太陽の子、ゼウスの使い魔   作:ブライ

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五話 戦い~そして新しい生活へ

「俺は太陽の子!!仮面ライダーブラックRX!!!」

 

高らかに名乗りを上げてRXはゴーレムの前に立つ、基本的には人より少し大きい程度の敵を相手しているのだが、αアジールやサイコガンダムなどの大型のMSやMA(モビルアーマー)などとも戦ったことがあり、大きさの差などはRXには関係なかった。

 

 

「コータロー……あんたは……」

 

 

後方に居る三人の内二人は唖然とし、一人は目をキラキラさせている中でルイズがRXに声をかける、するとRXはゴーレムを方を見ながら

 

 

「まぁ安心して見てなって、軽く捻ってやるからよ」

 

 

と答えてゴーレムに向かうのだった。

 

 

 

向かってきたRXを叩き潰すべくゴーレムはその大きな腕を振り下ろす、30メイルはあろうかというゴーレムの前ではRXの大きさなどまさに虫のようなサイズなのだ。

 

 

「トゥ!!」

 

 

RXは掛け声を上げると高くジャンプする、軽く飛んだように見えるのにゴーレムの頭よりも上に行きそのまま足を前に出す。

 

 

「RXキック!!」

 

 

RXの技の中ではあまり威力の高い技ではないが、普通ならば十分に必殺技と言えるキックをゴーレムの胸にめがけて放つ。

 

ゴーレムはRXキックをもろに食らい後ろに倒れるのだった、その光景を見ていた五人は驚愕していた。

それはそうだろう自分の十数倍はあろうという巨体を蹴り飛ばすなど、常識では考えられないからだ、まぁ彼らを知っている人間ならば、凄いで済むのだろうが初めてライダーの戦闘を見るのでは無理もないだろう。

 

 

「しぶといな……」

 

 

RXはそう言うとそのまま地面に着地しファイティングポーズをとる、するとゴーレムがヒビの入った胸をじょじょに修復しながら立ち上がってきたのだ。

 

ゴーレムにはいくつかパターンがあり例えばギーシュの様に金属を錬金して操る物もあれば、そこいらの土や石から作り出す物もある、このゴーレムは後者のパターンで破損しても周りから破損部分を補うことができるのだ、尤も無限ではないのだが。

 

しかしRXはそう考えなかった、なぜならかつて戦った相手に無尽蔵に回復し続ける敵がいたのだ、そういう奴を相手にするのには、最大火力でもってとっとと殲滅するに限る。

 

 

「リボルケイン!!」

 

 

RXはベルトのバックル部分に手を当てそこから一本の剣を取り出すのだった。

 

〇〇〇〇〇〇〇

 

一方その頃、ルイズ達の居る方向とは反対側の茂みに潜んでいる、ミス・ロングビルことフーケは焦りまくっていた。

そもそもなぜルイズ達をこの場所へおびき寄せたのかというと、せっかく盗んだ破壊の杖の使い方が分からなかったからだ、形状は杖というか筒というかそんな形をしているし魔法が掛かっているのか調べるディテクトマジックを使っても分からなかった。

 

どんなに高価で強力なマジック・アイテムでも、使用方法が分からなければ濾胞の石に等しい、なので破壊の杖を持った連中を危険な目にあわせて、使い方を調べるつもりだったのだが、予定が大いに狂いまくっていた。

 

まず小屋に誰か別の人間が居た、しかも背格好からして聞いていた逃げ出した使い魔のようだ。そこまでは別にいいのだがその後が問題だった、破壊の杖を手に入れた一同にゴーレムをけし掛けたらその使い魔が間に入ってきたのだ、それも変身して。

 

フーケはその時点でかなり混乱していたが、気を取り直してゴーレムを操ったが使い魔がキックをかましただけで自慢のゴーレムが盛大に吹っ飛んだのだ、その瞬間に数日前にオールド・オスマンが言ってたことを思い出した。

 

 

「もしかしたら凄い力を持っているのかも知れない」

 

 

もしかしたら凄い力を持っているかも知れない、凄い力を持っているかも知れない…………

 

