リボーンの世界に呼ばれてしまいました ~小話~   作:ちびっこ

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第81話

ツナ君は悪気がなかったということで

人造人間のリョウヘイを仲間にした

 

うーん、ツナ君は大物かもしれない

痛い思いしちゃえばもう仲間に出来ない気がする

それもツナ君は充電切れしたリョウヘイを

置いていかず背負って歩いているしねー

まぁ文句は言ってるけど……

 

……あーでも人のこと言えないか

吸い殺されそうになったのに

気絶した吸血鬼さんを運んであげたよ

ちょっと遠い目になってしまった……

 

「どうしたの?」

 

「なんでもないよー

 ツナ君、重いでしょ。交代するよ?」

 

「だ、大丈夫だよ」

 

ツナ君は男の子としての意地があるらしい

重くても私とかわろうとしないからね

 

「じゃぁ、ちょっと早いけど……

 次の広い場所で野宿の準備しよっか?」

 

「の、野宿ーー!?」

 

「あなたがノロマだからですぞ」

 

いや、しょうがないでしょ……

人造人間は重そうだし……

 

「元々、ヒバリン城には1日で着かないよー

 私が遅れて追いついたのは

 必要な道具をいろいろ買ってたからだよ?」

 

私は道具は持ってるけどツナ君はないからね

それに私は多少食べ物が足らなくても

狩って食べれば何とかなるけどー

ツナ君は人間だし初めてだからね

念のために買っておいた方が安全と思ったんだよ

 

「そうだったのー!?」

 

「うん」

 

ツナ君は落ち込んでるみたいだけど

あの時のツナ君は変だったからね

しょうがないと思う……

 

 

 

 

 

 

ツナ君とリボじいは料理ができないらしい

だから私が作ったよ……

作るのは別にいいんだよ

ただ……私がいない時はどうするつもりだったの……

まぁいいか

私が一緒にいるしねー

 

「はい。どうぞー」

 

うん。これは美味しそうだ

ちょっと早めに野宿の準備をした分、

薬草や魚を獲る時間があったからねー

栄養もありそう!

 

「助かったよ

 オレ、何も出来なくて……」

 

「本当にあなたは見ているだけでしたな」

 

「お前もじゃん!」

 

「ふふ。こういうのは慣れだからね

 しょうがないよ」

 

まぁリボじいは出来る気がするんだけどね

本当に、リボじいは謎だ

魔法使いなのに身体能力が凄い

聞きたいけどどこまで聞いていいのかわからない

下手に聞いて、正体が隠せなくなるのは勘弁だからね

 

 

 

 

 

 

「そういや、吸血鬼に詳しいんだよね?

 昔、お世話になったって言ってたし……」

 

見張りをしているとツナ君が寝転びながら話題を出してきた

ってか、寝なくていいの?

今は私が見張りの番なのに……

あー野宿が初めてだから眠れないのか……

 

「そうだよー。私の初恋なんだ♪」

 

「ええええー!?」

 

やっぱり驚くよねー

吸血鬼だし……はぁ……

ってか、リボじいが起きちゃうから

もう少し声を抑えたほうがいいと思う

 

「良い心がもってる吸血鬼もいるんだ……

 あ! そうじゃないと探す旅に出ないよね!」

 

「…………」

 

「ど、どうしたの……?」

 

ビックリしてちょっと思考が止まっちゃった

里ではお母さん以外は

吸血鬼さんのことを悪く言ったんだよ

天狗は珍しいから騙そうとしたとか、いろいろ……

だから冗談っぽく明るく言ったのに……

 

「ご、ごめん

 ちょっと嬉しくて……」

 

ツナ君がよくわかってなさそう

本当に思ったことを言ったんだ……

 

「……とても優しい妖怪だよ

 私のお母さんが病気でね

 いつも新鮮な薬草をとってきてくれたんだ

 お母さんが少しでも長く生きれたのは

 吸血鬼さんのおかげだと思うんだ……」

 

今だからわかるんだよね

覚醒する少し前から人間じゃない匂いが

駄々漏れの状態だったと思う

吸血鬼さんが1日に何回もマーキングしてくれたから

お母さんは力を使わず休めたってね

 

「……そっか

 また会えるといいね」

 

「うん」

 

会いたいな……

大騒ぎになると思うけど

思いっきり空を飛んで探しに行きたい

見つからなかったら……

もうそのまま……風に身を任せて……

 

「ダメだ!!」

 

「へ? どうしたの?」

 

いきなりツナ君が叫んだけど何かあった?

ツナ君達以外の気配はないと思うけど……

 

「……あ、れ? ごめん!!

 なんでもないよ!!」

 

ふむ?まぁいいか

 

「あ、あの……」

 

あれ?やっぱり何かあるのかな?

