魔法少女リリカルなのは ~その拳で護る者~   作:不知火 丙

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本編 第十九話

― フェイト・テスタロッサ ―

 

 今私の下には海が広がっている。

 晴れ渡る青い空とは言えない曇った天気、海も若干荒れている。所々に岩肌がみえて、そこに波がぶつかり飛沫をたてていた。

 昨日は一樹さんからの連絡をもらったリニスが、一日休む様にと言ってきたので休んだけど、そんな事よりジュエルシードを早く集めたかった。

 こっそりサーチして街中を探していたけど結局見つからなかった。それをアルフと相談して明日は海を探してみる事になった。

 結果、海の中に沈む7個のジュエルシードを見つけた。ただ正確な位置はつかめなかった。

 

「フェイト、大丈夫かい? 流石に7個一辺に封印するのは無理なんじゃ……」

 

 アルフが心配そうに言ってくる。

 

「大丈夫だよアルフ。それより先に回収しちゃおう、一樹さんが来たら厄介な事になりそう……」

 

「あ~、確かに厄介な事にはなりそうだね」

 

 アルフも一連の事を思い出したのか「はぁ」とため息をつき肩を落とす。

 これまでの事を思い出すと一樹さんは戦闘では頼りになる? と思うけど今までの行動を思うと来る前に終わらせた方が得策だと思う。

 ちゃんとしてる時はしてる……と思うけど、漂々としていて掴みどころがない。でも私の事を助けてくれてるのも事実だ。何で助けてくれるのかは分からないけど、私は深呼吸をして気持ちを切り替える。

 

「アルフ、バルディッシュ、行くよ」

 

「分かったよフェイト」

 

『イエッサー』

 

 私は、バルディッシュを両手で構え魔力を流す。

 足元には魔法陣が浮かび上がり、その周囲にスフィアを浮かべる。この間街中でやったものより更に広範囲に魔力流を周囲に撃ち込む。

 スフィアを通し雷に変換された魔力が降り注ぎ海の中に消える。少しすると海中から青い光が空に向かって伸びていった。その数は7つ。

 

「来る」

 

 その光の柱はしばらくすると、海水を取り込み大きな竜巻になっていた。そのすべてが私達に向かって来る。

 

「フェイト!」

 

 アルフが注意をしてくる。

 

「くっ!」

 

 7本のうち2本が私に向かってくる。私はいったん上空に上がりその攻撃をかわす。

 竜巻は海面に激突し、轟音と水しぶきを立てたけどまたすぐに元に戻ってしまう。そしてすぐさま追撃が来る。

 

「はあぁぁぁーーー!!」

 

 私はその竜巻にバルディッシュで斬りかかる。が、

 

「な!」

 

 しかし竜巻は私の攻撃をモノともしないですぐに元に戻って私に突っ込んで来た。

 

「きゃ!」

 

 私はそれをかわす事が出来ず海に叩きつけられ海中に沈んでしまった。

 

「フェイト! フェイトーー!」

 

 アルフは片足を掴まれてしまって、こっちへの援護は期待できない。一人で何とかするしかない。

 すぐに海上に出たけど、今度私に向かってきた竜巻は更に数が増えていた。

 

「くっ!」

 

 私は周辺に複雑にそびえる岩礁を縫うようにして飛行して、襲いかかる竜巻をかわす。

 後方では竜巻が岩礁に激突しながらそれでもなお追ってくる。

 

「はあ、はあ、はあ……」

 

 おかしい、もう息が上がって来てる。魔力の残りも心もとない。このままじゃ……。

 そう考えていて注意力が落ちていたのか、正面に回り込んでいた竜巻に気付くのが遅れてしまった。

 

「あ……」

 

 そう呟いた時にはもう竜巻は目の前まで迫っていた。とっさにシールドを張るけど何処までもつか……。

 私はすぐに来るであろう衝撃に備えて力を込めた。そして次の瞬間、

 

「スゥゥゥーーパァァァーー稲妻! キィィィィィーーーック!!!!」

 

 という声と共に目の前の竜巻が真っ二つになり、水をたたく轟音、巨大な水柱が上がった。

 突然の事に何が起こったのか分からなかったけど、海の中で強い光が見えて、少し経つと海の中から胸の前で腕を組んでゆっくりと上がってくる一樹さんの姿を私は呆然と見ていた。

 

― 斎藤一樹 ―

 

 アースラに鳴り響く警報を聞きブリッジにクロノと駆けつけると、メインモニターに映し出されていたのはフェイトとアルフが作戦予定エリアにいて、あろうことか広範囲に魔力流を撃ち出そうとしている所だった。

 

「「フェイトちゃん!?」」

 

 先に来ていた亜夜となのちゃんが声をあげる。

 そりゃそうだ。一人で7個のジュエルシードを封印しようとするのは無謀ではなく自殺行為に等しい。普通であればだけどな!

