IS~ワンサマーの親友   作:piguzam]

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非日常への一歩

時は3月17日。

 

冬真っ盛りの寒い季節なり。

 

3月8日に、俺こと鍋島元次はめでたく中学を卒業し、受験の方も爺ちゃんとばあちゃんの地元である兵庫県の高校に推薦でパシッと合格しますた。

現在は生まれ育ったあの街を離れ、爺ちゃんとばあちゃんの家に住んでる。

 

 

 

卒業した日は一夏の家で俺と弾、一夏、千冬さんそして中学1年の後半から仲良くなった御手洗数馬とその数馬に惚の字の女の子3人、弾の妹で一夏に惚の字の蘭ちゃんという大所帯で、卒業祝いアンド俺の送別会を派手にやり、飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎだったぜ。

俺と一夏で料理を作り、弾が買出し、蘭ちゃんと数馬達が部屋の飾り付けと、見事に役割を分担してパーティはあっという間に始まったさ。

皆、思い思いの料理を口に運び、中学時代のバカやった思い出話に花咲かせ、転校しちまったダチはどうしてるか、とか、とにかく話題の種は尽きなかった。

途中で弾がギターを弾き始め、それに勝手に便乗した一夏と数馬が歌い、女達は2人の歌声に酔いしれていた。

只、それを見た弾が悔しそうな表情を浮かべていたのはちょい可哀相だったが(笑)。

俺は俺で弾のギターにリズムを合わせて、昔に宴会芸としてマスターしたボイスパーカッションを駆使し、DJの真似事をしてた。

その後でコンポから曲を流し、『dazzle 4 life』の『mylife』とか『大地』の『baby please』といったウエッサイ系を中心に歌って、更に場全体を盛り上げることに成功。

千冬さんは進んで輪の中に入ってきたりはしなかったが、離れたテーブルに座って酒を飲みながら、俺達の事をクールに微笑みながら見てたのでこのパーティを楽しんでいたのは良く判った。

 

 

まぁ、そんな感じでパーティは楽しく進んでいたんだが……。

 

 

最後辺りでトラブルが起きた……いや、別に危ないトラブルってわけじゃなかったんだがな……。

 

 

そう、あれは俺が皆の輪から抜け出して千冬さんのトコに行った時だったっけ……。

 

 

 

『ん?なんだ元次?アイツ等の傍に居なくていいのか?』

 

俺が近寄ると、千冬さんは怪訝な顔で俺に声を掛けてきた。

その言葉に俺は笑いながら千冬さんの座っているソファーの隣に腰を下ろす。

 

『ハハッ。まぁ、アイツ等はアイツ等で楽しくやってますからね。俺一人がコッチ来ても問題無いと思いますわ。……それに、いつまでも千冬さんをお一人ってのもどうかと思いまして。』

 

俺はあの恋する乙女達の『気を利かせて下さい』的なアイコンタクトをしっかりと受信して道を譲っただけだしな(笑)

事実、蘭ちゃんも数馬ラヴァーズも目的の2人と話して楽しんでるし、弾は何やら巻き込まれた感じだったが。

だが、俺の言葉に千冬さんは面白く無さそうな顔を見せてきた。

 

『フン、どうだかな。お前は明日の昼には、この街から居なくなるだろ?ならアイツ等も、最後にお前と騒ぎたいんじゃないか?……別に気を使って、無理に私と居なくていいんだぞ。酔っ払いの相手なんぞ楽しくないだろう』

 

千冬さんはそう言って俺から視線を外し、グビグビと手に持っていたビールのロング缶を飲み干して、すぐさま新しいロング缶を開けていく。

ビールを豪快にゴクゴクと掻っ込むその横顔が、なんというか拗ねてる様にこの時の俺には見えた。

やっぱりまだあの天ぷら食った夏の日の事怒ってんのかねぇ?

千冬さんと会うのはあれ以来だしな……それ以外に怒らせるようなことした覚えねえし。

つうかあれは束さんに文句言って欲しいと思うんですよぼかぁ。

全てはあのけしからんわがままボディがいけないんだ!!

まぁそんなこと口にしたら、2~30回はブッ殺されるのは目に見えてるから言いませんがね?

