青春と音楽と召喚獣   作:いくや

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 一気に季節が変わります。

 読者の皆様方もうすうす感づいていらっしゃるかは分かりませんが……

 最終回にドンドン近づいていっています。

 最後までお付き合いのほどをよろしくお願いします!

 では、どうぞ!!



#98 準備期間!

 

 「結構仕上がってきたね」

 学園祭も近づいてきたある日のこと。タオルで汗を拭きながらみんなに話しかける梓ちゃん。

 

 「スミーレちゃんも何とか間に合ってくれそうだし」

 「直ちゃんはバッチリ曲作ってくれたし」

 作詞作曲を出来るなんてすごいと思う。これもまた一種のセンスだ。

 

 

 

 「先輩達は、クラスの出し物何をやるんですか?」

 「何だっけ?」

 純ちゃんがオレたちに振ってくる。覚えていないのかい……

 

 「確かメイド・執事喫茶」

 「霧島の好みなのかと思ってしまうよな」

 オレがこういうのも、昨年2-Aクラスもまたメイド・執事喫茶なのであった。

 

 「あながち間違っていないかもね」

 それに、何故かAクラスには美人に美男子が多いから好都合。人気が上がるとのこと。正直言って、オレはそっちのほうは全然ノータッチ。軽音部は基本そのタイプだ。

 

 「翔子が俺たちに気を遣ってくれてるからな」

 「そもそもAクラスで部活生ってのが珍しいんだ」

 オレたちくらいじゃないのかね部活入っているの。他に居ても数名。

 

 

 

 「ヒロ君、練習しよう!」

 「OK。どっち?」

 「あんまり練習が足りていないほう」

 オレと梓ちゃんは、以前からの正規メンバーのために出ないといけないのが多い。去年までは全員が全員4曲演奏していたけど、今年はそういうわけにはいかない。人数の多さ以上に、4曲も仕上げられないという不安からだ。

 

 「お前らよく演奏しながら歌えるよな」

 「まだまだ……そもそも何でオレ歌っているんだろう」

 「わたしも。純のせいか」

 「いいじゃんいいじゃん。軽音部の先輩としてそこはかっこいいとこ見せてあげないと。ね、部長」

 純ちゃんがここまで部長というのを強調するのも、以前梓ちゃんが部長と言われてやる気になったのを見てからであろう。

 

 「よしっ! やろう!!」

 梓ちゃんと2人でやる曲。あの新歓ライブのリベンジだ。練習を重ねて今度こそしっかりと歌えるように、そして演奏できるようになっておかないと……曲はふわふわではなく、直ちゃんが作ってくれた曲。4曲全て作ってくれたから本当に感謝している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      ★

 

 「ババアもとい学園長は何て言ってたの?」

 次の日、教室で談笑していたら雄二とアキが呼ばれて学園長室に向かった。そして10分くらいすると帰ってきたので用件を聞いてみた。

 

 「何故今年清涼祭に出ないのかと」

 「召喚戦争のことね。去年優勝したからさ、是非とも今年もって」

 「それでお前たちは何て?」 

 「「断る!」」

 即答かよ。ちょびっと学園長のゆがんだ顔を想像してしまったじゃないか。

 

 「それにしては長かったな」

 「ババアが頑として譲らないんだ」

 「だから仕方なくね、妥協したよ」

 「どのラインで?」

 「本戦には出ないけど、優勝者が昨年の優勝者に挑むという形で1戦だけ」

 何とまあ。相当買われているな。それを許す学園長も学園長だな。宣伝目的なのは確かだが。

 

 「練習しなくて良いのか? 昨年度優勝者」

 「明久がいるなら大丈夫だろう。こいつに操作技術で勝るやつはいねえ」

 「油断は禁物だよ」

 「どうしろと」

 「アタシたちAクラスの人と練習したら良いじゃない」

 「立会いの教師は?」

 「どうしましたか?」

 「既に準備済みって訳ね」

 仕事が早い優子さんは高橋先生を連れてきていた。

 

 

 

 「模擬試召戦争をさせてください」

 「分かりました。承認します」

 「「試獣召喚(サモン)!」」

 久しぶりこのコンビを見るな。一番安心するよ。

 

 「相手はどうする?」

 「2人がセットだろ」

 「じゃ、まずオレが行きますわ。どうする梓ちゃん?」

 「わ、わたし!? 召喚するのか~」

 「もうみんな知っているって、恥ずかしくないよ」

 「うう……分かったよ」

 梓ちゃんはネコ耳メイドの召喚獣だ。お似合いだと思う。

 

 

 総合科目 坂本&吉井 vs 七島&中野 

         3318&3276  3521&3427

 

 

 「良い勝負じゃない!」

 「操作技術が勝つか、点数が勝つか」

 久しぶり同じくらいの相手と試召戦争するから、良い機会だ。コレ以降ないかもしれない。全力で行くぞ。

 

