リボーンの世界に呼ばれてしまいました ~小話~   作:ちびっこ

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第85話 (妖怪づかいツナ最終話)

ヒバリンが吸血鬼さんというのはわかった

わかったけど、これはどういう状況なの!?

 

「あ、あの!!」

 

「……なに?」

 

声をかければ邪魔されたという感じの返事だった

いやいやいや、私は悪くないって!!

普通は止めようとするでしょ!!

ずっと髪、手、首とかにマーキングしてるんだもん!

 

「マーキング……好きですね……」

 

とりあえず思ったことを言ってみた

だってさ、話したいことがいっぱいあったのに

どこかに行っちゃったんだ……

それにもう匂いはしていないはずだしね

昔と違って私はコントロールできてるからね

 

……さっきまでパニックだったのは否定できないけど……

パニックだったのに風が暴走しなかったのもおかしいしね

あーもしかして本能?身体?は

吸血鬼さんってわかってたのかもね

まぁいいや

えっと、吸血鬼さんのマーキングのことだね

今は制御が出来ていて匂いがもれていないのはわかってる

つまり、吸血鬼さんが好きでやってるってことになる

 

「僕がどれだけ我慢していたと思ってるの?

 ……わかってなさそうだね

 今すぐ身をもってわからせるよ」

 

なんか地雷踏んだ気がするー!?

 

「ちょ、ちょっと……吸血鬼さん!?」

 

抵抗しなかったのもあるけど簡単に押し倒された!!

……………ちょっと待った

見えてしまったよ

そりゃ存在をすっかり忘れてた私も悪いと思うよ

でもさ、助けてよ!?

その前に……いつから見てたんだろう……

 

「オ、オレ……な、何も見てないから!!」

 

なんで真っ赤な顔して、あっちに向いたのー!?

ツナ君、見捨てないでよ!?

 

「……まだ、いたんだ

 はぁ、邪魔しないでよね。今、いいところなんだから」

 

「す、すみません!!」

 

あのー、私は全然良くないんですけどー

言ったら危険な気がするから言わないけどね!

あ、私の気持ちが通じたのか

吸血鬼さんは起き上がらせてくれた

 

ってか、さっきから寝転んだりしてるせいで

砂とかが背中や髪にいっぱいついてそう

風で落とすか……

ついでにツナ君もしよう

私のせいで吸血鬼さんにぶっとばされたしね……

 

「わっ、わっ」

 

「ごめん。砂を落としてるだけだから我慢してね」

 

ツナ君が驚いた顔で私を見てるね

妖怪の姿を見ても怖がらないのはツナ君らしいね

まぁ黙ってたことについては

何か思うところがあるかもしれないけどね……

あーどこから説明するべきか……

 

「その姿でも風を操れるんだ」

 

「あ、はい。少しだけですが……

 強くしようとすれば羽が出ちゃうんです」

 

「わかった

 ……近くにいたことに気付かなかったよ」

 

「鍛えましたからねー

 あ、私の話より吸血鬼さんに聞きたいことが……」

 

「……なに?」

 

吸血鬼さんにジッと見られたね

すみません……自分でもわかってます

ツナ君に話すのが嫌で話題をそらしたことを……

 

「え、えっとですね。

 近くの村で暴れたって噂を聞いたんですけど

 何があったんです?」

 

「あれは……」

 

あれ?また私の顔を見てるね

 

「……もう見られたんだ。諦めなよ」

 

「へ?」

 

チラっとツナ君を見たよね?

一体、吸血鬼さんは何の話をしてるの?

 

「数年前からあの村は不作だったんだ

 経緯はわからないけど

 天候を操れる妖怪を捕まえて何とかしようしたみたい

 僕が気付いた時にはハンターを雇った後だったからね

 だから標的をかえようとした」

 

つまりそれって……

 

「僕が勝手にしたことだよ」

 

謝ったりお礼をする問題じゃないよ……

何も言えなくなって泣いてる私を見て

吸血鬼さんが抱きしめてくれた

……私は涙を吸えば力が増えるはずなのに

抱きしめてくれたことが嬉しくてまた涙が出た

 

「言い方は悪いけど、優は吸血鬼より価値があるんだ

 妖怪の中でも天狗は珍しい種類だし、

 さらに優は天狗の中でも珍しい

 今までに妖怪にも何度も狙われているはずだよ

 だから人間のフリをしていたのを許してあげてほしい」

 

無意識に吸血鬼さんの背中に回した手に力が入ると

吸血鬼さんが私の背中を撫でてくれた

凄く落ち着く……

もう少しで風が暴走しそうになるところだったよ……

今回は暴走しそうになったね……

まぁそれは今はいいや……

……ツナ君の反応が怖い!

 

「……探していた吸血鬼と会えたんだ

 約束通り、優って呼んでもいいよね?」

 

「……ツナ君!」

 

「わっ!? 優!?」

 

つい嬉しくて吸血鬼さんから離れて

ツナ君に抱きつけば慌てて私の名前を呼んだんだ

だから笑って「ありがとう」と言えたと思う

 

ただね……

 

「……君達、いつまでそうしてるの?」

 

吸血鬼さんの声を聞いて2人して震え上がったよ……

それだけで終われば良かったんだ

またどこか面白くて一緒に笑ってると殺気がした

……あれは怖かった……

いや、まじで。

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなに正体ばらしたりして驚かれたけど

ツナ君の味方もあってすぐに許してもらえた

そして、ゆっくり落ち着くこともなく道を引き返し

ツナ君が住んでた村にみんなで行くことになったよ

でも……私はこのままここに残ることを選んだ

 

