オリジナル話。
でもまあ、ほのぼのというかあまあまというか……
とにかく、のんびり休日です。
この話になって、初めてちゃんとした日付が出てくるのではないか?
との疑念が。
では、どうぞ!
「づ~が~れ~だ~」
部室の机に突っ伏してる唯先輩とりっちゃん。もう3年生は引退なのだが、その後も続けて部室に来て部室で受験勉強をしている。
「今日はこの辺りまでかな」
「終わった~!」
教師係りの澪ちゃんがそう言うと、りっちゃんと唯先輩は喜んでいる。
「明日はどうしようか」
「土曜日だしね~」
「明日はなしにしよう。家で個人勉強だ」
「どうした律? お前らしくないな」
澪ちゃんの意見に大いに賛同する。普段ならば、みんなで勉強しようと言い出すはずなのだが。
「そうかな? 明日土曜日は休みで、日曜日は図書館にでも行く?」
「別にいいけど、部室を使わないのは何か理由があ ー 」
「分かったわ!」
「律、お前の意図が読めた」
「え~分かってないのわたしだけ~教えてよ~」
「それはまた今度だ。この頃暗くなるのが早くなってきているから帰るぞ」
「待って~」
オレと梓ちゃんは、先輩方の受験勉強を邪魔しないように共に勉強しただけに終わった。
(ヒロ、お前のためだぞ)
とりっちゃんに耳元でささやかれた。
「よ~っし帰ろう!」
りっちゃん……そういう気遣い出来るんだ。流石部長です!
「じゃあな梓、ヒロ~」
「え、一緒に帰らないんですか?」
「う~ん、今日は4人で帰り道に寄らなければならないところがあるからゴメンな」
「え~りっちゃん、そんなこと聞い ー 」
「唯、帰るぞ」
未だにりっちゃんの心遣いに気づいていない唯先輩だった。
「わたしたちも帰ろうか」
「そうだね」
今日は2人きりで帰ることになった。
「梓ちゃん」
「何?」
「明日、暇?」
「え~っと……多分何も無いと思うけど」
「家に遊びに行っていいかな?」
実を言うと、一回も家に入ったことは無い。
「家!? わたしの?」
「うん。ダメ?」
「別にそんなことないけど!」
「じゃあ、いいかな?」
「分かった。何時ごろ?」
「10時ごろかな」
「了解」
今日は、11月10日金曜日。明日、11月11日は梓ちゃんの誕生日なのだ。
りっちゃんは、誕生日に最初にお祝いするのはオレだと言わんばかりに、わざと明日の予定をオレたちのために空けてくれたのだ。ありがたいことだ。
「じゃあ、また明日ね」
「うん」
梓ちゃんの家の近くで別れを告げ、オレも帰途についた。
「ん~いい目覚めだ」
初めての梓ちゃんの家ということで緊張してたとはいえ、ぐっすり眠れたようだ。
誕生日プレゼントも昨日のうちにしっかりと確認している。
「よし、バッチシ」
出る前に何回確認したか分からないくらい確認に確認を重ね、家を出た。このままでは家に着くのは早すぎる。家に伺うのに時間前に行ったら失礼だから、ちょっと歩くペースを落とそう。
……あ~ダメだ。勝手に足が進んでしまう!! 気分が高揚して仕方が無い。
「そうだ。気を紛らすために誰かに電話しよう」
こんな感じなのに電話に出る相手は面倒くさいと思うかも知れんが、すまないな。
「あ、アキ?」
一番大丈夫そうな相手を選んだ。
「どうしたの、突然」
「ん~っとね、気分が落ち着かないから電話した」
「何があるの」
「梓ちゃんの誕生日を祝うんだが」
「え、今日なの! おめでとう」
オレがありがとうと代わりに返しておく。電話の後ろの方でがやがやとしているのはどうしたことだろう。
「ね~ね~雄二、今日梓ちゃんの誕生日なんだって。僕たちも何か祝ったほうがいいよね」
「バカかお前。当日くらい、弘志だけに祝わせてやれ」
「そっかそうだよね」
「お~い、全部丸聞こえだぞ」
後ろの声から察するに、雄二だけでなく康太や竜也がいた。
「でさ~ヒロ。文句言っていい?」
「何?」
「今日何日?」
「11月11日」
「へ~梓ちゃんの誕生日なんだよね~」
「あ、ああそうだが」
アキは何を言っているのかと思ったら、突然思い出した。
「しまった! 今年アキの誕生日に何にもしてねえ!」
「別にせかしてるわけじゃないんだけどね~」
「すまん! ってか、今年10月18日何かあっただろ!?」
「ん~っとね、如月ランド行った日だね。誰も覚えてくれてなかったのは結構寂しかったな。愛ちゃんだけは祝ってくれたけど」
本当に申し訳ない。あの時も梓ちゃんと ー って、彼女が出来ると友達のこと忘れがちになるのか! 両立できるようにならないとな。
「クリスマスに何かする。約束しよう」
「クリスマスも梓ちゃんと何かするでしょ!」
「あ………」
「あ、ってヒロにとって僕はそんな存在!?」
「すまん」
「って、冗談だよ。ただヒロをからかいたかっただけ。いつもと違うヒロをね」
おいアキ。お前いつからそんな技術を身につけるようになったのだ。
「お前のことは梓ちゃんの次に考えている!」
「はは。それはありがたいよ。じゃあ、梓ちゃんを目一杯祝ってきなよ」
「ありがとうな。多少は気持ちも楽になった」
変な激励のされ方だったけど。時間もいいくらいだし。そろそろ家に向かうとしますか。
★
「えっ? 今日から出張?」
「突然だが、2日間な。日曜日の夜に帰ってくる」
「わたしもお父さんについていくから、家を任せたわね」
「あ、う、うん」
ど、どうしよう! 今日ヒロ君が来るって言うのに…家に誰も居ないって。しかも夜もいないだなんて!