 「強化(レベルアップ)!!」

 もはやこのレベルになると、武器の強化でもしないとこいつらについていけない。

 

 「やはり使い勝手の良い刀かな」

 梓ちゃんが遠距離タイプだからオレは近距離攻撃を選ぶ。相手の2人も近距離だからオレが2人を食い止めなければ勝ち目は無い。

 

 「雄二」

 「どうした?」

 視線だけはオレたちのほうをずっと見ながら、2人は会話をしていた。

 

 「早速使って良いかな?」

 「お前が出来るならな」

 「二重召喚(ダブル)!」

 げっ……マジかよ。最初っから神経集中させるのだな。いいだろう真剣勝負だ。

 

 「どうした、まだかかってこないのか?」

 オレはわざと挑発をする。出来るだけ梓ちゃんとは距離を取りたくは無い。梓ちゃんの召喚獣は接近戦に持ち込まれると弱いためだ。

 

 「明久、いいか?」

 「OK、いつでもどうぞ」

 「いくぞ!!」

 雄二の召喚獣に、アキの2体の召喚獣が一気にコチラの方に。オレは二刀流にかえ、何とか対策練るも2vs3ってのは危ない。梓ちゃんにも伝え、雄二に1太刀浴びせると同時に後ろに退く。梓ちゃんは遠距離でアキの2体の召喚獣に攻撃をし、同じく後ろに退いた。 

 ただ、その間にも相手の操作技術が上なので、攻撃は食らった。

 

 

 総合科目 坂本&吉井 vs 七島&中野

        2698 2901   2323 2587

 

 

 「ふ……流石だな」

 「あんまり点数削られるわけには行かないんだよ」

 2人3体の召喚獣は目にも止まらぬスピードでオレたちの目くらましをし、いつのまにか攻撃をたくさんぶち込んでいた。やばいぞ……

 

 

 総合科目 坂本&吉井 vs 七島&中野

         2698 2901   187 294

 

 

 「ギブアップだ。こんなんで補習室行ってたまるか」

 怖いのは、模擬とはいえ、補習室行きには変わりない。

 

 「高橋先生……」

 「承認取り消し!」

 そういうと、フィールドは消えていった。

 

 「悔しい。全然歯が立たなかった……」

 「場数の違いかな……」

 

 

 

 

 「………次は俺が相手になろう」

 「康太の相方といったらボクだね。高橋先生、保健体育でお願いします!」

 この学校で2人だけ全教科の承認が出来る人物の1人。もちろんあと1人は西村先生である。

 

 「ムッツリーニと愛ちゃんが相手で保健体育か」

 「これ以上ない劣勢だな」

 「「試獣召喚!」」

 既に召喚していた康太と愛子ちゃんの召喚獣を見ながら召喚する2人。

 この2人に保健体育で勝るものはいないだろう。大島先生&西村先生でももしかしたら負ける。

 

 「………加速!!」

 「ボクも腕輪使うよ!!」

 点数が表示される前に速攻で、康太と愛子ちゃんは腕輪の効果を使い、攻撃を仕掛けた。

 

 「くっ……」

 「油断していたつもりは無いが、結構減らされたな」

 

 

 保健体育 坂本&吉井 vs 土屋&工藤

        164  139     682 635

 

 

 「この点差……」

 「腕輪使ってあの点数かよ」

 最初の点数がどんくらい高かったんだって話だ。

 

 「負けない!」

 「いくら2人が相手とはいえ、1発も攻撃をいれられないのは悔しい」

 そういうと、確かに攻撃は入れるもののそれ以上の攻撃をいれられていた。

 

 「無念だ……明久」

 「うん。高橋先生」

 「承認取り消し」

 戦死になるわけにはいかない。それに、実を言うとちゃんと点数も減っていくため、今の状態で他のクラスに試召戦争挑まれたら危ないんだよね。だから、次の日が期末テストというこの日に練習をした。

 

 

 「じゃあ、次は憂と竜也君が組んで家庭科だね」

 次々と教科を変え、試召戦争の練習をする。総合科目の点数を消費しているため、副教科でないと勝負できない。家庭科の次は芸術でいったん終了になるだろう。

 

 これで2人の操作技術も上がったと信じたい。オレたち練習に参加したメンバーは次の日のテストで点数を回復した。

 

 

 期末テストが終わると、すぐに学園祭の準備。クラスでは喫茶店の準備があっていたがあまりそっちのほうには関われずに軽音の練習を結構多めにしていた。ようやく完成に近づいてきた。

 

 





 別段、言うことはありませんかね。
 
 明久のダブル、いつ以来ですかね…久しぶり見ましたね。
 ネコ耳メイドと共に。

 次話はもう、学園祭。
 最後の学園祭となるがどうなってしまうのだろうか。

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