青春と音楽と召喚獣   作:いくや

40 / 100

 う~ん……
 
 ちょっと原作に近いかな?
 メンバーは大分変わっていますが。

 サブタイトルからある程度の予測はつくであろう。


 では、どうぞ!!




#40 浴衣!

 

 「………む……」

 朝になったのだろうか。少し目が覚めたみたいで、オレは目を開く。そこには……

 

 「くー……ぐー……」

 秀吉の寝顔が10cm前にあった。男子の雑魚寝とはいえ、秀吉の顔が突然現れるとちょっとドキドキする。これは男として正常なことだと信じよう。

 

 「最悪だ~!!」 

 オレたちの1日は、アキのこの大声によってスタートしたといっても過言ではあるまい。セルフ目覚ましだ。

 

 「何があったんだ」

 と言いながらオレは起き上がりアキに問う。

 

 「目を覚ましたら目の前には雄二の寝顔だよ。チクショウ」

 「そういうな」

 「ヒロは目の前が秀吉だったからいいんだ!!」

 「それはどうも」

 確かに、男子にアンケートをとってみてもアキが言っている結果みたいになるだろう。

  『目を覚ましたらそこにはとある寝顔が。雄二・秀吉どっちがいい?』

 ほとんどの男子が秀吉と答えるに違いない。雄二と答える人間は、ちょっとコッチ系の人ですかと疑いたくなる。

 

 「ったく朝からうるせえな」

 「お前のせいだよ!」

 みんなアキの大声で完全に目が覚めたらしく、それぞれが起き上がった。

 3日目が始まる。学習室に向かう前に、須川が突然部屋にやってきた。

 

 「お前らに話がある」

 「珍しいな須川。いったい何があった」

 「頼む。俺たちと共に女子風呂覗きに参加してくれ!!」 

 思わぬ言葉に一同口を開けていた。何て直球勝負なんだ…須川はさらに続けた。

 

 「下位クラスで参加してないのはお前たちだけだ! 今日からは上位クラスも誘おうとしている」

 須川の行動力は尋常じゃないな。ただ、そんな頼みに答えるわけにも行かないが……

 

 「お前たちは女子に追われていると聞く。それならこっちが追えばよい話なのではないか?」

 結構痛いところをつかれる。雄二も顔をしかませ、最善策を考える。

 

 「考えておく」

 「いい返事を楽しみにしている」

 という、逃げの姿勢で須川を部屋から追い出した。

 

 「さて、須川の言う通りなんだが……」

 「言い方は悪いが、利用させてもらおうか」

 「カモフラージュってわけじゃな」

 「女子の追っ手も減る。やつらも覗きがしやすくなる。お互いのメリットは重なっているんだ」

 ただ、やつらの取る行動が犯罪行為ではなければ二の足を踏むことは無かっただろう。

 

 「ま、それはオレと雄二が何かいい案を考えておこう」 

 「俺も含まれるのがビックリしたが、他の連中よりかは幾分マシだろう」

 「その通り。4人は勉強に集中してもらおう。短期集中型で少しでも点数を上げてほしいからな」

 あからさまに嫌そうな顔をするも、自分達の身に危険が及んでいるのを分かっているためにしぶしぶ承諾した。

 

 「おはよう~」

 学習室に行き、女子4人と合流。再びマンツーマン学習を始める。オレの所は梓ちゃんにちょっと任せるとして、監視兼考え事をする。

 

 ふむ。覗きに男子が勢力つぎ込むと女子はそっちの防衛に徹しないといけないから、こちらに差し向ける戦力が減る。か。ということは必然的に(間接的に)やつらの覗きに参加しないといけないと言うわけか。上位クラスに交渉するのは須川出来るのかね……だがしかしオレが表立って手を貸すことは出来ない。さらにオレたちがカメラを設置していたという状況証拠の後押しになりかねない。

 

 「考えてくれたか?」

 昼休み、須川が再びやってくる。オレはこう返した。

 

