青春と音楽と召喚獣   作:いくや

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 普通、何処の高校もこんなに新入生を勧誘するのに必死なのか気になりながら書きました。

 ボクが通っている高校では、全くそういったことはないですね。
 固定層ですよ要するに。

 だから野球部は強い。
 文化部は弱い。
 興味があるものにしか全く……て感じです。

 では、どうぞ!!



#3 部活!

 

 月曜日、アキが待ち合わせ場所に時間通りに来れるか心配になって、携帯に電話をしてみた。アキは珍しく起きていて既に準備が出来ているとの応答が。

 その後、2人で登校することになった。学校の近くまで来た時、学校がえらく騒がしかったのに気づいた。

 「なあアキ、学校の方やけに賑やかだな。何かあってんのか?」

 「あれじゃない? 勧誘だよ、部活の」

 それを聞いて思い出した。そういえば、金曜日に担任がそんなことを言ってたな。月曜日は運動部の勧誘が、火曜日は文化部の勧誘があるって。興味があるものには実際に足を運んで是非とも部活動をして欲しいって。

 アキの言うとおり、学校前に来ると運動部の勧誘の声が聞こえてきた。

 

 「野球部です!」

 「サッカーしませんか!?」

 「男は黙って柔道だ」

 「バスケ~バスケ一緒にしよう!」

 「バレーがいいって!」

 「テニスもどうだい!?」

 「剣道を忘れてもらっちゃ困る」

 「バドミントンもあるんだぜ」

 「日本人なら国技と言われる相撲」

 「陸上部、初心者も大歓迎!」

 「プールで遊び放題! 水泳部~」

 「ハンドボールしてみましょう!」

 

 運動部だけでこんなにあったんだ……ビラを一応全部もらいながら靴箱へ向かう。ふと隣を見てみると、アキも苦笑いをしていた。

 「びっくりしたよ……まさかこんなに新入生を部活に誘うのに必死だとは」

 「ああ。部活が多いだけ、新入生は分かれる可能性もあるからな」

 「僕には関係ないけどね」

 「ん? 高校でも部活入らないのかよ」

 そう、アキは中学の時でも部活に入ってなかった。通称:帰宅部。

 

 「まあね、高校から一人暮らしだし、大変だよ」

 「そっか。アキの両親アメリカ行くって言ってたっけ?」

 「そうだよ。僕は日本に残っておきたかったからね。それはそうと、ヒロはやっぱり野球部なの?」

 やっぱり、というのはオレは中学時代野球部に所属していたからだ。固定観念として、中学時代野球部だったヤツは高校時代も野球部に入るって言うのがどうにもあるらしい。

 

 「まだ決めてねえ。おそらく野球部には入らねえよ」

 「何で!? ヒロ野球上手かったじゃん! 絶対野球部からもスカウトされるって」

 「その噂、どんな風に聞いた?」

 「その噂?」

 「オレが野球上手いって噂だよ」

 アキの話を聞いてみると、やはり事実とは違ったことが伝わっていた。要するに美化されていたのであった。中学最後の試合長月中学vs神無月中学の組み合わせは人気が高かった。そのため、観客も大勢入っていた。そんな中、オレは普段はベンチだったのだが、その試合前に主力が数人怪我して試合に出場することになった。8番ライトだ。通称:ライパチ。今じゃこんな言い方しないけど昔ならば一番下手なやつが入るところ。

 いよいよ試合が始まった。オレたちは後攻だったから初めは守備に就いた。初球、左バッターが引っ張り、ライトへ飛んできた。試合勘というものが不足しているためフライのボールを見失った。見えた頃にはもうボールは落ちてきていた。急いで落下地点へ走りこみスライディングキャッチ。まぐれでグローブに入っていた。このプレー周りから見ると、「守備上手え!」と。そして、緊張していたために返球するとき力加減が分からなく、投げたらピシャリキャッチャーの胸元へ。「あいつレーザービーム披露したぞ!」と。あれ? いい方に勘違いしてくれた。と思っていたらその後、打球は1球も飛んでこなくなった。

 打撃面では、緊張してバットが出なかっただけのに「選球眼もいいぞ!」とか、「威圧感ある」(身長は180cm弱)とかで、フォアボール。サインミスして盗塁してしまったらキャッチャーが暴投。「足が速くて焦ってしまったぜ」とのこと。いやいや、普通にアウトのタイミングだったと思っていた試合だった。

 

 「分かったかアキ、だからオレは野球は上手くねえ」

 「(語りだしたら止まらないんだよね……長かった)ふ~ん……まあやりたくないんだね」

 「野球部入ると野球が嫌いになりそうで怖いんだ。無理やりやらされている気がして」

 「分かる。それならどの部活にするの?」

 「興味がある部活に見学行ってその後決めるさ。いいの無かったら帰宅部だ」

 こんなにたくさん部活があるんだ。オレに合うような部活あるだろう。

 そう思いながら教室に行き、今日の学校が始まった。

 

   ★

 

 放課後になって、暇人だろうアキと一緒に部活を回ろうかと思ったが、用があるとかで断られた。しゃーねえ。1人で運動部回るか。と言っても、興味ある部活はサッカーくらいか。野球とサッカーくらいしか出来ねえからなあ。よし。サッカー部見に行くか。と思って、サッカー部のグラウンドがあるほうへ歩いている途中、話しかけられた。

 

