障害物を作り出したのだ。

 さらに言えば、氷は自分の領域。

 氷結させた地面から氷柱を作り出して攻撃することも、防御する事も可能だ。

 

「なるほど、考えたな。だが甘い」

 響はそう呟くと、足に霊圧を込め氷を踏み抜いた。

 瞬間、大地が砕けた。

 地面の氷だけでなく、氷柱まで木っ端みじんに砕け散った。

「そんなのありかよ!?」

 あまりの出来事に冬獅郎は目を見開きながら、叫びながらも行動を起こした。

 最低でも四方2㎞にわたって氷結させた大地が、一瞬にして荒れ地に様変わりした。

 だが、空だけは毎回自分の支配下にある。

 

 響が本気を出せば、瞬く間に雷雲に代わるだろうが今までの鍛錬ではそうなることはなかった。

 今回も絶対そうだとは言えないが、冬獅郎は空の雲の中で更なる準備を整えつつあった。

「どうした、これで終わるのか?」

「冗談じゃねぇ!!」

「なら次はこちらから行くぞ」

「ッ!!」

 

 言い終わると同時に、響の姿が消え失せる。

「相変わらずどういう速さしてんだよっ!?」

 冬獅郎は自身の勘を信じて、背後に氷壁を作り、氷輪丸を自身の胸の前に盾になるように構えた。

 瞬間、氷が砕ける音とギィンと言う金属がぶつかり合う音。

「勘も大分鋭くなってきたようだな」

「殺す気かっ!?」

 冬獅郎は攻撃を防いだ際に感じた衝撃から、殺傷力十分すぎると感じた。

「特に問題はないだろう?」

「……簡単に言ってくれるぜ……!」

 

 響からしたらいつでも寸止めできるから問題ないだろう?と言う意図で言ったのだが、冬獅郎はこの程度なら簡単に防げるだろう?と言われてるように感じた。

 

「次は打ち合いと行こうか」

「冗談じゃねぇ……」

 響の言葉に冬獅郎は青ざめながら、呟いた。

 さっきの様な勘に任せた対応など、そう何度も続くもんじゃない。

 だが、響はそのような事知ったことかとばかりに槍を突き出した。

 全力ではない。

 だが、本気の一撃だ。

 

 冬獅郎はその死を感じる一撃を、無心で対応する。

 考えてからの反応では遅い。

 感じるがままに動け。

 

 そう言わんばかりの一撃を、冬獅郎は氷の籠手で受け流した。

 本来なら槍の突きの後は隙ができる。

 だが、響の攻撃速度はその隙を消し去る。

 つまり、直ぐに弐撃、参撃と次の攻撃が来る。

 

 それもまた勘に任せて、氷輪丸で受け流した。

 薙ぎ払いを体勢を崩しつつ、避けた。

 瞬歩を使って距離を稼ぎ、すぐさま氷壁を作り出した。

 

 砕かれた氷壁を見ながら呟いた。

「…………駄目だ」

 このままでは直ぐに対処しきれなくなる。

 勘だけだと動きに無駄が多い。

 もっと最低限の動きで、ただ、槍の闘志を感じ取り、動く。

 あの速度だと考えては駄目だ。

 その思考すらもあの速度の前では致命的な遅れになってしまう。

 

 だから、考えるな、感じるんだ。

 ぼんやりとした目で、冬獅郎は体を動かす。

 先程の様に勘が訴えた行動を起こす。

 その際に重要なのは、大きく動かないこと。

 

 瞬歩で横に動いた、突きが氷の籠手を破壊した、修復する。

 まだ考えている、無駄が多い。

 

 薙ぎ払いに籠手と足甲で防いだ、破壊、吹き飛ばされる。

 修復、体制を整える。

 

 また突きが来る、籠手で受け流す……籠手が壊れる、修復。

 

 そんなことを繰り返している内に、冬獅郎の体は徐々に反応速度を上げていた。

 

 既に冬獅郎は何も考えていない。

 極限にまで追い詰められた天才が得たのは『無我の極致』

 冬獅郎は、その極致に至り響の攻撃を最低限の動きで対処できるようになったのだ。

 

 

 そして攻撃をしている響は内心で非常に驚愕していた。

 冬獅郎が対処できなくなったら寸止めして、鍛錬を終了しようとしていたのだ。

 だというのに、冬獅郎は未だ攻撃を捌き続けている。

 動きは見えていない、予想している訳でもない。

 勘だけでいつまでも捌ききれるわけがない。

 