 「CBAクラスが参加するならやってやろうじゃないか」

 「そのクラスとの交渉を手伝ってくれ」

 「却下だ」

 オレは心の中でこう思った。裏から手を引くくらいならやろうと。こちらの身の安全を守るために。

 

 「雄二」

 「んあ?」

 「ちょっといいか?」

 「何だ?」

 ちょっと離れたところに雄二を呼び出して、作戦を聞かせる。

 

 「 ー ってことなんだが」 

 「ほう……それは女子次第だな」

 「もちろんそうだ。却下すればオレも素直に手を引く」

 「分かった。それならばヒロが頼んでくれな」

 言いだしっぺとはいえ、こういうの言うのはちょっと気が引ける。

 

 自習が終わった後に、意を決して女子4人に頼み込む。

 

 「お願いがあるんだけどさ、お風呂入ってご飯も食べた後に、コッチの部屋に来てくれない?」

 「え、いいよ♪」

 「大事な話があるんだろうし」

 案外簡単に話に乗ってくれた。狙いは部屋に来てもらってから話すことにしよう。

 

 ご飯食べたあとに、女子4人が来てくれる。

 

 「お邪魔しま~す」

 「いらっしゃい」

 オレらは浴衣姿で、女子を出迎えた。

 

 「先生いなかった?」

 「いたけど、普通に通してくれたよ」

 「そうか~」

 「それより話なんなの?」

 オレは男子全員に目配せをし、シナリオどおりに進めることにした。

 

 「お願いがあるんだ」

 「どうしたの明久君」

 「みんなに浴衣を着てもらいたい」

 『は?』

 「オレからも頼む!!」

 アキと竜也という女子殺しの異名を持つであろう(willね)2人を武器に挑む。

 

 「何で突然?」 

 それを聞かれると非常に困る。素直に言うべきか……

 

 「ただ、趣味で見てみたいわけじゃないでしょ。何か目的があって……」

 男子はオレに視線を向ける。なるほど。後は言いだしっぺが処理を行えと。

 

 「ちょっと考えたことがあるんだけど、それだと4人を傷つけてしまうかもしれないんだ」 

 「何よそれ?」

 「4人を売るような考えじゃないかって思うんだけど、それが最善の策なんだ」

 「ますます話が分からないわね。言ってみなさいよ」

 女子4人は顔をあわせて首をかしげていた。

 

 「4人の浴衣姿をカメラに撮って現像する。それをCBAクラスの男子に回すんだ。そうしてやつらに覗き参加を暗に後押しするんだ。これをすることによって、女子はその対応に人員を割かねばならないから、今後増えるであろうオレたちへの攻撃も幾分か弱体化すると考えたんだ。ホントにこんな考えして申し訳ない!」

 コレが成功する確率は分からないが、効果はあるに違いない。

 

 「本当にボクたちでそんなことなるかな?」

 「そこまでならないと思うけどなあ」

 「何言ってるんだよ! みんななら必ずなる!!」

 女子4人とも自分をそこまで下に見ないでいいと思う。竜也が力説しているけど。

 

 「そこまでいうなら、みんなのためにね♪ 浴衣姿はちょっと恥ずかしいけどいいよ♪」

 「愛子!?」

 「そうだね。わたしたちが被写体になるだけでいいんなら喜んで。ちょっと恥ずかしいけど」

 「憂まで!?」

 愛子ちゃんと憂ちゃんはOKを出してくれた。何て心が広いんだ。

 

 「でも、その写真出回るんでしょ……」

 「恥ずかしいよ……」

 この反応があるもんねえ。しかも売ってるように見えるから本当に申し訳ない。

 

 「みんなが見た後は確実に俺たちの元へ返却させるし、コピーもさせないようにする」

 雄二がフォローを入れた。確かに坂本雄二の名を出したら、若葉学園で知らぬものはいない。誰も逆らうことは出来ないだろう(悪鬼羅刹という異名を知っている人に限るが)

 

 「それなら…」

 「うん。約束できるなら」

 「4人ともお願いします」

 みんな正座をして頼み込む。いわゆる土下座というものであろうが、卑屈な態度ではない。

 