もうあんな『黄金体験』は経験したくねえです。

 

『いやいや、別に無理なんてしてませんぜ?』

 

『ほう?じゃあ何故……態々部屋の隅で、一人で飲んでる私の傍に来た?納得いく説明をしろ』

 

俺の言葉にビールをがぶ飲みしながら鋭い眼光を一度だけ俺に向けて、再びそっぽを向く千冬さん。

言葉にニードルがありすぎて辛いぜぇ。

理由はちょいとこっ恥ずかしいモンだったから言いたくなかったんだが、千冬さんの『納得いかなきゃブチのめすぞ』と語る眼光には逆らえなかった。

 

『いや、その……笑わないでくださいよ?』

 

『いいから言ってみろ、笑うかどうかはその後だ』

 

あ、結局笑えるんだったら笑うんですねコンチクショォ。

俺の念押しに千冬さんは続きを促してきたので、小さく深呼吸をしてから俺は千冬さんの傍に来た理由を語ることにした。

 

『……さ、最後くらいは……千冬さんと2人だけで、話しておきたいなぁ……と、思いまして』

 

『ほぉ、そう……か?……?……な、なぁッ!?』

 

俺の言葉に最初はどうでもよさげに軽く返そうとしてたが、いきなり千冬さんは目を見開いて俺に勢い良く顔を向けた。

思い返しても、ビールの飲みすぎで顔が真っ赤になってたのがスゲエ印象に残ってる。

 

『まぁその……ほら、今まで千冬さんと話す時はいつも一夏も交えてだったじゃないっすか?って、それが不満だったってワケじゃねーんすけど……今夜ぐらい、一夏を交えずに千冬さんと2人だけで話したいなぁ……なんて』

 

ここまできたら全部言い切っちまおうと思って話したんだが、途中から自分で言ってるセリフが恥ずかしくなり、照れ隠しに後頭部を掻きながら顔を千冬さんと反対方向に向けた。

そんで、俺は千冬さんから何らかのリアクションが返ってくるのを待ってたんだが……。

 

『な、なななにを……ッ!?っっえ、ええい!!このぉッ!!』

 

ギュッ

 

『ふおぉっ!?ちょちょちょちょ!?』

 

返ってきたのは言語的なリアクションじゃなくて、肉体的なスキンシップ。

 

 

つまりは千冬さんからの、まさかのハグですた。

 

何故にWhy!?

 

 

腹筋周りに感じる二つのやーらかい膨らみが実に!!実にマーヴェラスだったぜ。

ちなみに夏の頃と比べると、俺の身体は更に進化を遂げてる。

現在の身長186センチ、体重91キロ、体脂肪率は変わらず8パーセントと相変わらずの我がマッチョボディ。

体育の着替えで周りのヤロー達の羨望の視線をあびるのはちょっと、いやかなり誇らしかったりする。

でも身体はマッチョでも中身は少年ハート、こんな嬉し恥かしイベントに顔を赤くするなってのは無理なもんですたい。

慌てて視線をそっちに向けて見ると、千冬さんは俺にしな垂れかかるように全身を押し付けてた。

顔も、俺の胸元にしっかりと押し付けているので俺からは千冬さんの表情は窺えなかった。

俺の背中に回された千冬さんの柔らかく、それでいてしなやかな腕が仰け反ろうとする俺をちょっとキツイかな?ってぐらいの力でグッと留めている。

 

『ち、ちちちちちちち千冬さん!!?こ、これれれぇりゃぁは一体何事でござんす!!?』

 

いきなりの事態に俺の思考回路は完全にアウト、冷静になんて考えは忘却の彼方へ旅立ったわ。

言語中枢にも支障を来し、もはや何を言いたいのか自分でも判らなかった。

まだこの時は他の奴等は騒いでいたので、コッチの様子には気づいてなかったのが救いだった。

 

(……大馬鹿者の卑怯者め……大体こいつは、いつもそうだ……いつも、いつも、いつだって……ここ一番で相手が最も喜ぶ言葉を口にして、こちらの女という部分を刺激してくる……ッ!!これでは……一人でずっと拗ねていた私が馬鹿みたいではないか……一夏のことは言えんぞ、この女の敵め……この、この!!このぉ!!)

 

ギュウゥゥゥウウッ

 

『お、おおう?う、おぉぉぉ……だ、段々と締め付けがキツ、く……ち、千冬さ……がふっ……!?』

 

千冬さんは俺の問いには何も答えずに俺の背中に廻した腕の力をジワジワと上げてこられる。

いわゆるプロレス技のベアハッグ、もしくは鯖折りを掛けられている状態だ。

腰や腹回りが急激に圧迫されて満杯状態の俺の胃袋に甚大なダメージが与えられてんですけど!?

ち、千冬さんの体の感触を堪能していた罰ですかこれはぁ!?

 

『……げ、元次ぃ!!』

 

『は、はい!?』

 

俺が腹筋の締め付けに苦しんでいると、突然千冬さんが大声で俺の名前を呼んできたので反射的に返事を返す。

その声を聞いて胸元に視線を落とすと……とんでもなく顔が赤くなった、潤んだ瞳で上目遣い状態の千冬さんが俺の視界に飛び込んできた。

 

ぬおおぉぉぉぉ!?な、なんだこのレアな千冬さんは!?

こんな可愛い千冬さん初めて見たぞ!?

ホントに同一人物か!?