 だと言うのに、こうして耐えている。

 突きで攻めれば氷の鎧で受け流され、薙ぎ払いをすれば氷の盾を作り出し、瞬歩でさらに距離を稼ぐ。

 そんな動きをしていた冬獅郎は、最低限の動きで受け流している。

 

 冬獅郎の動きを見ながら響は思った。

『あ、なんか、どっかで見た漫画思い出すな。なんだっけ……なんとか制空圏とかいう奴だっけ?』

 前世で見た格闘漫画で攻撃を紙一重で避けると言う技があったなーと思いながら、それを冬獅郎が身に着けるとかすごくね?とか思っていたりする。

 実際は違うのだが、響にとってはそれもどうでも良い事だろう。

 

 なにより、冬獅郎の実力が凄まじく進化したと言う事である。

 響は攻撃をやめて、冬獅郎を見た。

 

 冬獅郎は無表情でただ立ち尽していた。

 その目には光がなく、非常に怖い。

「冬獅郎」

 響が声をかけると、冬獅郎の目に光が戻る。

 冬獅郎は正気に戻ると、思わず呆然とした。

「……マジか……」

 響の見えない攻撃を、冬獅郎は避けきったのである。

「よくやったな。私の攻撃を避けきったのは冬獅郎が初めてだ」

 

 響に褒められ、冬獅郎はようやく実感を得ることができた。

「よっしゃああああああ!!」

 普段のクールさもどこかへ吹き飛び、手を天に翳して大きく歓喜の声を上げた。

 響はそれを優しげな眼で見て、空を見上げた。

 

「冬獅郎」

「っと、なんですか?」

「あれはどうする?」

 響は天を指さして、冬獅郎に問いかけた。

 それで思い出す。

 そういえば、ある仕込みをしていたなと。

 そして悩む。

 かなり時間をかけただけあって、かなり大規模な技だ。

 氷輪丸をちらりと見ると、やらせろとばかりに冷気が渦巻いている。

 冬獅郎はため息をついた。

 

「ふむ、どうやら氷輪丸がやる気の様だな」

「すいません、良いですか?」

「あぁ、最後に大技で締めといこうか」

 

 冬獅郎は響言葉に頷きながら、距離を取り氷輪丸に問いかけた。

『氷輪丸、空の準備はあとどれくらいだ?』

『準備は完了した。今日こそ奴に吠え面をかかせてやる』

『吠え面……?あの響さんが……?』

 どう考えても想像できず、顔をしかめながら氷輪丸に問いかけた。

『……できると思うか?』

『…………今日でなくてもいつかは…………』

 霊子の足場を作って上空へ向かいながら、氷輪丸の言葉に内心でため息をつく。

 

 何れ誰よりも強くなること。

 氷輪丸と対話し、同調した時の思いだ。

 だが、響を見ていると正直勝てる気がしないのは全く気の所為ではないと思う冬獅郎だった。

 いつまでも負け続けているつもりもないのは確かだが。

 

「準備はもういいのか?」

「あぁ、準備はできた」

 冬獅郎は空を見上げて思う。

 自分のことながらに、良く戦闘しながらこんなものを準備で来たなと。

「ならば、こい!」

 響は声を上げると同時に霊圧を高めた。

 それに呼応する形で冬獅郎も霊圧を高めて、氷輪丸に凄まじい霊圧を込めた。

「行くぞ!!氷輪丸っ!!」

『待っていた!!この時を!!』

 冬獅郎が叫び声をあげると同時に、雲の中から蛇の様な胴体に翼のついた巨大な氷の龍が現れた。

 その大きさは凄まじく、まるで神話の神龍を彷彿とさせる巨大さだった。

 

 響はそれを見て思った。

『ターちゃんたちよりもでかいんだけど、え、なにこれ』

 向かってくる氷龍からはまるで隕石が落ちてきているかの様なプレッシャーを感じる。

 明らかに始解でできるような技ではない……というか、始解で出していい技じゃない。

『もうあの大きさだと、これも意味ねぇかも? けど、雷使っても無駄だろうしなぁ……ならもう全力全開で投げるしかないよね! これがほんとのなげやりだよチクショウ!!』

 そんなことを思いつつも、響は槍を逆手に握り霊圧を込める。

 

 巨大な氷龍は全身を波打たせながら、響へと迫る。

 凄まじい霊圧を込められた槍も放たれるその時を待っていた。

 

 そして、響が投擲の姿に入ったその時。

 

「俺もまぜろやああああああああああああああ!!!」

「「ッ!?」」

 

 

 乱入者が現れた。

 

 

 

 




い、一体最後に乱入してきたのは一体誰なんだ……?
と言う訳で、悩みに悩んでできた文章がこんなんです(白目)
もうほんと申し訳ない……

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