 フェイトが魔力流を撃ち終わり、少し経つと7つの光の柱が空に向かって一直線に伸び、その後海水を取り込み7つの竜巻を作り上げた。やはり原作と同じ展開になっていった。

 

「まったく、無茶をするものね」

 

 モニターを見ていたリンディさんがため息をつく。そして周辺を観測していたエイミィが、

 

「艦長! このままだと7個が融合する恐れがあります!」

 

 そう報告する。

 

「一樹」

 

 クロノが声を掛けてくる。

 

「ああ、分かってる。お~い何やってんだ? さっさと助けに行くぞ~」

 

 と、心配そうにモニターを見て固まっている連中に声をかける。

 

「そうね、このままだと危険だわ。7個のジュエルシードが融合でもしたらそれこそ手がつけられないわ。クロノ執務官、一樹臨時三等陸士、ユーノくん、なのはさん、亜夜さん、至急フェイトさんの救援に向かってください」

 

「「「はい!」」」「「了解」」

 

 俺は若干怒気をはらんだ返事をする。

 

「ん? どうしたんだカズキ?」

 

 それに気付いたクロノが聞いてくる。

 

「ちょっとこっちのアドバイスとか注意とかを、まるっと無視して危険行為をしている馬鹿二人に説教してくる」

 

 その声にも怒気がこもっていて、亜夜、なのちゃん、ユーノがおろおろしていた。クロノはそれを聞いて、

 

「確かに今回はちょっとやり過ぎだな。でも一樹も人の事言えないから程々にな」

 

「む、失礼な。俺はしっかり事後処理もするし、此処まで無理な事はせん」

 

 そう言うと、おろおろしていた三人が円になって話し始めた。

 

「でも、作戦中にふざけてるよね?(ヒソヒソ)」

 

「何度も邪魔された気がするの(ヒソヒソ)」

 

「いつもふざけてばっかりだからね(ヒソヒソ)」

 

 上から順に亜夜、なのちゃん、ユーノである。

 

「お~い、聞こえてるぞ! そう言うのは本人に聞こえないようにしろ! ったく、そこまで言うなら今回は真面目にやってやろうじゃねーか!」

 

「「「ホントに?」」」

 

「か、勘違いしないでよね! 今回だけなんだからね!」

 

「真面目にやるのは今回だけなの!?」

 

「ていうかもう駄目じゃないですか!」

 

「……さて、さっさと助けに行きますか!」

 

「誤魔化すな!」

 

 三人のツッコミを背中に受けつつ転送ポートに向かう。

 

「エイミィ! 転送よろしく!」

 

「了解! みんなも早く転送ポートに乗って!」

 

「「「はい!」」」

 

「じゃあ、頑張ってね!」

 

「任せてくれ」

 

 エイミィにそう答えるクロノ。

 

「じゃあ、行ってらっしゃい」

 

 リンディさんの言葉を聞くと同時に俺達は作戦エリアに転送された。

 

ゴオォォォーーーーーー

 

 転送された次の瞬間感じたのは勢いよく身体に吹き付ける風だった。

 しかしそれは地面に立っている状態では無く、竜巻の直近という訳でもない。

 耳には風を切る音が聞こえ、身体は下に引っ張られている感じがする。そして眼下には海が広がっている。どうやらずいぶんな高度に放り出された様だ。

 

(スサノオ、現在の高度は?)

 

《現在高度三千メートルから落下中です》

 

 およそ一分前後で地表についちまう訳か、そういやあみんなはどうしたのかな? 少なくとも俺の下にはいない。となると上か?

