青春と音楽と召喚獣   作:いくや

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 早速オリジナルキャラを出すこの作者……

 何か……将来的にまた出てきそうだから名前を一応つけました。

 今後、またオリジナルキャラ出しそうなので、ここで訂正しておきます。

 都合により、レギュラー格のオリキャラも出るかもしれないと。


 いよいよ、軽音部に接していきます。

 では、どうぞ!



#6 見学!

 

 4月ももう下旬になって、暖かくなってきたと思いながら登校している。そろそろ半袖でもいいんじゃないかなとも思ってしまう。今日はアキが集合時間に間に合わなかったので、電話で起こしてオレは先に行った。

 靴箱で、下靴を赤がトレードマークの上靴に履き替えようとしたときに、1人の男子生徒がオレの横にきて、同様の動きをやっていた。そいつの背中にはギターが入っているであろうケースが。意を決してたずねてみることにした。

 

 「ねえ、軽音部に入ってんの?」

 「いや、入ってない」

 「じゃあ、ジャズ研?」

 「部活には入ってない」

 ……? じゃあ何で学校にギターを持ってくるのだろう? オレの疑問を察してくれたのか向こうから答えを出してくれた。

 

 「これか。俺は中学時から外バンを組んでいて、今日放課後直接スタジオに行くからだ」

 外バン? 外でバンドを組んでいるということか。なるほど。そういうことか。

 

 「そうなんだ、ありがとう。因みにそのバンド名は?」

 「よーぐるっぺ☆」

 「聞いたことあるな……」

 「そりゃそうだ。ウチのバンドのボーカルとベースは長月中学出身だからな」

 おおっ。思い出した。そうか、中学時によく聞いたバンド名だ「よーぐるっぺ☆」。結構人気高かった気が。へえ、コイツがそのギタリストか。滅茶苦茶上手いって噂の。

 

 「軽音部には入らないの?」

 「外バンで一杯」

 「そうか……男子が誰も居ないからどうしようかと思ってたんだよ」

 「音楽が好きならばそんなことは関係ないんじゃないか?」

 いきなり核心を突かれた。そうだな、確かにこいつの言うとおりだ。見た目はチャランポランしてるけど、考え方とかはしっかりしてるぜ。

 

 「ありがとな。お前、名前なんだ? オレは七島弘志ってんだ。弘志って気軽に呼んでくれ」

 「丸山晶(まるやまあきら)。晶と呼んでくれ弘志」

 「おう晶。ライブするときは見に行くから誘ってくれ」

 「分かった」

 「楽しみにしとくぜ!」

 オレはそう言い残して、先に教室に入った。

 さっきの晶の言葉に背中押されたぜ。よしっ。今日から軽音部を見学だ~!

 

   ★

 

 放課後になって、先生に呼び出され(テストの時、名前を空欄にしてたりしたとかetc...)職員室から教室に帰って来たときはほとんどの生徒が教室から姿を消していた。教室に残っていたのは1人だけ。オレの前の席の中野さんだ。ギターを隣に置いて神妙な面持ちで座っていた。オレがドアを開けて教室に入ってくると何だかそわそわしていた。

 せっかくなんで、軽音部を中野さんに案内してもらうことにしよう。ということで声をかけてみる。が、高校に入って初めて女子と喋る。緊張してきた~……

 意を決して呼びかけることにした。

 

 「「あ、あのっ!」」

 「「へ……?」」

 

 オレが呼びかけると同時に、中野さんもオレに話しかけた。ど、どうしよう……

 「え、あ、先にどうぞ」

 「あ、そちらこそ」

 と果てしなく続く譲り合い。これはどっちかが折れないと……オレが先に言うことに決めた。

 

 「な、中野さんって軽音部だよね……?」

 「え、あ、はい」

 「オレちょっと見学したいなと思ってるんだけど」

 「あ……分かりました」

 一瞬戸惑ったような表情を見せていた中野さんだったが、すぐに肯定の意を表明してくれた。

 

 「あ、中野さんが言いたかったことは?」

 「もう良いんです。解決しました」

 「というと?」

 「金曜日にちょっとだけ音楽室に姿を現しましたよね。あの時に、新入部員じゃないかってことで大騒ぎになっていて……わたしの席の後ろの人だってのはちょっと見ただけでも分かったから。それを言ったら、月曜日に連れて来てくれって言われたから」

 面はバレていたという訳か……何かちょっと悪いことしちゃったな。

 