 

いつもは不敵に笑う表情か厳格な表情、若しくはさっきまでのような不機嫌な表情しか見せなかった千冬さんの……初めて見る『女の子』を思わせる表情に、俺は心臓がドクンドクンと跳ねっぱなしだ。

そしてさっきの大声で皆様もこちらの状況に気づいたご様子。

身内である一夏は今まで見たことがない千冬さんの表情に呆然として口をポカンと開けて呆けている。

数馬も千冬さんとは付き合いが薄いからか、一夏程じゃねぇがかなり驚いてた。

蘭ちゃん以下、女性陣は俺たちの様子を理解して、顔を真っ赤に染めたまま此方を穴が開くほど凝視してらっしゃった。

止めて、そんな食い入る様に見つめてこないで。穴開いちゃう。

ちなみに弾はというと、血の涙を流しながら『……憎しみで……人が殺せたら……ッ!!』とかほざいてる。

テメェ、だったら俺と変わってみるか?

確かにこんなに可愛い千冬さんが間近で見られんのはご褒美だけどよぉ……同時にこの万力の如き締め付けにも耐えなきゃならねんだぞ?

下手すりゃアバラがバッキバキに折れるぜ?内臓が口からファイヤーしかねねえぞ?

 

『元次ぃ……(ウルウル)』

 

千冬さんは瞳をウルウルさせながら俺にしな垂れた体勢を維持したまま、俺の名前を切なげに呼んでくる。

がはっ!?な、なんですかこの可愛すぎる凶悪な兵器は!?

圧迫死する前に萌え死んじまうってこれは!?

 

『わ……私だって……私だってなぁ……』

 

『……千冬さ、ん……』

 

俺を上目遣いに覗き込んでくる普段は強い意志を感じさせてくれる瞳は弱弱しく潤んでる、桃色に染まった顔、女性特有の甘い香り、とても強い酒気。

その全てが俺の理性を湯煎されたチョコレートの様に蕩かして…………ん?

 

 

…………。

 

 

……………………んん?

 

 

 

 

 

 

 

『酒気』?

 

 

…………あら?

 

頭の中に浮かんできた引っかかる単語に頭を捻っていると――。

 

カラン

 

『……あ?』

 

足に何か当たったのでチラリとテーブルの下に視線を向けてみると…………アラ不思議。

テーブルの下には、縦に潰されたビールのロング缶が大量に落ちてたぜ。

それこそ10本や20本じゃきかねえ数の空き缶の山がテーブルの下に築かれてた。

 

…………OH……。

 

『私――私だってなぁ!!』

 

つまりこの御方は今ぁ……。

 

『ち、千冬さ――』

 

とてつもなくぅ……。

 

 

 

『私だって!!寂しいんだぞぉぉぉぉぉぉぉおお!!』

 

ギュウウウウウウウウッ!!

 

ゴキャぺキゴキゴキゴキィィィィイッ!!

 

『えべがぎゃごぉおおお!?』

 

酔っ払ってらっしゃるぅぅぅぅぅぅううううう!?

すでに酔い真っ盛りの千冬さんが手加減出来る筈もなく、全壊パワーで繰り出されたハグという名の鯖折りで俺の背骨から尋常ではない音が鳴り響いた。

人間のヘシ折りシーンを目の前で見せられた女性陣は『きゃああああああああ!!?』といかにも女の子らしい悲鳴を上げて目を背ける。

なにやら桃色気味だった空気は完全に払拭され、織斑家のリビングはさっきとは違う意味で騒然となる。

数馬と弾なんか俺があんな悲鳴を上げるとは想像だにしていなかったのか、顔を青くして部屋の隅でブルブルと震えてた。

 

『ち、ちち千冬姉ぇぇぇ!?ブレイク!!ブレイクゥゥゥゥウウウ!!ゲンが死んじまうって!?もうなんか目が逝きかけてるからぁぁぁぁあああ!?』

 

目の前で惨劇を目撃する羽目になった一夏はそれでやっと正気に戻り、千冬さんに組み付いて俺から引き離そうとする。

しかし一夏が必死で引き離そうとしてる相手は、世界に名を轟かせるかの織斑千冬さん。

カテゴリは『霊長類最強』ではなく『地上最強の生物』とされている戦乙女。

従って、一夏一人の力ではどうにもなる筈もなく……。

 

『ええい離せ一夏ぁ!!邪魔をするなぁ!!』

 

ギュウウウウウウウウッ!!

 

バキバキバキグチャボギイィィィィッ!!