 「おい、弘志!」

 振り返ると、そこには野球のユニフォーム姿の男がいた。

 おお、こいつはオレが所属していた野球部のキャプテンじゃねえか。

 

 「何だ? 久しぶりだな」

 「ああ。お前、何処行ってるの? 野球部じゃないわけ?」

 「ん? まあな。野球部には入らないぞ」

 「分からんな……せっかくのお前の才能が」

 「誤解だろ。今年じゃなくてもいい。甲子園、期待しているぜ。絶対応援しに行く」

 「…………もう決断したのか。お前は一度決断すると頑固だから譲らないもんな。分かった。お前らを甲子園に連れて行けるように練習するわ」

 「おう。楽しみにしておく。じゃあな」

 オレはその後、サッカー部の練習を見ていたのだが、若葉学園って進学校の割にスポーツも結構優秀なんだよなと思った。要するに、サッカー強豪校だったため練習はもちろん厳しい。これはオレには合わんな。運動部には縁が無かったと言うことだな……帰るか。

 

  ~次の日~

 

 「今日は文化部の勧誘か……」

 「運動部に引けを取らずに熱心に勧誘してるね」

 「ああ」

 昨日同様、一応全部活のビラをもらいながら歩いていた。

 

 「こんにちは~軽音部で~す」

 アキと共に靴箱に向かっていると、背後から声をかけられた。

 勧誘か。一応、ビラもらうだけもらうか。と思い、振り向いたらそこには!

 

 「馬~!?」

 「ビックリした……」

 着ぐるみであった。普通に女の声だったから女の先輩がいるのかと思ったらこれだよ。

 アキもオレも思わず大声を上げてしまった。

 

 「驚かせちゃってゴメンね。ハイ、これ」

 と渡されたビラ。一瞬気が引けたが、全部活のビラをもらうって決めているからにはもらわないといけない。恐る恐るビラを受け取ると、こんな言葉がかけられた。

 「明日、放課後講堂で新入生歓迎会ライブします。是非見に来てね」

 と。それだけ言うと、着ぐるみは立ち去って行った。

 

 「明日、新歓があるのか。何の出し物があるんだろうな」

 「さあ? 軽音はするみたいでしょ。他か……普通は演劇とか吹奏楽とかじゃないの?」

 「そうだろうな」

 そんな話をしていたら、あらゆるところから『ギャーッ!』とか『ワー!』っとか聞こえてきた。ああ、着ぐるみだな。しっかし軽音部面白い部活じゃないか。あんなんじゃ新入生入ってこないと思うけど。

 

   ★

 

 今日も学校の説明やら各教科のオリエンテーションやらで放課後を迎えた。アキは今日も用があるらしく、文化部回りもオレは1人ですることになった。明日の新歓のプログラムを見てみると、演劇・吹奏楽・合唱・軽音・落語研究会が名を連ねていた。放課後にあるってことは、文化部に興味が無い人は帰ったり運動部に行ったりしていいということか。オレは新歓でその部活の様子を見るとして、今日はそれ以外の部活を回るか。

 

 えーっと……オカルト研究会?却下。何で研究しなくちゃいけないんだよ。

 他には………ジャズ研究部。か……音楽ねえ。ジャズ全く興味ないんだよな~却下。

 何があるんだ? 写真部・書道部・美術部……芸術系苦手なんで却下。

 

 ということで、今日は帰ることにした。明日の5個の部活の出し物の出来栄えでどの部活に入るか決めるぞ。どれもイマイチなら、入らない。バイトでもする。よしっ、決めた。

 それにしても腹減ったな……どっか寄り道して何か食うか。ということで、下校ラッシュ時にたまたま遭遇したため、その流れに乗っかってみる。そしたら誰かは何かの店に入るだろう。その店に行こう。

 オレの予想は的中し、数人が同じ店に入っていった。学校からそんなに離れていない、駅前の喫茶店だった。『ラ・ペディス』か。何語だろう。まあいい、ともかく入ろう。

 

 「いらっしゃいませ~お1人様ですか?」

 「はい」

 「こちらのお席へどうぞ」

 と、普通に案内された。周りを見渡してみると、若葉学園の制服を着ているのがたくさんいた。ここは若葉学園生に人気の店だったんだな。3日目でそういう情報仕入れるって結構ラッキーだな。

 そう思いながらメニュー表を見てみる。結構メニューの品が多く安価であった。その中でも、オレの目をひいたのは『抹茶パフェ』。よしコレに決めた。頼むために店員を呼ぶ。するとすぐに来てくれた。

 

 「ご注文はお決まりですか?」

 メニューを見ていたらそう問われた。声に聞き覚えがあったので思わず店員の顔を見た。縦ロールのツインテールで明るい色の髪をしているのだが、見覚えはない。どうも、オレの前の席の中野さんっていうツインテールの子に声が似てた気がしたんだけどな……気のせいか。気を取り直して、抹茶パフェを注文すると5分くらいで持ってきてくれた。上手そ!

 

 「いただっきま~す」

 ん~美味しい。抹茶最高! パフェといったら抹茶だよね~

 1人でパクパクと食い、勘定を済ませ店を出た。これはまた来ないとな。他のメニューも楽しみだ。次来るときはアキでも誘うか。

 オレは、その後はコンビニで立ち読みしたりしながら家に帰った。

 こんな感じで高校生活3日目は終わりを告げた。

 





 最後らへんに声優ネタいれました。

 分かる人にはわかる。
 分からない人は別に気にしなくていいです。

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