とうとうFクラスがAクラスに試召戦争を。
一体どうなっちゃう!?
では、どうぞ!!
「一騎討ち?」
「ああ、Fクラスは試召戦争として、Aクラス代表に一騎討ちを申し込む」
2日後の朝、雄二が数名を引き連れ、Aクラスに乗り込んできた。昨日、回復試験を行ったから、点数的には大丈夫だけど……
「雄二」
「弘志か。お前らをこの座から追い落とす日が来たぜ」
「やれるもんならやってみな」
「Fクラスは何が狙いなの?」
姿が見えない霧島代表に代わって、木下さんが交渉をする。オレも一応それに参加を。Aクラス中で一番雄二のことを分かっているつもりだから。ああ、霧島代表以外でな。
「もちろん、Fクラスが勝利するためだ」
「木下さん……雄二の案には基本的に乗らない方が良い」
「分かってるわよ。だけど、試召戦争ってのは下位クラスからは断れないからね」
「一騎討ちを断れば良い話だ」
雄二の土俵には上がらない。上がった途端、Aクラスが不利になるのは目に見えている。野球に例えるとあれだ。ボヤキ監督として有名な名将ノ○さんとタイプは似ている。戦力としてそこまで整っていないのに、上位を打ち砕いていく。危ない危ない。
「ところでCクラスとの戦争はどうなった?」
「普通だったわよ」
「そうか。Bクラスとやりあう気はあるか?」
「Bクラスってあの……?」
一昨日、女装してやってきたヤツが代表してるクラスか。
「断ればBクラスとウチを戦わせるのね」
「しかもウチはBクラスと戦いたくないって思わせている」
「何の話だ?」
「シラをきるなら良い。何はともあれ、お前らと戦わざるを得ないだろうな」
「話が早くて何よりだ」
かといって、雄二の作戦に思いっきり賛成するはずが無い。
「お前のことだ。何か策略をしこんでいるのだろう。オレには悲しいかな見破れない。だから、保険のために5人ずつ選んで、それぞれ一騎討ち。3勝した方が勝ちということにしないか? 木下さん、それでいいよね?」
「ええ。わたしもそうするしかないと思ってたのよ。坂本君いかがかしら?」
「…………分かった。その代わり、科目選択権はFクラスにくれ」
「3戦な。Aクラスが2戦いただく」
Aクラス側からもFクラス側からも、慎重すぎるとかAクラスらしくないとかいう声が聞こえてくるが、そんなものは知らん。教室を落とされたくないからな。
「承知した」
「………こちらからも提案。負けた方は勝ったほうの言うことを聞く」
「うわっ」
「代表?」
いつの間にかオレたちの背後に現れていた霧島代表。神出鬼没とはまさにこのことか。
「よし。分かった」
「雄二! 姫路さんに ー 」
「心配するな。断じて姫路には悪いことにはならない」
「………開戦は何時から?」
「午後からこのクラスで。また後で来る」
雄二たちはそれだけ言うと、Aクラスを去っていった。その後、Aクラスには沈黙のときが流れたが、霧島代表が言葉を発した。
「………みんなも聞いたと思うけど、5人の代表を選ばなければならない」
「普通に、上位5人でいいと思います」
「優子に久保はどう思う?」
『Fクラスを熟知している七島君に意見を聞くべきだと思う』
2人はオレのほうを見ながら声を揃えて言った。霧島代表もその通りと言わんばかりにうなずいた。
『わざわざ聞くまでも無い』
『意味が無い』
「………落ち着いて。Cクラス戦の時に勝利に貢献した人物の話を聞かないわけにはいかない」
「七島があんなことしなくても勝てた」
オレも嫌われているものだ。人間なんて誰からも好かれるわけ無いからどうでもいいけど。誰からも好かれる人間は逆におそろしい。八方美人の可能性があるから。
「………七島、どう思う」
「まず、Fクラスが5人選ぶとしたら、坂本雄二・吉井明久・土屋康太・姫路瑞希の4人は確定している」
「………どうしてか説明を」
「雄二は代表だから説明不要、姫路も言うまでもない、アキは操作技術に長けている、康太は保健体育のスペシャリスト。またの名を『
ムッツリーニの名を聞くと、女子の方から軽く悲鳴が聞こえてきた。被害者か……
「後1人は分からないのかしら?」
「弟の秀吉が出るかもしれないし、島田美波が出るかもしれない。大穴で須川亮が出てくるかも知れない」
「………こちらからも5人選んでおかなければならない」
「代表同士の対決は決まっていて、vs姫路には久保を当てればいいんじゃないか」
