初めての試召戦争のシーン。
原作においてFクラスがBクラスと対戦しているときの、Aクラスです。
では、どうぞ!
「 ー だから、覚悟しておきなさいAクラス。そして木下優子!」
次の日、Aクラス内に突然の使者が。Cクラス代表小山が直々にやってきて、さんざん木下さんの悪口を述べた挙句、Aクラスに宣戦布告をしてきたのだ。
「優子、何かやった?」
「全く心当たりが無いわ……」
となると、どこかの策略にはまったということか。どこかってのは自ずと分かって来るんだが、何のためにこんなことを。
「………みんな聞いて。早速試召戦争が始まる。わたしたちは負けることは許されない。油断は禁物」
「よくわかっているよ」
Cクラスとの試召戦争は午後からということになった。
「………作戦を立てる。全員を3部隊に分ける。わたしが率いる本陣、後2人の部隊長は久保と優子」
「分かったわ代表」
「僕かい? 僕は向いていないと思うのだが」
「………初めは素直に点数高い順で指揮官を決めておかないと不満が出る」
「そうかい? 分かった……全力を尽くすよ」
オレは確かこのクラスでも下のほうだったからそういうのは全く関係ないね。
「………作戦は単純。押し切るのみ。まずは戦慣れをしてもらわないと」
「了解!!」
下手に作戦を立てても、その思い通りに行かなかったら意味が無いからか。
「ヒロ君、何処の部隊?」
「オレは木下さんの部隊だったよ」
「一緒だ~」
「わたしもだよ」
どうやら、憂ちゃんと梓ちゃんも同じ部隊に所属しているようだ。流石に数人は戦死者が出るだろうが、この2人は補習室には行かせたくないものだ。もちろんオレだって行きたくないが。
作戦会議の後、トイレ休憩が取られた。オレはそれを利用して教室を出る。トイレの方に歩いていってると、
「Bクラス、小林が ー 」
「同じく、伊藤が ー 」
「こちら、森山が、Fクラス七島に試召戦争を申し込みます」
『
突然、3人の男子生徒に囲まれ、試召戦争を申し込まれた。あれ? 開戦は午後からじゃ ー じゃなくて、やつらBクラスって言ったぞ。オレをFクラスと勘違いしているみたいだ。えっと試召戦争のルールとして、確か他のクラスのやつは干渉しちゃいけないはずだ。もししたら、すぐさま補習室行き。ということは……
「補習!!」
西村先生がものすごい勢いでやってきて、3人を担ぎ上げた。
「何故!?」
「負けてないぞ!」
「西村先生!!」
「お前ら、勘違いするな。七島はFクラスの人間じゃない」
『何ぃっ!?』
さよなら~図らずもFクラスの連中の手伝いをしてしまった感が否めないな。そうかそうか。オレは未だにFクラスと思われているのか。これは今回の試召戦争で使えるぞ。
午後になり、早速CクラスvsAクラスの戦いが始まった。
霧島代表は万全を期しているみたいで、クラスの半分を本陣においていた。残りの半分で、2部隊に分けているみたいだ。周りのメンツ見てみると、Aクラスの中でも下から数えた方が早い連中ばっかりだ。どれだけ、霧島代表が安全に策をとっているか分かる。初めての試召戦争だから仕方あるまい。戦場は廊下である。
Aクラスの下のほうってのは、Bクラスとほとんどかわらないくらいの能力である。しかも教科によっては、Cクラスレベルの人もいるとか。数で押され、そういった教科のバランスも悪く、押され気味で試召戦争は進んでいった。未だにオレと憂ちゃんと梓ちゃんは先陣の中でも後方に居たが、人が少なくなってきた。
「Cクラスなんかに負けてられないわよ!」
「応援が来るまで耐えるんだ!」
木下さんと久保の声が聞こえてきたものの、
「Aクラス許すまじ!」
「木下は葬る」
といったCクラスの勢いに圧倒されている。完全に劣勢といったところだ。この様子を聞いて、ほんの少しだけ本陣から増員するものの、大勢は変わらない。オレは1つ考えていた案を木下さんに持っていった。一応、部隊長は木下さんなのであるから、組織の中での勝手は許されないだろう。
「木下さん」
「何かしら?」
「オレに作戦があるんだけどさ、やってきていいかな?」
「どういった作戦かしら」
出来るだけCクラスの連中に見つからないように、木下さんと話す。
「オレ1人でやってくるから、迷惑はかけない」
「そんな内容で認めるとでも?」
「負けたくは無いから」
「分かったわ。好きにしなさい。ただ、あなたが危機に陥っても誰も助けはしないわ」
望むところだ。戦い始めていた憂ちゃんと梓ちゃんに一言告げ、作戦実行しに行く。
