それ往け白野君!   作:アゴン

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えー、この話を読む前に一言謝罪を。


予告、何割かマジになっちゃいました。




大盤振る舞い

 

 

「────ハッ!」

 

「む? どうしたキャスター?」

 

「ご主人様の霊圧が……消えた?」

 

「何を言ってるんだ君は」

 

 もうじきお昼になるだろう時間帯。四人のサーヴァントの内三人がマンションの出入り口付近のロビーに集まっていた。

 

理由は三人の前に正座で座らせられている少女、彼女は先程までアーチャーと激戦を繰り広げられていたが、彼の奇抜的な格好に集中力を乱され、あえなく撃沈。

 

アーチャーも無力化した少女をこのまま放置しておくのは流石に忍びないと共に、何故自分達の拠点を狙っていたのか事情を聞くべく、こうしてマンションの内部へと連行した。

 

その際に、マスターである岸波白野の不在に気付いたセイバーとキャスターも起床。桜に白野の居場所を聞き出し、その場に向かおうとした時にアーチャー達と鉢合わせ、現在に至っている。

 

「……それで、何故君は我々の拠点を狙ったのかな? 事情も複雑そうだし、話してみてはどうかな?」

 

「…………」

 

アーチャーの比較的優しい声色にも関わらず、少女は全く話す様子はなく、貝の様に口を閉ざして目線を逸らしている。

 

「もう! アーチャーさんてばそんなお子様なんて構ってないでご主人様の捜索に協力して下さいまし!」

 

「そうは言うがな、この少女の力は未知数だ。なのは嬢の様な魔力とも少し違うようだし、そんな彼女を放っておくのは些か危険すぎると思うが……」

 

「なら、八神さん家でお世話になっているトカゲ娘にでも引き渡せば良いのです! あの娘なら色んな意味で可愛がって下さるでしょうし、拷問で口を割らせる事も出来るでしょう」

 

サラッと恐ろしい事を口走るキャスターに、アーチャーは冷や汗を流す。どうやら、昨夜発散させた嫉妬オーラがまた溜まり始めたようだ。

 

ザワザワと彼女の背後から伸びる暗黒オーラが、昨夜の死闘を思い出し背筋が震える。

 

少女は少女で拷問という物騒な単語やキャスターの暗黒オーラを前にビクリと身を震わせている。

 

「あー、済すまない。彼女は今虫の居所が悪いらしくてね。今は加減を知らないんだ」

 

「…………」

 

「それで、改めて聞かせて貰うが……君の目的は何かね?」

 

先程よりも低い声色で、アーチャーは少女に尋ねる。まるで幼気な少女に詰め寄る悪漢にも見えるが、そうも言ってられない。

 

何せ後ろにいるキャスターは大層ご立腹だ。しかも割と本気で。

 

このままでは本当にランサーに押し付けてしまう。流石に今の彼女があの時のような残虐行為をするとは思わないが、それでも敵に情けを掛けるような輩でもない。

 

特に、岸波白野の住まうここに襲撃を仕掛けたと知れば、それこそこの少女を以前ばりの拷問をするかも知れない。

 

 これは少女の為だ。アーチャーは最後の警告を兼ねて問い詰めると、少女は観念したのか、溜息を零した後……。

 

「……キリエ」

 

そう短く答えた彼女にアーチャーは人知れず溜息を漏らす。

 

「それでキリエとやら、そなたは一体何故余達の住処へと押し入ろとしたのだ? ただの強盗目的ではあるまい」

 

キリエと名乗った少女に今度はセイバーが訊ねる。すると名を出した事で観念したのか、キリエは淡々と己の目的を話した。

 

 自分達は未来の異世界『エルトリア』からの来訪者で、環境破壊で死に往く故郷を救い出すべく父の技術を用いて過去へと遡り、無限の力を内包した“砕け得ぬ闇”ことシステムU─Dのあるこの時代へと転移してきたという。

 

「まさか、君も砕け得ぬ闇が目的とはな。しかも未来からの来訪者とは……」

 