 「仕方ないわね。今回だけよ」

 「ありがとう優子さん!!」

 「今回の件終わったら、絶対にデータ消してね!!」

 「分かったよ梓ちゃん」

 みんなが了承してくれたおかげで、作戦が上手く行きそうな気がしてきた。オレたちは予備の浴衣を4人に差し出し、オレたち6人揃って4人が見えない位置に移動する。外に出ると先生がいる、中にいると女子が着替えているという動けない状態だ。康太は既にカメラの準備を始めていた。やつのこういうセンスはピカイチだ。

 

 「着替え終わったよ♪」

 愛子ちゃんと憂ちゃんの声が聞こえてきたために、部屋に再び入る。

 

 「おおお!!!!」

 そこには、美しい女子が4人立っていた。

 

 「ちょっと、似合わないかもしれないけど……」

 「結構、恥ずかしいな」

 愛子ちゃんと憂ちゃんがちょっと顔を赤くしながらオレたちにこう言った。いや、最高です!その証拠に、隣の竜也とアキがうるさいですもん。

 

 「いや、もう最高だね!」

 「そうだなアキ。オレらは幸せだ」

 「あなたたちの個人的欲望にしているわけじゃないんだからね」

 それは分かっているんだが……あんまりこういったときに雄二は反応しないんだが、やっぱりやつも興味はあるらしかった。秀吉もそれなりに。ってか秀吉もこの4人と並んでいても違和感は無い。

 

 「ちょ、ちょっとじっくり見ないでよね!!」

 「そんなこと言われてもね……似合っているんだし可愛いしついつい見ちゃうよね」

 みんなうんうんとうなずいていた。優子さんと梓ちゃんが見たこと無いくらいに顔が赤くなっていっているのが分かる。康太は早速カメラを取り出し、鼻血と格闘しながら被写体を撮影する。たまに秀吉が混ざっているのは突っ込むべきなのだろうか。しばらく撮影会をしていたら随分撮ったみたいで(途中から随分と危ないアングルからの撮影もあったが)こんなんだったらAクラスといえども動きそうなのばっかりだった。

 正直、写真見せたから即覗きに発展するってのは短絡的な考えだが。もともとそういう気持ちが無いと、覗きなんて実行しないからね。あくまでこの写真は過程に過ぎない。その人の本心を表すための道具。

 

 『お~い、お前たちうるさいぞ! もう消灯時間だ! 出歩くなよ。すぐに就寝しなさい』

 突然、ドア外から西村先生の声が聞こえてきた。部屋に入ってこないところを見ると最低限度のマナーはある。

 

 「どうするアタシたち?」

 「今更帰られないよ」

 「一緒に寝ようか♪」

 「な、何言ってるの愛子ちゃん!」

 衝撃発言に康太がギブアップしました。鼻血を布団の上で散らさないで本当に良かった。危険を感じてヤツは部屋の風呂場に行っていたから。秀吉とアキはいつものごとく血液パックを用意し、輸血していた。こいつらにとっては日常の1コマなのであろう。なんら違和感なくそれらの仕事をやってのけた。

 

 「オレたちが迷惑かけたんだし、布団を4枚譲るよ」

 「そんないいのに……」

 「いやいや。あそこまでのことをやったんだからね」

 布団が6枚しかないのに、10人で寝る。しかも4人は女子。どういう形で寝るべきか。

 流石に男女で添い寝とかは無理だから……電気を消して、寝ようとするが、そうはいかない。

 

 「男の子と女の子が一つ屋根の下で一緒に寝れるって素敵だね」

 愛子ちゃんがR-18に突入しそうな勢いでコソコソ話をする。康太は何とか耐えているみたいだ。今日はこういう形だったためにあんまり寝ることが出来なかった。

 





 このことがFFF団に知れ渡ったら、どうなるんでしょう……

 若葉学園内で味方がいなくなる気が。

 この後、夜どんな話があったのかはご想像にお任せします♪

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