リボーンの世界に呼ばれてしまいました ~小話~   作:ちびっこ

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第75話

さすがねー

あの人が言った時間に起きたわ

 

「気分はどう?」

 

「……女天狗」

 

私の話を聞かない子……

まぁ天狗なんて珍しいからしょうがないわね

あの子は珍しいなんて知らないからねー

ちょっと反応が新鮮だわ

 

「天狗といっても一族の中でも私の力は弱いわ

 せいぜい、空を飛び回ったり少しの風を操るぐらいよ

 ただの妖怪と思ってくれればいいわ」

 

「……あれは?」

 

「あの子は神として信仰される大天狗になれる資質があるわ

 その強すぎる血を少し飲んだからあなたは気を失ったのよ

 一口で飲むのもやめたのもあるけど

 あの子の涙や汗を吸ったでしょ?

 良かったわね。身体に慣らしていなければ死んでいたわよー」

 

凄く驚いてるわー

吸血鬼を驚かす姿を見れるとは長生きするものね

 

「多分あたなも気付いているわよね

 マーキングしてもすぐ匂いが弱まるのは

 もうすぐ力に目覚めるせいで

 あなたの匂いが負けちゃったのよ」

 

「……僕と会うことを止めなかった理由は?

 力に目覚める前なら僕が殺すぐらい出来るはずだ

 それにあれを野放しさせる意味がわからない」

 

頭がいい子だわねー

血を飲んで殺そうとする可能性が高かったのもあるけど……

本当のことを話してもいいのかしらねー

あの人が止めなかったってことはいいのよね?

 

「あの人があの子には自由に生きてほしいと願った

 血が目覚めても修行すれば外の世界で生きれるのよ

 里の中で生まれれば外の世界なんて触れさせない

 それぐらいあの子の力は強い

 だから私はあの子と旅をした

 修行のために里に戻った後、選べるようにね」

 

力の強いあの子が選んでしまえば里の者は誰も反対できない

だけど……それだと問題がおきる

 

「外の世界にあの子の味方がほしかったのよ

 力があるってことはあの子の血や身体が狙われる

 いい匂いがしてたでしょ?

 修行をしても大きな力を使うと気付かれちゃうのよね

 血を吸ったあなたを助けるお人よしよ?

 力が強い味方が必要なのよ

 狙ってくるのは妖怪だけとは限らないしね」

 

彼もあの子の血を飲んだから気付いてるはずよ

以前と比べられないほどの力があることにね

 

「……僕がそんなことすると思ってるの?」

 

「わからないわ

 でも数日前から血を吸ってもいい時期だったはずよ

 それでも駄々漏れしているあの子のために

 わざわざ1日2回もマーキングしてくれた

 まぁ血を出したあの子に我慢できなかったみたいだけど

 一口でやめたからあなたは生きてるのよ?

 希望を持ってもいいじゃない」

 

嫌そうな顔ねー

本当に大丈夫なのかしら……

あの人がウソをつかないのはわかってるけど

ちょっと心配になってきたわ……

あら?急にキョロキョロしだしてどうかしたのかしら……

もしかしてこの家に私以外の気配をしないと気付いた?

ここはあの子の匂いが充満していてわかりにくいからね

 

「心配しなくてもいいわよ

 今、あの子は出かけているけど

 私が風を操って匂いを隠してるわ

 妖怪の姿になってるのはそういう理由よ」

 

あの子と一緒にいれば問題ないのだけど

離れちゃうと妖怪の姿にならないと辛いのよね

ほんと、翼を出すのと出さないとでは大違い

それにしても心配してるってことは……

やっぱりそういうことなのねー

 

「あなたがマーキングしてくれて助かったわ

 おかげで少し休むことができた

 そろそろ帰ってくるみたいだから話は終わりねー

 後はあなたが決めればいいわ」

 

もう人間の姿に戻ってもいいわ

彼と話すためにあの子に買い物を頼んだけど

やっぱり今の私にはきついわね……

 

「待ちなよ。まだ話は終わってない

 僕とあれが会ったとき、他の妖怪の力を全く感じなかった

 いくら死にかけでも隠そうとしないのはおかしい

 それぐらいあれの力が危険とわかってるはずだ

 君はもしかして僕とあれが会って

 僕がマーキングするのを知っていた?

 それだと野放しにしていたのも説明できる気がする」

 

本当に頭がいいわ

あえて説明しなかったことさえ気付いてる

 

「神の導きかしらね」

 

「ただいまー。吸血鬼さんが起きてる!!」

 

いいタイミングで帰ってきたわねー

これもあの人はわかっていたのかしら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思わず起きてるって叫んじゃった

いや、だって3日ぐらい眠ってたんだもん

ビックリするのはしょうがないと思う

 

「大丈夫ですか? ひゃっ!!」

 

うぅ……やっぱり助けるんじゃなかったかも……

起きた途端にマーキングされるなんて……

 

「あらあら。独占欲が強いわねー」

 

お母さんー!見てないで助けてよーー!!

エサとしての独占欲だからーー!!

それなのになんで「お邪魔のようね」って

言って部屋から出て行こうとするのーー!?

完全に勘違いしてる……泣きそうだ……

 

「ちょっと待ちなよ」

 

あれ?マーキングが終わって離してくれた

吸血鬼さんがお母さんを呼び止めたっぽいね

それはそれで危ない気がする……

お母さんにもするかもしれない!!

 

「きゅ、吸血鬼さん待って!!

 私は吸い殺してもいいからお母さんだけは……」

 

ポロポロ涙を流しながらお願いしてると

お母さんが抱きしめてくれた

なんで私は助けちゃったんだろう……

こんなに後悔するなら連れてくるんじゃなかった……

 

「……吸い殺さないよ

 君達には恩があるからね」

 

「ほ、ほんと!?」

 

「うん。これまで通り会いに来たらいい

 またいろいろを教えてあげるよ」

 

さっきまで泣いてるのがウソのように

やった!と両手を挙げて喜んじゃった

だって、まさか助けたお礼に吸い殺されなくなって

これまで通り知識を教えてくれとは思わなかったもん!

 

「だったらもう少しこの街に居ようかしら?

 そうだ! あなたも一緒に住んでもいいわよ?」

 

「……そうしようかな」

 

うわービックリだ

吸血鬼さんと一緒に住むことになったみたい!

こんなこと初めてだし楽しみだなー

 

「……君はもう少し警戒することを覚えたほうがいい」

 

「へ? なんでですか?」

 

溜息つきながら吸血鬼さんに言われたけど

私にはよくわからなくて聞き返すと

また吸血鬼さんが溜息をつかれちゃった

お母さんはクスクス笑ってるし

うーん、何でだろ?

まぁいいか




天狗は神と呼ばれたり妖怪と呼ばれたりするらしいです
大天狗は天狗の中でも更に強力です
話によっては天狗は妖怪よりで大天狗は神よりの存在っぽい

私のイメージでは母親は鴉天狗でした
女天狗というのが居たのでそっちにしましたけどね
後、鼻が高いとかのイメージは中世以降ついたイメージらしい
なので、鼻が高いのは可愛くないので想像しないことにしてますww

天狗にした理由は他にも
幻術がきかないし天候を操れたという話もあるからです
本編の主人公の髪が赤いのもありました(ここでは赤いとは書いてませんがw


設定のネタバレすると
ただの天狗と神の間で生まれたので大天狗になる力は当然あります
で、神の力を継いでるせいで主人公を食べたりすると力が増える
狙われやすいという本編と同じ設定を使ったって感じですね

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