 そう思って仰向けになると、そこには同じように落下している皆がいた。流石全員飛行経験があるだけあって慌てている様子は無い。が、

 

「~○×∀ω☆~ΣЁ~!!!」

 

「ー@△ゞ∀☆□~!!!」

 

 流石に生身でのフリーフォールは経験がないようで必死に何か叫んでいるがまったく聞こえない。

 それはそうだ、落下中は風の音等が大きすぎて会話なんて出来る訳がないのだ。

 まあ、もしかしたら出来るようにする訓練があるかもしれないが。

 そんな感じで叫んでいる二人に念話で話しかける。

 

(亜夜、なのちゃん、念話で話せ)

 

 そう伝えると二人から念話が届いた。

 

(お兄ちゃん! 下! 下!!)

 

(フェイトちゃんが!!!)

 

 俺はそれお聞いて慌てて下を向く。

 そこにはモニターでみたとおり7個の竜巻に、そのうちの一本にとらわれているアルフと、数本に追われているフェイトの姿があった。

 

(クロノ!! 先行する!! 援護よろしく!!)

 

(了解。行って来い!)

 

(亜夜、なのちゃん、ユーノは安全圏で待機しててくれ)

 

((うん!))(はい!)

 

(スサノオ!!)

 

《了解、「クソ野郎」》

 

 そう言って俺はバリアジャケットを纏う。

 現在、自由落下中の速度は約200km/h、空気抵抗があってうつ伏せの状態で出る最高速だ。

 俺はそこから身体を気をつけの状態にして頭を下に向ける。こうする事により空気抵抗を減らし、速度を上げる事が可能になる。

 しかしそれでもまだ足りない。もっと早く行かなければ間に合わない。そこで俺は前面に円錐状にプロテクションを張り空気抵抗を無くす。それと同時に速度がぐんと上がっていく。

 400㎞/h……500㎞/h、みるみる内に海面が近付いてくる。フェイトちゃんを確認するとまだ竜巻には追い付かれていないが様子がおかしい、動きが鈍い。更には進行方向に現れた竜巻に気付いていない。

 「ッチ」と舌打ちし落下地点の修正をする。目標は新たに現れた竜巻にする。そしてフェイトちゃんが進行方向の竜巻に気付く。しかしそれはかわす事の出来ないタイミング。

 竜巻は既に攻撃態勢、その攻撃がフェイトちゃんに迫る。フェイトちゃんはとっさにシールドを張り防御の姿勢をとる。が、

 

(間に合った!)

 

 俺は速度を保ったまま空中で姿勢を変える。

 身体丸め回転し勢いをつけ、伸身で二回転し一回捻りを加える。いわゆるムーンサルトという技だ。

 そして右足を伸ばし、左足は曲げ右膝あたりに添える。そして渾身の一撃を加えるべく叫ぶ。

 

「スゥゥゥーーパァァァーー稲妻!キィィィィィーーーック!!!!」

 

 俺は一瞬の内に海中に突っ込んだ。しかし右足に残る感覚は竜巻を切り裂き、海面をぶち抜いたものだ。十分な手ごたえに満足して目の前にあるジュエルシードを掴み封印する。  

 

(スサノオ、コレ頼む)

 

《了解、ジュエルシード確認》

 

 そう言ってジュエルシードをしまう。

 そして俺はおもむろに腕を組みそのままゆっくりと海面から出てそのまま上昇していく。いわゆる「ガイナ立ち」だ。

 そしてそのまま呆然としているフェイトちゃんの前まで上がっていく。

 

「時空管理局次元航行部アースラ派遣! 地上本部首都防衛隊所属臨時三等陸士!! 斎藤一樹!!! そして! Withリンディ軍団!!!」

 

 そう言った瞬間俺の後に巨大なウィンドウが現れみんなが映る。突然の事でフェイトちゃんは唖然としている。

 

「大丈夫か? フェイトちゃん、怪我は無いか?」

 

「え、あ、ハイ大丈夫です」

 

 唖然としているフェイトちゃんが返事をする。

 

「そっか、良かった。怪我してないのなら気にしないで良いか」

 

「え? な、何をですか?」

 

 俺はニコッと笑うとフェイトちゃんの肩をつかみおもむろに拳を振り上げ、

 

「こんの馬鹿者!!!!」

 

 と怒声と共に振り上げた拳をそのままフェイトちゃんめがけて振り下ろす

 

ゴッ!!

