リボーンの世界に呼ばれてしまいました ~小話~   作:ちびっこ

77 / 91
第77話

怖くて目をつぶっていれば衝撃は少なく

温かいものに包まれてる気がした

 

「はぁ……君ってどこか抜けてるよね」

 

耳元で知ってる声が響いて

目をあければ吸血鬼さんだった……

 

「怪我ない?」

 

必死にコクコクと首を縦に振る

よくわからないけど……

凄く恥ずかしくて顔が熱い……

 

「ど、どうして……?」

 

「君の匂いが街から離れたから見に来た

 すると君が危ないところだったからビックリしたよ

 ……あまり無茶しないで」

 

また必死に頷くことしか出来なかった

私、どうしたんだろう……

なんでこんなに心臓の音がうるさいの……?

 

「君の心臓の音がよく聞こえる

 それほど怖かったんだね」

 

どこか違う気がしたけど

吸血鬼さんの言葉を否定するのはやめた

違うって教えるのも恥ずかしくて……

 

ドキドキしてると「ん……」という声がした

私の腕の中から聞こえた気がする

 

「あ! そうだった!!

 この子、大丈夫!?」

 

私の大声に男の子は反応はなかった

だけど、胸が上下に動いてたから安心した

多分、気を失っただけかなー

 

「……これは君の姿を見た?」

 

吸血鬼さんの声が急に低くなった

さっきまで優しそうだったのに!!

少し悩んだけど首を横に振った

本当のことを言えばこの子が危ない気がしたから……

 

「そう。でもまぁ……」

 

「ああ!?」

 

吸血鬼さんが無理矢理に男の子を引き剥がすから

思わず悲鳴のような叫びをあげて抗議する

 

「気を失ってるんですよ!

 人間の子だし優しくしてあげないと……」

 

私の訴えが聞こえたようで

吸血鬼さんは優しくおろしてくれた

……しぶしぶって感じだったけど……

 

そして私もおろしてくれた

……さっきまでお姫様抱っこだったみたい

またドキドキと心臓がうるさくなった

 

「もう大丈夫だよ」

 

吸血鬼さんは何を勘違いしたんだろ……

優しく抱きしめれて声をかけてくれた

でも、もっと心臓の音が響いておかしくなりそう

このままだと私が死んじゃう気がしたから

必死に話題を探して声をかける

 

「あ、あの! 大変なんです!

 羽が生えました!」

 

「知ってる」

 

……そうですよねー

私を抱きかかえた時に

羽に気を遣ってくれてそうだったもんねー

だけど、話題を広げないとまずいと思うから

必死にまた言葉を探した

 

「そ、それでですね!

 ……羽のおさめ方がわからないんです……」

 

本当にどうすればいいかわらかなくて泣きそうになる

吸血鬼さんは抱きしめるのをやめて

私の顔をみて声をかけてくれた

 

「僕が君の母親を連れてくるよ

 大人しく待ってて」

 

優しく言ってくれるのは嬉しかったけど

……首にマーキングしないで!!

なんで今まで何も思わなかったんだろう……

すっごい恥ずかしい!!

……唯一の救いは……

吸血鬼さんが私の顔を見てなかったことだね

見られてたら私は死んでた気がする

 

吸血鬼さんのスピードが凄かったから

すぐ帰ってくるだろうなーと思いながら

男の子の様子を見てると目が開いた

 

「……オレ、死んじゃった?」

 

「へ? 大丈夫だよ!! 生きてるよ!!」

 

しっかり!という感じで

男の子を前後に揺らしてみれば驚いてた

生きてるってことに気付いたみたい

 

「あ、ありがとう。ゴメンね

 羽の色が白くて天使なのかなって思ったんだ」

 

男の子に言われて落ち込んだ

チラッと視界に入るのは白じゃなくて灰色だもん……

お母さんは真っ黒で綺麗なのに!!

半妖だからかな……はぁ……

 

「ゴ、ゴメン! 天使って言っちゃ嫌だよね!?

 妖怪なのに……」

 

「……気にしなくていいよ

 それより君はどうして崖から落ちそうになってたの?」

 

「母さんと隣町に来たんだ

 でも、オレ初めて街から出るのもあって浮かれて

 飛んでる蝶を追いかけてたら、こんなことに……」

 

「じゃぁお母さんはずっと探してるんじゃないの!?」

 

「多分……」

 

うわあああ!大変だ!!

今すぐお母さんを探さないと!!

