リボーンの世界に呼ばれてしまいました ~小話~   作:ちびっこ

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第82話

「ツナ君。はい、これ」

 

私が手渡した物を見てツナ君は首をひねってた

 

「ゴクデラ達の分はないけど我慢してね

 私達は人間だしー」

 

まぁ私は人間じゃないけどね

 

「えっと、なんで雨合羽?」

 

「晴れてるだろーが」

 

あー妖怪でもネコ男にはわからないのか……

さて、どうやって説明しよう

さっきから風が変なんだよねー

普通の雨じゃない気もするし……

 

「旅の勘というものなのでしょうな

 あなたも彼女に見習ったほうがいいですぞ」

 

「わ、わかった」

 

私が先に合羽を着たのもあって

特に問題なく着せることが出来たみたい

 

「後は雨宿りが出来るところが見当たればねー」

 

そういった瞬間、ポタポタと雨が降ってきた

 

「わっ、本当に降ってきたよ!」

 

ツナ君達が慌てて雨宿りが出来るところを

必死に探しているなーと思いながら、私は空を見る

 

「…………」

 

「なにかわかりますか?」

 

リボじいの言葉に首を横に振る

変身していない私には原因がわからない

ただ、いつの風じゃない

風が何か強い力に動かされていることがわかるけど……

 

「こっちにあったよー!!」

 

ツナ君の声で我に返る

風が少し心配だけど、早く雨宿りしないと!

 

 

雨宿りするとツナ君にお礼を言われた

合羽を渡したからだろうね

嬉しかったけど、それより風の方が気になった

 

「すぐ止むといいね」

 

私が不安そうに空を見ていると

ツナ君が天気を心配してると勘違いしたっぽい

だから曖昧に頷く

 

「あれ? 止んだ?」

 

「でも多分……また降るよ」

 

止んだけど、風がおかしいもん

だからこれは一時的なものだ

 

「今のうちに進んだほうがいいんじゃないスか?」

 

ツナ君とゴクデラが外に出たけど

すぐに雨が降ってきたから戻ってきた

 

結局、私の言葉を信じて

そのまま動かないことになった

 

 

 

 

 

 

 

「入らないと風邪引くよ」

 

外に出て空を見ているとツナ君がやってきた

 

「……うん」

 

流石に心配かけるのは悪いし

雨宿りしながら空を見ることにしよう

 

「何か空の思い出でもあるの……?」

 

「へ?」

 

「今日だけじゃなく、よく空を見てたから……

 変な話だけど、空を見ていると君を見ると

 どこかに行っちゃう気がして……」

 

「あるといえばあるかな」

 

ある意味、空が故郷のようなものだからね

人間の感覚では一族の里が故郷というものだろうけど

私達の感覚では空になるんだよね

お母さんも空で亡くなることを選んだ

ちょっと寂しい気持ちもあったけど

どこか納得する自分も居た

多分、本能なんだろうね

 

「オレも空に思い出があるんだ」

 

言葉を濁しながら戻った私に

ツナ君が話題を振ってきた

 

「聞きたいッス!」

 

私も興味があったから頷けば

ツナ君は少し照れくさそうに話し始めた

 

「小さい頃にガケから落ちたんだ」

 

「「え!」」

 

「その時、オレは空を飛んだんだ

 近くにいた妖怪が助けてくれてね」

 

どこか懐かしそうに話すツナ君を見て

それで妖怪にたいして恐怖が少ないのかもね

まぁ性格が1番大きいと思うけど……

 

「かわった妖怪スね

 普通は助けねーと思いますが……」

 

「うん。みたいだね

 みんなには妖怪は怖いものって言われるし

 誰にも話せなくなっちゃったんだ……」

 

あー暗くなっちゃったなー

もしかすると妖怪の話をしていじめられたのかも……

まぁなかなか優しい妖怪には会えないからね

人間と一緒に生活している妖怪もいるけど

正体を隠し続けるせいで普通は気付かないからね

……そっか

だからツナ君は優しい吸血鬼がいても

不思議なこととは思わなかったんだ……

 

「でも空を見るとオレはその時に会った妖怪を

 いつも思い出すんだ……

 顔はあんまり覚えてないけどね」

 

小さいころって言ってたしそれはしょうがなでしょ

私だって吸血鬼さんのことをあんまり覚えてないしね

そういえば……昔……

 

「こ、この雨も妖怪の力だったりして!」

 

考えているとツナ君が早口で言った

あーまた空を見てるから不安になったのかな?