 

 と音と共にフェイトちゃんが頭を押さえてうずくまる。

 

「フェイトに何するんだい!」

 

 そう言ってアルフが拘束を破り拳を振り上げ俺に向かって突っ込んでくる。

 

バシィ!

 

「クッ!」

 

 アルフの拳を受け止め、そのまま引き寄せ、

 

「お前もだアルフ!!」

 

ゴッ!!

 

 とフェイトと同じように拳骨をお見舞いする。そしてフェイトと同じようにうずくまるアルフ。

 

「俺は二人に言ったよな? 無理そうだったら連絡してくれって。何で連絡してくれない? そんなに俺は頼りないか?」

 

 正直、一切連絡がなかったのはショックだった。

 

「あの、そ、それは……」

 

「も、もとはと言えばあんたが(お兄ちゃん後!)」

 

「分かってる!」

 

 亜夜の叫びと同時に振りかえり、蹴りを入れる。

 

ズパァァァーーン!!

 

 水を叩く音と共に竜巻が蹴りの衝撃で真っ二つになる。が、すぐに再生してしまう。ちい! 相性悪!!

 

「フェイトちゃん、アルフ、説教は後回しだ。今上空に亜夜となのちゃんがいるから合流してくれ」

 

「か、一樹さんはどうするんですか?」

 

まだ痛むのか涙目だ。

 

「な~に、こいつらを引き受けるだけだ。俺とは相性が悪いけど融合を防ぐぐらいは出来る」

 

そう言って俺は竜巻を指さす。

 

「一人で大丈夫なのかい?」

 

こっちも涙目でアルフが聞いてくる。

 

「言ったろ、融合を防ぐくらいは出来るって。心配すんな」

 

俺はそう言って、竜巻の方に近付いて行く。

 

「ほれ、さっさと合流してこい」

 

 俺がそう言うと、フェイトちゃんとアルフは頷きなのちゃんの方に向かって行った。

 その後ろ姿を見送って竜巻に向き直る。

 

「さ~て、上げていこうか!!」

 

 どっかの銀河な美少年の様にテンションを上げる俺であった。

 

― 高町なのは ―

 

 私は今空で待機していて、亜夜ちゃんとユーノ君も一緒なの。

 下を見ると一樹お兄ちゃんがフェイトちゃんを助けた所で、何か話していr……あ、拳骨した。痛そ~、フェイトちゃんもうずくまってるし。あ、アルフさんが……って殴りかかってる!? あ、受け止めて……また拳骨した。アルフさんもうずくまってるの。

 私も叩かれていないのに頭をさすってしまった。そして何か話している。そうしていると一樹お兄ちゃんの後から竜巻が接近している。

 

(お兄ちゃん後!)

 

 私が言う前に亜夜ちゃんが念話で叫ぶ。でも一樹お兄ちゃんはそれに気づいてたみたいで、綺麗な弧を描いたキックを入れて竜巻を吹き飛ばした!? え!? キック一発で!?

 

「あ、亜夜ちゃん?」

 

「ど、どうしたのなのちゃん?」

 

「今の見た?」

 

「うん」

 

「私には普通に蹴った様に見えたんだけど?」

 

「うん、私にもそう見えた」

 

「一樹って強いんだね」

 

「なんだ、三人とも一樹の実戦を見たのは初めてなのか?」

 

「「「はい」」」

 

「……あいつは今まで何してたんだ?」

 

「「「……はははは」」」

 

 そう聞かれて私達は乾いた笑いしかできなかったの。

 

「あ~、だいたい分かった。すまない。迷惑をかける」

 

「いえ、此方こそお兄ちゃんが迷惑かけます」

 

 亜夜ちゃんとクロノ君が一樹お兄ちゃんの事でペコペコしている。

 もっと初めから真面目に探してくれればこんな事にならなかったのに。そんな事を思っていると下からフェイトちゃんと、アルフさんがこっちに向かってきた。

 

「フェイトちゃん! 大丈夫?」

 

「あ、うん。まだ頭はジンジンするけど」

 

「ホントだよまったく。まあ、忠告も聞かないで無茶をしたこっちも悪いけどさ」

 

「ごめんねうちのお兄ちゃんが、後できつく言っとくから」

 

「ううん、大丈夫だよ。それより……」

 

 そう言ってフェイトちゃんは心配そうに下を見るけど、

 

「大丈夫だ。一樹なら時間を稼ぐくらい問題ない。相性は悪いみたいだけどな」

 

 そうクロノ君が言ったので下を見てみると、

 

ドパァァーーン!! バシャァァァーーン!!