そう思ってると誰かを探してる声が聞こえてきた

男の子には聞こえてないみたいだけど……

でも多分、そんなに遠くないよ

 

「もしかしてツナっていうの?」

 

「う、うん。どうして知ってるの?」

 

「あっちから君を探してる声がするんだ!

 早く行って安心させよう!!」

 

男の子の前でかがむと「どうしたの?」と声をかけられた

私がおんぶした方が早いってわからなかったみたい

説明すれば抵抗したけど無理矢理納得させた

 

「は、羽……大丈夫……?」

 

「痛くないから大丈夫!

 しっかり捕まってね!!」

 

いつものように走ったつもりだったけど

倍ぐらい早くなったみたい

変身してるからかもしれない

まぁ男の子が怖がってないから今はいいとしよう

 

 

 

声の近くまで来たので男の子を降ろすことにした

 

「母さんに紹介するよ!

 助けてもらったって!!」

 

男の子はそういうけど

吸血鬼さんの様子からして

私の姿を見られると怒る気がするんだよねー

だから「気にしないで」って返事をする

でも男の子は引き下がる感じがしないので

わがままを言ってみることにした

 

「私の姿を見たことは黙っててほしいんだ」

 

「で、でも……」

 

「いろいろ理由があるんだ

 でね、次に会った時に……ツナ君って呼んでいい?」

 

「……うん! 約束だよ!

 絶対また会おうね!!」

 

ツナ君が嬉しそうな顔をしたから安心した

多分、これで引き下がってくれる……

ってか、早く帰らないと吸血鬼さんが帰ってくるよ

そろそろやばい気がするんだよねー

 

「じゃぁ、このまま真っ直ぐ歩いてね!」

 

「ま、待って! 君の名前は!?」

 

「んー次に会った時の楽しみにしよう!」

 

「絶対だよ!!」

 

私の走り去っていく姿を見ながら

ツナ君は必死に叫んでた

……ちょっと悪い気がした

だって、走り去ったと見せかけて

木の上からちゃんとお母さんと会えたか見るんだもん

 

 

 

 

ツナ君とお母さんが無事にあえた!

良かったーと安堵してると

私のお母さんが隣で飛んでいた

 

「良かったわね」

 

「うん! ……吸血鬼さんは?」

 

地面の方を見たけど見当たらない

お母さんがここに来たって事は

呼びにきてくれたと思うんだけど……

 

「あの子は牽制中といえばいいかしらねー」

 

牽制中ってどういうことだろ?

首をひねってるとお母さんが上着をかけてくれた

 

「あれ? これって吸血鬼さんのマントじゃ……」

 

「そうよー。一旦、これで家に戻りましょう

 ちゃんと許可は貰ってるわよー」

 

ど、どうしよう……

吸血鬼さんの匂いがして

抱きしめられたことを思い出しちゃう……

 

「……覚醒するとはわかっていたけど

 意識するのは予想外だったわ……

 あの人、わざと教えなかったわねー」

 

「も、もしかして今何かいった……?

 ごめんなさい……聞いてなかった……」

 

「いいのいいの

 聞こえてないと思って呟いたからねー」

 

どういうことだろ?

でも聞こえてないと思ってたからいいのかな?

お母さんも気にしてはなさそうだし……

……まぁいいか

 

 

 

 

 

家に着くと吸血鬼さんがすぐに戻ってきた

 

「うわああああ!?」

 

「……なに?」

 

な、何って……

髪の毛や手にキスするなんて……!

……キスじゃなくてマーキングだったね

気付いてしまうと一瞬にして落ち着いてしまった……

何だろう……この残念感……

 

「はいはい。時間はあまりないわよー

 吸血鬼さんとはお別れして急いで里に行くわよ」

 

「え……?」

 

「力のコントロールは里でしか教えれないの

 そして里の場所は他言無用」

 

そんな……

嫌だっていいたいけど声も出せない

それぐらいショックだ……

吸血鬼さんはどう思ってるか気になって見てみた

 

「……そのほうがいい」

 

吸血鬼さんも賛成するなんて……

今までのマーキングとか何だったの……?

理由はわからないけど涙がポロポロ出てきた

 

「私は隣の部屋を片付けてくるわねー」

 

ドアが閉まる音が聞こえた瞬間

吸血鬼さんの溜息が近くに聞こえた気がした……




……何となく流れは決めてますが
思ってるより次の話はヒバリンが暴走しそうで怖いです
主人公達はまだ7歳と念じて書くべきかもww

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。