ようやく、2年生!
試召戦争が出来る学年に上がりました。
これからが本番という感じなんですかね?
主人公他が、どのクラスに在籍しているのか予想しながら読み進めてください!
では、どうぞ!
#21 新学年!
この七島弘志が、若葉学園に入学してからもう1年も経過した。高校生活はあっという間に過ぎていくとよく言われるが、本当に1年が短かった。1年前のオレは軽音部に入るなんて思ってもいなかっただろう。
4月。始業式の日。2年生に進級したんだが、クラス分けがまだ発表されていないため楽しみだ。この若葉学園のクラス分けの方法は、「振り分け試験」なるものを受けて、そこの上から50人ずつのクラスで作っていく。噂に聞くと、いかなる理由でも当日休み等した場合は問答無用で0点扱いとなるらしいから、強制Fクラスだ。
本来、今日はアキと共に登校する予定だったのだが、全く電話に出ないために1人で先に学校に来たのだ。学校の近くまで来ると、校門前に西村先生が立っているのが見えた。昨年のオレたちのクラスの担任だ。門前指導とかいうやつであろうか。どの先生が立つよりもこの先生が立つことによって効果が現れるからかな。
「七島、おはよう」
「おはようございます」
「吉井はどうした?」
「寝坊です」
オレがいつもアキと登校しているのを、元担任のこの方は知っていたらしい。
「まったく……ああそうそう。ほら受け取れ」
西村先生から、封筒を渡された。
「中身は?」
「クラスが書いてある」
「張り出したりしないんですか?」
「学園長のこだわりだそうだ」
ふ~ん……混雑しない分よさそうだが、西村先生1人に任せるのもどうかと思うけど……
「七島、それはお前の本気か?」
「え、ええ。まあそうですけど」
「そうか」
何だそれは? お前ならもっと上を狙えたんじゃないかとかそういう意味!?
恐る恐る封筒を開いて。中に入っている紙を取り出す。
そこにはでかでかとした文字で、
A
と書いてあった。
「よっしゃAクラス」
「去年のお前は、本気を出していなかったな?」
「流石にあんまり上のほうにいると、オレがバカじゃないことがバレますからね」
「何を企んでるのかは知らんが……出来れば吉井たちのバカ騒ぎを止めるのに一役買って欲しいものだ」
先生達がてこずっているのをどうやったらオレの力で止めれるのか教えて欲しいが……ネコの手も借りたいような状況まで追い込まれているというか、アキたちがやらかしているのだろう。
「オレが対処できる限り」
「生徒がたくさん来た。もう教室に向かえ」
「どうも」
後ろを見ると、確かにずらずらと制服を着た連中が。ちょうど通学ラッシュ時かなあ?
その人ごみにまぎれないようにさっさと2-Aの教室へ向かった。
「何だココは!?」
2-Aの教室に入ると同時に思わず声に出てしまった。どっかのホテルとか何かそんな感じのところかと思った。まず、教室と言って良いのかというくらいの広さ、黒板じゃなくディスプレイ、机にはノートパソコン、いすはリクライニングシート、冷蔵庫など贅沢すぎる設備だ。竜也の家みたいだ……こんな設備で勉強するんだな。
「あ、ヒロ君だ!」
「ホントだ。お~い」
「憂ちゃん、梓ちゃん!」
同じ教室内なのに、えらく遠く見える2人のもとへ駆け寄る。
「2人ともAクラスなんだね」
「そう」
「ヒロ君もAクラスなんだ~びっくり」
「唯先輩から聞いてなかったんだ。オレの成績のこと」
「ちょっと半信半疑だったかな」
去年のクラスでも成績優秀者だった2人はやはりAクラスに来ていた。話せる子がいるって頼りになる。オレがつるんでいた悪友共はFクラスだろうから。
「優子ちゃん」
「どうしたの憂?」
「ヒロ君、紹介するね。こちら
「はじめまして。七島弘志です。LIVE見に来てくれてありがとうございます」
「唯ちゃん憂ちゃんの頼みだからね」
こうやって近くで見て改めて思う。秀吉に瓜二つ。そっくりのレベルを通り越しているな。竜也が間違えた理由も分かるよ。
「でも何故あなたがAクラスへ? 秀吉の話にも聞いていたけどあなたFクラスじゃないわけ?」
「それは心外だ。勝手に秀吉たちが自分達と学力一緒だと思い込んでいるだけであって」
「へぇ~秀吉たちとは違ってちょっとは出来るみたいね」
「人を見た目や噂で判断するなということじゃないか」
「そういうことかしらね」
ちょびっと嫌味が籠っていたために、こちらも悪意を少しだけこめて言葉を返した。まあ、Aクラスに行くような人はプライドが高い連中ばっかりだから分からないことはないけど…勉強が出来るからどうのこうのじゃないということは、この学園のシステム「試召戦争」に現れている。そりゃ点数高い方が有利だけど、指揮官の差、操作技術の差によってどれだけでも覆せるから。そういうのを理解できる人はAクラスには少ないだろうな。勉強できないくせに……とか。木下さんはそこそこ理解しているようだった。
「HRを始めます。みなさん席についてください」
いつの間にか、先生がやってきていたために、オレは指示通り席に着いた。
「みなさん席に着きましたね。今年1年間2-Aの担任を務める高橋洋子と言います。よろしくお願いします」
あ、入学式のときにこの学園の概要を説明した先生だ。全教科教えれたからびっくりしたんだよね。
「早速、自己紹介をしていってもらいたいと思います。まずは、そちらから」