 

 と音がするたびに竜巻が一つ消えては、すぐあらわれる。

 その繰り返しが下で起こってた。竜巻は一定以上進めないで、竜巻同士も融合出来ないでいる。

 

「凄いね」

 

 ユーノ君が呟く。

 

「うん」

 

 私もそれに頷く。

 

「私達も負けられないね」

 

 亜夜ちゃんが言ってくる。そう言ってる間に一樹お兄ちゃんが一つ封印出来たみたいだ。そしたら、

 

(お~い、もう俺は封印出来ねーからそっちで頼む。時間稼ぎはするからよろしく!)

 

 と念話が来た。それなら、

 

「レイジングハート!」

 

《はい、マスター》

 

「フルパワーのディバインバスターでいっぺんに封印出来る?」

 

《はい、出来ますが竜巻の一つ一つが離れすぎています。もう少し寄せた方が良いでしょう》

 

「それなら僕が「あたしもやるよ」……アルフさん?」

 

「このままだと後味悪いからね。手伝わせてもらうよ。良いだろフェイト?」

 

「うん、そうだね。手伝おうアルフ」

 

「それでこそ私のご主人様だよ!!」

 

「じゃあ、フェイトちゃんコレ受け取ってもらえるかな? アマテラス!」

 

『しょうがないのう、ほれ受け取れ』

 

 そう言って亜夜ちゃんがフェイトちゃんに魔力を渡す。

 

「え? でも、こんなに?」

 

「うん、実は私砲撃魔法苦手でそんなに威力が出せないんだ。だから代わりにお願い」

 

「……分かった」

 

「よし、決まりだな。ユーノとアルフはバインドで竜巻を寄せてくれ。ポイントは一樹の周辺で良いだろう。なのはとフェイトは集まった所に封印砲を叩き込んでくれ」

 

「「「「はい! (あいよ!)」」」」

 

「よし! じゃあ開始だ!」

 

 クロノ君がそう言うとみんなそれぞれ行動をし始める。

 

「まずは動きを止める!」

 

「任せときな!」

 

 そう言ってユーノ君とアルフさんがチェーンバインドで竜巻を次々に縛っていく。

 

「くっ、重い!」

 

「でも、負けないよ!」

 

 徐々に竜巻が一樹お兄ちゃんの周りに集まっていく。

 

「フェイトちゃん」

 

「うん」

 

 私とフェイトちゃんは魔力を込めていく。

 

「ディバイーン」

 

「サンダー」

 

 どんどん魔力を込めて放つ瞬間に、

 

「今だ! ユーノ、アルフ離れろ!」

 

 クロノ君が指示を飛ばす。

 

「レイジ!!!」

 

 フェイトちゃんはそう言って足元の魔法陣を叩いた。

 そうすると凄い数の雷が竜巻全部に命中して動きを止める。そしてそこには竜巻が密集していた。そこに私もフルパワーで魔法を撃ち込む!

 

「バスターーーーー!!!!」

 

 レイジングハートから光があふれて、竜巻の中心に突き刺さって、

 

「ギャァァァーーーーーー!!!!!」

 

ドガアァァァーーーン!!!!!

 

 っていう悲鳴と爆発音を……悲鳴?

 あれ? 爆発音だけじゃない? みんなにも聞こえたのか全員で顔を見合わせている。

 

「そう言えば誰か一樹に連絡入れたか?」

 

 クロノ君の問いに全員が首を横に振る。って事はさっきの悲鳴は……。

 

「あ~、とりあえず報告なんだけど、ジュエルシードは全部無事封印出来たよ」

 

 目の前にウィンドウが開いてエイミィさんが教えてくれた。

 

「あ~、エイミィ、一樹なんだが……」

 

「うん、見事に浮かんでるね。海面に」

 

 エイミィさんがそう言うと画面が切り替わって海面に浮かんでいる一樹お兄ちゃんを映し出した。

 

「「「きゃあぁぁーーーー!!!」」」

 

 私達は叫び声をあげて慌てて一樹お兄ちゃんの元に急ぐのでした。

 

 


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