 

『かぺ!?……あ……が……ガクッ(ビクン、ビクン)』

 

絶対に鳴っちゃいけない様な音が自分の体から鳴ったのを最後に、俺の意識は堕ちた。

 

『元次ぃぃ……私はお前のぉ……お前の事がぁ……』

 

『お、落ち着いてくれ千冬姉!!もうゲン堕ちたから!?何も聞こえてないからな!?顔スリスリしてないで離してやってくれって!!』

 

『うるさいぞ一夏ぁ!!もう元次は離さん!!誰にも渡して堪るかぁああ!!』

 

ギュウウウウウウウウッ!!

 

ドグチャアァァッ!!

 

『……(チーン)』

 

『ゲェェェェェェンンンンンン!?しっかりしろぉぉぉぉぉぉおお!?』

 

そして次の日の朝は小鳥の囀る声で目が覚めたよ。

リビングのソファーで毛布を掛けた状態で寝てたわけだが……毛布捲ったら千冬さん出てきた時は本気で焦った。

なにせ昨晩は危うく命を狩り獲られる寸前だったし。

つうか一晩寝たら治るってどんなスペックしてんだよ俺の身体ぁ……タフにも程があるだろ。

大分気持ちよさそうに寝てたので、起こさないようにソファーから起き上がって一夏と一緒に朝飯を作ったっけなぁ。

んで、千冬さんが起きたので「おはようございます」ってにこやかに挨拶したら顔真っ赤にして洗面所に駆け込んで行っちまった。

多分昨晩の記憶があったんだろうなって思った。

まぁその後は顔の赤みが取れない千冬さんと俺、一夏の三人で昼の電車の時間までまったりと過ごした。

荷物は既に業者が向こうに運んでくれたから手荷物はボストンバック一つのみ。

アパート自体は借りたままになってるがな。

理由としては、親父とお袋が日本に帰ってきた時に使うからって事で借りたままになってる。

ハウスキーパーが毎週掃除してくれるそうだ。

あの贅沢夫婦め。

まぁ俺としても、夏休みとかにこっちに遊びに来たときに泊まれる場所があるのは有難いので文句はなかったが。

そんでいよいよ電車の時間が近づいて、俺たちは駅に向かった。

ホームに入ると、なんと昨日のメンバーが全員来ていたのでかなり驚いた。

態々見送りに来てくれたらしく、弾と数馬は「元気でやれよ」とか「楽しかったぜ」って笑いながら声を掛けてくれた。

数馬には「頑張れよ(主に恋愛面で)」という意味で、弾には「後は任せたぜ(一夏の被害にあう女性陣に対して)」的な意味で激昂をおくっておいた。

弾はそれを聞いてかなり微妙な表情を浮かべていたが(笑)。

蘭ちゃんは今まで一夏のことで(主に恋愛とか恋愛とか料理とか)色々相談を受けたりアドバイスしたりしてたから、かなりお礼を言われた。

「元次先輩、私頑張りますので応援してて下さいね!!」なんて言われたから「おうよ、頑張ってあの朴念神を落としてくれ」って返しといた。

数馬ラヴァーズにも同じ様な相談を沢山受けていたので蘭ちゃんと同じ様な内容で返しといた。

 

 

そんでいよいよ一夏の番だったんだが……。

 

『……』

 

『なんだよ一夏?お前は何にもないのかよ?』

 

『あはは……色々言いたいことはあったんだけどな……なんか、いざとなったら全部ブッ飛んじまった……ぐすっ……うぐっ』

 

一夏の野郎、事もあろうに泣き出しやがったんだ。

箒とのお別れの時も、鈴とのお別れの時も泣き出さなかったくせしやがって。

鈴ってのは前に話した1年前に引っ越しちまった中国出身の女友達で、一夏に恋する乙女の一人だ。

まぁ、俺は一夏とは幼稚園の頃からずっと一緒だったからなぁ……気持ちはわからんでもねえけどよ。

俺だって自分の兄弟みてぇに育ってきた相手と別れるのは寂しいが、そんな締まりのねえツラを最後に見てえわけじゃねえんだよ。

 

『まったくよぉ……一夏』

 

『ぐじゅっ……なんだよ?』

 

『テメーはダチの旅立ちをそんな情けねえツラで見送る気かよ?』

 

俺がそう言うと、一夏はハッとした顔になり服の袖で涙を拭って真剣なツラになった。

そんな親友の様子に俺は苦笑いを浮かべちまう。

 

『俺の新しい門出だぜ?……笑顔で見送ってくれや、兄弟』

 

俺は一夏にそう言って拳を突き出す。

それを見た一夏も笑顔で俺に拳をつき返して、コツンッとぶつけ合う。

 

『わかった……またな?兄弟』

 

『おう、いつかまた遊びに来るさ……それまで元気でな、後早く女作れ』

 

『後半全く関係ねえだろうが!?……ったく』

 

俺たちは互いに笑いあっていた。

そして最後は……。

 

『……とうとう、お別れだな』

 

『……そうっすね』

 

俺がずっと尊敬してきた女性……千冬さんだ。

千冬さんはいつものように真剣な表情で俺を見ていた。

 