まずは、旧校舎Fクラスの方に行きたいんだけど、新校舎から渡り廊下にかけて、F・B・C・Aの連中がうろうろしすぎて通れそうも無い。どうしようかね。ここは3階だ。飛び降りる訳にはいかない高さ。
ここはAクラスという利点を生かして、この優れた設備を生かしてAクラスの教室に先生を呼ぼう。誰にしようかな。仮病を使えるような先生か……一番面識のある先生にしよう。
「あれ?西村先生、どうなさったんですか?」
「いや、Aクラスに来て欲しいとの連絡があったからな」
試召戦争中はPCを通じて先生を呼び出せた。普通、試召戦争の立会い人として呼ぶのだが……
「あ、西村先生。いいですか?」
「お前が呼んだのか七島」
「ええ。ちょっと保健室まで行きたいんですけど、あの廊下の人の多さじゃ通れなくて。それに今Aクラス試召戦争しているから勝負仕掛けられるし」
ちょっと気分悪そうにしながら、西村先生に話した。
「俺が運んで行ってやろう」
「よろしくお願いします」
返事した途端、突然宙に浮いた。西村先生がオレを担ぎ上げたのであった。そして、すぐさま教室を飛び出し、あの人ごみの中を簡単に突破して行った。保健室が近くなると西村先生に声を掛けた。
「先生、もういいです。後は歩いていけます」
「そうか。無理するなよ」
「ありがとうございます」
西村先生は忙しいらしく、すぐに駆けて行った。よし、作戦の第一段階クリア。これで、2-Fのほうへ行くことが出来る。
「あれ、七島じゃねえ?」
「何でお前がこんなところに」
「坂本、七島が来ているぞ」
「すぐ行く」
Fクラスの連中は、見てみると大半が昨年一緒のクラスだったような連中だ。すぐにオレの顔を判別し、代表の坂本雄二に声をかけた。
「何やってんだ?」
「特別何も。保健室の帰りにここを通っただけだ」
「保健室? 何か裏がありそうだな」
「知るか。Bクラスに勝てるのかね」
オレはそれだけ言い放つと新校舎のほうへ歩いていった。
途中Fクラスの連中の間をすり抜け、その後Bクラスの連中に勝負を挑まれそのたびに挑んだやつが補習室行って、やっとその行列を抜けた。そしていよいよ作戦最終段階。
『Fクラスからの使者だと偽って、Cクラス代表を奇襲で討ち取る』
ずっとBクラスの連中に勝負を挑まれていたということから考えた作戦だ。
このためには、Cクラスの連中に1人でもオレがAクラスだとバレてはいけない。バレたら敵のど真ん中。囲まれて補習室行き。途中で高橋先生を見つけ、一緒についてきてもらうことにした。
Cクラスの教室の近くまで行くと、やはりガードは固かった。ドアの周囲にはたくさん人がいる。
「七島だ! 代表小山に話があってやってきた。是非とも対談したい」
とCクラスの教室内に聞こえるくらいの声量で言った。オレの言葉を聞いて、1人の女子が小山の方へ向かったみたいだ。しばらくすると返事を持ってやって来た。
「Fクラスのあんたが何用!?」
だそうだ。凄いねオレの噂。十分に活用してもらうよ。
「機密事項だから代表本人と話したい」
それを言うと、向こうは許可してくれた。オレはCクラスに入っていった。奥のほうに小山の姿が見えた。やはり周囲には護衛をつけていた。当然のことだ。オレは構わず近くまで行く。
「試召戦争中に他のクラスの干渉は禁止じゃなかったかしら」
「そうだな。だから高橋先生を連れてきている」
「どういうこと?」
「こういうことさ」
高橋先生のほうを一瞬だけ向いて、再び小山へ向き直った。
「Aクラス七島弘志、Cクラス代表小山に試召戦争を挑む」
「承認します」
「
『何っ!?』
オレがAクラスだと知って唖然としている。これで小山が召喚獣を出さなかったら、問答無用でオレの勝ちだ。
自分の召喚獣を出す代わりに、護衛が召喚をした。敵の数は2人。ちょっと数的不利だが、速攻で片付ける。
立会いの先生が高橋先生なので、教科は「総合科目」となる。他の先生にもそれぞれ出せるフィールドが決まっている。担当の教科がそれにあたる。何の教科があるかというと……
国語…(現代文+古典)
数学…(Ⅰ・A+Ⅱ・B)
英語…(筆記+リスニング)
社会…地理・日本史・世界史・現代社会・政治経済・倫理から1科目。
理科…化学・物理・生物・地学から1科目。
選択…文系は社会から別のもう1科目、理系は理科から別のもう1科目分選択。
→これらの総合点数が、「総合科目」の点数になる。
単教科は他にもある。(総合科目の点数に含まれない)
保健体育と家庭科と芸術(美術・音楽の選択)の3教科だ。