昨年と違って、出席番号順に並んでおらず、好きな席に座ってよかった。そのため、仲良い人が自然と周りに集まることになる。オレは窓際の一番後ろの席に陣取った。先生は、廊下側の一番前の人を指したので、オレの自己紹介は一番最後に行われることになる。
去年同様、面白そうな人は全く見当たらなかった。というか、Aクラスに笑いのスキルを持っている人は来ないかも。淡々と48人分の紹介が終わった。危うくうとうとするところだった。
「次の方 ー 」
どうもオレらしい。1人紹介やってねえんじゃないかという疑問を抱きながら、自己紹介をする。
「え~七島弘志です。よろしく」
普通どおり、立って自己紹介をし座ろうとしたときに、拍手の替わりにこんな声が聞こえてきた。
「七島? あいつバカじゃないのか?」
「観察処分者の吉井と仲良いんだろ?」
「他につるんでいるのって坂本とかよね?」
「カンニングでもしてAクラス来たんじゃないかしら」
こういったオレに対する非難の声が聞こえてきたので、終わらせようと思った自己紹介をまだ続けた。
「Aクラスなのに噂に左右されて、そんな考えしか持てねえんだな。大体カンニングが出来ないことくらい自分達でも分かってるだろうに。吉井とか坂本とかとつるんでいたらそいつも同じくバカなのか? 勉強ばっかりしてないで、そういうのを学んだらどうなんだ? 学校っちゃそもそもそういうのを学ぶ場だぜ。勉強したけりゃ、家でするなり塾で勉強するなりすればいいじゃねえか。先に言っておくが、そんなんじゃ確実にAクラスの教室を明け渡すことになると思っておくと良い。予言しておく」
オレは嫌味をたっぷりとこめて、Aクラスの連中に返してやった。これで理解出来ないやつは勉強バカだ。
「俺たちはAクラスだぞ?」
「他のクラスに負けるわけ無い!」
「そうよね」
あきれるくらい、理屈しか通用しない。融通が利かないとはこのことだろうか。
「Aクラスだからなんだ? それで満足しているのか。それならばあんたたちが希望している進路に行けるわけないだろう。人を見下して優越感に浸るとかバカじゃないのか? そんなことだから、この世界から『差別』というものがなくならないんだろう? 小学生時代から学んだよな『道徳』の授業で。知識を詰め込みすぎてそんな基礎すら忘れているんだったら話にならんな。上には上が居るという意識を持ち続けないと成長しないのは自分達が一番理解しているはずだ。学年主席が誰かは知らんが、いつまで経っても追いつけるわけ無いぞ」
オレがそれだけ言うと、教室は静まり返った。先生が視線で座るように促してきたためその通りにした。
「では、最後は学年主席の霧島さんからです」
「………
この列の一番前の女子が立って名を告げた。ほう、学年主席は霧島翔子と言うのか。見るからに頭よさそうだなあ。日本人形みたいだ。
「Aクラスの皆さん、これから1年間霧島さんを代表として協力し合い、研鑽を重ねていってください。これから始まるであろう『戦争』に負けないようにしてください」
楽しみだ試召戦争。そんなに早い段階ではないだろうが、確実にAクラスは狙うだろうなあ。こんなに設備が良いんだもん。雄二がどこのクラスに在籍しているかは知らんが、やつはほぼ100%狙う。調べをつけておかないと、簡単に下克上されちまう。雄二とアキと康太と秀吉は注意しておかないとな。何だかんだ言ってオレがつるんでいた連中は、一芸に秀でているから敵に回したら怖い。雄二の臨機応変さ、アキの観察処分者の利点による操作技術の高さ、康太の情報収集能力の高さ、秀吉の演技力。どれもこれも試召戦争に必要なものばかりだ。
「七島君」
誰かに話しかけられるまで、HRが終わったことに気づかなかった。
「え~っと久保だっけ?」
「いかにも、僕は
霧島さんの次に頭がいいやつということだな。まあ、Theインテリって感じ。
「その学年次席の久保利光がオレに用があるのか?」
「まあね。先ほどの話だけど」
「ほう」
「なかなか面白い。君はこのAクラスの中でも異質の存在のようだ」
褒め言葉として受け取っておこう。
「以後お見知りおきを」
「よろしく」
学年次席の久保利光か。
「やっほ~七島君」
誰だっけ……黄緑色の髪をしたボーイッシュな女の子がオレの前に現れた。何か人気者?
「
「そうか?」
「刺激受けた! やっぱり聞いたとおりの人だった」
「聞いたとおり?」
随分と肯定的な捉え方していたけど。誰から聞いたんだろう。
「愛子、話せた?」
「あ、優子! うん。仲良くなれそう!」
「七島君、愛子3学期に転校してきたばっかりだから、そこ気をつけてね」
「分かった」
何故特別オレに言うのかは知らないが、憂ちゃんと仲良い木下さんと仲良い人なら別に良いか。何かややこしいな。
「ヒロ君、さっきはびっくりしたよ」
「見ていてこっちもハラハラした」
「あ、憂ちゃん梓ちゃん。本音をぶちまけておかないと、試召戦争の時に足かせになると思ったからね」
「確かにヒロ君が言ったことも正しかったからね」
この2人と仲が良くて本当に良かった。いろんな意味で。
何の異変も無く、普通のクラス分けとなりました。
主人公はAクラス在籍。
これは最初の段階から考えていたことです。以前書いていた小説では、オリ主がFクラスに所属していたため、今度はAクラス側から書いてみようと思いました。
Aクラスに在籍しているのに、アンチAクラスになりそうで怖い(笑)
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