『……元気でやるんだぞ?』

 

『うっす、千冬さんこそ風邪とか引かねえようにして下さいよ?』

 

『フン、年下に心配されるほど落ちぶれてはいないさ……元次』

 

千冬さんは一度言葉を切ると何時もの様な不敵な笑いではなく、慈愛に満ちた微笑を浮かべた。

 

『偶には帰って来い……私も一夏もいつでも迎えてやる』

 

そう言って微笑んでる千冬さんは……とても綺麗だった。

その微笑みを見て俺は本当にダチや家族に恵まれてるって再認識した。

ホント……すげえ人だよ、千冬さん。

俺は千冬さんに向かって居住まいを正して。

 

『今まで、お世話になりました!!』

 

しっかりと頭を下げる。

こんな女性優遇の世の中で俺が真っ直ぐ生きてこれたのは、こんなに強い……尊敬できる女性が身近にいたからだから。

その感謝の気持ちを込めて、しっかりと頭を下げる。

それが俺なりの、今までずっと世話になったモンとしてのケジメだからな。

そんな俺に千冬さんは苦笑いを浮かべるだけで特に何も言ってこなかった。

そして、特急列車がホームに入ってきた。

俺は列車に乗り込んで列車のドアのところで皆と向き合ってた。

 

『じゃあ、またな!!』

 

俺の言葉に皆は口々に『またな~!!』とか『お元気で!!』とか返してくれた。

あ、でも千冬さんには昨日の鯖折りのお礼にささやかな仕返しをプレゼントするとしようかねえ。

 

『あぁ、そうそう千冬さん』

 

『ん?なんだ?』

 

俺たちが話してる間にもプルルルルと発車音の警笛が鳴り出したので俺は列車のドアから軽く身を乗り出して……。

 

『昨日の千冬さん……すっげー可愛かったですよ(笑)』

 

千冬さんの耳元でそっと呟く。

 

『なあぁッ!?お、おまっ――!?』

 

そのままサッと身を列車に戻すと、ちょうどいいタイミングで列車の扉が閉まった。

窓の先には顔を真っ赤にして慌てふためいてる千冬さんの姿が見えたぜ。

ふっふっふ、俺らしくないうえに、かなりこっ恥ずかしかったが……こ う か は ば つ ぐ ん だ ! !

 

俺はそのまま爺ちゃんの家までの旅路を、さっきの千冬さんの赤い顔を思い出しながらゆったりと向かっていった。

 

 

・・・・・・・・・

 

 

まぁ、以上が俺が卒業してから今日までの日常だったんだが……なんで俺がこんなことを思い出しているかというと……。

 

「腹減った上に寒いなぁチクショー」

 

現在、雪かきという重労働の真っ最中だからである。

兵庫県の俺が住んでいる町は雪が物凄く降る地方であり、1日の降雪量は酷い時で80センチ近くにもなる。

俺は学校が始まるまでの間は爺ちゃんの整備工場のアルバイトみたいなことをすることになってた。

だが、余りにも雪が多い場合は従業員の何人かを町の除雪に当てて、地域貢献みたいなこともしてるそうだ。

俺は今回、除雪のシフトになっていたので町外れの山にある集落の除雪を手伝っていた。

老人の比率が多い集落で、雪かきも儘ならなかったらしく、道も家の屋根も相当なことになってた。

脚立を使って屋根の上に登り、雪を下に落としては、下に落とした雪を迷惑にならないようにスコップを使って山側に捨てる。

その作業をかれこれ朝から5時間ぶっ通しでやってきたんだ。

愚痴の一つや二つは勘弁してほしい。

 

「もう少しで昼や。それまで頑張ろうやゲンちゃん、働いた後の飯は格別に美味いで?」

 

俺の愚痴に返事を返してくれたのは、俺と一緒に除雪に来た従業員の人だ。

この道(自動車会社)のベテラン……というわけではなく、実はちょっとした訳アリの人で、俺と同じ新入社員扱い。

防寒着に包まれるその体躯は2メートルにも及ぶ大柄な男で、身体はかなりマッチョな人だ。

防寒用の帽子から朗らかに笑いかけてくるその眼光は、とてつもない意思を秘めた力強い眼でもある。

 

「わかってますって冴島さん。とりあえず次の一軒でこの集落は終わりですし、さっさとやって休憩に入りましょう。集落の人が鹿鍋作って俺らを待ってるそうですから」

 

「ほお?鹿鍋かぁ。随分オツやないか。よっしゃ!!気合入ってきたでぇ。ほなもう一踏ん張りしよか」

 

「ういっす」

 

俺は話しかけてきた大男にそう返して雪かきの続きに取り掛かる。

この人の名前は『冴島大河』さん。

見た目はかなりコワモテで背中には一面を覆い尽くす虎の刺青が入ったお人。

つまりヤクザ、極道な御方だ。

なんでそんな御方が防寒着着てえんやこらと雪かきしてるかっつうと、まぁ色々あったのである。

ちなみに俺の喧嘩の師匠みたいなこともしてくれている。

ホントべらぼうに強えんだこれが……たぶん千冬さんとタメ張ってるんじゃね?