大丈夫という意味で笑おう

ツナ君がほっとしたからわかってくれたっぽい

 

「ガハハハ! やっと気付いたもんね!!」

 

「「へ?」」

 

あ、ツナ君と声が揃ったね

 

「流石です!」

 

ゴクデラがツナ君を褒めてるけど

私達にはさっきの言葉が

本気じゃないとわかってるからね……

微妙なリアクションをしてしまった

 

「最強の怪物!!

 カミナリ様のランボさんのしわざだもんね!!」

 

……なんか知ってる気がする

まぁ気のせいじゃないんだろうね

 

「ぐぴゃっ!」

 

私の顔を見て驚いていた

まぁそうだろうね

私とは思わなかったんだろうね

 

「えーと、知り合い?」

 

「ちょっとね。

 ……何をしてたのかな?」

 

「ごめんなさぁぁぁい!!」

 

……泣いちゃったよ

でも私が怖いわけじゃないんだね

抱きつかれて泣かれたよ……

 

「許してあげてほしい……

 この子、妖怪だけど悪い子じゃないんだ」

 

私に謝りながら抱きつくランボを見て

怒るのをやめてくれたみたい

いやー、助かった

 

私の一族とランボ君の一族は関係が深いんだよ

同じ天候を操る同士だからね

まぁどっちかというと私の一族の方が力が強い

理由は風をつかって雷を呼び起こせるからね

でも上下関係とはない

だから何度かあって遊んだこともあったんだ

……まさかこんなところで会うとは思わなかったけど

 

とりあえずランボ君には

名前は話さないようにしてもらおう

ってか、ランボ君もそれぐらいわかってるか……

ランボ君の一族も珍しいし……

自分で名乗るのはまだいいけど

勝手に名前を教えるのは掟に反するからね

 

「どうしてここにいるの?

 少し前に違う街で会ったよね?」

 

まぁ空でだけどね

でも雲を使って移動してきたといっても

ランボ君のスピードだとこの距離は大変なことだと思う

 

「グスッ。か、風に流されて……」

 

あー、風には弱いもんねー

もしかして里にも帰れなくなってた?

 

「じゃ帰ろっか? 大丈夫だよ

 私も一緒に行って怒られないようにお願いするよ」

 

ツナ君達には悪いけど、先にこの子を送らないと……

多分まだ小さくて雷で助けも呼ぶことも出来ないんだ

確か、雷で言葉を伝えれたはずだし……

迷子になってるってことはまだ出来ないんだろうね

 

ってか、出来ないなら里から出さないでよ……

あー黙って出てきたのか……

前に会った時に里に帰らせれば良かったなー

 

「やだやだ! 一緒に旅するもんね!」

 

……これは困った

最悪、私が風で保護したと伝言を送ればいいけど……

そのためには変身しないといけないし……

まぁどの道、ツナ君達とはお別れになるのか

この子を吸血鬼のところに連れて行くのは危ないしね

 

「うざいですが、戦力とすれば十分ですぞ」

 

「そういえば……雷だし……

 でも小さいし危ないよ」

 

ツナ君の言葉に私も頷く

いくら力が強いといっても

こんな小さな子を危ない目に合わすのは反対!

 

「オレっちは強いんだぞ!!」

 

……あ、このパターンはダメだ

これは私が離れてもツナ君達についていくよ

 

「……ごめん」

 

私が悪いわけじゃないけど

ツナ君達に謝らないといけない気がしたんだ……

……後でこっそり変身しよう




ランボの妖怪の種類がもの凄く強いと思うのは私だけなのかな……

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