オスマンの言葉にエコーがかかり頭に響き渡る、数秒間固まったが頭を振りゴーレムを修復し再び向かわせるのだった。

 

〇〇〇〇〇〇〇

 

光子剣リボルケイン、ベルトのバックル部分である、サンライザーの力によって光を結晶化させ生成される剣状の杖、一部では抜けば勝利確定とまで言われた太陽の子を象徴する武器。

 

光輝く聖剣を抜き出し構えるRXを見てルイズは光太郎を召喚した日を思い出していた。

 

実はルイズの言っていた召喚の呪文は本来の物とは少々違う、本来は

 

【我が名は『名前』。五つの力を司るペンタゴン。我の運命に従いし、使い魔を召還せよ】

 

という物なのだが、ルイズは今までの状況を覆したくて呪文に願いを込めて。

 

「宇宙の果ての何処かにいる私のシモベよ、神聖で美しく!そして、強力な使い魔よ!!私は心より求め訴えるわ、 我が導きに答えなさい!!!」

 

という物に少々変更して唱えたのだ。

 

 

RXは地面を叩く様な動きを見せて高く飛ぶ、そしてリボルケインでゴーレムを頭から縦に切り裂く、本来で有れば突き刺す力の方が強いのだが、このような使い方をしても十分な威力を誇る。RXは着地しルイズ達の方に向きリボルケインをRの形を描くように振ると、ゴーレムは火花を散らしながら数秒悶え崩れ落ちるのだった。

 

 

神聖で美しく強力な使い魔、RXはまるでそれを具現化したような存在だった。

 

 

RXは変身を解き光太郎に戻ってルイズに近づき。

 

 

「な、軽く捻ってやったぜ」

 

 

と出会った時のように笑顔で話しかけ決める。

 

盗賊土くれのフーケの討伐、それがルイズ達の冒険の始まりとなる最初の出来事となるのだった。

 

 

 

 

 

〇〇〇〇〇〇〇

 

「ふむ、それでフーケには逃げられてしまったのじゃな」

 

 

フーケのゴーレムを光太郎が倒した後に一同は、ミス・ロングビルと合流し辺りを捜索したのだがフーケを発見する事は叶わなかった。

だが破壊の杖の奪還は出来たのだし、最低限の目的は成功したので帰ってきたのだった。

 

 

「申し訳ありません……」

 

「なに構わんよ、確かにフーケを逃がしたのは残念じゃったが、無事に破壊の杖は戻ってきたことだしの」

 

 

オスマンは顔に笑みを浮かべルイズ達に話しかける、自分も推奨したとはいえ教師の代わりにフーケの捜索に生徒たちを行かせる事になっただけに心配だったのだ。それが無事に帰ってきた上にちゃんと破壊の杖まで戻ってきたのだから、褒めることはあっても叱る事は無いだろう。加えて懸念していた彼女の使い魔も解決した事だし、むしろ感謝したいくらいだった。

 

 

「じゃあミス、それを宝物庫に戻しておいてくれんかの」

 

「……わかりました」

 

 

その言葉にピクッと反応するロングビルことフーケであった、光太郎のアレを見て倒すのは困難と思い色々と誤魔化し、一緒に学院に戻ってきたのだがある意味もう一度盗めるチャンスが来たので、どうしようか悩んだのだ。

だが結局破壊の杖の使用方法は分からずになってしまったし、今盗めば確実に自分がフーケだとばれる、物品を盗んだ本人に元に戻させに行かせるのはちょっとシュールだが、誰も知らないので仕方がない、少し……いや、かなりの葛藤の末にフーケは宝物庫へ行くのだった。

 

 

破壊の杖の事が済み次に話題は光太郎のことになる、召喚の日に逃げ出し行方が分からなくなっていた使い魔が見つかった。それはいいのだが問題は彼のルーンのことである、オスマンはタバサ、キュルケ、ギーシュの三人には退室を促しルイズと光太郎には話があると言って残したのだ。

 

 