まぁ戦い方とゆーか、喧嘩スタイルは俺と同じでパワータイプだから千冬さんとはまた違った強さになると思う。

とりあえず俺と冴島さんは適度な雑談を交わしつつ、目的の家の除雪を終えて、荷物を置かせてもらってる集落の集会場に戻った。

 

「まぁまぁ、ご苦労さんやったねぇ、お二人さん」

 

「いやぁ、とんでもないっすよ。おばあちゃん」

 

集会所に戻った俺たちを出迎えてくれたのは、この集落に住むお婆さんで俺と冴島さんに鹿鍋を用意してくれた人だ。

こういった田舎じゃあ隣人の暖かさが身に染みるとゆーか、俺がこっちに住んで最初に感動したのはそこだったりするんだよなぁ。

 

「むしろ俺らの方は感謝しとります。わざわざ昼飯の用意までしてもろて」

 

「あぁええんよええんよ。この集落にゃ、若い男手が少ないもんでねえ。ホンマに来てくれただけで感謝しとるんやさかい。ささ、座って待っといてぇな」

 

「ほんまおおきにな。おばあちゃん」

 

「ゴチになりまっす」

 

お婆ちゃんは俺たちに話しかけた後で部屋の奥に引っ込んでいった。

俺と冴島さんは靴を脱ぎ、防寒着を脱いで床に腰を下ろす。

部屋の真ん中には炭火を入れる釜があり、それのお陰で部屋は暖かかった。

冴島さんはポケットからタバコを出して一服し始める。

 

「ふぅ~……しっかし、思いの外しんどいなぁ。雪かきってのは」

 

冴島さんは笑いながら俺に話しかけてきた。

まぁ俺も雪かきは中々に重労働だと思う。

爺ちゃんぜってえ俺と冴島さんの体格で決めただろこの配役。

今回俺と冴島さんじゃなきゃこんなに早く終わってねぇぞ。

 

「まぁ、町中とかはまだ楽なんすけどね。今回は山ん中の集落ですから。とりあえず鹿鍋頂いたら会社に戻りましょう」

 

「せやなぁ……まぁでも、ゲンちゃんに助けられんかったら今頃俺は熊の腹ん中やったし、素人やのに仕事までさせてもろとるんや。贅沢ゆうとるとバチが当たってまうわ」

 

冴島さんはそう言ってカラカラと笑ってるけど実際は笑い事じゃなかったからね、あれ。

今の台詞でわかったと思うが、実は冴島さんは数日前に俺が助けた人だ。

ある日の夕方、爺ちゃんの家の裏山から熊の鳴き声と人の声が聞こえた俺は、居ても立ってもいられず、家を飛び出した。

そこで目にした光景は、体長6メートルはあろうかという巨大なツキノワグマとその熊相手に拳で応戦してた冴島さんだった。

熊のほうはこの辺で「ヤマオロシ」と呼ばれる熊のボスの様な奴で、この辺の猟師から恐れられている存在だ。

普段はもっと山奥に居るはずだが、どうやら気まぐれで降りてきたらしく運悪く冴島さんが遭遇してしまったということだ。

冴島さんは単体でもかなり強い人なんだがその時は3日間飲まず食わずだったらしく体力をかなり消耗していたらしい。

あわやヤマオロシに喰われる寸前で俺乱入。

かなり梃子摺ったが、なんとか撃退することに成功した。

つうかぶっちゃけ怒った千冬さんのほうが万倍恐かったから怯まずに戦えたんだがな。

そっからが大変だった。

冴島さんは気絶していたので俺が背負って帰ったが、運悪く爺ちゃんと婆ちゃんが帰宅。

ヤマオロシと一戦交えたと説明すると、爺ちゃんからは拳骨、婆ちゃんからは散々心配された。

んで次の日に冴島さんが起きたので、状況説明と、何であんなとこに居たのかを聞いた。

なんでも冴島さんは遭難したらしく当てもなく山を歩いていたらヤマオロシと出会ってしまったらしい。

なんとも不運な。

そんで冴島さんは直ぐにでも北海道に行かなきゃならない事情があるらしいが、手持ちの金はゼロ。

ならウチで働いて稼げと爺ちゃんが冴島さんに提案した。

 

『部屋は元次の部屋の隣に空きがあるし、衣食住は面倒みてやる。だからウチで働いていけ』

 