「砕け得ぬ闇の事自体は父さんの研究資料から偶々目にしただけ。けど、その力の凄さは私達の時代にまで語り継がれている。……けど意外だね。まさか未来から来た! なんて話、与太話だと否定されるかと思ったけど」

 

「ん? あぁ、それに関しては疑ってはいないさ。我々も似たようなものだし、“過去に逆行出来るほどの技術を持った未来”と思えばさほど難しい話ではない」

 

まさか自分が未来からという話を信じたという事実に、少女キリエは目を丸くする。

 

しかし、キリエの話を聞いた時、セイバーにある疑問が浮上してきた。

 

「ぬ? キリエよ。今そなたは私“達”と言ったな? そなたの他にも未来からの来訪者がいるのか?」

 

セイバーのその質問にキリエは途端に表情を険しくさせて黙り込む。その様子は重大な秘密を隠しているというよりも、話したくないから話さない。見た目と相応な子供らしい我が儘が見え隠れしている。

 

 再び黙り込んでしまったキリエに頭を悩ませるアーチャー。いい加減キャスターの堪忍袋が切れそうな所で、アーチャーの携帯から通話の着信音が鳴り響く。

 

何かと思い出てみれば……。

 

「メルトリリス? 何故君が?」

 

普段ならムーンセルか白野の携帯にしかいないメルトリリスがアーチャーの携帯にいる。その事実でさえ珍しいのに、彼女の表情は僅かな焦りが滲み出ていた。

 

『緊急事態よ。彼……白野が戦闘機人達に拐らわれたわ』

 

「「「っ!?」」」

 

メルトリリスから告げられる衝撃的な報告に、三人の顔付きが一変する。

 

セイバーは怒れる乙女に、アーチャーは冷徹な仕事人に、キャスターは憤怒の良妻(自称)に、それぞれ感情を変貌させる。

 

雰囲気の変わった彼等を前に、キリエは言いし難い悪寒に襲われる。

 

「戦闘機人……確か、奏者を襲ったとされる者達だな?」

 

「チッ、あまりにもチッポケな輩でしたから放置してましたけど、どうやら一度シメた方が良さそうですねぇ」

 

「二人とも焦るな。……メルトリリス、確かに誘拐したのは戦闘機人で間違いないのだな?」

 

三人の中で一番冷静なアーチャーがメルトリリスに確認を取ると、メルトリリスは間違いないと頷く。

 

「目的は……恐らくはユーリが狙いだろう。マスターを人質に取る事で交渉の材料にするつもりか」

 

「そんな事はどうでも良いこと、問題は連中がご主人様に余計な手出しをする前に殲滅する。これが最も重要です」

 

「うむ、余も同意見だ。メルトリリス、奏者が最後にいた場所はどこか?」

 

 メルトリリスから告げられる情報を下に、セイバー達はマンションを後にする。セイバーは赤いドレスを、キャスターは呪術師の着物を、アーチャーは赤い外套をそれぞれ出入り口のゲートを潜った瞬間に着替え、次の瞬間にはその超人的な速さでもって目にも止まらぬ速度で目的地に移動する。

 

ただ一人、ロビーに残されたキリエは……。

 

「え? 私、このまま放置?」

 

誰もいなくなったロビーで、ただポツリと呟くその姿は、自分の心の内に虚しく響いていた。

 

 一方、アーチャーの携帯に居るメルトリリスは彼等ほど感情を顕わにしてはしていなかった。────何故なら。

 

(まぁ、アイツなら私やリップよりも上手くやるでしょう。英雄王様も向かった事だし……)

 

今頃“彼女”は白野の携帯に潜み、機会を伺っている事だろう。寧ろ、相手が気の毒な事になりそうで同情する。

 

 ──────そう、なんの問題もなかった。ただ一つ。

 

「ハクノが……誘拐された? 私の……所為で?」

 

あの場に、ユーリがいた事を除いて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………何だろう。体がだるい。あまりにもダルすぎて手足が動かない。

 