ルイズによって既に使い魔のことに関しては、大まかに聞いていたのでそれについての補足と光太郎自身の事だ。まず光太郎は呼ばれた事に関してはそんなに問い詰めなかった、相性の良い生き物が召喚されるというので自分が選ばれたのならば、意図や悪意があった訳でなく事故の様な物なので別に怒りはしなかった。気がついたら棺桶に入れられてた経験があるので、それよりはましだと光太郎は思っていた。

 

 

しかしそれ以上に自分の事を話すのがかなり難儀であった、いきなり別の世界の人間だと話しても理解してもらうのは難しい、それに光太郎もかなり説明が下手な人間なので話は一向に進まない。結果として光太郎はハルケギニアから非常に離れた場所から来た人間と言うことになり、彼にも彼の生活があるので元の場所に戻す方法も探すということで話は落ち着いたのだった。

 

そして最後にガンダールヴの事である。

 

 

「実はのコータロー君その左手のルーンなんじゃがの」

 

「ん?これのことか」

 

「うむ、ミス・ヴァリエールにもちゃんと聞いておいてほしい」

 

 

オスマンはガンダールヴについて話す、始祖が使役した使い魔、ありとあらゆる武器を使いこなしたと言われる伝説、そしてそれを公表せずにいてほしいと言うことだった。

 

 

「まぁいきなり伝説の使い魔と言われてもピンと来ないじゃろうがな」

 

 

とオスマンは言ったがルイズはRXの事を思い浮かべていた、光輝く剣にあの圧倒的な強さ、どれを取ってもオスマンが言っていた事に当てはまる。

 

ルイズが色々と思っているが光太郎本人は特に気にもせずに、へぇそんな伝説があるんだなぁ、程度に感じていた。まぁ彼らゼウスがやってきた事を物語にでもしたら売れそうな英雄譚になりそうだし、ゲームにしても需要がありそうだ。つまりそれくらい作り話のようなトンデモ体験を実際に行っていたので、そんな話をされても特に驚きもないのだ。

 

オスマンとの話も済み、光太郎は平民の宿舎があるので、そこで基本的に生活する事になり使い魔としてルイズを手伝うこととなったのだった。

 

 

「ねぇコータロー」

 

「どーした?」

 

「あの……さっきはありがとう……」

 

 

学院長室からの帰りにルイズは光太郎にお礼を言う、正直に言って光太郎がいなければフーケのゴーレムにも勝てなかっただろう、ひょっとしたら命を落としていたかもしれない。それに他人に褒められたのが久し振り……いや親族以外なら初めてと言えるかも知れない、それをもたらしてくれた光太郎には感謝していたのだ。

 

 

普段の彼女を知る人間がいれば、礼を言っている彼女を見て雨が降るかもと思うかもしれない。だが彼女は根っこの部分はとても優しい人間なのだ、他人から蔑まれることが多かったせいで人との距離が離れがちであり、そのために素直に礼を言うことに慣れていなかったのと、プライドの高さで少しどもった言い方になってしまったのが少々おしいところだ。

 

 

「どうってことないぜ、仮面ライダーは人類の自由と平和を守るのが仕事だからな」

 

 

と光太郎は笑みを浮かべルイズの頭に手をおいて少々乱暴だが撫でるのだった。

 

 

「ちょ……やめなさいよ!!」

 

 

ルイズはいきなり頭を弄られムッっとしたがあまり悪い気はしなかった、優しく温かい撫で方をしてくれた姉がいたがそれとは別の安心感がそこにあった、それにハッと気づき顔を赤らめて光太郎の手を振り払う。

 

 

「と、とにかく宿舎に泊まる用意ができたら部屋にきなさいよね!!」

 

 

と言い放ちルイズは去る、他人に優しくされたのが久しぶりだったのか、ちょっと照れくさくなり急いで離れたルイズだったのだが、そのせいで困る男が一人。

 

 

 

「……宿舎ってどこに行けばいいんだ?」

 

 

と光太郎は置いていかれて黄昏ていた。

 

 

 

 

 

 

 

置いて行かれた光太郎は学院内をウロウロしながら宿舎を探していた。

 

 