この一言で、冴島さんのバイトが決定。

冴島さんは見ず知らずの自分にここまでしてくれてありがとうって泣いてたっけ。

 

「まぁ、さすがに目の前で人が喰われそうなのを放っておいたら、人として終わりですからねぇ……」

 

「……そぉか……それでも、ホンマにありがとうなゲンちゃん。お前は俺の命の恩人や」

 

そう言って、頭を下げてくる冴島さん。

なんか年上に感謝されるとムズムズしてくるぜ。

 

「いやぁ……まぁそれにですよ?もしあそこで冴島さんを見捨てたりしたら、俺は二度とあの人達に顔向け出来ませんから」

 

「あの人達?誰や?」

 

「あぁ、冴島さんには話してなかったっすよね?俺が前に住んでたとこに居た人達です。……えっと」

 

俺はポケットから携帯を出してデータフォルダを開き、一夏と千冬さんの写真を引っ張り出す。

携帯には笑顔の一夏と腕を組んで視線をこちらに向けている千冬さんの姿が映ってる。

 

「この二人です。男の方が一夏って奴で……まぁ、俺の兄弟みてえなもんです」

 

冴島さんに見やすいように、俺は携帯を差し出す。

 

「兄弟……か。そぉ思える関係ってのはええもんやな。……ん?この姉ちゃんは?」

 

「この人は一夏の姉で千冬さんって方っすけど……どうかしたんすか?冴島さん?」

 

なんか千冬さんの写真をじーっと見てるけど……惚れた?

 

「いや、な?この姉ちゃん、どっかで見たような気ぃするんやけど……ふ~む」

 

「それって多分テレビじゃないすか?千冬さんはISの世界大会、『モンド・グロッソ』で優勝した世界最強って言われてる人ですし」

 

一時期はテレビでかなり引っ張りダコだったらしいし。

引退した今でもテレビへの出演依頼がきてるって一夏が言ってたからなぁ。

 

「ああ!?それや!!思い出したわ……やっぱ生身でも強いんか?この姉ちゃん」

 

冴島さんは疑わしそうな声で聞いてくる。

まぁISがなけりゃ男の方が強いってのは当たり前だしな。

だが、千冬さんは例外中の例外だぜ?

 

「強いっすよ。はっきり言や、冴島さんとタメ張りますね」

 

「ほぉ……そら凄いなぁ」

 

「ぶっちゃけ、ヤマオロシより怒った千冬さんの方が万倍恐いっすから。」

 

俺の一言に冴島さんはポカンとした表情を見せてくる。

あれ?俺なんか変なこと言ったか?

 

「ぶっ!!そ、そうかそうか!!あのヤマオロシよりおっかない姉ちゃんか!!そら恐いわな!!ははははははは!!」

 

しかもいきなり腹抱えて大笑いする始末。

え?そんなに笑えること言った覚えはねえんだが……まぁいいか。

 

「ごめんごめん、お待たせ~。出来立てやで冷めんうちに食いんちゃい」

 

するとタイミング良くさっきのおばあちゃんが鍋を持って登場。

中央の釜に鍋を置いて、椀によそい始めてくれた。

鍋から漂う山の幸と味噌の香りが俺の腹を刺激してくる。

 

「お!?来たか!!よっしゃ!!ほんなら腹いっぱい食うたら会社に戻るとしよか」

 

「そうしますか……ほんじゃ」

 

俺と冴島さんは手を合わせて。

 

「いただきまーす」

 

「いただくわ」

 

「はい、どうぞ」

 

食材に感謝を捧げ、山の幸を美味しく堪能した。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「ただいま戻りやしたー」

 

「集落の除雪、終わりましたで」

 

集落の婆ちゃんにお礼を言った俺達は、会社に戻り休憩室に足を運んだ。

他の除雪作業に向かった社員の人達もそこで各々休憩してた。

 

「おう、元次、冴島。お疲れさん」

 

俺達に声を掛けてきたのは爺ちゃんだった。

それに反応して他の社員さんたちも「お疲れー」と言ってくれた。

そっか、今日は爺ちゃんも除雪に回ってたのか。

 

「おう、爺ちゃんもお疲れ」

 

「鍋島はん、お疲れさんです」

 

俺は爺ちゃんに声を掛けてホットキャビネットからコーヒーのブラック缶を二つ取り出す。

 

「ほい、冴島さん」

 

「ああ、スマンの」

 

一本を冴島さんに渡して、俺は休憩室のテレビに何気なく視線を移す。

やっている番組は『メイドは見た』っていう確か最近売れっ子のアイドル『澤村遥』が主演のドラマだ。

そしてメイドが何を見たのか語ろうとした瞬間……。

 

 

 

『ば、番組の途中ですがここで緊急ニュースをお送りします!!』

 