暗闇の意識の中、両手足から伝わる感覚に沈んでいた意識から浮上していく。そしてある程度の意識が戻ってきた所で、自分は手足から感じた違和感に気付いた。

 

────違う。これはダルさで動かないんじゃない。まるで万力で固められた様に強い力で締め付けられているんだ。

 

完全に意識が回復し、ゆっくりと瞼をあける。ぼやけた視界に映ったのは……眩しい程に照り出された光だった。

 

そしてその次に気付いたのは、自分の体が殆ど動けない状態にある事だ。ベッドらしき所で寝かされている自分の体は所々に金属らしい物体に固定され、獲物を逃がさんとするように離さない。

 

─────混乱仕掛けた頭を、深呼吸する事で落ち着かせる。ここで騒いでも埒が開かない。今自分に出来ることは可能な限り冷静になり、周囲の状態と状況を分析する事だ。

 

 幸い唯一首だけは自由だったので、左右に動かしたり僅かに起こしたりして今の自分の状況は確認できた。

 

周囲を囲んでいるのは真っ白な壁。そして手足が拘束されて動きを制限されている所を見ると……どうやら、自分は敵に捕まっているらしい。

 

らしいというのは、最悪な状況からの現実逃避である。…………あ、今思い出した。確か自分は例のピチピチ過激団と遭遇して気を失わされたのだった。

 

─────やべぇ。冷静に状況を分析している場合じゃねぇや。今更ながら押し寄せてくる不安の波に呑まれ、思わず声を大にして叫び声を上げたくなった。

 

その時だ。真っ白な壁がシュインと音を立ると同時に開かれると、そこから白衣の男性が秘書らしき女性を引き連れて現れた。

 

「やぁ、漸く目を覚ましたようだね。気分はどうかな?」

 

仮面の……外面だけの笑顔を向けてくる男に、快適に見えるなら眼科に行けと軽口を叩く。

 

そんな自分の軽口にも、男は笑みを深くさせるばかりで何もせず、後ろに控えている女性も特に何も言わず目を伏している。

 

「ハハハ、それはそうだろう。何せ君は折角捕まえた大事な被験体(サンプル)なのだからね。そう易々と逃がしたりはしないよ」

 

サラリと人をモルモット扱いする男に更に険悪を募らせる。ここまで相手を嫌だと思ったのは礼装を温めやがったあの店員神父以来だ。

 

というか、やはり自分は実験材料として捕らえられたのか。

 

「ふむ。意外と落ち着いているね? もっと色々騒ぎ立てるかと思ったが……」

 

いや、実際は叫びを上げる前にアンタ達が来たからね。精一杯の踏ん張りで恐怖を押し留めているだけなのです。

 

「そうか。それは勿体ない事をしたな。今後は気を付けよう。─────っと、忘れてた。自己紹介がまだだったね。私はジェイル=スカリエッティ。彼女達戦闘機人……ナンバーズの生みの親さ」

 

 告げられる男の紹介に自分はやはりそうかと納得する。リンディさんが以前戦闘機人達の背後には高度な科学技術を持った研究者がいるかもと語ったが、どうやらその推測は見事に的を射ていたようだ。

 

金色の瞳が、ジッと自分を見つめてくる。その期待に満ちた眼に自分は薄ら寒いモノを感じた。

 

……ハッ! もしやこの男、他の戦闘機人みたいに自分にも改造するつもりなのか? だとしたら……不味い。最悪の場合、自分も彼女達と同じピチピチの格好にされかねない!

 

つまり……。

 

『きゃるーん! ピチピチ過激団の新メンバー、岸波白野でーっす! センターを取れるよう精一杯頑張りますので宜しくお願いしまーす!!』

 

 ────寒気がした。この世界における科学者というのは大抵頭のネジが何本か外れていると聞いた事があるが……ジェイル=スカリエッティ、彼はそんな危ない連中よりも頭一つ抜きん出ている!!

