青春と音楽と召喚獣   作:いくや

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 む……

 難しい。

 この2人難しいぞ!

 秀吉~お前だけが頼りだ!!

 では、どうぞ!




#64 進展!

 

 「じゃあ、まず何処に行く?」

 「何があるかな?」

 結構大きな祭りのようだから、大体露店は揃っているだろう。

 

 「う~ん……金魚すくいにカキ氷に焼き鳥に……いっぱいあるよ」

 「じゃ、じゃあまずはあれで!」

 梓ちゃんが指をさしたほうを見ると、りんご飴があった。

 

 「りんご飴か~食べたいの?」

 「う、うん」

 「分かった。オレがお金出すよ」

 「え、ええっ!? そんなのいいよ!!」

 「ん? 気にしないで。流石に食べたいの全部とかは無理だけど、1つくらいならね」

 梓ちゃんはがめついわけじゃないからいいけど、ここからここまでとか言われたり、露店のメニュー端から食べつくそうとか言われたら困るわけだ。

 

 「ありがと……」

 「どれが良いの?」

 オレは小さい頃からお祭りには来ているが、りんご飴とは無縁だ。何故かは分からないけど。見るところによると、りんご飴と銘打っておきながら、イチゴ飴やブドウ飴なるものもある。どれがいいんだろう。

 

 「りんご飴の小さいものがいいな」

 「大きいのじゃなくて良いの?」

 「うん。そんなにたくさんは食べられないからね」

 「そうなの。おじさん、これ1つね」

 『はいよ。200円ね』

 「ほい」

 『ありがとさん。いいねえお若いの。ラブラブじゃないか』

 「え!? そ、それはどうも……」

 いかにも露店のおじさんといった(白のタンクトップに頭にタオルで鉢巻)人がこういった。

 

 「ちょ、ちょっと恥ずかしいね」

 「う、うん……お祭りって定番じゃないのかな?」

 「どうなんだろうね」

 年齢層関係なく見当たるんだけどなあ。まああのおじさんがベテランだと思っておこう。客引きのために気分のいいことを言っているとか。

 

 「だがしかし多いよな~人が」

 「何か今日イベントがあるのかな?」

 「どうなんだろうね。あったとしても、玲さん何も言ってなかったし」

 「そうだね。他に回ろうよ!」

 「そうしよう。あ、あれは……?」

 オレは視線の先に『射的』なるものを見つけた。

 

 「は、初めて見つけた射的!」

 「そうなの?」

 「どのお祭りに行っても見当たらなかったんだよね~」

 「珍しいね」

 「ちょっとやってみてもいいかな」

 「いいよ。わたしは見てるから」

 りんご飴をなめながら、オレの射的を見守ってくれることになった梓ちゃん。

 

 「意外と遠いもんだな」

 そして、意外と銃も重い。何処に飛んでいくかはさっぱり当たらない。持ち弾は5個らしい。

 

 「よしっ。いっちょやったるか」

 と意気込むも1発目は外す。難しいものだ。

 

 「頑張ってヒロ君」

 「ありがと梓ちゃん」

 後ろでエールを送ってくれる梓ちゃんのためにも。

 

 「く~……今かすったのかよ」 

 「おしいおしい。ちょっと当たったよ」

 確かに。あんな大きい的なのに当たりにくいんだな。

 

 「ちょっと狙いを小さいのに変えたほうが良いのかな」

 「大きいのは当たるけど、倒れないんだよね」

 「だから、小さいのに変えてみようと思う」

 ここで狙いをシフトチェンジ。小さめの何かしらの物を狙う。

 

 「おっ! 当たった!!」

 「流石だね」

 「これは……キャラメルか。取っておこう。あと2発あるし……」

 何かいいものを当てたいものである。

 

 「今ジャストミートしたのに!!」

 「ほんの少しだけ勢いが足りなかったのかな」

 「く~最後にアレ倒してやる」

 と意気込むものの力が入りすぎて、最後の弾は何処に行ったか分からない。

 

 「気負いすぎだよ」

 「む~悔しい」

 「楽しかった?」

 「うん。ありがと。梓ちゃん次何処に行く?」

 オレが射的を楽しみ終わった後は、梓ちゃんが希望するところを歩き回る。

 