 「わざわざありがとうね。オレ楽器何も出来ないけど、あの新歓ライブを見てすっげー感動したんだ」

 「あ……やっぱり……」

 「そう。で、あの魅力は何だろうと思って軽音部を見学したいなと思って」

 「そうなんだ……」

 心なしか、少々元気が無いようだ。

 

 「ちょっと変じゃない? 何かあんまり音楽室へ行きたくないなって感じだし」

 「えっ!? あ、それは…その……」

 「先輩達にあんなに怒っちゃったから、行くのは気が引けるんだ」

 「どうしてそれを!?」

 そのシーン見てたからね……そう思うのが普通の人間の感情ってものだよ。あんなことしたのに、平気で部活行けるっていうと、先輩として尊敬してないか自分の腕に自信があるかだろうなあ。

 

 「じゃあ、オレは顧問の先生に話を通してくるけど」

 「わたしも行きます。その先生に頼まれていたことなので。それに誰が顧問か分からないでしょう」

 「それもそうだな……あ、気になったんだけど、同級生なんだから気軽に話そうよ。敬語なんて使わなくて」

 「え、あ……うん……そだね」

 オレは荷物を持って廊下へ出た。すると後ろから中野さんが荷物とギターを抱えて廊下へ出てきた。

 荷物重そうだなあ。

 

 「荷物持とうか? 流石にギター持つのは気が引けるけど」

 「いいよ。慣れてるから」

 「そう? それならいいけど」

 2人で職員室へと向かった。その間、誰の目にも止まらなかったのは幸運だった。変な噂が広まると取り返しのつかないところまで広まりそうだったからな。オレじゃなく中野さんに申し訳ないわ。

 職員室へ入ると、中野さんは顧問の先生の下へ歩き出した。オレはその後ろについていく。

 

 「あら梓ちゃん、どうしたの? そちらの人は?」

 「先生、金曜日に頼まれていたことです。この人が ー 」

 「七島弘志です。軽音部を見学したいと思いまして」

 「見学?」

 「ええ。自分は何も楽器が出来ないけれども、去年の学園祭や新歓ライブの演奏を聴いて、何ていうんだろう。言葉で表現できないようなことがありまして ー 」

 

 「分かったわ。私も今部室へ向かうところだったの。一緒に行きましょう」

 「はい。あ、先生の名前は?」

 「言い忘れてたわね。山中さわ子(やまなかさわこ)よ。よろしくね」

 「よろしくお願いします」

 これはまたメガネ美人の先生だ。高橋先生って人もそうだったが、こちらのほうはまた違った感じの……

 そんなことを考えていると、さっさと歩き出していたので後を追う。

 

 音楽準備室前につくと、躊躇もなしに先生はドアを開けた。普通躊躇はしないか……中野さんもそれに従って入る。オレはひとまず、ドア前に待機。

 

 「みんな聞いて!」

 「さわちゃん……どったの?」

 「新入部員が来たわ!」

 『新入部員!?』

 見事に全員の声が聞こえてきた。

 先生の思わぬ発言に部屋へ入ってしまう。

 

 「先生、まだ入部するとまでは言ってませんよ! 見学って言ったじゃないですか」

 「あら、そうだっけ? 紹介するわ。1年生の ー 」

 「どうも初めまして。七島弘志と言います」

 自己紹介すると、先輩方は1人1人自己紹介をしてくださった。

 

 「部長の田井中律(たいなかりつ)だよ~ん。パートはドラム。よろしく!」

 元気一杯がモットーという感じの田井中先輩。ショートカットにカチューシャをつけおでこを出していた。パワフルな演奏だったのは覚えている。

 

 「秋山澪(あきやまみお)だ。ベースをしている。よろしくな」

 黒ロングのストレート、珍しい左利きのベースだったのは覚えている。たまにボーカルもしていた。あれ?そういえばこの先輩、去年の学園祭で ー とか思っていたら次の先輩が自己紹介していた。

 

 「キーボード担当の琴吹紬(ことぶきつむぎ)です。よろしくね」

 おっとり系のお嬢様という感じ。金髪とまでは言わないけど明るい色のロングな人。この先輩のキーボードは繊細かつ大胆だったイメージが。

 

 「平沢唯(ひらさわゆい)だよ。ギターとボーカルをしているよ。よろしくね」

 可愛いタイプの顔つきで、茶髪のセミロング。ああ、確かに平沢さん(妹)と似ているなあ。この先輩が、最初は素人で部活に入った先輩なんだよね。そうは見えなかったけどなあ。

 「わたしも……ですかね。改めて中野梓です。ギターをしているよ」

 クラスメイトの中野さん、同じ学年同じクラスということで仲良くしていきたいものだ。

 