 

「ふむ、見た感じ特に変わった様子はないな。身体にも目立った箇所はないし……」

 

スカリエッティは自分の全身を舐め回すように一瞥した後、クルリと踵を返してブツブツと何かを語り出した。

 

「となると、やはり彼の持つ情報端末が鍵となるのか? いや、見てくれだけで判断するのは得策ではないな。やはりここはある程度調べてから実験するのがベストか……」

 

小さい声だから聞き取れないが、碌でもない事を考えているのは何となく分かる。それに彼は研究者だ。対象を調べ尽くすのが彼の役割。

 

つまり、このままここにいれば自分はこの男に体を好き勝手に弄くり回されると言うことだ。……改造人間、男の子としては響かなくもないワードだが、実際体験するとなれば話は別だ。

 

それに、あのピチピチ衣装だけは正直避けたい。女性なら兎も角男である自分が着るのは……うん、ショウジキナイワー。

 

どうにかして脱出を試みたい所だが……手足が動かない。しかもどういう仕組みか魔力も上手く練り上げられないから身体能力の向上も出来ない。

 

本格的にヤバくなりそうな時、突然アラームらしき音が辺りに鳴り響く。何事かと反応した秘書らしき女性が空間からモニターを出現させると、画面には自分を誘拐した一人、トーレが映し出されていた。

 

「トーレ、何事ですか?」

 

『侵入者が現れた。これより迎撃に向かう』

 

「ふむ、管理局かそれとも彼の仲間が助けにきたのか……どちらにしても少し面倒になった。トーレ、私の作品達も連れて行くのを許可する。侵入者を撃退してくれ」

 

『了解しました』

 

スカリエッティの指示に従順に従い、トーレは通信を切り画面を閉じる。困り顔をするスカリエッティは頭を掻きながら自分に向き直り、先程同じ、悪寒を感じる笑みを向けてくる。

 

「と、言うわけだ。少々予定を前倒して君の体、そして君の携帯を同時に調べさせてもらおう」

 

ニヤリ。先程よりも深い笑みを浮かべるスカリエッティに先程以上に悪寒を感じた。

 

 そして自分が気絶している間に抜き取ったであろう携帯が、スカリエッティから秘書の女性に手渡して彼女が部屋を後にする所を見計らった所で、自分はこの男に問い掛ける。

 

何故そこまでして自分を調べたいのか、何故そんなにも知識欲に従順なのか。何者かが侵入してきたにも関わらず自分の欲求に素直なこの男に、自分はそんな事を訊ねた。

 

すると数秒の沈黙の後、スカリエッティは振り返ると……。

 

「それはね、私が“無限の欲望”なのだからだよ」

 

その自嘲に聞こえる自己紹介の声は、何故だか……哀れみを誘うものに聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 広い砂漠地帯。生命の鼓動など到底聞こえない死の世界で、トーレは侵入者が現れたとされるポイントに向けて空を飛んでいた。

 

トーレの後ろを付いて来るのは生みの親であるドクターが同行するよう言われた作品達──通称“ガジェット”

 

その性能は戦闘機人には遠く及ばず、単体だけでは下位の魔導師にも勝てない模造品。トーレ自身も一機だけでは戦力には数えず、その性能の低さから彼女は玩具と呼んでいる。

 

だが、それはあくまで単体での話。そこに多大な数が集まってくれば話は変わる。

 

今現在彼女が率いているのは地上二百、空二百の累計四百にも昇るガジェットの群がトーレの後ろをついて行っている。

 

明らかな過剰戦力。相手が何人かは知らないが、これでは袋叩きも良い所だ。

 

せめて死体だけは残しておくように命令しておかねば……既にトーレは侵入者に対してどう撃退するかよりも、どう生かしておくべきかと思考を移していた。

 

と、そんな時だ。眼前に空に浮かぶ黄金の帆船がトーレの視界領域に入ってきた。アレが侵入者かと、トーレは四肢から生える羽を動かし、そのスキルを発動しようとした────瞬間。

 

「な、に?」

 

前方の帆船から無数の刀剣、槍が降り注いで来た。

 