 

   ★

 

 

 「まずは………これ、かしらね」

 「姉上も好きじゃのう。クレープ」

 「いいじゃないの。昔からだから」

 姉上が何故か最初にクレープの店を選び買った。クレープは普通終わり際に食べるものではないのかのう。

 

 「それにしても、人多いわね」

 「花火でも上がるのかも知れんな」

 「そんな話は聞いておらぬが」

 「玲さんなら何か知っているでしょうけど」

 「ま、そんなことは後ででもいい。今はとにかく好きなところに行くがいいさ」

 雄二がこう言った故、姉上は久しぶりのお祭りを楽しんでおる。もちろんワシも楽しい。

 

 「あそこにいるのは、竜也と憂ではないかの?」

 「確かに。幸せそうね竜也君」

 「ああ。平沢も結構楽しいといった表情じゃないか」

 「あの2人なら心配はいらぬだろう」

 「何が?」

 「それに比べ……」

 「どうした秀吉。俺たちの顔を見て」

 少々、竜也憂や弘志梓を見習ってもらいたいものじゃ。お互いを信頼してるならば、ゴールはもうすぐじゃろうに。

 

 「何でもないのじゃ。あれは焼き鳥の店じゃな」

 「おっ。ちょっと買ってきてもいいか?」

 「いいわよ。好きなの?」

 「ああ。祭りの時は豚バラだって相場は決まってる」

 「そうなのじゃな。ワシらはここで待っておる」

 混雑しておるから、あまりそこには入っていきたくないために、待つという選択肢をとった。

 

 「秀吉~!!」

 「ん? 明久? どうしたのじゃ?」

 「姉さんが秀吉を呼んでいるんだ。ちょっと来てくれない?」

 「い、今かの?」

 「うん。急いでって」

 タイミング悪いのう明久よ。何故雄二がいるときにその作戦を実行しないのじゃ。仕方ない故ワシは口裏を合わせるが……

 

 「どうしたのであろう……」

 「呼ばれてるんだったら早く行きなさい秀吉」

 「じゃ、じゃが姉上が1人に……」

 「心配要らないわよ。すぐに坂本君帰ってくるだろうし。あんたもそんなにかからないでしょう」

 「多分そうだと思うよ。秀吉」

 「分かったのじゃ。姉上、よろしくなのじゃ」

 「はいはい。玲さんに迷惑を掛けないようにするのよ」

 多少は雄二がびっくりするじゃろうが、まあいいじゃろう。

 

 

   ★

 

 

 『お、かわいいねえ』

 『ねえねえお嬢ちゃん、ボクたちと一緒に遊ばない?』

 何かと思えばナンパか。いわゆる。ホントだるい。こういうのしか出来ないのかしら。で、でも前に秀吉とお祭りに来た時は秀吉だけしかナンパされなかったし……アタシって……い、いや。ナンパはロクな男がいないから断らないと。

 

 「遠慮しておきます」

 『そんなこと言わないで』

 『どうせ1人でいるんだろ?』

 「い、いえ」

 どうして早く戻ってこないのよ!! って、アレは……坂本君。こいつらどうにかして……

 

 って、こっちに焼き鳥食べながら歩いてきているけど、アタシが困っていることに気づいていない? もしかして、知り合いと話しているように見えるとか!?

 し、仕方ないわね。ちょっと強引かもしれないけど……秀吉が言ってたわね。こういった男を困らせるには ー って、何で秀吉の方がそういうの詳しいのかはいささか疑問に思うけど、多分演劇でこういうシーンをやったことがあるとかよね。ってか、それでも秀吉は女役なの!? ちょっと許せないわね……

 こんなこと迷っている段じゃない。え、え~っとカップルらしくしていればいいのよね確か。か、カップル? こ、これはこいつらを退治するための作戦なんだから!(ここまで5秒)

 

 「あ、さか ー 」

 って、ふ、普通カップルって名前同士じゃないといけないじゃなかったかしら……ってことは、ゆ、雄二って呼ばないといけないのね。死ぬほど恥ずかしいけど、アタシにだって秀吉譲りの演技力はあるはず。それに雄二だって後で事情話したら分かってくれるはず。ってか、助けに来なさいよ。(これで3秒)

 

 「ゆ、雄二! やっと来た~!! 待ったんだからね~」

 な、何言ってるのかしらアタシ!! こんなのアタシじゃない!! 死ぬほど恥ずかしい! 秀吉っていつもこんなことを! く~ココまで来たからには腹をくくるしかないわね(2秒)

 

 「ど、どうしたきの ー 」

 (いいから話合わせなさいよ!! 下の名前で呼ぶこと!!)