「では、行ってくる」
「あ、いってらっしゃい」
わたしは見送りに玄関に立った。そわそわとドキドキが同時に襲ってきてなんか変な感じ。でも、ヒロ君、まさかわたしの両親の出張を知ってこの日に、突然家に遊びに来るって言った訳無いよね。何か出来すぎているな。
「はいは~い」
玄関で両親を見送り、その後も数分間玄関で立ち尽くしていたらしい。玄関のチャイムが鳴った。
「こんにちは~」
「あ、ヒロ君いらっしゃい。入っていいよ」
「ありがとう。お邪魔しま~す」
わたしは、動揺を隠しつつ、家にヒロ君を招きいれた。
★
「あれ? 家の方、誰も居ないの?」
「うん、そうなんだ」
梓ちゃんはそう言いながら、キッチンの方へ向かった。そしてお茶を持ってきてくれた。
「ありがと~」
「いえいえ。そうだヒロ君」
「どうした?」
「何で、今日突然遊びに来ようと思ったの? 両親が今日居ないのも何かの偶然かな?って思って」
「え?」
今日居ないってことは、今日1日帰ってこないってコト? 娘の誕生日の日に?
「知らないよね」
「う、うん。もちろん。オレはこれをしに来たんだ」
「へっ?」
「お誕生日おめでとう」
オレは、もったいぶらずにすぐにプレゼントを差し出しながら梓ちゃんにお祝いの言葉を言う。
「た、誕生日。そっか。今日わたしの誕生日なんだ」
「って忘れてたの?」
「う、うん。今の今まで」
「サプライズみたいな感じになったじゃん」
「だね。だとしたら両親はわたしの誕生日の日に出張ってコト!?」
「出張だったの?」
「うん。ヒロ君、ありがとう。とっても嬉しいよ。プレゼント開けてもいい?」
オレがすぐに快諾の意を表すと、梓ちゃんは包装を開けた。
「わ~ストラップだ~!」
「センスないかもしれないけど」
「ううん。とっても嬉しいよ」
「実は、おそろいなんだ」
「えっ!?」
「ホラ」
と、オレは携帯を取り出し梓ちゃんの目の前に差し出す。そこにぶら下がっているのは今梓ちゃんに渡したのと同じものだ。ちょっと恥ずかしいけどね。おそろってやってみたかったんだ。
「本当にサプライズだよ!!」
「喜んでもらえてなにより」
梓ちゃんは早速ストラップを携帯につけ始めた。
「どうかな?」
「いいね。2人おそろ」
「うん!」
まあ、正直言って今日やることは終わったんだけど。この後どうしよう。
「って、さっきご両親出張って言ってたけど」
「うん」
「梓ちゃんの誕生日のことについて何も言わなかったの?」
「そうだね。ヒロ君が教えてくれたからさ」
ん~ちょっと可哀想だな梓ちゃんが。
「あ、そういえば、お菓子も持ってきてたんだった」
「ありがと~今食べる?」
「後ででいいんじゃない」
「そうだね。直しておこう」
と、言いながら再びキッチンの方へ向かう。
「あれ……?」
「どうしたの?」
「何だろうこれ」
カウンターに何か気になるものがあったらしく手に取った。
「封筒? ってわたし宛? 誰だろう」
と言いながら、梓ちゃんは封筒の中身をあける。
「って、お父さんとお母さん!?」
「書置きってこと?」
「わからない。ちょっと読んでみる」
梓ちゃんはそう言うと、黙って手紙を読み出した。
読み終わる頃には目に涙を溜めていた。
「……ふぇ………ひ、ろ君」
「どうした梓ちゃん? 中身が大変だったの?」
「…ち、違うの。見て」
梓ちゃんに手紙を渡され、オレも読んで見る。
明久よ。
申し訳ない。
作者が誕生日を忘れていた。
別に入れてもよかったんだが、梓の方がいいよな。
実は、明久は弘志のために嘘をついています。
日付を計算してみてください。曜日が合わないんですよ。
如月ランド行った日が金曜日、アキの誕生日は前々日=水曜日なんです。
何故こんな嘘を。
この設定後付けじゃないんだからね!
作者が何も考えずに曜日を設定してミスったわけじゃないんだからね!
その理由も次話に。
矛盾はダメですから。
さて、最後の手紙の内容は一体!?
コメント・感想・評価、
お願いします♪