その代わりといえばおかしいけど

私の羽で作った扇子を渡した

扇ぐだけで強風が出るから危ない時には役に立つし

使えば私も気付くからすぐに駆けつけれるからね

 

ちなみに強力な武器になるのに

私が持ってなかったのは匂いに問題があったから。

その匂いは吸血鬼さんが消してくれたんだよねー

私と別れてからずっと研究してたみたい

それならマーキングしなくていいと思うけど……

吸血鬼さんが好きだからするっぽい

……まぁいいか

 

それとハンターのことはツナ君達に甘えて任せた

吸血鬼さんが記憶を消す暗示をかけてくれたけど

私と会わない方がいいのは変わらないからね

 

「また会いに来るよ」

 

「うん。私も会いたくなったら飛んでいくよ」

 

本当に空を飛んでいくかもねー

ツナ君は私の本気に気付いたみたいで

「気をつけてよ!」と心配されてしまった

でも、気をつければ行ってもいいみたい

そういうところがツナ君のいいところだよねー

 

「あのさ、優」

 

「ん?」

 

「オレ、1度は村に戻るけどまた旅に出ることにしたんだ」

 

「え? そうなの? 大丈夫?」

 

扇子を渡したけどちょっと心配……

みんな料理とか出来ないし……

 

「うん。大丈夫だよ。

 それで……立ち寄った村や街で噂を流すよ

 少しでも優が安全に過ごせるように」

 

「……無理しなくていいよ

 ツナ君が気にすることじゃないからね」

 

気持ちだけで十分だよ

 

「楽しかったんだ

 いろいろあったけど、みんなと旅をしたのが……

 だから決めたのは優のことだけじゃない」

 

真っ直ぐな目をして言われると反対出来ないね……

 

「……ありがとう」

 

「それにお礼もあるんだ」

 

「へ? あ、もしかして扇子のこと?

 それは私が渡したくて渡したんだよ?

 威力があるかもしれないけど

 持ってるとツナ君に何かあるかもしれないし……」

 

本当は渡さないほうが安全なのにね

どうしても持ってほしかった

これは私のわがままだよ

 

「そっちじゃないよ。少し前に話したよね?

 小さい頃に崖から落ちかけたって……

 その時に助けてくれたのは優だよ

 妖怪の姿になってやっと気付いたんだ」

 

「……ああ。そういえば似てるね」

 

「「え?」」

 

あ、またツナ君と声が揃った

離れていたし、吸血鬼さんは話を聞いてないと思ったしね

ってか、吸血鬼さんがなんで納得してるの?

 

「覚えてないの?

 優が初めて妖怪の姿になった時のことだよ」

 

「……あの木に引っかかってた子が……?」

 

「そ、そう!! それがオレなんだ!」

 

「ええええ!?」

 

そういえば、名前がツナ君だったかも

ってか、吸血鬼さんはよく覚えてるね……

それとも私の記憶力がないのか……

いや、その前に……

 

「私は助けてないよ!

 上手く飛べなくて吸血鬼さんが助けてくれたし!

 吸血鬼さんが心配して来てくれたから助かったんだよ」

 

「そうだとしても、オレを見つけてくれたのは優だよ

 それにヒバリンにとっても悪い話じゃないと思う

 やっとオレは2人に恩を返せるんだ」

 

そういわれると何もいえないなー

正直、失敗したからちょっと恥ずかしい記憶なんだけどね

まぁいっか♪

 

「お願いします」

 

お礼をいうよりいいかなと思って言えば

ツナ君が嬉しそうに返事をした

 

 

 

 

別れの時にみんなにもまた会おうと約束して

見えなくなるまで手を振った

うーん、リボじいが最後まで謎だったね

私の正体に最初から気付いていたかもしれない

まぁいいか……

嫌な感じはしなかったしね

 

「風邪引くから入りなよ」

 

いつまでも入ってこないから

吸血鬼さんが痺れを切らしたみたい

ってか、その前に……

 

「身体は頑丈なほうですよ?」

 

「それとこれは別だよ」

 

一緒だと思うんだけど……まぁいいか

 

「そういえば、吸血鬼さんは家庭菜園が好きなんでね

 ちょっとびっくりしました」

 

城の周りを見渡しながら思い出した

なんか私の知ってる吸血鬼さんと違うんだよね

こういうことに興味があったなんて知らなかったもん

 

「好きじゃないよ」

 

「あれ? でも……、うわっ!」

 

私が変なのと思って吸血鬼さんを見れば

もの凄く顔が近かった……

後ずさりしようとしたけど、腕が掴まれちゃったなー

まぁさっきより離れることは出来たからいいか……

 

「野菜があれば、村や町に買いに行く時間が少なくてすむ」

 

あーなるほど

正体かくして買い物に行くのが面倒だったんだね

 

「言っておくけど……僕は血さえあれば問題ないからね」

 

吸血鬼だからね

人や妖怪だけじゃなく、動物でも大丈夫なのかもー

 

……あれ?じゃぁなんで作ったの?

 

「邪魔者はいなくなったし、ゆっくり楽しめそうだよ」

 

「……吸血鬼さん……?」

 

よし、ツナ君達に着いていこうかな!!

今からだと間に合うよね!?

 

「いこうか」

 

引っ張られて気付いた……腕つかまれてたーー!!

 

「いや、あの、ちょっと……」

 

「心配しなくていい。僕に任せればいいから」

 

その任せてが怖いんだってばーー!!

 




……ホラーだ。
まぁハロウィン企画ですし……w
これで妖怪づかいツナは終わりです。

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