突然の事にトーレは即座にライドインパルスを発動させて左に回避。どうにか避ける事は出来たが……。

 

「バカな、あれだけの数のガジェットが……全滅だと?」

 

振り返れば先程まで軍隊さながらの隊列を組んでいたガジェットの群、その全てが剣、刀、槍に突き刺され、煙を 上げながら爆散していた。

 

愕然とするトーレの耳に、男の声が響く。

 

「王の登場に寄越してきたのが……まさかガラクタと雑種一匹とはな。この我もトコトン見くびられたものだ」

 

声のする方へトーレは震えながら振り返る。彼女の視界には先程の黄金帆船が近くにあり、その玉座にも似た席には黄金の鎧を身に纏う一人の男が、退屈そうに彼女の方へ見ていた。

 

「さて、王の所有物を盗んだその所業は本来なら万死に値するが……今日の我は少々機嫌がいい。もうじきドラマの総仕上げが完了する所故、この場は寛大な処置で赦してやろうではないか」

 

「な、何を……何を言っている?」

 

トーレは訳の分からないことを口にする目の前の男に思考が乱されていた。すると、今まで座っていた男はのそりと席から立ち上がると、トーレに向けて一差し指を一本突き立てた。

 

「一分だ。一分間逃げ切れば貴様等を逃がし、我が雑種を譲ってやる。どうだ? 破格の条件であろう?」

 

……言っている事は支離滅裂でトーレの理解を越えているが、一つだけ確かな事がある。この男、底無しの莫迦だ。

 

敵を前に逃がすとか赦すなどとほざいている時点で気付くべきだった。この男は傲慢、慢心の塊だと。

 

そんな男の態度にトーレは途端に冷静になる。自分はこの男の攻撃を避けた。否、避ける事が出来たし、可能だ。

 

彼女のライドインパルスを用いれば、どんな威力のある攻撃だろうと避ける事が出来る。あとは油断しきっているこの男に取って置きの一撃をお見舞いすれば全て片が着く。

 

単純な作業だ。最初はガジェットが一瞬にして全滅された事に驚いたが、実際落ち着いて対処すればなんて事はない。

 

(貴様の攻撃を避け切った所で、その首を斬り落としてやる)

 

「どうやら、覚悟は決まったらしいな。では……始めよう」

 

男の開始の合図が鳴ると同時に、トーレはライドインパルスを発動させて一気に間合いを詰めようとする─────が。

 

そんな彼女の考えは、悉く潰れる事になる。……何故なら。

 

「なん………だと?」

 

空と大地、その全てが刀剣と槍によって覆われていたからだ。それは遙か地平線の彼方にまで及んでおり、隙間なく埋め尽くされている。

 

差し詰め武具の世界。圧倒的物量によって埋め尽くされた天地にトーレの思考はある疑問に支配される。

 

(避ける? 一体……どこに?)

 

その疑問にトーレは遂に答えを出せず。

 

「そら、得意の虫の羽で思う存分飛び回るがいい」

 

深い笑みを浮かべながら、男は武具の全てを発動させる。

 

押し寄せてくる武具の波にトーレは……。

 

「は、はは……」

 

ただ、壊れたように笑う事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、何なの?」

 

 ウーノはその光景を前にただ一言そう告げる。

 

ドクターに渡された情報端末を分析しようと、研究所に備えられている別の解析室に端末を置いた。……ここまでは良かった。

 

その次に本格的に解析しようと周りの機器に接続した。その瞬間だった。突如として部屋の明かりが消え、機器は火花を散らし、煙を上げ、漸く静かになった所で……彼女は現れた。

 

『私が何者かですって? 残念ながら質問する権利などアナタ達には存在しません。アナタ方に許されているのは……そう』

 

機械的、能面のような顔で“黒”い少女は淡々と語る。

 

『豚のような悲鳴を上げなさい』

 

そこには慈悲などなく、深い深い“怒り”だけだった。

 

 

 




やっちまったなぁ。(小波感)


そして溢れ出るBBの女子力(ラスボスオーラ)

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