 「あ、ああ……」

 『ちっ。男持ちかよ』

 『こんなブスが相手とはな』

 ブス? 雄二が? こいつら目ん玉腐ってるんじゃないでしょうね?

 

 「何言ってるのかしら。雄二の何処がブスかしら。アンタたちのほうがよっぽどひどいわよ」

 『けっ……とんだ面食いだぜ』

 『男を見る目がないこいつも大した女じゃないな。あばよブスども』

 「おい、ちょい待ち」

 アタシが腸煮え繰り返って、手を出そうとしたら、雄二が言葉でとめた。

 

 『何だよ』

 「俺をいくらでも侮辱するのはいいが、こいつを侮辱するのだけはいただけねえな」

 『事実を言ったまでだ』

 「ふん。喧嘩売ってるのか。いいだろう。『悪鬼羅刹』の名に掛けてな」

 『あ、悪鬼羅刹だと!?』

 『かなわねえ! 逃げるぞ!!』

 逃げていった……『悪鬼羅刹』って確か雄二の中学時代のあだ名……こんなところにまで来てそれが。

 

 「すまんな迷惑掛けて」

 「べ、別に……助かったわ。ありがとう」 

 「当たり前のことをやったまでだ。しかしまだ『悪鬼羅刹』の名を使えるとはな。つまらねえものを見せたな」

 「頼りになるのね。中学時代悪さをしていたというのも」

 小学生時代は神童と呼ばれた男が、中学生時代に一転して悪鬼羅刹の名を近隣に轟かせていた。この変化には何が起こったかはある程度は予測できるけど……今は穏やかになったわよね。

 

 「そうだな。ところで、秀吉はどうしたのだ?」

 「明久君がやってきて、玲さんが呼んでいるからって連れて行かれたわ」

 「ふ~ん。そうか」

 「メールが着たわ秀吉から」

 

 ちょっと長くなりそうだから、雄二と回って欲しい

 

 「仕方ないわね……」

 「秀吉帰ってこれないみたいか」

 「ええ。じゃあ秀吉の言うとおり回りましょう、雄二」

 「な、なあ優子。その雄二って言い方~」

 し、しまった!! さっきの癖というかなんというかまだ残っていた!!

 

 「き、きき気にしないで!! あれはさっきの男達を追っ払うために ー っていうか、あなたも今優子って呼んだじゃないの!」

 「そ、それはだな。さっき話を合わせろ~とかの件で ー 」

 「まあいいわ………せっかくだし、このままで」

 「それでいいのかよ」

 「仲良くなったんだし。いいんじゃないの?」

 それに、やっぱり頼りになるし。って何考えてるのかしらアタシ!!

 

 「そ、そうか。分かった優子」

 「よろしくね雄二」

 「な、何かむずがゆいな」

 「いいの! じゃあ次何処に行く?」

 

  『どうやら大成功のようじゃな。2人とも頑張るのじゃ』

 

 「ん?」

 「どうかしたか?」

 「何か視線を感じたのよ」

 「そりゃあ、かわいいから目立つのだろうな」

 「か、可愛い!?」

 「き、気にするな。早く行くぞ!」

 いつも秀吉ばかりに注目があったから、素直に嬉しい。何か変な感じだわ。

 

 





 りんご飴、食べたことないんですよね~
 何故か。
 後、射的を見たことがないってのも実話です。
 一回も見たことがないです。
 「くじびき」ならどこにでもあるのに……

 サブタイトルのように、2人の仲は進展しました。

 ようやくスタートラインに立った所なのか。
 
 どうなのか。

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