オスマンが元の世界に戻る方法は探してくれると約束してくれたが、光太郎本人はそんなに焦ってはいなかった。

 

もしこちらの世界で元の世界へ移動する魔法が見つからなくても、惑星エルピスでは空間転移技術は限定的ながら実用化されているので、最悪2~3年程度こっちにいても、ゼウスの皆が見つけてくれるだろうと思っていたのだ。

実際には空間移動と次元の壁を超えるのには、とんでもない差が有るのだが光太郎は知らないのも無理はなかった。ヤプールの使った次元の壁などもさることながら、異世界に渡るなどの強力な次元移動の手段など今のところ、XNガイストという兵器が有していたものくらいしかないのだ。

 

 

それにゼウスが最も忙しかった時期だったならば、何が何でも戻る方法を探すところだが、今は急いで戻る理由も特にはない。

ライダー大陸に蔓延っていた悪の秘密結社は大まか倒したし、ガンダム大陸のエウーゴ軍も今回の一件で改革が進んでいるそうなのだ。これもアポロンを打倒したことが大きいと言える、フラスコの中の実験の失敗、未来に訪れる破滅、彼は不吉なことを言っていたが、ゼウスのメンバーが戦った事で闇は払われ明るい未来が見えるとも言っていた。

 

彼のやりかたは間違っていたと言いたかったが、今の世界の安定は彼が世界中の悪意や敵を纏めて一つの巨大な組織にしたからだと言えるのかも知れない。

 

その彼のためにも自分たちが勝ち取った平和のためにも、これからは世界を救う戦いから世界の平和を維持する戦いをしなければならない、だからいつかは帰らねばならないのだが、元の世界には頼りになる仲間も先輩達もいるのだ、事態は急速に悪化することもないだろう。ならば気長に待っていてもいいかも知れないと思っていたのだった。

 

しばらく歩いていると目の前に美人のメイドさんがいるのが見えた、これはチャンスと思い光太郎は急いで駆け寄る。

 

 

「そこのお嬢さん失礼」

 

 

光太郎は格好付けて話かける、彼はナンパ癖があり特に美人に目が無い、黙っていればハンサムな青年なのだがこの辺が少々残念なところである。

 

 

「はい、なんでしょう?」

 

 

黒髪のメイドさんは光太郎の格好付けを華麗にスルーし返事をする。

 

 

「ちょっと道を聞きたいんだけど宿舎ってどこにあるのかな?」

 

 

あっこれは手ごわいと思いとりあえず目的を先に話す、すると完璧なスマイルで持って

 

 

「平民用の宿舎でしたら、ここから右手に行ったところにありますよ」

 

と答えたのだった。

 

「おっありがとう」

 

「ところで……どちら様でしょうか?」

 

 

光太郎の格好は皮ジャンに指貫グローブにジーパンと、どこからどう見ても貴族には見えない、かといって平民が着ている服なのかと言われても、見たことも無い格好なので判断が付きにくい、少なくとも今まで学院にいた人間では無いのは確定なので彼女の疑問は当然だった。

 

 

「あーなんて言うかな……ルイズって知ってるかな?それの使い魔かな?」

 

「ひょっとしてミス・ヴァリエールの逃げ出した使い魔っていう……あっ失礼しました」

 

思わず無礼な事を言いそうになり謝る彼女であったが光太郎はつづけて話す。

 

 

「まぁその逃げ出した使い魔なんだけどな、ちょっと住む場所を確認したくて宿舎に行きたいんだ」

 

「それでしたら、私が案内しましょうか?お話も通しやすいでしょうし」

 

「おお、それだとありがたいな、おっと名乗ってなかったな、俺の名前は南 光太郎っていうんだ、よろしくな」

 

そう言って光太郎は手をさしだす、それに彼女は答えて

 

「私はシエスタと申します、よろしくお願いしますねコータローさん」

 

と名乗り返してくれたのだった。

 

 

 

一方その頃ルイズの部屋にある緑色の小さな玉から

 

「・・・うた・・ろ・・・こ・う・・・た・・・さん・・・じ・・・か」

 

 

と声が出ていた。

 


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