みんなそれが当たり前だといわんばかりの表情をしていた。
「じゃあ、保健体育はボクが出るよ♪」
「愛子?」
「保健体育で負けるわけにはいかないからね♪」
「………分かった。土屋には愛子を当てる」
工藤さんって保健体育が得意だったんだ。Aクラスにしては意外な人材だ。
「後は吉井君ともう1人ね」
『本当に吉井出るのか!?』
『観察処分者だろ?』
「しっかりと観察処分者の意味を理解してないみたいだな。バカの代名詞だが、オレたちよりも数ヶ月前から召喚獣の操作をしてきている人間だぞ。Fクラスの中だったら出てくるだろう。ただでさえ点数低い連中なんだから」
勉強、何それ?の連中だ。アキが出てくるのは必須だろう。
「アタシが当たろうかしら」
「いや、木下さんはあと1人の方がいいだろう。誰が出てくるか分からないならバランサーを配置しておくべきだ」
「………それがいい。それならばvs吉井には七島を当てる」
「オレでいいのか?」
「………一番吉井の性格を把握している」
確かに。ただ、クラス中から猛反発が起きているが。
「………もう決定事項。負けられない戦い。理解して」
『負けられないならなおさらだって……』
「ぶつぶつ言わないの! あなたも匹敵するくらいアピールしたらどうなの!?」
『くっ……』
木下さんの言葉は結構心にグサッと来たようだった。
「それでは、FクラスvsAクラスの試召戦争~一騎討ち~を始めます」
午後になって、とうとうFクラスがAクラスに挑む下克上の戦いが始まった。
「第一回戦目の選手、前に」
「秀吉、頼む!」
「承知した」
「アタシが行くわ」
オレが予想している中で唯一不確かだった枠には秀吉が入ってきた。
「ところでさ、秀吉」
「何じゃ?」
「アンタ、Cクラスの小山さんって知ってるかしら?」
「はて、誰じゃ?」
あ、木下さんの後ろには少しどす黒いオーラが……あのときのことまだ忘れていなかったんだ。やっぱり犯人は秀吉だと目星をつけていたんだな。
「そう。知らないなら良いわ。ちょっとこっちへ来てくれるかしら?」
「ワシの腕を掴んで何処へ行くというのじゃ?」
木下さんは、秀吉を連れて廊下へと出て行った。
『Cクラスで何してくれたのかしら? アタシがどうしてCクラスで豚呼ばわりしたことになってるのかしら?』
『はっはっは……それは姉上の本性をワシなりに推測 ー 痛いっ! 何をするのじゃ姉上!』
「秀吉は急用が出来たから帰るって」
木下さんは、何食わぬ顔で1人で教室に戻ってきた。怒らせたらめっちゃ怖い……
「代わりの人はどうするのかしら?」
「不戦 ー 」
「待て」
「竜也?」
「オレが行こう」
雄二は不戦敗として、捨てようとしたが、竜也がそれを許さなかった。負けるならば戦って負けるということを選択したかったのだろう。やつに深い考えなどはないと思う。こいつという選択肢はオレにも無かった。
「久しぶりね。教科、選んで良いわよ」
「ありがたく……教科は“芸術”で!」
しまった!!! ヤツは勉強こそからきし出来ないが、芸術の才能有り余ってる!
『
「木下さん」
「どうしたのよ七島君」
「ヤツの強さ見ても怯まないでね」
「何を言ってるのかしら?」
徐々に現れる召喚獣、点数が出てきたときには木下さんも驚いた顔だった。
芸術 F本田 vs A木下
489 257
「何だあの点数は!?」
「くそっ。Fにあいつがいたのはすっかり忘れていた」
「油断したわ……」
「遠慮なく、勝たせてもらうぜ!!」
木下さんの善戦もむなしく、一戦目を落としてしまった。
「申し訳ないわ……」
Aクラスのみんなが待っているほうへ帰ってきてこういった。
「木下さん、オレのミスだ。やつは音楽と家庭だけは昔から凄い才能の持ち主だったんだ」
「やっぱり、七島に采配任せるのが悪かったんだ!」
「………今のは誰が出てたとしても負けてた」
オレたちの暗い雰囲気とは対照的にFクラス側では盛り上がっていた。
『凄いよ竜也!!』
『勉強は出来ないが、ああいうのには自信があったからな』
『これは大きな1勝だ』
『最初っから俺を出しておけばよかったのよ』
こりゃずるずるといかなければいいんだが……
さて、原作と違いまして、Aクラス1戦目落としましたね……
今後の展開はどうなることやら。
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