よって、単教科が9科目+総合科目となる。
総合科目のほうを見ると、センター対策だということがすぐに分かった。だが、単教科(副教科)もバカには出来ない。振り分け試験やら試召戦争などに大きく影響を及ぼすからだ。
どうやら1教科400点以上だったら、召喚獣の腕輪の効果とやらが使えるらしい。ただし、国数英は2科目が一緒になっているから800点以上だ。総合科目では3600点以上が腕輪使用条件らしい。
高橋先生を連れてきたのはAクラスに在籍しているオレだったら分が悪くならないと見込んでのことだった。案の定、敵は苦虫をつぶしたような顔になっていた。
総合科目 A七島 vs C木村&福山
2811 vs 1530&1508
「何だあの点数は!?」
「カンニングしたのか!?」
「やつはバカなはずなのに」
オレは速攻で殺そうと、自分の召喚獣を見る。
どういうことだ。この点数で武器が「素手」とはどういうことだ。格好はAクラスとは思えないくらい軽装備。一応、戦国時代をモチーフにしてるのかね。甲冑つけてるし(もちろん軽装備)これちゃんと点数反映されてるの? 腰に刀を帯びているなら使えよ。何とか刀を抜き、臨戦態勢をとる。
初めてだから使い方が分からない。そのためごり押し。力押し。点数が多いほうが勝ちだ。あんまりこういう戦いかた好きじゃないけど。
「戦死者は補習 ー !」
「嫌だ~!!」
「鬼の補習は(略)」
さて、とうとう代表1人に。他の連中は出払っているため全く気づいていないようだ。
「
大声でCクラスの連中を呼び戻すも、時既に遅し。
総合科目 A七島 vs C小山
Win Death
「勝者、Aクラス」
デスって……言葉選べよ。
まあ、急いで救援に向かおうとしたCクラスの連中を尻目に、瞬殺したのであった。
「Aクラス七島弘志、Cクラス代表小山を討ち取った!!」
『何だと!?』
『嘘だろ?』
そう思うのも不思議ではない。前線は善戦していた。あれ?駄洒落っぽくなったけど違うよ。Aクラスの連中もいささか疑問に思っているヤツがいるだろう。戦後対談が行われることになった。Aクラスからは霧島代表・久保・木下さん・そして功労者である(自分で言うか?)オレ。Cクラスは小山代表1人。
「まさか、七島がAクラスだなんて……」
「何とでも言え」
「1人に負けたわ」
「それはどうも」
いささか、霧島代表や久保、木下さんの機嫌が悪いみたいだがあえてスルーで。
「小山さん聞きたいことがあるんだけど」
「……何かしら木下」
「何をもってそんなにアタシを目の敵にしてるわけ? 心当たりがないんだけども」
「何言ってるの!? あなたがCクラスを挑発したんじゃない『豚共』とか言って」
「そんなことしてないわよ!」
木下さんがここまで言い張るならしていないんだろう。ただ、気になることが。それ本当に木下さんだったか?
戦後対談もほどほどに終わって、Aクラス側からの4人だけで話し合うことになった。
「七島、何をしたんだ」
「Fクラスと装って、本陣に乗り込んだ」
「………独断専行は組織の中では許されない」
「一応、部隊長の許可は取った」
「作戦は教えてくれなかったけどね。あなたの作戦だったら戦死するだろうと思って気にもかけてなかったけど」
その評価、今回で変えていただけたでしょうかね。
「………結果オーライかも知れないけど、報告はちゃんとして欲しい」
「承った。ただ、今回のはあなたたちにオレの力を見せ付けたかっただけかもしれないな」
「………十分理解した。Aクラスの中心人物として今後は認識する」
「奇抜な発想、それを可能にする行動力、どれをとってもAクラスとは思えないな」
「そうね。でも、それが案外Aクラスを救う救世主になるかもしれないわね」
ありがたいことを言ってくれる。試召戦争をした甲斐があった。
「代表、どうやらFvsBの戦い、Fが勝った模様です」
と伝令がやってきた。
「………雄二…」
「凄いわね」
流石だ。たいした戦力も無いはずなのにBに勝てるなんて。おそらく狙いはオレたちAクラス。受けて立つぞ。4人で喋りながら、Aクラスの教室に帰った。その後、勝った後の話し合いを始めた。
途中の教科の話、ちょっと複雑でしたかね?
分からない方は質問してください。
主人公の召喚獣初登場!
今のところまだ詳しく出てませんが、今後出てくる予定です。
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