突然、番組が変わって焦った表情のニュースキャスターが出てきた。

このいきなりの切り替わりに他の社員から「はあ!?ざけんなや!!」とか「いいとこだったのにー!!」とか「遥ちゃんの姿カムバーーック」やらブーイングが巻き起こり始めた。

俺?興味ねえからどうでもいいわ。

そして休憩室のブーイングが最高潮に達したとき……

 

 

 

 

『と、東京の高校受験会場で『男性のIS操縦者』が発見されました!!!』

 

 

 

一気にブーイングの熱が冷めた。

 

社員の様子はそれぞれ違うが大抵が『信じられない』って顔をしてる。

かくいう俺もその一人だ。

 

『ISは女性にしか乗れない』っていう前提条件があったからこそ、今の世の中は女尊男卑になってる。

つまりはその前提条件が完全に覆されたってことになる。

オイオイ、誰だよそんな偉大すぎる馬鹿をやらかした奴は?凄すぎるぜ。

俺は緊張で乾いた喉を潤そうと、手に持っていたコーヒーを豪快に口に含み……。

 

 

『発見された学生の名前は『織斑一夏』君という地元の男子中学生で「ぶうぅううううううううううううう!?」』

 

 

爺ちゃんのハゲ頭に思いっきりブチまけた。

無論そのまま返す刀で思いっきり殴り飛ばされたが。

あんのアホは一体何やらかしてんだよ……。

頬に感じる痛みに悶えながら俺はアホすぎる兄弟分を思うとそう言いたくなる気持ちでいっぱいだった。

 

 

 

 

そして……。

 

時間は過ぎ、今日は3月27日。

高校の入学式を3目前に控えた俺は、中学の制服に袖を通して入学する予定の高校の体育館にいた。

他の新入生も『男子』だけ全員集められている。

そいつ等の目には期待と不安が見え隠れしているのが手に取る様に解る。

何故俺達男子だけが集められたかというと答えは単純。

 

『IS動かせる男が一人見つかった!?』

『他にもいるかも!?』

『じゃあ探せばいんでね?』

 

 

 

とゆうわけで適性検査を全国の高校、中学で開始ってわけだ。

そんなわけで俺は態々バイトを休んで高校に足を運んで今に至る。

検査は中盤まで進んだが、今のところ誰も適正は出ていない。

悔しがる奴、泣く奴しか見てねえからな。

正直に言おう。

めんどくさいことこの上ないわ。

俺はIS興味ねえからさっさと工場に行って知識を吸収したいんだがなぁ。

 

「次はぁ~……鍋島元次って人~」

 

お?やっと出番かよ。

ったく、長いったらなかったぜ。

 

「うーす」

 

俺は適当に返事をして前まで歩いていく。

すると其処には如何にも面倒くさそうな女が一人とISが置いてあった。

 

「ほら、さっさとしてよね。こっちも暇じゃないんだから……ったく、メンドクセ~な。なんで男なんかに時間かけなきゃいけない訳?意味解んない」

 

あ、駄目だ。

コイツ俺の嫌いな性格の女だ。

果てしなくウゼエ。

女は俺の名前を呼ぶだけ呼んで、俺の方を見向きもせずに携帯をポチポチ弄ってる。

それでいいのか社会人よ?

とりあえず馬鹿女は無視して俺はISに近づいていく。

目の前には待機状態で地面に鎮座しているISが一機あるだけ。

 

……どぉすりゃいいんだ?

触りゃいいのか?コレ?

 

「何してんのよ、さっさとそれに触れなさいよ。それで検査は終了よ。全く、男ってほんと役立たずなんだから」

 

馬鹿は携帯を弄りながらコッチを見向きもせずにそう言ってくる。

あぁ、駄目だ。

マジで殺しちまいそうだ、とりあえずさっさと終わらせてコイツから離れよう。

俺はここから早く離れたい、帰りたいっていう一心でさっさとISに触れる。

 

 

ブオン

 

 

起動しちゃいました♪

 

 

 

体育館からどよめきが上がってくる。

 

「え!?嘘でしょ!?男なんかがISを……ヒィッ!?」

 

あぁクソなんてこった、起動しちまった、させちまったよ。

っていうかこの状況どぉすんの?

俺早く帰りたいんだが?

 

「あ、あの……一緒に来てもらっていいですか?」

 

「あぁ?なんつったコラ?」

 

「ヒィィィィィッ!?」

 

イライラしてた俺が八つ当たり気味に返事を返すと、さっきの馬鹿女が腰抜かして涙目で俺を見てた。

あぁ、そういやさっきから俺を見てなかったもんなコイツ。

俺は盛大にため息を吐きながらその馬鹿女が立ち上がるまで待つことにした。

とりあえず今後の方針としてこの騒動の切欠を作ったアホ一夏に全力全壊のパンチを見舞うことを心に決めて。

 


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