なんか気まずそうに話しかけてくるよ

 

「なぁに?」

 

「よく考えると名前を知らないなーって……」

 

あー、ついに気付かれた

話題になる前に話を逸らしてたんだけどなー

 

「ヒミツ♪」

 

とりあえず誤魔化してみた

……落ち込んじゃったよ

普通は私に怒ることだと思うんだけどなー

 

「名前を教えるのが嫌いなんだ

 ……嫌いになったといったほうが正しいかな

 いつもは適当に名前を教えるんだけどね

 でもツナ君にはウソをつきたくないと思ったの

 だからヒミツ♪」

 

「……わかった。無理にはきかない

 でも、オレは待ってるから」

 

真っ直ぐな目をして言われると困っちゃうなー

ますますツナ君には名前を教えれないや……

いつか私の名を知ってるだけでも

狙われることになるかもしれないからね

ツナ君には言えないよ……

 

「待ってるか……」

 

「うん。待ってるよ」

 

吸血鬼さんにも同じ事を言われたなー

 

「吸血鬼さんを見つけることが出来なくて

 諦めてしまったら、ツナ君に会いに行こうかなー

 その時に教えようかな?」

 

「会えるよ、絶対!

 だからその吸血鬼と会えたらだね」

 

「そうだね。私もツナ君にいい報告をしに行きたいよ」

 

ツナ君の嬉しそうな顔を見て

いい未来が想像できて、また頑張れそうな気がした

 

ただ、ちょっと気が緩んだのもあって

かなり近づかれるまで気配に気付かなかった

下手に教えるのは危険だ……

このまま気付かないフリをしてツナ君に近づこう

 

「ん? どうしたの?」

 

「寝れなさそうだし、膝枕してあげよかなーと」

 

「えええーーー!?」

 

……失敗したね

まさかツナ君がこんなにも驚くとは思わなかったんだ

慌ててツナ君を抱きかかえる

状況がわかってなさそうだけど、放置

今はそれどころじゃない

ツナ君を抱きかかえたまま、避けるのは大変なんだ!!

さっきからツナ君ばっかり狙ってる気がするしね!

 

「……てめぇ、なにもんだ」

 

ギリギリかわし続けてると声をかけられた

狼男とは初めて会うから知らなかった

意外と戦いながらも冷静っぽい

 

「ただの護衛だよ」

 

「ッチ」

 

舌打ちすると同時に攻撃の手数が増えた

……やばいね

リョウヘイは眠ってたままだし

リボじいは手を出すつもりはないっぽい

ツナ君を守りながらではジリジリとやられるだけだ

何か手を打たないと……

 

「ツナ君、狼男に何か心当たりない!?」

 

「オレにもわかんないよ!!」

 

「っ!」

 

怯えて頭を抱え込んだツナ君を

横目で見たのがダメだったっぽい

攻撃を受け流すことに失敗した

私の手が痺れたスキを逃すわけもなく

ツナ君に狼男が襲いかかろうとしていた

 

「うわぁ!」

 

バキッと音がしてツナ君が殴り飛ばされた

……殴り飛ばされた……?

 

自分でもやばいと思った

これは私の怒りで風が暴走する時の感覚だ

でも抑えれそうにない

 

狼男はツナ君をまた殴ろうとする手を止め

振り返り私を警戒していた

 

「いててて……。え? え?」

 

私達の流れる空気が変だと思ったのか

ツナ君は私達を交互に見ていた

何かきっかけがあれば、動く

それぐらいの緊張感が私達の間に流れるしね

 

ザッ

 

ツナ君が立ち上がった音がきっかけになった

私は暴走してツナ君に被害が起きるのが嫌で

妖怪の姿に変身しようと決めた

姿を見られるのは問題だけど

変身した方が制御が楽だからね

 

「魚大好きニャー!!」

 

「へ……?」

 

背中から羽が生えると思った時に

私に掴みかかろうとした狼男が

ツナ君の足元にある魚に飛びついた

……えーと、何だこれ?

 

多分、魚は立ち上がった時に落ちたんだろうね

ご飯を食べてる時に見張りの時に食べるって

大事そうにツナ君が残してたからね

 

「もしかして……ツナ君を狙ってたのは

 魚の匂いのせい……?」

 

「えええーー!?」

 

ツナ君の驚く声はしょうがないと思う

私だってそんな理由とは思わなかったよ……

 

それに狼男じゃなくてネコ男だった

見破ったのはツナ君だから忠誠を誓ったけど

あの姿を見たら誰だって気付くと思う……

まぁいいか……

 




昨日はお休みしました。すみません
最終話まで無事に出来ましたので、休んでも次の日には必ず更新します。

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