 「それよりさあ、弘志君って何で軽音部に入ろうとしたの?」

 「何のパートを希望するの?」

 「お菓子何が好き?」

 と先輩方が矢継ぎ早に質問するので焦っていたら、秋山先輩が助け舟を出してくれた。

 

 「お前ら落ち着け。まず座ろう。そこで1個ずつ質問をしようじゃない」

 『はーい』

 奥にあるテーブルにそれぞれが座っていった。

 

       田井中先輩 平沢先輩

        テーブル  テーブル

        テーブル  テーブル

       秋山先輩   琴吹先輩

 

 先輩方はこんな感じに座った。

 中野さんが田井中先輩と秋山先輩の間のテーブルの横に座ったので、オレはその対面に陣取った。

 先生は、オレの左斜め後ろ3歩分くらいに位置とってパイプ椅子を取り出して座った。あれ? わざわざ出してきたということは、本当はこの場所先生の場所だったのかな……悪いことしたなあ……。

 というか、テーブルって言い方が悪いな。机だ机。教室にあるような机。

 

 「詳しい自己紹介をしてもらおうよ。こっちが聞きたい部分があったらこっちから質問するからさ」

 「あ、はい。分かりました」

 秋山先輩がオレにこう提案してくれたのでその通りにすることにした。

 

 「七島弘志です。残念ながら楽器は何も出来ません。ですが、去年の学園祭のライブや新歓ライブを聴いて、言葉に表せない何かがあって見学をしに来ました。絶対に邪魔はしないので、みなさんはいつもどおりのことをやっててもらって構いません。自分はじっと見ているだけです」

 一通り言い終わったら、質問が飛んできた。

 

 「楽器、何かしたいとかないの?」

 「えーっと……そこまでは……入ると決めたら、全ての楽器の基礎から学んでそこから何がしたいか決めたいです」

 「なるほどね~」

 「あ、えっとこちらから質問よろしいでしょうか?」

 「どったの? 何なに?」

 オレは一番気になったことを言った。

 

 「部員はこれだけですか?」

 それを言うと、気まずそうにみんな目をそらした。やべえまずいこと言っちゃった……

 「あ、すいません。そういったつもりじゃ……ただ、男子の先輩がいないか気になっただけで」

 「部員はこの子達だけ5人。だから男子はあなただけよ」

 と後ろから聞こえてきた。山中先生が答えてくれた。そうか。それなら仕方ないなあ……

 

 「やっぱ……男子の先輩とかいたほうが ー 」

 「あ、いやそんなことは無いですよ! ただ気になっただけですから」

 「そうなんだ~……」

 「あ、もう自分に構わないでください。いつもどおりにお願いします」

 オレがそう言うと、平沢先輩が口を開いた。

 

 「じゃあ、いつもどおりに。ムギちゃ~ん」

 「は~い。今淹れますよ~」

 と、自前のティーセットを取り出し、1人1人の前に紅茶が置かれた。そしてお菓子も出てきた。こ、これが非公認お菓子ということか。ってかもろ先生の目の前!? 先生の方を見てみると ー 普通に一緒になって食べてるし! ま、まあいいや。これが練習前の腹ごしらえというものなのだろう。

 

 「いただきま~す」

 「おいひ~い」

 オレも一口食べてみる。めっちゃ美味しい。こんなお菓子食べたこと無いぜ……

 

 「ムギちゃんはね~」

 と平沢先輩がお菓子を食べながらオレに説明してくれた。

 「お嬢様なんだよ~」

 なるほど。見た目どおりか。ってことは中野さんが金曜日に怒っていた自前のティーセットってのはこの人が。

 「家で余ったお茶やお菓子を持ってきているんですよ」

 余ったお茶やお菓子って……凄いな。

 

 「そういえば、ティーセット結局撤去しなかったのは?」

 「何でもかんでも否定するのはよくないと思いまして……」

 金曜日のことか。そりゃあ最初に来たらそう思ってしまうわ。流石にダメだろ!?と思ったけど先輩に向かって言えないよね……

 「梓ちゃんっていつギター始めたの?」

 平沢先輩がそう中野さんに尋ねた。

 「小4からです。親がジャズバンドをやっていたのでその影響で」

 「へーすごい」

 ギターってそんな小さい頃から握っている人居るんだね。そりゃ上手いだろうなあ。聞いたこと無いけど…

 

 「そうそう、私梓ちゃんにプレゼント持ってきたの」

 と、山中先生が思い出し、持参した袋からとあるものを取り出す。

 「何ですかそれ……」

 「何って“ネコ耳”よ」

 「それは知ってます。けど、これをどうすれば……」

 非常に困惑した表情を浮かべる中野さん。そして恐ろしい笑みを浮かべながら、中野さんの頭に装着させようとしている山中先生。

 

 「ダメです!」

 「もう、恥ずかしがりやさんね……」

 いや……そういうものじゃないと思う。

 

 「先輩方だって ー 」

 その考えは甘いかもしれない。あの着ぐるみを着ていた人たちだぞ。

 「躊躇無くつけてる!」

 やっぱり……ここで常識というのは通用しないのか。持ちこたえろ中野さん。オレは応援するよ。

 琴吹先輩や平沢先輩がつけた後に、とうとう中野さんに回ってきた。

 渋々といった表情で、恐る恐るネコ耳を装着している。

 

 『オオー!!』

 「似合っているよ!」

 先輩方が騒ぐのは無理は無い。確かに似合っている。この先生の眼力恐るべし。

 

 「ねえ、ニャーって言ってみて。ニャーって」

 「に、ニャー……」

 「最高っ……」

  やばいな。直視出来なくなって来た。あまりにも似合いすぎて……見ているこっちも恥ずかしくなる。

 

 「今日から、梓ちゃんのあだ名は“あずにゃん”で決定だね」

 「え……?」

 再び騒ぎ出した先輩方。大丈夫なのかな……

 その騒ぎに先生も便乗して“ネコ耳メイド”とか言って大はしゃぎ。

 思わず中野さんの口からこぼれた『練習していないのに疲れた』というのには同情できる。

 

 「それならば、弘志君も何かあだ名をつけないと ー 」

 「け、結構ですよ~」

 変なのつけられないといいけど……そうならないために先手を打つ!

 「じゃ、じゃあ、みんなからは“ヒロ”って呼ばれてるからそれでお願いします」

 「ヒロねえ……分かった!」

 ほっ……オレまで“ヒロにゃん”とかになったらどうしようかと思ったぜ……

 

 結局、今日は練習せずに部活は終了。6人で歩いて帰っているときに、

 「ねえねえ、アイス食べに行かない?」

 「いいわね。そうしましょう」

 「あずにゃんも一緒に。先輩がおごってあげる。わたしの行きつけの店」

 「は、はあ……」

 「違うよあずにゃん、返事は“ニャー”だよ。はい“ニャー”」

 「に、ニャー……」

 「おーしよしよしよし」

 手なずけられてる……

 

 「ヒロも遠慮せずについて来いよ」

 「え、ええ」

 オレと中野さんの心情は多分一致しているだろう。“この部活大丈夫なのかな……”

 いつの間にかアイス屋の前について、アイスを買い食べ始めた。甘いものが大好きという平沢先輩の行きつけの店だけあって、とっても美味しかった。ここもチェックしておかないと。

 

 オレと中野さんの前に、秋山先輩が来て話しかけてきた。

 「大丈夫? この軽音部でやっていけそう?」

 「あ、えーっと、こののんびりした空気がちょっと……あれですけど……」

 真面目だなあ。練習熱心だよ本当に。

 「大丈夫。すぐ慣れるよ」

 ていうか、慣れたくないという呟きが中野さんのほうから聞こえてきた気がした。

 

 その後、みんな分かれてオレは1人で帰っているときに、買い物中のアキに偶然遭遇した。

 「おうアキ、買い物か」

 「あ、ヒロ、そだよ。何日分かのね」

 「お前、料理自分で作ってるのか?」

 「そうじゃないと誰が作るんだよ」

 「確かにそうだな」

 アキの両親が1人暮らしをさせてるということは、そこそこは家事が出来るのだろう。

 

 「軽音部、どんな感じ?」

 「ん~まだ見学だけど、面白い部活だよ。女子しか居ないのがちょっと残念かな」

 「そうなのか~女子しか居ないってうらやましすぎると思うけどな」

 「そういうものか? まあいいや。明日は寝坊しないように早く寝ろよ」

 「善処するよ」

 あれ? 善処って善い方向に処理するって意味だよね。でも、何故だろう。今の流れからすると、全くいい方向に使われている気がしない。寝坊する確率高そう……

 その後数分話した後、それぞれの家に帰った。心に1つの疑問を抱きながら。

 

 





 このオリジナルキャラはどっか抜けている場面をところどころ出してます。

 高校生活で初めて女子と喋ったときはめっちゃ緊張しました。今でも覚えていますよ!

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